発売はもうすぐ

 スクウェア・エニックスから2014年10月2日に発売予定のプレイステーション3用ソフト『キングダム ハーツ -HD 2.5 リミックス-』。シリーズを語る上で欠かせない『キングダム ハーツII』やその後を描いた『キングダム ハーツ Re:コーデッド』、シリーズの起源が描かれた『キングダム ハーツ バース バイ スリープ』の3作品をHD化して収録。

 そんな本作の発売に先駆けて、開発ROMをプレイする機会をいただいたので、プレイインプレッションをお届けします!


 思い出は美化されるというけれど、『キングダム ハーツ -HD 2.5 リミックス-』は、美化された思い出を遥かに上回る作品だった。グラフィックがHDになって、見た目が想像以上にキレイになっていた、というのもそう感じる理由のひとつだけれど、『II』と『バース バイ スリープ』、そして『Re:コーデッド』という、『III』につながる重要な3作品をまとめてプレイすると、さまざまな新発見もあって、思い出補正を軽く凌駕してしまうくらい楽しめてしまったんですな。つまり、『キングダム ハーツ』シリーズは、つねに新たな発見がある、深いゲームなのです。プレイステーション2は2世代前、PSP、ニンテンドーDSは生産終了といういま、まだ現役ハードであるプレイステーション3でプレイできる本作。未プレイの人には、悪いことは言わないからもうそろそろやっとけ、と提案させていだきたい!

いまプレイしても色褪せないシリーズ最高峰の名作――キングダム ハーツII ファイナル ミックス

 2005年の12月の発売から約9年、来年12月で10周年となる『キングダム ハーツII』。オリジナルはプレイステーション2でSD画質、画面比率は4:3だっただけに、HD画質となって16:9になった変化は大きい。とくにハイライトのひとつと言えるホロウバスティオンでのハートレス&ノーバディ1000体とのバトルは圧巻(プライド・ランドで遭遇する多数のラピットスラスターとのバトルも同様)。また、音声も格段によくなっており、迫力は倍増。

 そんな本作を改めてプレイしてみた感想は、やはり神ゲーということ。レトロな雰囲気漂うタイムレス・リバー、実写映画からも『パイレーツ・オブ・カリビアン』を舞台にしたポート・ロイヤル、時代を感じさせる『トロン』のスペース・パラノイドなどワールドもバラエティー豊か。そして、クライマックスに向け、異常に盛り上がる物語(気持ちを高めてくれる音楽も最高)、成長するごとに爽快感が増しまくり、リアクションコマンドでダイナミックな演出も楽しめるバトル、やり込み甲斐があるコレクション要素やミニゲームの数々など……。いまプレイしても色褪せない、個々の要素がどれもすばらしい奇跡のようなゲーム。ソラたち対XIII機関を主軸にした物語に、ロクサスとアクセル、ナミネ、ディズといった脇役たちのドラマ、それにともなう名シーンの数々も見逃せないポイント。

 個人的にはXIII機関、留まりし思念とのバトルは、アクションゲーム史上最高のバトルだと思う。あのミスが許されない緊張感がたまらない! また、あのバトルに挑戦できるのはうれしい。反面、クリアーできるか正直不安ですけど。しかし、オリジナル版からの追加要素として、あんな特殊なバトルをよく放り込んできたなと思う。とにかく初見時の絶望感がハンパない。一見の価値ありです。

『キングダム ハーツ -HD 2.5 リミックス-』はシリーズの魅力がすべて詰まった“心”に響く作品【プレイインプレッション】_04
『キングダム ハーツ -HD 2.5 リミックス-』はシリーズの魅力がすべて詰まった“心”に響く作品【プレイインプレッション】_03

PSP用ソフトを大画面とコントローラでプレイできる喜び――キングダム ハーツ バース バイ スリープ

 PSPで発売された『バース バイ スリープ』。PSPのグラフィックもキレイだったけれど、テレビサイズでプレイすると迫力が違うし、コントローラでプレイすると『キングダム ハーツ』シリーズはしっくりくるし、アクアはやっぱりカワイイしで、据え置き機でプレイするとまた格別。
 
