1000ドル以下での実現が目標

まるで『MGSV:TPP』のスネークや『デウスエクス』! 3Dスキャンと3Dプリンティングを活用したメカニカル義手“Open Bionics”【CES 2015】_01

 差し出された青い手。恐る恐る握ると、青い手が滑らかに動いて優しく包み返し、周囲から歓声が上がる――。

 先週ラスベガスで行われたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)のインテルブースでは、さまざまなウェアラブル技術が共同出展されていた。同社が主催したコンペ“Make it Wearable”の優秀作たちだ。

 コンペで2位に入賞し、イギリスのブリストルにあるスタートアップベンチャー“Open Bionics”が出展したのは、低価格化なメカニカル義手(筋電義手)。手を動かそうとする際に発生する僅かな電位をセンサーでキャッチして動かすメカニカルな義手は、数百万するのが一般的。そこで近年では、3Dプリンターなどを使って低価格化を目指す試みが多数行われている。
 Open Bionicsもそうしたベンチャーのひとつなのだが、3Dプリンティングを製造過程に使うだけでなく、3Dスキャンも加えているのがミソ。というのも、義手を取り付ける腕との接合部の形状は人によって異なり、長時間の使用に耐えうるよう調整するには、やはり専門の技師による調整が必要で、コストが大きい。そこで接合部を3Dスキャンしてコストダウンし、1000ドル以下で安価に提供しようというのだ(もちろん個別の調整も依然として必要だが、コストは大分下がる)。

 メカニカルな義手というと、ゲームファンにとっては『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』版のスネークや、『デウスエクス』のアダム・ジェンセンの世界だが、約10万円という現実的な価格にもかかわらず、握手した手が握り潰されることもなく、繊細なタッチを実現していたのはちょっと感動。今年のCESで見た中で、もっともあたたかみのある技術だった。

まるで『MGSV:TPP』のスネークや『デウスエクス』! 3Dスキャンと3Dプリンティングを活用したメカニカル義手“Open Bionics”【CES 2015】_02
▲腕との接合部は3Dスキャン(IntelのReal Sense)を活用。製造は3Dスキャナーを使う。
まるで『MGSV:TPP』のスネークや『デウスエクス』! 3Dスキャンと3Dプリンティングを活用したメカニカル義手“Open Bionics”【CES 2015】_05
まるで『MGSV:TPP』のスネークや『デウスエクス』! 3Dスキャンと3Dプリンティングを活用したメカニカル義手“Open Bionics”【CES 2015】_04
▲握手したり工具を握ったり。
まるで『MGSV:TPP』のスネークや『デウスエクス』! 3Dスキャンと3Dプリンティングを活用したメカニカル義手“Open Bionics”【CES 2015】_03
▲小さいサイズも対応可能。