『サクラ大戦』&『戦国BASARA』のキーマンに直撃!

 マンガやアニメなどの二次元コンテンツを、舞台演劇やミュージカルで表現する試みは、古くから行われてきた。さらに近年では、マンガやアニメに加え、ゲーム作品を原作に据えた舞台作品も急増中だ。この“次元の壁”を超える試みは、いったいどのような理由から行われているのか。また、舞台化することで、IP(知的財産)にはどんなメリットがもたらされるのだろうか。

 本記事では、二次元コンテンツを原作とした舞台作品の歴史を振り返りながら、ゲームIP舞台化のさきがけである『サクラ大戦』(セガ)、シリーズとして舞台公演を重ねている『戦国BASARA』(カプコン)のキーマンに、舞台化の「なぜ?」を直撃。IPホルダー側から見た舞台化戦略の裏側を探る。

■2014年、ゲーム関連の舞台作品が急増
 とくに今年、ゲームを原作にした舞台化作品が急増中! 『サクラ大戦』などすでにシリーズとして確立した作品も引き続き人気だが、今年に入って『ブレイブルー』、『ファンタシースターオンライン2 』など初めて舞台化される作品も続々と登場している。マーベラスより2月に発売された『幕末Rock』は、1年足らずでゲーム発売、アニメ化、舞台化と、スピーディーにメディアミックスを展開。今後もバラエティー豊かな作品が“舞台化”を果たしそうだ。

“舞台化”の波がゲーム作品にも到来! 二次元コンテンツ舞台化の「なぜ?」を探る_01
▲カプコンの『逆転裁判』が原作の“舞台「逆転裁判 逆転のスポットライト」”は2013年に初演。今年、再演も行われた。

◆過去に舞台化されたおもなゲーム作品(五十音順)
・『逆転裁判
・『金色のコルダ』シリーズ
・『CLOCK ZERO ~終焉の一秒~
・『サクラ大戦』シリーズ
・『シュタインズ・ゲート』シリーズ
・『戦国BASARA』シリーズ
・『ドリームクラブ』シリーズ
・『薄桜鬼 ~新選組奇譚~』シリーズ
・『遙かなる時空の中で』シリーズ
・『ブレイブルー』
・『ペルソナ』シリーズ

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▲東京・天王洲 銀河劇場で上演される超歌劇(ウルトラミュージカル)『幕末Rock』。実力派俳優が多数出演する。

◆2014年上演のおもなゲーム関連舞台作品
・LIVE ACT『ブレイブルー』~コンティニュアムシフト~(3月6日~3月9日)
・『舞台版 天誅』(5月7日~5月11日)
・『ダンガンロンパ THE STAGE ~希望の学園と絶望の高校生~』(10月29日~11月3日)
・『舞台 のぶニャがの野望 弐(にゃん)』(11月19日~11月24日)
・『舞台 遙かなる時空の中で5 12月公演』(12月3日~12月7日)
・舞台『ファンタシースターオンライン2 -ON STAGE-』(12月4日~12月7日)
・舞台『ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ』(12月19日~12月23日)
・超歌劇(ウルトラミュージカル)『幕末Rock』(12月24日~12月29日)

■日本2.5次元ミュージカル協会に聞く! “舞台化”の歴史と急増のワケ

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▲東京・渋谷のアイアシアターが、2015年3月中旬より1年間、“2.5次元ミュージカル”の専用劇場になることが発表。第1弾として、マンガ『NARUTO -ナルト-』原作の舞台作品が上演される予定だ。

 マンガやアニメ、ゲームを原作にした舞台作品の増加と人気の高まりを受けて、今年3月に一般社団法人 日本2.5次元ミュージカル協会が設立された。同協会は、これらの舞台作品を“2.5次元ミュージカル”と定義。実態調査やセミナー実施、海外興業の企画・運営などを通じ、国内外での市場の活性化を支援することを目的とする。同協会には、代表理事を務めるネルケプランニングのほか、ホリプロ、マーベラスなど、関連企業や多種他業種の企業が参加。来年3月からは専用劇場を擁し、“2.5次元”作品をより身近に楽しめる環境を作るという。

 ここでは、同協会調べに基づく“2.5次元”舞台作品の歴史をまとめつつ、人気の理由を訊いた。

◆二次元コンテンツを原作にした代表的な舞台作品の歴史
1974年『ベルサイユのばら
1985年『小公女セーラ
1991年『聖闘士星矢
1993年『美少女戦士セーラームーン
1994年『赤ずきんチャチャ
1997年『サクラ大戦』
1999年『こちら葛飾区亀有公園前派出所
2000年『犬夜叉
2003年『テニスの王子様
(出典:日本2.5次元ミュージカル協会)

“舞台化”の波がゲーム作品にも到来! 二次元コンテンツ舞台化の「なぜ?」を探る_09
“舞台化”の波がゲーム作品にも到来! 二次元コンテンツ舞台化の「なぜ?」を探る_08
▲ミュージカル『テニスの王子様』
▲ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」

◆“舞台化”が支持を集める理由とは?
 マンガやアニメ、そしてゲームに慣れ親しんでいる世代にとって、2.5次元ミュージカルは、海外作品の翻訳公演などよりも、もっと身近な感覚で作品を観ることが可能です。そしてマンガを読む、ゲームをプレイする体験と、舞台を観ることにはじつは共通点があります。それは、舞台が観客の想像力により補完されることが多いからで、この感覚はマンガを読んだり、ゲームをプレイしているときと非常に近いと思います。最近では、原作を知らない人が舞台を観て原作に興味を示すということもあり、業界としても大きく成長する要因となっています。ライブエンターテイメントである舞台は、Web全盛の現在、そして今後も確固たる意味を持ち、さらに広がっていくと考えています。
 (日本2.5次元ミュージカル協会 広報)