『キングダム ハーツ -HD 2.5 リミックス-』発売記念! 野村哲也氏インタビュー

週刊ファミ通2014年10月9日増刊号と、10月16・23日合併号に掲載している『キングダム ハーツ』シリーズのディレクター野村哲也氏のインタビューの加筆・編集版をお届け。

●「ソラは作品を重ね、オリジナリティーが出てきたと思います」(野村氏)

 スクウェア・エニックスから2014年10月2日に発売されたプレイステーション3用ソフト『キングダム ハーツ -HD 2.5 リミックス-』。その発売のタイミングに合わせ、週刊ファミ通2014年10月9日増刊号と、10月16・23日合併号では、ディレクター野村哲也氏のインタビューを掲載している。ここでは、同インタビューの加筆・編集版をお届けしよう。


■HD化で普遍性の増した『キングダム ハーツ』

完全版/KH2.5_通常版

――野村さんが『KH2.5』用に描き下ろされ、パッケージに使われているメインイラストですが、今回もゴージャスな構成ですね。イラストのコンセプトや、苦労したところを教えてください。

野村 収録される3作品のキャラクターたちを描くというのは『KH1.5』と同じです。周囲のキーブレードは、メインとして描いているマスター・ゼアノートが大きく関わる、キーブレード戦争の暗示ですね。ゼアノートは、ロゴを配置する関係で小さくしたのですが、最初はもっと大きく描いていました。それと、パッケージに使う際は、レーティングを示すマークが入ります。海外、とくに欧州版は、そのマークがけっこう大きくて。ディズニーのキャラクターに、そういったマークをかぶせてはいけないので、レイアウトには苦心しました。

――そういう配慮をしながらの構図なんですね。また、『KH』シリーズは毎回、印象的なキャッチフレーズが付けられていますが、『KH2.5』の“忘れられない旅になる”というコピーには、どのような意図が込められているのでしょうか。

野村 最初は宣伝側が考えていたコピーがあったのですが、自分はもっと簡潔で“引っかかる”言葉を入れ込みたかったという部分で、議論の末に決めました。自分がサンディエゴの“Comic-Con International 2014”に行っていたので、宣伝とLINEでやり合って(苦笑)。最終的には、宣伝側が伝えたかった意図を『KH』風にまとめる方向で、『KH2.5』ではシリーズでも重要な“旅”が入っていることを踏まえ、“どういう旅か”を強調したものにしています。

――なるほど。では、『KH2.5』のゲーム内容についてうかがいます。制作する中で、とくに気を配った部分はありますか?

野村 『KH1.5』に収録されていた映像作品の『KH 358/2 Days』(以下、『Days』)は、物量的な問題で、戦闘を省略していたり、幕間をテキストの説明のみにしていたのが、多くのファンの方から「残念だった」と指摘があり、気になっていました。『Re:コーデッド』は『Days』ほどボリュームがないので、バトルやディズニーのワールドのお話も映像化し、ミッキーによるナレーションをつけ、そういった部分をフォローできたと思います。『Re:コーデッド』はミッキーで始まり、ミッキーで終わるので、彼がナレーションをつけるのが最善でしたね。あとは、『KH バース バイ スリープ』(以下、『BbS』)は携帯機から据え置きになったことで、操作などを調整する必要がありました。最初は、マルチプレイの要素をそのまま入れ込むことも模索していたんです。しかし、HD化するのが『BbS』1本であるならともかく、『KH2.5』は3作分の作業があるので、マルチプレイの要素はシングル向けの要素を追加、調整をかけるというところで落とし込みました。

――『KH1.5』と『KH2.5』の作業で、改めて過去作を見直してみて、感じることもあったのではないでしょうか。

野村 何年か前のゲームを遊ぶと時代を感じることが多いですが、『KH』はそういったことがないですね。HD化で、さらに普遍性が増したのではないかなと。それと通して見てみて、思ったより特定のワールドがたくさん出ているな、という印象はありました。ゲームとして入れたときに使いやすいからでしょうね。オリンポスコロシアムなどは、入れることが決まっていないうちから、『KHIII』でもあるという前提でスタッフが企画を進めていましたし(笑)。それから、ソラのキャラクターとしての成長。『KH』のころは、“ディズニーらしさ”をすごく意識していましたが、作品を重ねるうちに、オリジナリティーが出てきたように思います。

――長らくシリーズ作に携わってきて、ディズニーの作品の魅力とは改めてどのようなところだと思いますか?

野村 キャラクターの見せかたや扱いというものを、作品の内外問わず非常に大切にしているところです。その意味では、ディズニーの作品は世界的にトップクラスだと思います。ゲームも、タイプによってはそこがとても重要で、キャラクターの扱いかた次第で全体がよくも悪くもなる。そういう意味で勉強になりますね。

――深いですね。野村さんがオススメするディズニー作品や、最近チェックした作品について、教えていただけますか?

野村 以前もお話ししているかと思いますが、『ライオン・キング』が好きというのは変わりません。最近だと、『アナと雪の女王』(以下、『アナ雪』→こちら)も試写に呼んでいただいて、すごくいいなと思いました。ピクサーのラセターさんが、ディズニーのチーフ・クリエイティブ・オフィサーもやられるようになって以降、より挑戦的な作品が増えて、今後にも期待しています。12月に封切られる『ベイマックス』(→こちら)もいちファンとして楽しみです。

――『アナ雪』と言えば、Co.ディレクターの安江(泰)さんが、海外で“『KH』に『アナ雪』が出るなら”という趣旨で内容に関する発言をされたという記事があったとか。

野村 あのときは自分も驚いて、安江に確認しました。そうしたら、いっさい触れていないし、“仮に入るのであれば内容はこう”といったことも言っていないと。自分にも心当たりがあるのですが、海外のインタビュアーの方は、“自分はこうだったら楽しいと思う、こうなってほしい”という予想や要望をおっしゃるんですね。それに対し日本人は、はっきり肯定も否定もしない。そうすると、それが“事実”として受け止められてしまうときがあります。あれは、文化の違いからきた誤報なんです。

――そうだったんですか。では、実際のところ新ワールドは、どうやって選んでいるのでしょう。

野村 『KHIII』では、どのワールドでどんなことをやりたいか、というアイデアをチームのみんなで出し合っていて、それを見ながら決めていくという形を取っています。対象となる作品は幅広いですし、多数の候補がありますが、すべてを作れるわけではないし、最終的にはディズニーさんの了解も必要です。でも、『KHIII』では、いままで以上にスタッフの押しが強くて(笑)。「これをどうしてもやりたい!」という現場の熱量が高く、どれも作り込んでくれるので、選ぶのが難しいところです。


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