 本作の物語は3人が主人公で、それぞれの視点で進行していくというスタイル。誤解を恐れず書くなら、テラとヴェントゥス、男ふたりの勇み足に聡明なアクアさんが振り回されるという物語。そう仕向けたのは、シリーズすべての元凶と言えるマスター・ゼアノートだ。二手、三手先を読んで対策を講じる老獪さ、その頭のキレっぷりは敵ながらカッコいい。また、語り部としてもすばらしく、キーブレードと終焉や死を意味するχ(キー)ブレードの関係を語るくだりは、シリーズ屈指の名シーンのひとつだ。

 バトルシステムは、従来のシステムをベースに、使用したベースコマンドの組み合わせによってスタイルが変化していくという、『II』をさらに進化させたもの。感覚的には、ボタン連打で戦う→勝手にスタイルチェンジ→フィニッシュ技が発動→快感! という流れで、“簡単操作で爽快感あるバトル”という本作のバトルのテーマのひとつの到達点に達したと感じられるデキ。1バトルにつき、スタイルは数段階変化できるので、ベースコマンドの組み合わせを考えて……とこだわることもできる。

 もちろん、ミニゲーム(まさかのボードゲームまで)もやり込み要素も満載。よくUMDに収まっていたなと感心するほどだ。

 長文になるのもアレなので、唐突に強引にまとめると、物語の内容的にも、ゲームシステム的にも、ボリューム的にもナンバリングと言っていいクオリティーとボリューム、そして物語的にも『III』に大きく関わる『バース バイ スリープ』なのです。

『キングダム ハーツ -HD 2.5 リミックス-』はシリーズの魅力がすべて詰まった“心”に響く作品【プレイインプレッション】_02
『キングダム ハーツ -HD 2.5 リミックス-』はシリーズの魅力がすべて詰まった“心”に響く作品【プレイインプレッション】_01

オリジナルにはなかった追加のシーンも!――キングダム ハーツ Re:コーデッド

Re:コーデッド』は、『コーデッド』として、もともと携帯電話、いわゆるフィーチャーフォン向けに2009年にリリースされた作品。当時の携帯電話用のゲームの中では最高峰のグラフィックで描かれ、そのキレイさに驚いた記憶があります。その後、ニンテンドーDSにリメイクされ、バトルや成長システムも一新。そして今回は映像作品へと、シリーズ作品の中でもっとも変貌を遂げた作品と言っていいでしょう。約3時間ほどの映像にまとめられたことで、ほどよく忘れていた物語の理解度をさらに深めることができました。『キングダム ハーツ』シリーズの物語は、謎や伏線が多く、いま見てみると理解できたり、発見できる部分も多く、物語自体を何度も楽しめる味わい深いシリーズ。それだけに、映像で手軽に振り返られる、というのはありがたい。

 物語は『II』以降のソラに託された使命が明かされる、という『Re:コーデッド』と当然同じながら、セリフ(テキスト)で進行していたイベントが映像になって演出とボイスが加わったことで、『-HD 1.5 リミックス-』の『358/2 Days』同様、かなり新鮮に楽しむことができました(しかも、今回はバトルシーンも映像で描かれている)。新規のシーンも追加されており、ブラウザゲームとしてサービス中の『χ(キー)』にも関連する内容や、『III』へのヒントになるであろうシークレットムービーも確認。このあたりのサービス精神が心憎いところだけれど、本編自体が今後のシリーズの展開に期待が膨らむ物語展開になっているだけに、さらに気になる要素を盛り込むなんてズルイ! 

『キングダム ハーツ -HD 2.5 リミックス-』はシリーズの魅力がすべて詰まった“心”に響く作品【プレイインプレッション】_06
『キングダム ハーツ -HD 2.5 リミックス-』はシリーズの魅力がすべて詰まった“心”に響く作品【プレイインプレッション】_05

 ということで、いよいよ9月。夏休み後半は溜まりまくった宿題を泣きながらやった学生さんもいたことでしょう。筆者にも宿題がありまして(つまりこの原稿なのですが)、締切をぶっちぎりつつ、ここまで到達。『キングダム ハーツ -HD 2.5 リミックス-』のボリュームがスゴ過ぎて、ついついやり過ぎてしまったんですね。ははは……。気分は「俺の夏休み(の宿題)――終っちゃった(安堵感)」。これで気兼ねなく10月2日の発売日を迎えられますよ! と、その前に東京ゲームショウ! スクウェア・エニックスのブースで試遊台も出展されているので、ぜひ本作に触れてみてください!