レッドブルが主催する、5ジャンル5ゲームの東西対抗戦“Red Bull 5G”。今年もその決勝戦“Finals”が、12月21日に秋葉原のAKIBA SQUAREで行われる。
昨年のリポートでもお伝えしたように、本大会は世界でも数少ない、現場に来てライブで観戦する価値があるイベントだ。単なる最強決定戦ではなく、あくまで5種目のチーム対抗戦であり、それまでは接点のなかった別ジャンルのゲームの強豪たちが結束して戦うという構成の妙味、そしてレッドブルらしい、音楽やライティングでの一級の演出で、ゲームを最高にカッコ良く見せてくれる。
3年目となる今大会では、どんなコンセプトで、どんな戦いを見せてくれるのか? プロジェクトアドバイザーを務める松井悠氏に今年も話を聞いた。
3年目のテーマは「広げる」
――今年の話をする前に、まずは昨年の総括をお願いします。昨年は開催2年目ということもあって、反省点などを活かした形で開催できたかと思いますが。
松井 初回はまずちゃんと開催して終わらせることに目的があって、2年目はより良くしようと結構いろんな施策を突っ込んでいたんです。会場がより広くなって、ありがたいことにお客さんからの評判も良くて、総合的にも悪くはなかったけど、機材トラブルがあったりとか、演出面でのトラブルがあったりとか、「まだ浅かったな」と。「これを日本を代表するゲーミングイベントと言うにはちょっとおこがましいかなぁ」という感じですね。
それをどう変えていこうかという時に、ゲームジャンルのレイヤーから見直そうかな、というのが今年の始まりです。これには、レッドブル・ジャパン内でのRed Bull 5Gの扱いが、よりワールドワイドな“スポーツイベント”として運営される事になったことにも関係してきます。
――昇格ということですね。
松井 そうです。参加者や選手には関係ないのですが、日本のローカルイベントから変わったことによって、、そこで例えば、タイトル利用の契約から何からさまざまなことが本社レベルでの基準に引き上げられるわけです。今回やってみなければわからないことも多くて、当初は5月ぐらいから毎月タイトルを発表していこうと考えていたのですが、時間も結構取られてしまいました。
――そういえば今年はアンケート制ではなかったんですよね。
松井 そういった中で、今年は3タイトルほど「これは決まりだろう」というものがありました。ひとつは『ウルトラストリートファイターIV』を絶対に入れたかったんです。次は『グランツーリスモ6』。そして『ぷよぷよテトリス』です。『ぷよぷよテトリス』は、プロデューサーの細山田さん(細山田水紀氏)がRed Bull 5Gが開発のきっかけだったという話をCEDECでされていて、まぁそんな話を聞かされて外すわけにはいかないし、ましてストーリーとして絶対に面白い流れになるのは間違いないということで、やりましょうと。
その一方でFPSやスポーツジャンルをどうするかという話も出て。(候補になり得るジャンルとしては)RTSやMobaなどもあるわけだし、どうしようかと長い間考えていました。そこで出てきたひとつの答えが、「広げよう」と。ゲーミングシーンを深く掘り下げていくという方向とは別に、「横に広げていく」、「いろんな人に体験してもらう」というのも必要だなぁと。その延長線上で今回のタイトル選定に繋がってきています。
そのゲームを知らない5分の4の人に、どう楽しんでもらうか
――スポーツイベントに昇格し、世界的に注目されたということもあるのかもしれませんが、3年目のテーマは幅を広げていくことだと。
松井 はい。でも「スポーツイベントになったから世界的なタイトルを選ぼう」とか、そういうことではないんです。あくまで大事なのは、日本のゲーミングシーンにどうやって翼をさずけるか、それをどうやって面白くするか、じゃあそれを今から日本に種を撒いて僕らが大会を主催することに意義はあるのかといったことで。
――前から「すでにシーンが確立されているタイトルやコミュニティにただ乗っかる」んじゃなくて、「コミュニティに翼をさずける」というのを重視されていますね。でもFPSのように、これまでやってきたジャンルを外すというのは結構思い切った決断だったんじゃないですか?
