物語の面白さは折り紙つき! 『VANITY of VANITIES』の魅力に迫る!

“東方不敗”の原点はここにあり!? 新作MMORPG『VANITY of VANITIES』開発&運営インタビュー_01
“東方不敗”の原点はここにあり!? 新作MMORPG『VANITY of VANITIES』開発&運営インタビュー_02

 2014年6月26日に正式サービスを迎えた新作MMORPG『VANITY of VANITIES』(以下、VoV)。ゲームの舞台やストーリーは中国の人気小説“笑傲江湖”の世界観がベースになっており、プレイヤーは所属する流派を10種類から選択し、門弟として流派間の対立に身を投じることになる。ゲーム内には原作の登場人物たちも登場し、ストーリーを盛り上げてくれる。

 今回は本作の開発を担当する中国Perfect World社のSteve Lau氏とBear氏、そして運営を担当するシーアンドシーメディアの木村泰隆氏から、本作の見どころについてお話を伺った。

【笑傲江湖】とは
中国語圏で著名な作家・金庸の作品のなかでも、もっとも人気の高い作品。武術の流派間の人間関係や義理を描いた“武侠”というジャンルの小説で、何度も実写ドラマ・映画化されている。

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中国Perfect World社『VoV』プロデューサー・Bear氏(写真左、文中ではBear)
中国Perfect World社『VoV』開発総責任者・Steve Lau氏(写真中、文中ではSteve)
シーアンドシーメディア オンライン事業本部グループリーダー・木村泰隆氏(写真右、文中では木村)

個性的なキャラクターたちが登場する物語

――本日はよろしくお願いします。最初に、簡単な自己紹介をお願いします。
Steve ゲーム業界歴はだいたい10年くらいで、『VoV』の前にもさまざまなタイトルを手掛けてきました。本作は初めて作ったアクションRPGなので、非常に楽しみにしています。

Bear 私はゲーム業界に関わってから7、8年くらいです。本作ではプロデューサーとしてゲーム全体を見ています。

――まずはストーリーについて教えてください。
Steve 小説版の“笑傲江湖”をベースにしていますが、ある程度のアレンジは加えています。正式サービス開始時に実装されたストーリーは小説で言うところのスタート部分になります。

――プレイヤーはどういった形でゲームに関わっていくのでしょうか?
木村 基本的には原作のメインストーリーに随所で絡みつつ、“原作では語られなかった部分やエピソードの裏側”を体験できます。

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――なるほど。それでは、序盤のストーリーの見どころを教えてください。
Steve 小説の登場人物がダンジョン内にNPCとして登場するので、そういった部分が見どころだと思います。たとえば小説には“東方不敗”というキャラクターが登場します。小説では男性的なイメージが強いのですが、ゲーム内では中世的な美形キャラクターとして登場します。ストーリーが進むにつれてそういった人物が登場するので、小説に詳しい方であれば、その辺りも楽しんでいただけるのではないかと。

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――“東方不敗”というと、日本ではあるアニメの影響で最強クラスの壮年男性というイメージが強いと思いますが、本作ではどういうキャラクターなのでしょうか?
木村 “東方不敗”は男性としての姿と女性としての姿を持ち合わせていて、初期の頃は“プレイヤーにいろいろ教えてくれる正体不明の女性”という立ち位置なんです。ストーリーが進んで、原作のほかのキャラクターも出てくる頃に正体が明かされます。プレイヤーキャラクターの流派のひとつである“日月”の教主という立場なので、“日月”を選択しているとレベル10くらいのときに男性の姿として登場します。

――ちなみに、おふたりの好きなキャラクターは誰ですか?
Steve 私は“令狐冲”が好きです。

木村 “令狐冲”は原作小説の主人公です。序盤でプレイヤーが襲われているところを助けてくれて、そこから相棒のような立場で関わってきます。

Bear 私は“儀琳”ですね。理由は“純粋”なところです。周りに影響されず、最初から最後まで自分の意思を貫こうとする様に惹かれます。“令狐冲”の自由奔放な性格も魅力的だと思いますけど。

