豪華なメンツが語る開発裏話

 アメリカ・ラスベガスで現地時間12月6日、7日に開催されているPlayStation Experience。本イベントは、試遊体験ができるブースに加え、開発者のパネルディスカッションやセッションも用意され、開発の裏話などが聞けることもゲームファンにとっては、うれしいところ。本稿では、Inside the Dev Studioと題された、パネルの模様をお届けしよう。このパネルは、なんと言っても参加者が豪華だ。Naughty DogのNeil Druckmann氏(代表作:『The Last of Us(ラスト・オブ・アス)』、『アンチャーテッド』シリーズ) / 、Sony Santa Monica StudioのCory Barlog氏(代表作:『ゴッド・オブ・ウォー』シリーズ)、Guerilla GamesのJan-Bart von Beek氏(代表作:『キルゾーン』シリーズ)の、Media MoleculeのLuci Black氏(代表作:『リトルビッグプラネット』シリーズ)、そしてQ GamesのDylan Cuthbert氏(代表作:『PixelJunk』シリーズ)。

Naughty DogやSanta Monica Studioなど、SCEを支える開発スタジオのキーマンが多数登場したステージの模様を紹介【PSX 2014】_01
▲パネル(左から)Neil Druckmann / Naughty Dog、Cory Barlog / Sony Santa Monica Studio、Jan-Bart von Beek / Guerilla Games、Luci Black / Media Molecule、Dylan Cuthbert / Q Games(右端はモデレーター)。

 パネル冒頭は、各人が関わったゲームの初期段階の映像紹介を紹介。Neil氏は、『The Last of Us』のプロトタイプ段階のワンシーンを公開し、「『The Last of Us』は映画『ノーカントリー』を見て刺激を受け、この映画のフィーリングをとらえたアニメーションを作りました。そこから、すべての戦いをボス戦のように緊張感ある切羽詰まったものにしたいと思ったり、ある種の残忍性がひとつのゴールになった」と語った。

 『God of War』ではクレイトスの初期のスケッチが公開。犬を連れていたり、子供を背負っていたり、刺青が青だったこともあったようだ。

Naughty DogやSanta Monica Studioなど、SCEを支える開発スタジオのキーマンが多数登場したステージの模様を紹介【PSX 2014】_02

 各パネリストが代表作を簡単に振り返ったあとは、Q&Aセッションを多く取りたい、という意向もあってか、すぐにユーザーとの質疑応答に。以下はそのおもなやり取りだ。

Q:新しいゲームのアイディアについてソニー・コンピュータエンタテインメントはどの程度影響力を持つのか?

A:新しいIPは自由にプレゼン出来る環境になっている(Neil Druckmann / Naughty Dog)

Q:自分たちのゲームに影響を与えたものは?

A:
ディストピア的な世界を表現したもの(Jan-Bart von Beek / Guerilla Games)
創造性。チーム全員が貢献したと思う(Luci Black / Media Molecule)
8ビットでPixel Junkが作れたこと。『トゥモロウ チルドレン』は『ザ・プリズナー』という60年代冷戦時代を扱った英国のテレビ番組に影響された(Dylan Cuthbert / Q Games)

Q:作ってきたゲームのジャンルが様々だがその理由は?

A:大きいタイトルは何年もかかってしまう。同じものを作り続けなくてはいけないサイクルに巻き込まれたくはない。常に新しいものにチャレンジしたいから(Dylan Cuthbert / Q Games)

Q:ゲーム業界に入りたいと思っている人にアドバイスは?

A: 入らないほうがいい(笑)(Cory Barlog / Sony Santa Monica Studio)

Q:やりたくても出来ないことがあると思うが、それは何が理由で?

A:
時間と予算。でも出来る限りがんばるようにしている(Cory Barlog / Sony Santa Monica Studio)

英国では多くの投資をしてゲームを作っても何も出来ないことがあった。任天堂で学んだのは、ゲームから引き算をすることで形作って行くというやりかた。厳しい決断を迫られることになるが、これは必要だと思った(Dylan Cuthbert / Q Games)

持っていてもゲームが出荷されなければ意味がない。ゲームに合わないものは削除する(Jan-Bart von Beek / Guerilla Games)

Q:『Last of Us』の映画を作るうえでのチャレンジは?

まず、ゲームプレイを考えなくていいのは楽だ(笑)。だが、映画ではプロデューサーも多く、キャストも多いのでいろいろな意見が出る。それをまとめるのはたいへんだ。また、台詞ひとつ、センテンスひとつつも精査しなくてはいけない。だが、小説のようにサイド・ストーリーも展開出来るところはいい。(Neil Druckmann / Naughty Dog)

Q:音楽はゲームのどこに貢献すると思うか?

Pixel Junkにはストーリーがなかったのだが、音楽担当者から音源をもらったら、それが1950年代のサイエンス・フィクション、B級映画的なものだったので、それに合わせたゲームを作った。大きな影響力を持つと思う(Dylan Cuthbert / Q Games)

音楽は開発途中何度か聞いているがその度に新鮮な驚きがある。最後に大きなサプライズになることも多い(Jan-Bart von Beek / Guerilla Games)

音楽があることでゲームが生き生きする。知らなかった方向へ導いてくれることもある(Cory Barlog / Sony Santa Monica Studio)

Q:いま、技術的な問題で出来ないことはあるか?

自分たちがやっている限り技術的な限界は感じない。それをさらにうまく使うにはどうするかを試行錯誤している(Dylan Cuthbert / Q Games)

お金の問題だけだ(笑)(Cory Barlog / Sony Santa Monica Studio)