松井 結果論になりますが、今年FPSで、競技的なコミュニティが成立していて、できれば家庭用があって観戦モードもあるようなタイトルがなかったんですよ。待ち続けてはいたんですけど、ちょっと合うものがなかった。そこで盛り上がりのほとんどはPC版なのに家庭用版を選ぶといったこともちょっと違いますし、かといってそこだけPCを用意するというのもそう簡単にはいかない。メンテナンスが完全に日本が関与できない形だったりするものもあって。
――東西予選や決勝で「緊急メンテ入っちゃったんでまた来週!」というわけにも行きませんからね。
松井 そういったケースは、実は2012年の西代表決定戦でありました。あれはいま思い出すだけでも冷や汗が吹き出ますね……。話を戻すと、例えば去年『Halo 4』をやったんですけど、観戦モードがなかったので、事前準備の段階から「ゲームの魅力がわかりにくい」という声が多かったんです。そこでRed Bull Gaming Uという企画を通じて、いろいろなゲームコミュニティにHaloの魅力を知ってもらって、FINALSに備えることができた。
というのは、5ジャンルで5つのゲームの大会なので、大雑把に言えば目の前のゲームを知っている人は会場の5分の1以下。だから、残り5分の4の人たちにそのゲームをどうわかりやすく伝えるかということを考えたんです。Haloにどれだけの歴史があってどんな戦略があるかというのは1試合だけでは伝えきれないので、単に「Haloの凄さを見せる」というよりも、「いかにファイナリストたちはすごいか」というのをわかって貰えれば勝ちだと考えていました。
Red Bull Gaming Uで出場した学生の人と、地区予選を勝ち抜いてきた人の『Halo』の動きは全然違うじゃないですか。エイミング(照準を合わせる)速度だったり、連携のスピードだったり。それを見せることによって、少しでもスゴさが伝わればいいなと。そうして去年はああいうやり方を選んだんですが、今年はあそこまでの仕込みをするのは難しいし、去年と同じことをやってもしょうがないなと。
「誰でも参加でき、すぐに何が起こってるかわかる」強さ
――5本のゲームのトータルで盛り上がれる大会じゃなきゃいけないと。「俺このゲームわかんねぇからいいや」となるなら、そのゲームなりジャンル単独での大会で間に合ってるわけで、普通の大会にはない難しさですよね。
松井 そうなんです。それですごい悩んだんですけど、先の「広げる」というキーワードを考えついた時に、「Red Bull 5Gに出たいんだけど、ハードル高いんだよね」という声がちらほらあったのを思い出したんですよ。
レッドブルが主催するイベントの中には、神社の参道を自転車で降りるイベントとか、バスケットボールの1on1王者を決める大会などがあるんですけど、実はこれらは誰でも参加できるイベントなんです。
じゃあゲームのイベントでそういったことが可能か? 例えば『グランツーリスモ』でハンドルコントローラーを揃えたりするのはちょっと難しい。格闘ゲームはコントローラーのプレイヤーもいますけど、アーケードスティックを用意して、何十キャラクターの動きを覚えてというのは若干ハードルが高い。そのエクストリームさをちょっと緩和できるものはないか、と。
それで、去年、僕の会社の忘年会で『バイキングぽいぽい!!』を買ってみんなで遊んだらとても楽しかったことを思い出して、ソニーさんに相談に行ったんです。担当の方も驚いていたんですけど、ダウンロード販売していて、価格も安くて、PS3でもPS Vitaでも遊べるという敷居の低さは結構アリだなぁと。それに、タッグ戦だとカップルや親子で、見てすぐに理解して遊んでくれるんですね。誰でも何が起きているかわかるというのはいいなと。
それで開発のCleaver Beansに「採用したいのですがいかがですか、それと、もしよろしければ大会用のステージなどを作って頂くことは可能でしょうか?」と問い合わせてもらったら、その返事がいきなり「作ってみたんですけどこれでどうですか」という形で返ってきちゃって。もう、これはいけるだろう、と。
――インディースタジオならではのスピードですよね。会議で承認取るより、「いい話じゃん」の次が「作ってみた」で話が早い(笑)。
松井 そうですね。インディースタジオのタイトルが大会採用されるというのは、日本ではまだなかなかないと思うので、それも面白いなと。これ(『バイキングぽいぽい!!』の採用)が今年のRed Bull 5Gをある意味象徴していると思います。
それで発表してみたら、去年のFPSジャンルの覇者のVEXATION選手とTEROTERO選手や、2012年、2013年のSPORTSジャンルのチャンピオン2人がチームを組んでエントリーしてきたり、ファイティング部門で負けてしまった人たちが『バイキングぽいぽい!!』にまわってきていたり、そういうシーンはすごくいいなぁと。「それでもRed Bull 5Gに出たい」という人たちに挑戦する場を与えられたのはすごく良かったですし、発端は発表が遅れて他のジャンルの予選が終わってしまったからなんですけど、それでも結果オーライかなって。
もちろん進行はキツいですけど、Playstation Plusの無料タイトルにも選んで頂くことができて、これをきっかけに全然知らなかった人にもこのゲームの魅力を届けることができて、遊んでもらえる。パブリッシャーにとっても、デベロッパーにとっても、プレイヤーにとってもいい結果を出すことができたんじゃないかと思っています。
日本のゲーミングシーンに翼をさずけられるか?
