戦闘機械よ、廃墟から立ち上がれ

 Tuque Gamesの『World War Machine』を紹介する。本作は人類が滅亡した世界を舞台とする、最大5人までの協力プレイに対応したアクションRPG。プレイヤーも敵も戦闘マシーンという、いかにも鉄錆臭い世界観が特徴だ。プラットフォームはPCで、現在はSteam経由でプロトタイプを無料公開しているという状態(メール登録が必要)。

 ゲームのスタイルとしては『ディアブロ』タイプの見下ろし型アクションRPG。ミッションをこなしながら各部位のレアな装備を集めてカスタマイズしたり、習得したスキルを使いこなして、敵の大群や強力なボスに挑んでいくという、比較的オーソドックスなハック&スラッシュスタイルだ。
 プロトタイプということで、1種類のマップでふたつのタイプのミッションをプレイできるだけなのだが、これがなかなか痺れる感じ。もちろん作り込みは足りないのだが、コンセプトを聞いて「おっ」と思った人なら、さほど間違いのない感じになっていると思う。

人類滅亡後の世界で機械が戦う、オイルと鉄錆臭いハック&スラッシュRPG『World War Machine』と、クラウドファンディング失敗のケーススタディ_04
▲やはり本作ならではの魅力は、近未来の廃墟でのロボvsロボというコンセプト。背景のオブジェクトもバトルで盛大に壊れまくり、気分を盛り上げてくれる。武器は6系統搭載可能で、マウスボタン/キーへの割り当ては自由。1ボタンに全部割り当てて「全弾発射!」をやってもヨシ、左・中・右マウスボタンに2系統ずつ割り振るもヨシ、6ボタン使いこなすのもヨシ。ただ、武器を使用するとヒートゲージが上がっていき、限界を超えるとオーバーヒートしてしまうので、注意が必要。
人類滅亡後の世界で機械が戦う、オイルと鉄錆臭いハック&スラッシュRPG『World War Machine』と、クラウドファンディング失敗のケーススタディ_02
人類滅亡後の世界で機械が戦う、オイルと鉄錆臭いハック&スラッシュRPG『World War Machine』と、クラウドファンディング失敗のケーススタディ_03
▲機体の性能は武器以外に、シールドやスピード値を決めるアイテム「コンポーネント」や、相反する項目を調整できるシステム部分で決まる。システム部分は「クリティカルダメージよりクリティカル率を重視」とか「インベントリサイズと引き換えにスピードを上げる」といったシフトが可能。またスキルも攻撃系以外にダッシュ回避やハッキングでの洗脳などさまざま。
人類滅亡後の世界で機械が戦う、オイルと鉄錆臭いハック&スラッシュRPG『World War Machine』と、クラウドファンディング失敗のケーススタディ_01
▲プロトタイプでは、ベーシックな戦闘ミッション以外に、大型歩行ロボを護衛するミッションもプレイ可能。製品版ではさらなるタイプのミッションも予定されている。

 実は本作、スクウェア・エニックスのクラウドファンディング支援プログラム“Square Enix Collective”第1弾の選考を勝ち抜き、今年5月にクラウドファンディングサイトIndiegogoでのファンディングキャンペーンを開始。しかし5万ドル(約500万円)の目標額に対し、7月末の締め切りまでに集まったのは1万2000ドルほど(約120万円)。到達率25%という残念な結果に終わってしまった。

 Indiegogoでは未達でも集まった額の9割近くが支払われるフレキシブルファンディングという仕組みがあるため、まったく無駄なタダ働きということではないのだが、それでも必要な額には程遠い。プロジェクトをキャンセルするか凍結するか、あるいは自己資金で作りながらパブリッシャーを探すのか? いずれにしてもしばらく音沙汰なくなりそうなものだが、実はTuque Gamesはキャンペーンが失敗に終わる前に次の手を打っていた。

 それが、まだキャンペーン実施中にも関わらず、本来クラウドファンディングの支援者用だったプロトタイプを一般公開してしまうということ。このために、プロトタイプを入手しようとして支援した人に返金まで行っている(記者の元にも25ドルが帰ってきた)。
 スタジオはキャンペーンの成否に関わらずプロジェクトを継続することを決定しており、いっそプロトタイプを世界公開してしまい、再始動時に注目してくれるファンを増やす機会にしようとしたのだ(そこから火がついてキャンペーンが逆転する可能性もなくはない。実際そうはならなかったが)。というわけで気になる人はプロトタイプを遊んでみて欲しい。

 ……だが、クラウドファンディングキャンペーンから予定していた資金を得られなかったのにも関わらず、最終的にはなんとかなるなんてこと、あるんだろうか? それが意外とあるのだ。