“どこでもドア”もバーチャルリアリティで再現!

 経済産業省とデジタルコンテンツ協会は、“デジタルコンテンツ EXPO 2014”を、2014年10月23日から26日までの4日間、東京都江東区の日本科学未来館で開催している。本イベントは近未来のデジタルコンテンツ技術をテーマとしており、最新鋭の映像やCGだけでなく、身体を用いたインターフェースなど、60以上の企画展示から最先端の技術を体験することができる。

“デジタルコンテンツ EXPO 2014”ではSFの世界が現実のものに! 最先端の技術とアイデアが結集した展示会をリポート【動画あり】_11

 本イベントの第一印象を言うのであれば、“SFの世界が現実になった!”ということ。技術そのものが革新的なことはもちろんだが、独創的なアイデアも盛りだくさんで、とにかく楽しくて仕方がなかった。

  ここでは、10月23日に行われたプレス向け内覧会で体験できた企画展示の一部を紹介していこう。展示内容の性格を鑑みて、便宜上VR(Virtual Reality、仮想現実)、AR(Augmented Reality、拡張現実)、ロボット技術、国際学生対抗バーチャルリアリティコンテストという4つのカテゴリーにわけさせてもらった。

【1】VR(Virtual Reality、仮想現実)

◆Project Morpheus(ソニー・コンピュータエンタテインメント)

 VR関連の出展が充実していたデジタルコンテンツEXPO 2014。会場では、今年発表されて大きな注目を集めたソニー・コンピュータエンタテインメントのProject Morpheusも出展されていた。

 会場で楽しめたのは、東京ゲームショウ 2014でもお披露目されていた『The Deep』。新人がカゴに乗って海中を探索中に、サメに遭遇するという7分あまりのコンテンツだ。改めて実感させられるのは、やはり臨場感の高さ。サメが迫ってくるときのリアリティーは、ほかのコンテンツではけっして味わえないであろう体験だ。

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 ソニー・コンピュータエンタテインメント 広報部 広報課 課長の中島智氏によると「Project Morpheusを体験された方のご意見をうかがうと、やはり360度見渡せて、世界の中に入っていけるような感覚に驚かれていたようですね。Project Morpheusの最大の魅力はやはり没入感です。今後はそんな魅力を大事にしつつ、ゲームの世界観を訴求していきたいです」とのこと。Project Morpheusの今後の展開などの詳細は決まっていないようだが、今後のカギを握るのはやはりコンテンツのよう。正式な展開を心待ちにしたい。

「Project Morpheus 吉田修平プレゼンテーション」GDC2014(字幕付き)


◆どこでもドア(プロノハーツ&エクシヴィ)

 なんと、国民的人気作品『ドラえもん』から、誰もが知っている秘密道具“どこでもドア”を体験できる展示もあった。これは、OculusVRとサムスンが共同開発したヘッドマウントディスプレイ“GearVR”を使って実現されたコンテンツで、今年7月にフランス・パリで開催されたJAPAN EXPOでも好評を博していたとのことだ。

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 もちろん、『ドラえもん』ファンの記者は、この“どこでもドア”をいのいちに体験。こちら、GearVRをセットし、画面に表示されている地名を叫ぶと、実際にその場所に飛べるというもの。たとえば「ロンドン!」と口にするだけで、一瞬にしてまわりの風景がロンドンに変わるのだ。これは、Androidに搭載されているGoogle音声入力を駆使してのテクノロジーで、まさに“GearVR”ならではのフィーチャーといったところ(当然通信環境が整っている場所が条件になるわけだが)。さらに、デモの最後には「ドラえも~ん」と呼ぶと、ドラえもんがタケコプターで駆けつけてくれるなど、ファンにはうれしい仕掛けも。記者もすっかりのび太気分になってしまった。.

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 ところで、じつはこの“どこでもドア”は、本当はARの技術とのハイブリッドコンテンツ。会場にはクロマキー合成で用いられる緑一色の小部屋が用意されており、“ドアを開ければ、そこには違う場所の風景が広がっている”……というARの世界が展開。そこでGearVRをかぶると、VRの世界に移行し、公園やサンタモニカの街などの場所に来たかのように見える……という趣向だ。VRとARが組み合わさることで、さらなる没入感が促されるだろうなあと思うと、ワクワクしてしまう。つぎの機会には、ぜひ体験してみたい!

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◆オタク文化+VR技術(ソリッドレイ研究所)

 ホームページを覗いてみると、ソリッドレイ研究所は、ソフトウェアの開発からシステムの構築まで、バーチャルリアリティーの総合プロデュースを行う企業とのこと。そんな同社のVR技術を駆使してオタク文化への可能性を追求したコンテンツが、会場では出展されていた。

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 Oculus RiftとKinectを駆使したこちらのデモは、ずばりお医者さんごっこを楽しめるというもの。目の前に女の子が出現するので、聴診器を差し出すと、ドキドキと鼓動が伝わる……という仕組みだ。言ってみればシンプルなコンテンツなのだが、これがけっこう萌えるのだ。衆人環視の中でお医者さんごっこをするのは正直言って相当恥ずかしいが、手を伸ばして聴診器を女の子の左胸にあてたときに感じられるドキドキの、何とも言えない感覚といったら……。思わず口元が緩む自分を抑えることができない(ちなみに、お医者さんごっこということで、服は着用しております、念のため)。

 ちなみに会場では、プロジェクターによるデモも展開されており、何とも言えない空間が現出されておりました。これがオタク文化かと言われると何とも判断に悩むところだが、萌えを感じさせるコンテンツであることは間違いない。今後の新たな展開に期待!