――中国ユーザーに人気のあるキャラクターは誰でしょう?
Steve “東方不敗”が1番人気だと思います。小説でもいちばん有名ですし、圧倒的に強いですからね。また、ゲーム化におけるアレンジで、原作とは違う一面も見られるので、その辺りも人気の理由なのではないでしょうか。

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令狐冲
儀琳
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東方不敗(女性の姿)
東方不敗(男性の姿)

さまざまなプレイスタイルに対応

――キャラクターのつぎはゲームの魅力について教えて下さい。
Steve 大きく4点あります。ひとつ目はキャラクターメイク。顔や体をかなり自分好みにカスタマイズできる点がウリです。ふたつ目はさまざまなスキルの組み合わせで自由に華麗なバトルを楽しめるところ。3つ目はグラフィックス。“ANGELICA III”という独自開発のグラフィックエンジンを採用していて、とても綺麗であると自負しています。4つ目はゲーム内のコンテンツ量ですね。かなりの量を用意しているので、長く楽しんでもらえると思います。

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――4つ目のコンテンツについて、注目してほしい点を教えてください。
Steve インスタンスダンジョンには注目してほしいです。ただ敵を倒して終わりというわけではなく、ダンジョンによってギミックや遊びかたが異なるので、新鮮な感覚で楽しめると思います。また、アクション性の高いゲームなので“闘技場”もぜひ体験してほしいですね。スキルの組み合わせでプレイ感覚がずいぶん変わりますので、自分に合った戦いかたを研究していただきたいです。

――今後のアップデートでも、どんどんコンテンツが追加されていくわけですよね。
Steve すでに数種類のダンジョンと武器の開発は完了済みです。新しいフィールドとして、滅亡後に砂漠化した文明をゲーム内に再現したフィールドも追加されます。キャラクターメイキングの要素にも変更が加わります。

Bear 現時点では、外見については男性と女性の2タイプしか選べないのですが、もう1種類追加される予定です。新キャラクターみたいなイメージですが、こちらの詳細は秘密とさせてください。それほど遠くないうちに実装できると思います。それと、ミニゲームの開発にも着手しています。

――ミニゲームについて具体的に教えていただけますか?
Bear ほかのプレイヤーを探し出してポイントを稼ぐ、言ってみれば“かくれんぼ”ですね。隠れる側はイスやタルのようなオブジェクトそっくりに変身できるのですが、ほんの少し違和感があるように作っています。

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――自分を強化したり、ダンジョンを攻略したりするわけではなく、お遊びの要素が強いコンテンツというわけですね。そういったコンテンツを実装しようと思った理由はなんでしょう?
Steve “キャラクターを強化する”、“ダンジョンを攻略する”という要素を突き詰めるだけだと、作業や仕事のように感じてしまうと思うんです。ゲームって本来は楽しいものなのに、単調な作業になるのは寂しいですよね。友だちといっしょに冒険するようなMMORPGの醍醐味の部分を疎かにするつもりはありませんが、ひとつの遊びかたに縛られないように、いろいろな面白さを提供したいと思っています。

――日本ではいつ頃に実装されるんでしょうか?
Bear 開発と検証までは完了していて、中国サービスではそろそろ実装される予定です。

木村 日本での導入時期は年内か年明けくらいになると思います。その前に大型アップデートが2回ありますので、それらを順次実装しつつ、ユーザーの動向を見ながら調整していきます。

――いまお話に挙がった2回の大型アップデートについて教えてください。
木村 新たなマップや“暗器”というサブ武器が追加されます。また、レベルキャップも開放されますので、すでに実装されているレベルキャップ80のダンジョンに入れるようになるのは大きいと思います。

――ちなみに、日本独自の仕様や企画や検討されていますか?
木村 日本専用のアバターの実装を企画中です。現時点で男女2パターンの準備が進んでいて、最大で5種類ほどになる予定です。

――どういった雰囲気のアバターになるのでしょうか?
木村 『VoV』の世界観を壊さないように、アジアンファンタジー風のデザインを用意しています。レベルキャップの解放などのタイミングに合わせて実装できたらいいなと考えています。

いまあえて日本に新規MMORPGを投入する意図とは?

