2015年へ向けて思うところは……

 これからコラムを書かせていただきます“御徒町デブ―チョ”です! 海外から見たゲーム市場やゲーム業界のネタなどいろいろと語っていきたいと思っています。初めての記事なので緊張していますが、ゆる~い感じで書きつつ、いろんなことに突っ込んでいきたいと思っているのでよろしくです!

 ちょっと早いけど、初回は2014年の業界のまとめ的なことを雑多に語ってみたいと。6月の北米E3に始まり8月はドイツのgamescom、そして、9月の東京ゲームショウが終わり、業界もひとしりきり“やることはやった感”がありますね。2014年も残すところ2ヵ月弱。2015年へ向けて思うところをまとめてみたよ。

<ハードの話:新世代機は最速スピードで売れている!>

 2014年はホントにハードが出回った年ですね。E3、gamescomなどの展示会も新しいハードに向けたソフトラインアップをフォーカスしていました。ハイブリッド率は前のプラットフォームよりは低いかも? ハイブリッドとは“現世代(新しいハード)”と“旧世代”双方に向けてソフトを供給すること。新しいハードが出回っていない場合にリスクヘッジに行うメーカーの手法。具体的にはPS4/Xbox One 向けとはいえPS3/Xbox 360にも出しますということ。

 ひと昔前はコンパチ(コンパチブル:新ハードが旧ハードとの互換を持っていること:たとえばPS2でPS1のソフトが動くなど)が当たり前だったのだけど、最近では新しいハードに下位互換は持たないのがトレンドなので、新しく発売されるソフトを遊ぶには新しいハードを買わないといけない、つまり新ハード移行が迅速に行われるようになったわけはココにあるんです。でも、ソフト屋はリスクヘッジのため新旧ハードに向けて別々に作らないといけなくなったという、つらいところもありますがね。

 2012年末のWii U、2013年末のPS4(国内は2014年2月)、Xbox One(国内は2014年9月)の発売が行われ、いまとなってはようやく“次世代”と言われたハード群が“現世代”に落ち着いた感じだけど、PS4やXbox Oneは世界規模で見ると、いままでのハードの出回りでは一番の速さとのこと、国内ではそのフィーリングが伝わってこないのが残念ですが、業界としてはうれしいニュースだよね。

 これはローンチ時に大型ラインアップが揃っていたことが起因していると思われるわけです。過去の失敗をみんな学習しているんですね。また、それらを準備していたソフトメーカーはすでに発売から1年、新しいハードに向けて開発自体こ慣れてきた感じさえする。

 残念ながらこの中に日本メーカーの姿は見えないです。数十億円から数百億円と言われる開発費を捻出するには相当の覚悟がいるため、様子を見ていた。様子を見ているあいだにさらに水をあけられたと言われないうちにタイトルラインアップを考えていただきたいなと。

 PS4とXbox Oneが北米では競り合っていますけど、9月末時点で100万台の差(PS4:約450万台/Xbox One:約350万台)がついたようです。日本でのXbox Oneの惨敗っぷりは言わずもがなですが、『Forza Motorsport』シリーズの凄さやKinectのさらなる性能のよさなどを経験できない日本人はかわいそうだとの声も聴かれるんです。これでいいですか? マイクロソフトさん。

 Wii Uも苦戦を強いられています。1年先行して発売したにも関わらず、300万台の壁を超えられていません。その中で『マリオカート8』のソフトウェア装着率(ハード1台当たりのソフト購入率)は50%と、ふたりにひとりは『マリオカート8』を買っているんです。ハードを牽引するソフトとはこういうソフトのことを言うのですが、前作Wii版を北米だけで1200万本を売り上げたタイトルなので、ひと桁違うんですよね。

 任天堂がすばらしいところは、あれだけネットワークが苦手とか、DLC(ダウンロードコンテンツ)が嫌いなどと言われていたのに、“追加コンテンツ”という名前できちんと始めているところです。『マリオカート8』では追加キャラクター&コース(第一弾:『ゼルダの伝説』コラボレーションパック(2014年年末)、第二弾:『どうぶつの森』コラボレーションパック(2015年春))を発表したね。ベンツのマーケティングコラボはタダでしたが、これはまた別の話。

 よく聴く話で、任天堂は焦ってネット課金を始めた……んんん。前から任天堂が言っていることは、いまもブレていない。実際に本編コンテンツ(ROMだろうがDLだろうが)は有料で買ってもらっているし、ネット課金と言ってもフリー・トゥ・プレイ(F2P)ではないし、追加コンテンツも有料なのだ。

 話がずれましたが、スマホやタブレットの影響なのかどうなのかはともかく、世界的にハンドヘルドゲーム機の低迷が見られますね。とくにPS Vitaは海外でのインストールベースが伸び悩んでいます(北米では200万台未満)。PSPは台数こそ稼ぎました(全世界で8000万台超)が、こちらもソフト販売で言うとあまり功を奏していませんでした。

 ニンテンドーDSに続き、そこそこの台数を出荷しているニンテンドー3DS(NDS:1億5000万台/3DS:4500万台 ※いずれも全世界)を見ると、そのハードならではのタイトルが大事ってこと。大型タイトルの派生やチャレンジタイトルなどはスマホでも遊べる時代になってしまったため、さらにハードルが上がってしまっているのも事実ですね。マルチプラットフォームタイトルにPS Vitaが含まれなくなってきているのも、コンバージョンにかける開発費をリクープする売上が見込めないからというパブリッシャーも多いですよ。日本は結構好調ですがね。