『Sa・Ga2 秘宝伝説』の箱が大きかった理由も明らかに

 スクウェア・エニックスは、2014年12月14日に『サガ』シリーズが生誕25周年を迎えたことを記念するニコニコ生放送番組を配信した。撮影現場での放送の模様をリポートしよう。

[2014年12月15日10時15分修正] 記事内の誤表記を修正いたしました。読者ならびに関係者の方々にご迷惑をおかけしたことを、謹んでお詫び申し上げます。

 番組には、『サガ』シリーズの生みの親である河津秋敏氏、モバイルゲーム『エンペラーズ サガ』プロデューサーの市川雅統氏、シリーズのキャラクターデザインを手掛ける小林智美氏、そして数々の名楽曲を生み出した伊藤賢治氏と、豪華ゲストが勢揃いした。MCを務めるのは、ゲーム実況者でありネットタレントのドグマ風見、週刊ファミ通編集部のロマンシング★嵯峨だ。

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▲左から、ドグマ風見、ロマンシング★嵯峨、河津秋敏氏、市川雅統氏、小林智美氏。

 まずは伊藤賢治氏によるピアノ演奏がスタート、演奏されたのは「オープニングタイトル」と「クローディアのテーマ」。和やかな雰囲気で放送はスタートした。

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▲伊藤賢治氏。演奏された“クローディアのテーマ”はしっとりとしたバラード曲だ。
▲花束が河津氏へプレゼントされた。25周年にちなんで、花の数は25輪となっている

■25周年の振り返り

 はじめのコーナーでは、『サガ』シリーズが発売された年表に沿って、それぞれの作品についてトークが行われた。もちろん最初のお題は、記念すべき第1作、ゲームボーイ用ソフトの『魔界塔士 Sa・Ga』だ。

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◆『魔界塔士Sa・Ga
 『魔界塔士Sa・Ga』はゲームボーイ初のRPGとなっている。ドグマ風見が本作について「“チェーンソー”でラスボスの“かみ”がバラバラになるんですよね」と数多くのプレイヤーが衝撃を受けた出来事を口にすると、河津氏は「いろいろなところでネタになりましたよね」と笑いながら答えていた。

 河津氏によると、『魔界塔士Sa・Ga』の当初のコンセプトは、悪と善のふたりの主人公がいて、塔を登っていくルートと地下を潜っていくというルートがあり、神を倒しにいくか悪魔を倒しにいくかを選択するというものだったそうだ。

◆『Sa・Ga2 秘宝伝説
 河津氏によると、『サガ』シリーズに”肉を食べて変身する”という斬新な要素を入れたのは「同じことをやってもしょうがないので、めちゃくちゃやってやろう」という気概の現れなのだとか。また、河津氏は本作の箱が通常のゲームボーイ用ソフトに比べて大きかったのは、「売り場で目立つからなどの説がありますが、確かこれは、マニュアルが規定の箱の大きさだと入らなかったから、そのぶん箱を大きくしたのだったと思います」と語った。

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▲ショップに置いてあった『Sa・Ga2 秘宝伝説』のチラシ。“デ・タ。”というカタカナのキャッチコピーが印象的だったようだ。
▲伊藤氏からは当時の攻略本が紹介された。8センチCDのサウンドトラックが付属していたとのこと。

 伊藤氏は当時の宣伝について、報道番組『ズームイン!!朝!』で、ゲリラ的に宣伝をしたことも振り返った。なんと番組の後ろに勝手に映り、『Sa・Ga2 秘宝伝説』のパネルを掲げたそうだ。このエピソードを聞いて出演者一同、笑いながら「いい時代でしたね」としみじみと思っていた様子。

◆『Sa・Ga3 時空の覇者 [完結編]
 “くいだおれ”などの“コテコテの関西のノリ”が入っていたことなどが語られた。

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▲『Sa・Ga3 時空の覇者 [完結編]』の当時のチラシ。ドグマ風見からは「『Sa・Ga2 秘宝伝説』から、パッケージの大きさが戻ってしまいましたよね」の声も。
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▲ドグマ風見は小林氏の画集を持参。

