アカウント1億突破は誇れる数字だが、まだ始まったばかり(Victor氏)
『World of Tanks』などで知られるベラルーシのゲームメーカーWargaming.net社。同社は約1年前に日本支社Wargaming Japan社を設立し、日本でも知名度を高め、ユーザーの獲得に成功している。そしてgamescom 2014開幕直前には、“Wargaming.net”の全世界のプレイヤーアカウント登録者数が1億人を突破したことを発表。『World of Tanks』の登録者数は約9000万人にも上り、まだまだ会員数は順調に伸びているという。急成長を遂げるWargaming.net社のCEOVictor Kisly氏にgamescom 2014で話をうかがうことができたので、そのインタビューをお届けする。
Victor まず、ご質問をお受けする前に、弊社のアップデート情報からお伝えしましょう。弊社は過去10ヵ月のうち、『World of Warplanes』、『World of Tanks Xbox 360 Edition』、『World of Tanks Blitz』をローンチしました。これらのタイトルのリリースもあり、gamescom 2014の直前には、“Wargaming.net”のプレイヤーアカウント登録者数が1億人を突破しています。また、昨年、ロシアで110万人が同時接続したということも印象の残っています。
――アカウント登録者数が1億人を突破したことについて、率直なご感想をいただけますか?
Victor 確かに1億人というのは、とても大きな数字ですが、そのすべての人が現在、プレイしているわけではなくゲームから去った人もいます。誇れる数字ではありますが、まだ始まったばかり、という気持ちです。
――今後、どういった施策で会員数を伸ばしていくおつもりですか?
Victor 各タイトルのクオリティーをさらに上げていく、ということをこれからもやっていけば、自然と数字は上がると考えています。また、『World of Tanks』だけでもいろいろな新要素、追加要素を予定しているのですが、砲撃や空爆といったことを戦場内で依頼できるシステムも盛り込む計画です。これが実装されればゲームバランスも大きく変わると思います。つねに変化・進化していくことが重要だと思っています。
――そういった変化・進化がユーザーに受け入れられている理由でしょうか。
Victor それ以外には、すべての年代の方が楽しめるようなゲーム設定、ゲーム作りをしているからだと思います。たとえば、さほどマニアでない方にも興味を持っていただけるよう史実を盛り込んだり、時間のない方でもプレイできるよう、5分ほどで1プレイが終わるようなゲームデザインにしたり。それらが複合的な要素が合わさり、ユーザーの方々に満足していただけているのだと思います。
――Wargaming Japanの設立からもうすぐ1年です。日本でのビジネスに関して、手応えは感じてらっしゃいますか?
Victor 昨年、日本支社としてWargaming Japanを設立しました。とくにスマホ、タブレット向けの『World of Tanks Blitz』は世界の中でも日本はとくに高いダウンロード数となっており、我々としても日本市場にはとても手応えを感じており、今後も大切に育てていきたいと思っています。今回、gamescom 2014で初出展した『World of Warships』は、リリース時には日本とアメリカ、2ヵ国の艦船を用意しますので、日本の方々に楽しんでいただけるゲームだと思っております。
――ちなみに、Victorさんの好きな艦船は?
Victor まずは大和。そしてローンチ時には登場しませんがビスマルク(第二次世界大戦中のドイツ海軍最大・最新鋭の戦艦)です。好きな理由は、当時の伝説的な戦艦で巨大で強いところに惹かれています。
――日本支社を設立したことにより、どんなメリットがありましたか?
Victor 日本支社を設立したことでもっとも大きかったことは、東京ゲームショウに出展して、日本のユーザーにアピールできたことです。また、人気アニメ『ガールズ&パンツァー』とコラボできたこともとても大きい功績のひとつでしょう。アニメ、戦車、そして女の子。これら人気要素を獲得できたことが、いまの日本での成功につながっているのではないでしょうか。
――『World of Tanks』に関しては『Xbox 360 Edition』をリリースされていますが、それ以外のコンシューマー機への展開についてはどうお考えですか?
Victor 弊社の戦略の方針としては、まずはPCでの大成功を目指すということが大前提となっています。ですので、『World of Warplanes』や『World of Warships』がPCで大成功すれば、コンシューマー機への展開を考えようと思います。また、機種に関しては、いまはマイクロソフトとの契約がありますが、将来的にはプレイステーションでもリリースする可能性もなくはないです。
――ご自身もゲーマーだということですが、各タイトルについて、CEO自らアイデアを出したり、開発にも意見することはあるのですか?
Victor はい。時間が許す限り、自社のゲームはプレイします。そこで気になったことや、こうしたらいいのでは、ということは開発スタッフに言ったりします。
――具体的にゲームに反映されたものはありますか?
Victor 『World of Tanks』の日本戦車の実装は強くリクエストしました。日本の艦船や飛行機は有名なのでいろいろな資料があるのですが、日本の戦車に関しては、資料も少なかったので開発も苦労したようです。ですが、どうしても必要だと感じていたので、「無理やりにでも資料を探して来い」と開発にはムチャぶりをしました(笑)。
――日本戦車の実装はCEOの鶴の一声だったと。では、最後に今後のWargaming.net社のビジョンをお聞かせください。
Victor とても単純ながらとても難しいことなのですが、『World of Tanks』や『World of Warplanes』、『World of Warships』そしていま進行中のプロジェクトすべてで成功すること。プラットフォームはPC中心ですが、将来的にはコンシューマー機、モバイル、地域的にはアメリカ、ヨーロッパ、中国、もちろん日本を含め、多数の地域で成功を収めることができれば、弊社はこれからも成長することが約束されるはずです。また、今後はe-Sportsで盛り上がれるようなものを目指していきたいですね。