ハック&スラッシュRPGの名シリーズ最新作
スパイク・チュンソフトから2014年8月28日に発売される、“ハック&スラッシュ”アクションRPG、『セイクリッド3』。前作『セイクリッド2』(プレイステーション3・Xbox 360)から3年の時を経て、さまざまなリファインと追加要素を携えて登場するシリーズ最新作だ。ハック&スラッシュという言葉になじみのない人もいるかもしれないが、“Hack”(乱雑にぶった斬る)と“Slash”(深く斬る)という単語の組み合わせからも想像できるように、RPGの世界では“戦闘を重視している”ものをこのように称している。『セイクリッド』シリーズの特徴でもある爽快感はまさに、この“斬る”手ごたえにほかならない。本稿では世界の危機を救う英雄となり、邪悪な者と戦いまくる本作の魅力に迫っていこう。
個性的な4人の英雄で挑め!
続編とあって、物語も世界観を継承している。かつて世界を災禍に陥れて英雄に討伐されたダークエルフ、マトリアーク。その息子であるゼーンが復讐をすべく動き出してアッシェン帝国を構築した。そして、伝説の力としてこの世界に伝わる“アンカリアの心”の奪取を目論む。太古に世界の守護者的な立場でもあった種族、セラフィムの長であるシスター・テラリは、この危機に対して、世界にいまなお残る英雄たちを再び呼び集めた。そして、ゼーンの野望を阻止するべく、英雄たちは行動を開始した……というのが本作の起点。
呼び寄せられた英雄たちは、種族の異なる4人。プレイヤーは、この個性的な能力を持つ4人からひとりを選び、戦いを進めていくことになる。
キャラクター
ステージクリアー形式で進行するアクションRPG
ゲームはワールドマップから攻略したいエリア(ステージに相当)を選び、クリアーを目指していく流れとなっている。エリアはゼーンの脅威に立ち向かう物語を追いながらエリアを支配するボスの討伐を目指すメインクエストと、バラエティーに富むエピソードを体験するサイドクエストのふたつからなり、いずれもワールドマップの奥に進むほどに高いキャラクターレベルが必要となる(クリアーに必要とされるレベル=難度に相当は、各エリアごとにマップ上に表示されるので安心)。市街地、港、城塞、森林などのエリアが登場するが、リアリズム重視のグラフィックによってフィールドが描かれており、「冒険している感」を盛り上げてくれる。素材感が伝わるようなテクスチャ表現や、シーンに応じて使い分けられたライティングの美しさは思わず息を飲むほどだ。
4人の英雄とゲーム進行
新アクションの追加で“ハック&スラッシュ”テイストはより強化!
ここからは実際の冒険について見ていこう。探索の基礎となる行動は攻撃だ。×ボタンで武器を用いた通常攻撃がくり出せる。キャラクターによってスピアー、長剣、槍、弓矢といったように武器は異なるが、弓矢以外はボタン連打で3回まで連続してくり出せる(最後はフィニッシュアクションという強力な一撃が出せる場合も)。
そして、もうひとつの攻撃手段が“コンバットアーツ”と呼ばれる強力なキャラクター固有技。これは一般的なRPGの魔法に相当するものだ。各キャラクターとも、ふたつのコンバットアーツを身につけることができて、L1、R1ボタンで発動ができる。ただし、コンバットアーツごとに性能や連続使用回数が異なるので、エリアや得意とする戦闘スタイルによってどのコンバットアーツを選ぶかがカギとなる。
以上は前作にも存在した基礎的なアクション。本作では新たに、“回避”、“つかみ”、“バッシュ”といったアクションも加わり、より多彩かつ戦略的な戦いが可能になっている。
回避は、敵の猛攻から身を守る最も重要な術。○ボタンで転がりながら素早く移動できるので、敵に四方から囲まれがちな本作では、序盤からしっかり使いこなしておきたい。わずかに無敵になる時間もあり、さらに回避能力の進化もできる。
つかみは、中型の敵に対して行えるアクション。接近したときに△ボタンを押すと敵を拘束し、その後は任意の方向に投げられる。投げ方向にいるほかの敵も巻き込むことができるので、大量にダメージを与えるチャンスとなる。
