「共闘する楽しさを追求してきた、シリーズの新たな形を体感してください」

【全文掲載】『テイルズ オブ ゼスティリア』“情熱”を込めた作り手たちからの産地直送メッセージ【その2:バトル編】_01

 
 人気RPG『テイルズ オブ』シリーズの生誕20周年を記念するタイトルにして、シリーズの新境地を拓く完全新作『テイルズ オブ ゼスティリア』。当記事では、週刊ファミ通で掲載した開発者たちからの“産地直送”メッセージを全文掲載。今回は、バトルなどゲーム全体の取りまとめを担当した長谷雄太氏だ。


【全文掲載】『テイルズ オブ ゼスティリア』“情熱”を込めた作り手たちからの産地直送メッセージ【その2:バトル編】_02
▲長谷雄太氏
(バンダイナムコスタジオ/ディレクター)

 
 バンダイナムコスタジオの長谷です。『テイルズ オブ ハーツ』からシリーズの開発に参加し、『テイルズ オブ エクシリア』、『エクシリア2』でフィールドの設計やバトルなどのシステムを担当してきました。本作では、ディレクターとしてゲーム全体の取りまとめを務めました。

 本作のバトルシステムは、その名も“フュージョニックチェイン リニアモーションバトルシステム(Fusionic Chain LMBS)”。人間と天族が融合し、共闘する“神依”がキモとなります。本作を開発するにあたり、自分が当初抱えていた率直な気持ちを明かしますと、システム面の進化にある種の行き詰まりを感じていました。これまでのシリーズでも、仲間と協力して発動する“共鳴術技”(『エクシリア』、『エクシリア2』の特徴的なシステム)などで、共闘する楽しさを追求してきたのですが、『エクシリア2』のつぎに打ち出す新たな形がなかなか見えてこなかったんです。そこで、術技を発動するときだけではなく、バトル中のあらゆるときに共闘していることが感じられるシステムを作りたいと考え、生まれたアイデアが“仲間と融合して戦う”というものでした。

 そこから、主人公が行使できる特別な能力にしたほうがファンタジーRPGらしいとか、ふつうの人間には見えない種族と融合する設定にしようとか、シナリオの担当者とも密に話し合いを重ねながらアイデアを具体化させていきました。これまでのシリーズと比べても、構想にはかなりの時間をかけましたね。

 融合した天族の属性によって、多彩かつ圧倒的な力を行使できるのが神依の醍醐味。ですが、それだけではありません。敵の特徴や戦況によっては、神依をせずに攻めるほうがいい場合もありますし、属性攻撃に耐性がある敵などに対しては、神依をしないほうが効率よくダメージを与えられる可能性もあります。もともと、神依さえあれば十分という内容では『テイルズ オブ』シリーズのバトルとして不合格だと考えていましたから、じつはとても重要な3すくみの関係(奥義は特技に強く、特技は術に強く、術は奥義に強い)も念頭に、攻防の奥深さをぜひ体感してください。神依できる人間と天族のどちらか一方が戦闘不能に陥っても、もう一方が神依を発動すれば復帰できたり、戦闘不能になった天族を引っ込める(“器”であるスレイの中に戻す)と少しずつ回復するといった仕組みも、世界設定に則したものでありつつ、共闘を堪能するうえでぜひ活用してほしい戦術です。神依を駆使して戦うことが正解というよりは、“仲間と協力して”戦うことが何よりも強い。それは本作でも一貫しています。

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 それから、今回はシリーズで初めて、フィールドで敵と遭遇した“その場”でバトルが始まるシステムを実現しました。これも、バトルのときだけ専用フィールドに移行するような従来のシステムに限界を感じていたことが、発案のひとつのキッカケです。本作では、プレイヤーの探索できる世界がかなり広くなり、変化にも富んでいますから、敵と遭遇してすぐに戦いを始められるほうが、よりいっそうの冒険感と没入感が得られるのではないかと。

 障害物や高低差を考慮したAI(仲間たちの行動)の設計や、術技のバランス調整、処理落ちしないスムーズな演出など、この“リアルマップバトル”が完成するまでには相当な苦労がありましたが、その甲斐あって『テイルズ オブ』シリーズの新たな形を打ち出せたと思っています。また、神依化すると、画面に表示される人数がひとり減って処理負荷も減るので、そのぶん術技などの演出を派手にできましたね(笑)。

 最後に、ゲーム全体についてお伝えさせてください。作中のあるシーンで、スレイが言う「自分で見つけるのが探検の醍醐味じゃないか」というセリフ。ここにこだわって、今回のゲームを作り上げた面があります。バトルも、探索も、そして物語も、ゲームのあちこちにお楽しみや解釈のヒントが散りばめられていますから、ぜひ皆さんのお好きなように進めて、最後まで楽しんでください!


『テイルズ オブ ゼスティリア』産地直送メッセージ
 ◆その1:シナリオ編(山本尚基氏)
 ◆その2:バトル編(長谷雄太氏)
 ◆その3:キャラクター&世界編(岩本稔氏)※後日掲載
 ※週刊ファミ通2015年1月29日発売号では、岩本氏によるイラストコラムを掲載!

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