――Red Bull 5Gの意義というか独自性がまたはっきりしてきたような気がします。EVOのような「世界で何百万人もプレイヤーがいる中から世界最強を決める」という大会とはまた違うじゃないですか。
松井 そうですね。EVOを体験したかったらラスベガスに行けばいいと思うんです。あのEVOならではの空気感、盛り上がり、世界中のゲーマーが集まるごった煮感、あれを見たければEVOに行けばいい。
独自性と言ってしまうと「ガラパゴス」とか「世界に取り残される」とか言われがちですけど……「レッドブルという会社が日本でこういう大会をやる理由はなんだろう」って考えた時に、Red Bull 5Gには何となく僕が解釈している哲学のようなものがあって、それが「日本のゲーミングシーンに翼をさずける」というキャッチコピーにもなっているんです。
だから僕が考えているのは常に「日本のゲーミングシーンに翼をさずけられるか」。悩んだ時はそこに立ち返って考えています。場合によってシーンが何を指すか、プレイヤーに翼をさずけるのか、デベロッパーに翼をさずけるのか、パブリッシャーなのか、いろいろとあると思いますし、できれば全員にさずけたいんですけど。
――去年は「コミュニティに」という感じが強かったですね。
松井 はい、去年はすごいコミュニティに寄り添った形を目指しました。それで今年は挑戦として、コミュニティが存在していないゲームに対してのアプローチもしてみようと。例えば『みんなのGOLF』では、今回9000人以上が参加してくれました。それだけの熱量があるタイトルなんですが、オフラインでの大会はここ数年ずっとやっていなかったそうなんですね。そこで普段の「ゲーマー」とは違う層の方が決勝に進出してきたら面白いと感じましたし、この大会がコミュニティにどう影響を与えるのか。それを見てみたかったんです。
『バイキングぽいぽい!!』も、日本のプレイヤーコミュニティというのはほとんど存在していない。発表当時も「なんだこれ」という声が大きかったぐらいで。そこで他のジャンルのコミュニティが動き始めたりもした。そうやってコミュニティを引っ掻き回しながらどう作るかというのも今年やろうとしていたことで、それって多分「翼をさずける」ということになるのかなぁと。
これは僕の解釈ですけど。「翼をさずける」というのは、物をあげるとか、お金をあげるとか、そういうことじゃないんじゃないかと考えているんです。「面白いじゃん」とか「いいじゃん」とか、楽しい気持ちになってくれたらいいなと思います。
――さっきもちょっと出てきましたけど、挑戦的なゲーム大会であることはどれぐらい重要視していますか?
松井 難しいですね。例えば物凄い人気があって、視聴者何万人見込めますみたいなタイトルがあって、そこと「じゃあ一緒にやりましょう」となる可能性がないわけではないんです。そこに何かのストーリーがあれば、やることも当然ある。ただ限られたリソースを割くにあたって、なるべくハードな方、なるべく誰もやったことがなくて想像がつかない方を選んでみようという姿勢は、僕にもレッドブルの人にもありますね。結構リスキーなことをやっていると思います。いい意味で期待を裏切っていこうかなって。
もし、Red Bull 5Gのプロジェクトアドバイザーが僕じゃなくなったとして、その人が5ジャンル5ゲームを選んだらどういうチョイスになるのかって考えることもあるんです。
――今年、演出としての挑戦はあるんですか?
