とても変で、でも楽しいゲーム。

労働を美徳とするその街には、今日も怪物がやってくる。『トゥモロー チルドレン』αテストはまだ序の口。楽しい「おもちゃ」はまだまだ増える【PSX 2014】_02

 キュー・ゲームスが開発中の『トゥモロー チルドレン』は、不思議なゲームだ。大雑把に解説すると、「一見シングルプレイに見える、実はマルチプレイの、街を怪獣から守ったり、それに備えて資源を集めて施設を増強したり、たまに出土する人形を集めて人間を増やしたり、あるいはそれらを無視して勝手に建築したりするアクションゲーム」。似ているゲームを探すのも難しい。

 このゲームはなんなんだろうか? 世界観はどことなく共産趣味で、見た目は子どもなのに「街のために労働せよ」と言われ続ける。アートスタイルは東欧のストップモーションアニメのような質感で、キャラの顔は歪んでるけどかわいい。街の遠くには奇怪な巨大オブジェが聳え立ってて、今日も同志がホバーバスで向かい、資源発掘のために穴ボコだらけにしている。定期的に怪獣がやってくるので、砲弾の音が耐えない。

労働を美徳とするその街には、今日も怪物がやってくる。『トゥモロー チルドレン』αテストはまだ序の口。楽しい「おもちゃ」はまだまだ増える【PSX 2014】_03

 同志の姿は何かアクションをした、その瞬間にしか見えない。見えないけど、みんな近くで、リンゴを集めたり、ルームランナーで走って発電したり、天空の限界を目指す建造物を建築したり、15パズルを解いて砲弾を作ったり、その砲弾を怪獣に向かってぶっ放したり、死んだ怪物をやっぱり穴ボコだらけにしたり、夜に明かりがない場所でコロッと死んだりしている。

労働を美徳とするその街には、今日も怪物がやってくる。『トゥモロー チルドレン』αテストはまだ序の口。楽しい「おもちゃ」はまだまだ増える【PSX 2014】_04

 同志だから、街の利益になるか、そうじゃなくてもなんか面白いことをしていれば、グッジョブ的なエールをみんな送る。同志だから、面白くもないし利益にもならないことをしてるとブーイングを食らう。その時だけ姿が見え、次の瞬間消える。孤独のようで孤独じゃない、人がいっぱいいるはずだけど息苦しくはない、ほんのりした存在感の他者との緩い連帯感。

 そしてこんな変な所しかないゲームなのに、なぜだかやみつきになる。本日よりラスベガスで開幕したPSプラットフォームのゲームイベント”PlayStation Experience”(PSX)にも、先日行われたクローズドαテスト版と同様のデモが出展されている。

労働を美徳とするその街には、今日も怪物がやってくる。『トゥモロー チルドレン』αテストはまだ序の口。楽しい「おもちゃ」はまだまだ増える【PSX 2014】_01

 開幕前日に行われたメディア向けの体験イベントにいた、キュー・ゲームス代表取締役のディラン・カスバート氏に話を聞いたところ、本作は「自分の入れてみたかったものを全部入れてみた作品」だという。例えば、傘で高いところからゆっくり降りられるのは映画「メリー・ポピンズ」のオマージュ。15パズルも、街の中で(カスバート氏自ら出演の)実写解説ビデオが流れているのも、いつかやってみたかった表現だったんだとか。

 αテストの日本での反応はすこぶる良かったそうで、「何かあるんでしょうね。(ゲームのルールや目的の締め付けが)厳しくないのがいいのかも?」と楽しそうに語っていた。ちなみにαテストの内容は「本当にコアの部分だけ」だそうで、今後はもっと面白い要素をどんどん入れていきたいとのこと。ユニークな使い方ができるツールなども増やしていくそうで、何か要望がある人はどんどん意見を寄せて欲しいとのこと。