◆『ロマンシング サ・ガ
 小林氏は当時を振り返り、「1枚絵で多くのキャラクターを描くというのは初めてで、違った色合いの服装がたくさんあるのに、どうやってまとめればいいかがわからなくて、とても苦労した」と語った。

 本作で音楽を手がけた伊藤氏は、本作がスーパーファミコンソフトとしてリリースされ、ハードのスペックがあがったために、表現のしかたが広がったことをうれしく思っていたようだ。しかし、伊藤氏は当時のインタビューで自身の仕事を「60、70点の出来」と答えていたそうだ。その理由は「偉大な先輩と比べるとまだまだ」とのこと。ちなみに、伊藤氏が本作でいちばん好きな曲は、放送の冒頭でも披露した“クローディア”のテーマらしい。
※なお、伊藤氏が冒頭で披露した「クローディアのテーマ」は、『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』版。

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▲小林氏は、1枚絵については黄色を基調とすることで何とかまとめることができたそうだ。なお、小林氏はイベントの昨日(12月13日)に誕生日だったようで、視聴者からは“おめでとう”のコメントが多数寄せられていた。
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▲当時の伊藤氏へのインタビューが載った“大辞典”。伊藤氏はインタビューを受けた当時はまだ20代前半だった。

◆『ロマンシング サ・ガ2
 河津氏は「2年で制作することになったが、多くのスタッフが『ファイナルファンタジーV』に取りかかることになり、最初はプログラマーを含めて3人でやらなければいけななかった」と当時の苦労を振り返った。市川氏は「1000年かけてボスを倒したり、かつての英雄を倒さないといけないというのが小学生には難しかった」とプレイヤーとしての思い出を語った。

◆『ロマンシング サ・ガ3
 河津氏によると、『サガ』シリーズはシステムやコンセプトが毎回変わるため、「つぎをどういうゲームにするか」というゲームコンセプトに苦労をしていたようだ。『ロマンシング サ・ガ3』ではいろいろな新たなシステムを取り入れており、視聴者のコメントでは“トレード”のイベントがとくに人気だった様子。伊藤氏は本作について「曲数がドカーンと増えたので、初めて倒れました」と苦労を語った。伊藤氏の本作でのお気に入りの楽曲は、ファンから厚い支持を集める“四魔貴族バトル”であり、「サガ フロンティアに続く架け橋になる曲」とのことだ。

◆『サガ フロンティア
 河津氏は「スクウェアはプレイステーションへの参入が出遅れていたから大変だった」と振り返った。

◆『アンリミテッド:サガ
 河津氏は「このときはスクウェア的に“2000年問題”があったんですよ」と言葉を濁しながら当時を振り返った。ドグマ風見は、視聴者に「ストレートに問題の内容を書くんじゃない!」と苦笑いしつつ注意した。

◆『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』
 河津氏によると、本作は「原点にかえってやりなおした作品」だそうだ。伊藤氏は本作の楽曲について「『ロマンシング サ・ガ』の楽曲のリニューアルに近い仕事で、フルオーケストラで収録しました。東京ゲームショウで初公開したとき、涙流しながら観ていたファンの方がたくさんいて、僕自身が泣きました」と、当時の感動を思いだしていたようだ。

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 『サガ フロンティア2』、リメイク作『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』と『サガ3時空の覇者 Shadow or Light』を含めたここまでの歴史の振り返りを終え、河津氏は「ペース的にはもう少し発売しないといけませんね」と、市川氏は「偉大な歴史に関われているのが幸せ」と、小林氏は「『サガ』シリーズはそれまで描いたことがなかったタイプの絵が多く、大変だったけど楽しかった」と語った。

 また、伊藤氏は『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』で、四天王とのバトル曲をロック調のアレンジにしようしたときに、イントロについて河津氏から「華やかにするのはやめて、シンプルにしてほしい」と要望され、ふだんはあまり意見をしない河津氏がそう言ってくれたことがうれしかったそうだ。

※一部表記に誤りがありましたので、訂正させていただきました(11月15日午前11時)