松井 第1回目は渋谷のクラブ、去年が芝浦のライブ会場で、今年が秋葉原だというので、「あれ、六本木とかそういうんじゃないの?」と思った人も多いようなんですけども、スポーツイベントに昇格したおかげで、レッドブルがやっていることに興味がある世界中の人に、僕らのやっていることが届くんですね。なのであえて秋葉原という選択をしました。
――国内のオンラインゲームの大会などではお馴染みの場所ですけど、確かに海外に対してイメージでも勝負できる場所ですよね。電気街のすぐそばだし。
松井 会場のイメージ写真は見ました? あそこからいろんな情報を読み取れるんですけど、まだ気付いている人はそんなにいない感じですね。「来ないとわからない」ようなビジュアルインパクトはかなり重視しています。また、真ん中にDJブースがドカンと来るので、その辺も「おや?」と想像してもらえると嬉しいですね。
――ビジュアル面でもサウンド面でも、そこに来ないとわからないものがあるということですね。
松井 そうですね。他にもまだ企んでいることはあって、(画期的だけど絶対に難しい進行方法)……という形でやろうと思っているんですよ。
――それは面白いですけど、普通できないですよ! 去年のスムーズな装置転換や進行にも驚きましたけど、それを実現するには更に事前の準備や熟練度が上がってないと難しいですよね。まぁそこまで上げていく勝算があるからやるということでしょうけども。
松井 最初にこのやり方で行きたい、と言った時、いろんなゲームイベントの現場を経験してきた手練れのスタッフですら、固まっていましたけども(笑)。それと今年は映像のクルーも変わって、去年のインタビューの記事にも貼っていただいたRed Bull King of the Rock(レッドブルが主催するストリートバスケの1on1大会)のクルーがドキュメンタリーを撮ってくださっています。こちらの映像は、Red Bull 5G公式サイトにアップされていきますので、試合前に、ぜひ見ていただきたいと思います。
各タイトルの見所
――では恒例の各タイトルについてお伺いするとしましょう。(※編注:言及している順に大会が進行するわけではない)
松井 まずはRACINGジャンルの『グランツーリスモ6』。ど定番で、結構な人がやったことがあるレースゲームだと思いますけど、あれをコンマ以下、昨年の実際の1本目のタイム差なら0.008秒のレベルのレースを見たことがある人って、そういない。日本を代表するレースゲームですし、これは外すわけにはいかないだろうと思います。今年のFINALSでは、レッドブルの名を冠したF1サーキット、レッドブル・リンクでのレースを実施する予定です。
――次はFIGHTINGジャンルに行きましょうか。ついに、という感じで。
松井 初年度が『ストリートファイター×鉄拳』で、2年目が『鉄拳タッグトーナメント2』と来て、3年目は『ウルトラストリートファイターIV』でしょう。 家庭用版ではトーナメントモードが実装されたので、それを使って8人トーナメントのシングルエリミネーションでオンライン予選をやったのですが、これに関してはクレームもありました。というのは、シングルエリミネーションで1試合だと、めちゃくちゃ事故(本来の力量差とは異なる偶然の決着)が起きます。そのため、ルール発表の時点でエントリーを回避されたプロ選手などもいます。これについては、ダブルエリミネーションとか、2試合先取とかでやれればといいなぁとも思ったんですけども、総合的に考えて今回はこれで行こうという判断です。オフライン予選以降はベストオブスリー(2試合先取)の形でやって、FINALSはベストオブファイブ(3試合先取)でやろうと思っています。予選でもパッドのプレイヤーが活躍していたり、アーケードとはまた違う戦いが見られたら面白いかな、と考えています。
――では次はPUZZLEジャンル。『ぷよぷよテトリス』です。
松井 これは先程もお話しましたけども、Red Bull 5Gがきっかけで作られたそうなので(外すわけにはいかない)。ただ、ルールはすごく悩みました。いろいろ検証もして、まずスワップモードは、(ぷよぷよとテトリス、どちらを先にプレイするか決める)ルーレットが回った瞬間に決まるゲームになりかねない。そこで『ぷよぷよ』一本、あるいは『テトリス』一本でやってきた人に、もう一本も対応できるようにしろというのは……、ちょっと違うかなと。じゃあミックス(1画面内に、ぷよぷよとテトリスが混ざったオリジナルモード)かと言うと、何が起こっているのか把握するのが難しい……かといって、ぷよぷよテトリスなのに「ぷよぷよだけでやる」というのもおかしいですよね。
