日本のIPは中国でも引きが強い
2014年7月31日(木)~8月3日(日)、中国・上海にある上海新国際博覧中心にて、中国最大規模のゲームイベントChinaJoy 2014が開催中だ。
一般ユーザーを対象としたエリアと連なる形で、ビジネスのマッチングを目的としたBtoBエリアを展開しているChinaJoy。年々規模を拡大させているというBtoBエリアだが、日本企業も20社ほど出展しているらしい。そのうちの1社がクリーク・アンド・リバー社だ。クリエイターの派遣紹介と、コンテンツの企画・開発・運営・受託を事業の柱としているクリーク・アンド・リバー社。勢い国内ゲームメーカーとのパイプは深く「日本でいちばんゲームメーカーとネットワークがあるのは、たぶん弊社ではないか」と、今回お話を聞いたデジタルコンテンツ・グループ グループマネージャーの青木克仁氏。青木氏によると、日本のメーカーと話をしていると、日本の市場しか視野に入れていないところがほとんどで、最初から中国を含めた海外展開を考えているところはあまりないという。「中国で展開していこうと思ったら、いまが最後のチャンスかなと思っています。いまを逃すときびしいかな……という感覚値があります。日本の大手メーカーは資本もあるし、がんばれると思うが、中小となるとなかなかにきびしい。そこで中小企業の手助けをして、協業ビジネスができないか……ということで、今回ChinaJoyに来ています」と青木氏。
そんな中、上海のクリーク・アンド・リバー社で、日本の企業と中国ゲームメーカーの仲立ちを担当しているのが、チャン・ハイファ氏だ。いま、中国のゲーム市場はものすごい勢いで広がっているというチャンさんだが、とくに注目しているのが日本のIP(知的財産)。「とくに、日本のアニメやゲームは中国でも人気が高く、ゲーム業界でも引きが強いです」とチャン氏。通常IPものというと、原作をまるまるゲーム化するのが一般的だと思うが、中国では自社のゲームに人気IPモノのキャラクターを登場させるというケースも多いようで、日本のキャラクターでもそういった例はけっこうあるという。「中国と日本とでは、ゲームに対するニーズが違う。それぞれの国で求めているものが違うんですね。そういった意味では、中国のゲームスタイルのなかに、日本のキャラクターを入れ込むのは有効だと考えています」とチャン氏。ちなみに、今回青木氏は、いくつか日本のIPをChinaJoyに持ってきているらしいのだが、反応はすごぶるいいという。
「アニメやゲームなど、日本のサブカルチャーは長い歴史があり、世界でも受け入れられており成熟した段階にあります。いわばコンテンツ先進国ですね。これから中国市場がさらに成長していって、コンテンツが成長した際に、日本に中国のコンテンツをもっていけたらうれしいです」と、チャン氏は今後の希望を語る。
なお、青木氏はいま中国向けのコンテンツを企画中。それは、ファンタジーゲーム全盛のいま、「ちょっと違うジャンルで攻めよう」ということで、クリーク&リバー社が中国でのブランディングを決意したジャンルだという。どうやら中国の大手プラットフォーマーとも、ほぼ話がついているらしい。「このジャンルに関しては本気でやるということで、日本のとある大手メーカーとも、このジャンルを攻めていくというという話になっています」と青木氏。残念ながらそのジャンルは明かしていただけなかったが、近日始動予定とのことなので、お楽しみに。
さて、せっかくの機会なので、チャン氏にコンシューマーゲーム機が14年ぶりに解禁されての可能性を聞いてみた。チャン氏は開口一番「可能性としては大きなものを見ています」とひと言。さらに、「政府がコンシューマーゲーム機を禁止していたこの10年以上は、オリジナル版を入手できない状態が続いていました。そのあいだいろいろな形でコンシューマーゲーム機は中国に入り込んでいるのですが、オリジナルが解禁されることで、さらにユーザー数が増えるのは間違いないと思います」とのこと。
中国でコンシューマーゲーム機がさらに普及すれば、日本のメーカーにとっても、さらなるビジネスチャンスの拡大につながるわけで……ということで、今後の展開に注目したいところだ。
(取材・文 編集部/F)