海外のビッグプレイヤーがこの日のために来日
2014年9月18日～21日まで開催中の東京ゲームショウ2014。ゲーム周辺機器メーカー“マッドキャッツ”のステージで行われた『ウルトラストリートファイターIV』エキシビションマッチの模様をリポートする。
ゲーム周辺機器メーカー、マッドキャッツのスポンサードを受けて、対戦格闘ゲームの最前線で戦うプロゲーマーたち。日本国内では世界的にも名高いプレイヤー、ウメハラ、マゴ、ときどの3人が該当する。
このステージでは、彼ら3人と、このステージのために来日した海外の『ウルIV』強豪プレイヤーが戦うという超レアかつ豪華な対戦がライブで見られるとあって、イベント開始前から多くの『ウルIV』ファンがマッドキャッツブースに集結した。ステージで日本人プロ選手と戦うのは、ウメハラのライバル的存在としても有名な“EG Justin Wong”（ジャスティン・ウォン。以下、ジャスティン）氏、世界有数のE.本田プレイヤー“Twitch Mike Ross”（マイク・ロス）氏、そして近年著しい活躍を見せる若手プレイヤー“Jayce The Ace”（ジェイス・ジ・エース。以下、ジェイス）氏。いずれもEVOLUTIONなどの世界大会の常連であり、名実ともにトップ級の『ウルIV』プレイヤー。東京ゲームショウという特別な場だからこそ実現した豪華なメンバー。日本人の3人、招待された3人ともにプロゲーマーとしてのプライドをかけて、エキシビションマッチとは思えない真剣な表情を試合前から見せていた。
対戦格闘ゲームの実況ではおなじみのアール氏によって、ステージは進行。まずはこの日の対戦ルールの説明から。戦いは事前に決められた組み合わせによる2ラウンド制5戦先取によって行われる。いわゆる“5先”とあって、観客にとっては、真の実力がぶつかり合う（＝一時的な運に左右されにくい）勝負がじっくり堪能できることになる。また、プレイヤーにとっては、長丁場となることから相手への“対応力”が問われることになる。精神的なプレッシャーも並半端じゃないことだろう。
それぞれに見どころがあるアツい戦い！
第1戦は、マゴとマイク・ロスの対戦。『ウルIV』登場以降、使用キャラクターをこれまでのフェイロンからヤンに変えたマゴ。蟷螂斬を軸にしたスピーディーでアグレッシブな攻めは従来のフェイロンを彷彿としたインファイトが持ち味。いっぽうのマイク・ロスはおなじみのE.本田で登場するかと思いきや……ヒューゴーを選択して、会場からはどよめきが響いた。
序盤はマイク・ロスのヒューゴーが積極的な攻めを見せて、マゴの先手を拒む展開に。マゴのヤンは行動がことごとく裏目に出てしまい、パームボンバーやミートスカッシャーを許してしまう苦戦を強いられていた。しかし、対戦を重ねるごとに対策が見えてきたか、マゴの読みが冴えはじめて空間を縦横無尽にくり出す攻撃がじょじょに通るようになった。結果は5-3でマゴが勝利した。
第2戦は、世界の対戦格闘ゲームファンが注目する戦い。ウメハラとジャスティンが激突した。このふたりの対戦といえば、10年前のEVOLUTIONの『ストIII 3rd STRIKE』の対戦が今なお格ゲー界の伝説として語り継がれているほど（ウメハラが窮地で超絶的な“ブロッキング”のテクニックを披露して大逆転勝利を収めた）。久しく大規模大会でも実現していない両者の対戦がここで実現した。『ウルIV』からメインキャラクターを殺意の波動に目覚めたリュウ（以下、殺意リュウ）に変えたウメハラに対して、ジャスティンはこれまでと同様にルーファスを使用。『ウルIV』では初の対戦となる注目の一戦となった。
試合展開は、両者ともに壮絶な打撃戦となった。鋭く間合いを詰め、竜爪脚を軸に容赦ないラッシュを仕掛けるウメハラの殺意リュウは、これまでの彼のスタイルでは見られなかったアグレッシブなもの。対すジャスティンも、スキあらばファルコーンキックによる表裏を揺さぶる奇襲や、絶妙なタイミングでのEX救世主キックで襲いにかかる。客席の隅で観戦していたカプコンの小野義徳エグゼクティブ・プロデューサーも「これはおもしろい試合！」と興奮していたほどだ。ふたりのインファイトの結果は、5-3でウメハラが勝利。ジャスティンは試合前に「ウメハラに勝つのはとても難しいことだよ」と、あくまで謙虚な姿勢を見せていたが、そのプレイは秘めたる情熱を爆発させていたかのようだった。
第3戦は、ときどとジェイスによる対戦。ジェイスは北米を中心に活動する若手のC.ヴァイパー使い。ときどいわく「彼が、こんな小さなころ（手を胸のあたりに当てて）から大会で対戦したことがある」といい、経験値もかなりのもの。新世代の『ウルIV』プレイヤーとも言える存在だ。
ときどの豪鬼、ジェイスのC.ヴァイパーともに、地上と空中いずれも強力な攻め手段がを持つキャラクター。両者ともに精度の高い攻めで技の応酬をしあう展開になり、試合は片方が勝つと、次の試合ではもういっぽうが勝つというシーソーゲームに。4-4で両者並ぶ緊迫の展開になったものの、結果はときどが辛勝。押しの強いキャラクターどうしで、ガードを揺さっていかに崩すかという、テクニカルな攻め合い勝負は、トリにふさわしいアツいものだった。
ステージの最後には、小野義徳氏も登壇して興奮冷めやらぬという感じで大会の感想を語った。また、エキシビションマッチの後には、ときど氏と来場者との組み手イベントも開催。プロゲーマーと対戦ができるまたとない機会とあって、多くの人たちがときどに挑戦した。
