2014年12月21日、東京都千代田区のAKIBA SQUAREで、レッドブルが主催する5ジャンルのゲームの東西対抗戦“Red Bull 5G”の決勝戦“Red Bull 5G 2014 Finals”が行われた。試合経過や結果はすでに記事を掲載しているのでそちらを見て頂くとして、こちらではプレイヤーに焦点をあてたリポートをお届けする。

Red Bull 5Gとはゲーマーが超カッコいい、対戦ゲームのアベンジャーズである――Red Bull 5G 2014アナザーリポート_07

3年目の決着。最高の舞台がやってきた。

 西チームのリーダーでありパズル部門代表のKamestry選手は、それまでの過去2年のRed Bull 5Gで、西代表の敗北を決定付ける試合の当事者だった。そして今年、三度目の正直を誓って臨んだ同選手に、リベンジの機会が訪れる。西代表2-1のリードで迎えた第4ジャンル、種目選択権を持つ東代表が選んだのは、Kamestry選手がせーは選手とともに戦うパズル部門『ぷよぷよテトリス』。

 過去2回とも目前で優勝を奪っていった相手、くまちょむ選手はもういない。しかし東代表は別に、相手に花を持たせるためにこの種目を選んだわけではない。東代表のファイナリストは、まさにテトリスの怪物としか言い様がないHBM選手と、「ぷよぷよ」に単なるゲーム以上の愛とその理由を持つSelva選手。東有利の予想通りに勝って2-2のタイとして、最終戦に望みをつなぐための選択がパズルだったのだ。

ここでしか見られない戦いがある! 2年目を迎えたレッドブルのゲーム大会“Red Bull 5G”についてプロジェクトアドバイザー・松井悠氏を今年も直撃_04
▲初回大会の勝敗を決定づけるプレイで出た「指差し確認」。この時も、その翌年もKamestry選手はくまちょむ選手の前に敗れ去った。(Yusuke Kashiwazaki/Red Bull Content Pool)

 今年の戦いは、敗者が次にプレイする種目を決めるという形で行われた。前代未聞の進行形式。ゲーム大会は通常、すべての段取りを事前に決めてやっても遅れるものなのだ。だが、機材のセッティングにかかるロスを可能な限り減らせるのであれば、「前種目の敗北を受けて、どの種目で勝ちに行くのか」というストーリーが生まれるのが面白くないわけがない。
 もちろん、あらゆる大会にそれぞれのストーリーがあると思うが、Red Bull 5Gは言わば対戦ゲームの「アベンジャーズ」である。それまで接点がなかった、まったく異なるジャンルのトップクラスのゲーマーが同じ目的のために仲間として団結して戦うドリームマッチ。そしてレッドブル流の最高の演出で輝く。

Red Bull 5Gとはゲーマーが超カッコいい、対戦ゲームのアベンジャーズである――Red Bull 5G 2014アナザーリポート_01
Red Bull 5Gとはゲーマーが超カッコいい、対戦ゲームのアベンジャーズである――Red Bull 5G 2014アナザーリポート_02
▲プレイヤーが種目を選択した直後から試合のセッティングを進めていくクルー。もちろん、機材トラブルで開始が少々遅れたりもしたのだが、来年はさらに完成度を高めてくれることだろう。
▲試合の合間にDJセットを披露したDJ HANGER。ストIIの曲のEDMミックスをドロップしたかと思えば「昇竜拳!」など声ネタをコスりまくるヤバいプレイ。DJ世界一の経験があるが、ゲームでも『MAG』をやり過ぎて世界3位になったりするガチな人。
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▲中央にバトルが行われるステージがあり、両サイドにチームの待機シートが、それを観客が取り囲むというレイアウト。超ワイドなスクリーンもユニーク。
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▲リングサイドの仲間と喜びを分かち合う、ファイティング部門代表のひかりん選手。ステージの脇で両軍の仲間たちが肩を組んで座り、固唾を呑んで試合を見守るのは、5ジャンルのゲームの総合で勝敗を決めるRed Bull 5Gならではの光景だ。
Red Bull 5Gとはゲーマーが超カッコいい、対戦ゲームのアベンジャーズである――Red Bull 5G 2014アナザーリポート_05

 そして始まった戦いは、まさにファイナルにふさわしい圧倒的な戦い。テトリスプレイヤーが高速にラインを消し合い、ぷよぷよプレイヤーがそれでもこぼれて落ちてくるおじゃまぷよをかいくぐって組んだ連鎖を点火し、さらにその上からカウンターを放つという、常人の理解速度を超えながらも、凄まじさが伝わってくるタッグ戦だ。

 そう、今年のパズル部門『ぷよぷよテトリス』は個人戦ではない。異種競技のチーム戦である5Gで、その5Gを契機に生まれたふたつのゲームのタッグ戦である『ぷよぷよテトリス』が発売の年に決戦の舞台となったことには、運命的なものを感じるざるを得ない。
 まして、3年連続で『ぷよぷよ』決着となり、そのすべてにKamestry選手が立ち会っているというのは、偶然にしては出来過ぎなぐらいだ。ともあれ、東代表コンビの猛反撃を制して勝利したのは西代表。苦汁をなめ続けたひとりの『ぷよぷよ』プレイヤーが、ついにその手で己の運命を切り拓いたのだ。

また新たな物語が始まる

Red Bull 5Gとはゲーマーが超カッコいい、対戦ゲームのアベンジャーズである――Red Bull 5G 2014アナザーリポート_04

 この他にも、見所はたくさんあった。スポーツ部門『みんなのGOLF 6』でVAL選手が繰り出した2連続イーグルで普通なら心が折れそうな所、心乱されずにクールに勝った斬鉄剣選手には43歳という年齢の重みを感じざるをえなかったし、くやしがる姿、アクシデントを相手選手に謝る姿、声援を味方につけるべく観客を煽る姿、さまざまな選手の姿に、心に訴えかけるものがあった。

 プレイヤーたちのストーリー、東西のチームのストーリー、試合決めのストーリー、試合の中のストーリー。Red Bull 5Gは、さまざまなストーリーが眼前で折り重なった一大巨編だ。来年の種目はどうなるのか、どこで開催されるのか、気になる点も多いが、すでに物語の新たな章は始まっている。「たかがゲームに大げさな」と思うなら、来年の大会を会場で体験してみてほしい。昨年のリポートでも書いたが、そこには絶対に、この大会にしかないカッコ良さがあるのは保証する。

Red Bull 5Gとはゲーマーが超カッコいい、対戦ゲームのアベンジャーズである――Red Bull 5G 2014アナザーリポート_08
Red Bull 5Gとはゲーマーが超カッコいい、対戦ゲームのアベンジャーズである――Red Bull 5G 2014アナザーリポート_09
▲来年はどこでやるんだ?