そこでどう両立させるかということでたどり着いたのが現在のルールです。東と西で『ぷよぷよ』と『テトリス』それぞれのトーナメントをやって、ふたりの代表が手を取り合ってチーム戦で戦うというのをやろうと。これも結構クレームはありました。このあたりは難しいですね。
試合はちょっと想像がつかない部分も多いのですが、こうなったら面白いなと想定している展開があって……まずテトリス側プレイヤーが猛烈なスピードで消し合います。それでお互いが相殺しあっている間に、ぷよぷよ側の強烈な連鎖が組み上がっていく。その連鎖に火がついた時は面白くなるんじゃないかと考えています。実際始まってみないとわからなくて、全然噛み合わずにあっという間に終わるかもしれませんが……。
――これは実況の人も大変ですよね。両方わかっている人じゃないと……。
松井 ただあれはもう、すべてを解説するのは無理ですね。1ラウンド目はみんなポカーンとすると思います。ただ、ほとんどの人がどちらのゲームもやったことがあると思うので、2ラウンド目に何が起こっているか把握できた時に、すごいことが起こっているのがわかって「うぉー」っと盛り上がったらいいんじゃないかなと。
――そしてSPORTSジャンルは『みんなのGOLF6』。これもまた「そこがあったか!」と意外でした。
松井 驚いたという声をいろいろ聞きましたけども、僕は2006年に、World Cyber Games日本予選で『スカッとゴルフ パンヤ』の大会をやらせて頂いたことがあるんです。今回スポーツのタイトルを「サッカー、野球、アメフト……」と考えている時に、「ゴルフゲームってすげぇ」と感じたことを思い出したんですね。それで調べてみたらやっぱり、とんでもないプレイをしている人たちがいたので、「これは見てみたい」と。
――eスポーツ的な大会シーンとしては見えていなくても、プレイヤー規模は大きいんですよね。
松井 そうですね。毎週オンラインで行われている公式大会もすごく盛り上がっていますし。スポーツがいいのは、ベースになっているスポーツを知っていればわかりやすいんですよね。
――そしてFREEジャンルの『バイキングぽいぽい!!』。これはもう、今年を象徴する感じですね。
松井 先ほど語り尽くした感もありますけど、誰でも参加できて、Red Bull 5Gオリジナルステージやキャラクターで体験できます。
僕は、現状のハードコアなeスポーツシーンをいきなり日本で幅広く伝えていくのは難しい部分もあると思っていて、例えば『League of Legends』をずっとウォッチしているんですが、Red Bull 5Gのステージで、1試合まるまるやって面白さを伝えられるのか? それを伝えないまま「ただやる」だけだったら、そのゲームのプレイヤーにとっても不幸だし、会場にいるお客さんにとっても不幸だし、それは嫌だなと。もちろん、まだ1試合で魅力を伝える方法を見つけられていない僕らの努力不足もあると思うんですけど。
そういった中で、『バイキングぽいぽい!!』は、とにかく見てわかる。かつチーム戦の良さもある。プレイヤー同士ですごくシンプルにハイタッチが出るゲームで、そういうのは「いいな」と思うんです。
――ぱっと見、事故が起きそうなゲームですが、それはどうでしょう。
松井 それもあると思います。ゲームが始まって、投げたものが跳ね返って当たっていきなりやられることもあるんですね。でも1対2になってから逆転できないかというと、そうでもない。実力とランダム性のバランスは、エンターテインメント性として今回は許容されるレベルだと思います。3本先取の試合を3試合やるので、一発アウトでおしまいというわけでもないですしね。ちなみに、どのマップが選ばれるかは仕様上ランダムで、本当に何が選ばれるかわからないのですが、全マップにRed Bull 5Gのロゴが入っていたので、その開発側の本気ぶりに驚きましたね(笑)。
――では最後にFINALSへ向けて抱負を。
松井 今年のRed Bull 5Gのコンセプトで言うと、広げることと、掘り下げることを両方やっていく。かつ、もっと感情をゆさぶるようなシーンが作れたらいいなと考えています。
3年目になって選手のストーリーが少しずつ生まれてきていて、例えば一年目と二年目に『FIFA』で出てくれたJengaman選手とMikey選手がTGSで新旧チャンピオン対決をしていたり、くまちょむ選手が『ぷよぷよ』について日経新聞に掲載されたり、VEXATION選手が、ゲーマー向けアイウェアのアンバサダーになったりとか……それ自体は僕らがやったことではないんですけど……彼らがどんどん次のステップを上がっていくのを見られるのはすごいうれしいです。
僕はRed Bull 5Gを「ゲームって良いな」と思える場所にすることを目指しています。そのために、これからもできること、やれることを一つずつ積み重ねていこうと思っています。