そして、もっとも重要なカギを握るのが、バッシュである。これは特殊な効果を持つ攻撃で“気合弾”といったところ。「小さな敵をまとめて吹き飛ばす」、「相手の盾を無効化させる」、「魔法などの特殊攻撃を中断させる」、「罠の解除」といった特別な効果がある。使いかた次第では、ピンチをチャンスに変えられる可能性を秘めたものなのだ。□ボタンをすぐ離すと自分の周辺だけに、□ボタンを一定時間押してから離すと貫通弾となる。強力そうな敵やザコの群れに出くわしたら、何よりも先にまず□ボタンを溜めてバッシュを食らわせる……という感じで使うのがいい。
本作では、これらのアクションをうまく組み合わせることで多彩な連携攻撃が可能になった。キャラクターのレベルが上がると、武器やコンバットアーツはもちろん、さまざまな行動の強化・進化ができて、行動の選択肢も大きく広がる。だから、本作のキモとなるズバズバと敵を倒していく快感はレベルが上がるほどに(同時に、プレイヤーが戦闘に慣れてコントローラーさばきが巧みになるほどに)、より味わえるという次第。ハック&スラッシュというゲームのテーマと絶妙にマッチしているのがポイントで、英雄らしい強さがいっそう実感できるようになる。
キャラクターの多彩なアクション
プレイヤーを陰で支える精霊“ウェポンスピリット”
強さといえば、“ウェポンスピリット”の存在も見逃せない。これは古代の英雄や伝説の生物の魂で、武器に憑依するもの。装備品のような感覚で1体だけ宿すことができて、種類によって「クリティカルの発生率が上昇」、「雷撃の追加ダメージを与える」など戦闘行動や探索で有利になる恵みをもたらしてくれる(ただし、強化したぶん、トレードオフとして一部の能力でマイナス面も発生する)。新たなウェポンスピリットはエリアの探索中に入手できる。
足りない能力を補ったり、追加効果で特定の能力を引き出す、アシスト能力の使いかたはプレイヤー次第。探索では非常に頼もしい存在なのだ。
ウェポンスピリットについて
マルチで探索すればさらにアツい!
本作では、オフラインでは最大ふたり、オンラインでは最大4人のマルチプレイにも対応している。ワラワラと集まる敵を、仲間とともに協力しながらひたすら一掃していくのは、シングルプレイにはない気持ちよさがある。
また、マルチプレイ時に限り、“バトルプレア”という協力技の発動も可能。これらは発動するキャラクターとほかの味方との間に発生する特殊な力。ダメージ軽減やと体力回復、氷の力で敵を足止め、隕石を召喚して攻撃など、キャラクターによってさまざまな効果があるのだ。
洋ゲーテイスト満載でありながら遊びやすさも魅力
以上、ハック&スラッシュのアツさが凝縮された、本作の楽しみどころを紹介した。グラフィックやキャラクターから分かる通り、これぞ王道というファンタジーワールドで展開する洋ゲーのムードたっぷりのゲーム。時にはジョークも交えた独特のセリフも、海外産らしいクールさに満ちていて、ついニヤリとしてしまう。だからこそ、ほかの海外のアクションゲームと同様に難しいのでは?……とお思いの人もいるかもしれない。
しかし、その心配は無用。サクサク進む成長のテンポ感(クエストは何度でも挑戦できるので、レベル上げでつまづくことも起こらない)や、多彩なアクションが自然に身につくシンプルな操作性の効果もあって、誰でもストレスなくゲームが進行できるようになっているのだ。個人的にはシステムやレベルデザインを含めて、ハック&スラッシュの「倒していく気持ちよさ」を強調して、引き出すゲームデザインになっているという印象だ。ぜひ、日本のゲームにはないカッコよさが溢れる世界で、“斬る”アツさを存分に味わってみてほしい。
困難に立ち向かう英雄たちの冒険
セイクリッド3
メーカー | スパイク・チュンソフト |
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対応機種 | PS3プレイステーション3 |
発売日 | 2014年8月28日発売予定 |
価格 | 7400円[税抜](7992円[税込]) |
ジャンル | アクションRPG |