――いまの日本のMMORPG市場は好調とは言いがたい状況にあると思います。このタイミングで新作MMORPGを日本市場に投入する理由や、日本でヒットさせるための秘策があれば教えてください。
木村 まず弊社がMMORPGを長く運用してきて、そのノウハウに強みがあると考えています。『VoV』は武侠小説としては世界屈指のメジャータイトルをベースにしていますが、日本では“武侠”というジャンル自体があまり浸透していません。“笑傲江湖”の物語としての面白さは折り紙つきですので、最初のハードルを越えていただくためにも、チャレンジングな施策も必要だとは考えています。

――ワールドワイドに展開するゲームの場合、国ごとに細かいカスタマイズをする場合があると思います。本作も日本のユーザーに合わせたカスタマイズは予定されていますか?
Steve 木村さんから紹介があった日本向けアバターがそのひとつです。また、国によってユーザーの嗜好は違いますから、自分たちの考えに固執しすぎるのはよくないと思います。なるべくユーザーの意見を吸い上げて、可能な限り日本のユーザーに合わせた仕様調整を検討していきます。

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“笑傲江湖”というビッグタイトルのプレッシャー

――“笑傲江湖”という有名な作品をベースにしたタイトルを開発、運営していくことに対して思い入れはありますか?
Steve ありますね。原作が生まれてから30年以上経っています。もともとのキャラクターの個性を活かしつつ、どうやっていまの時代に合わせてアレンジするか、頭を悩ませました。キャラクターだけでなく、ゲーム内の背景や建物についても同様です。

――原作に忠実にするだけだと若いユーザー層にとっては古く感じてしまう、ということでしょうか。ゲームとは直接関係ない質問なんですが、ここ最近で若い層が触れるような“笑傲江湖”がテーマの作品は出てきているんですか?

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Steve 小説、映画、ドラマと続いて、ドラマのリメイク版なんかも放送されています。だいたい10年ほどのサイクルで何かしらのコンテンツが発表されているので、さまざまな世代が影響を受けているはずです。中国では、ほぼ全員が“笑傲江湖”を知っているんじゃないでしょうか。

――それだけ大きなタイトルなわけですね。やっぱりプレッシャーは大きかったですか?
Steve そうとうのものでしたね(笑)。開発当初は小規模なテストをくり返しながら、キャラクターの性格や設定付けを細かくしてユーザーからフィードバックをもらって……と、慎重に進めました。

――日本のユーザーからのフィードバックはいかがでしたか?
木村 “武侠”というジャンルは新鮮に受け止められているようです。軽功(※)の操作感覚は独特ですし、世界観もよくできているな、と。声優さんの吹き替えについても評価が高かったですね。

(※軽功:中国武術における、体を軽くする鍛錬法のこと。本作では軽功によって宙を駆けるように移動できる)

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――ふつうのファンタジーとは違うからこそ、遊んでもらいたいですよね。それでは最後に日本のユーザー向けてメッセージをお願いします。

Steve より多くのMMORPGユーザーにプレイしていただきたい自信作です。先ほども申し上げましたが、みなさんの意見に合わせた調整をする準備も整っていますので、どんどんフィードバックをいただければと思います。

Bear 最近の中国のオンラインゲーム業界の傾向として、ユーザーと開発が明確に分かれているのではなく、いっしょに作っていくスタイルが定着してきています。日本でも同様に、日本のユーザーに合ったゲームをいっしょに作っていきましょう!

木村 “武侠”はあまり馴染みのない世界観かもしれませんが、少しだけ普段とは違うものを体験してもらえればと思います。一度プレイしていただければ、既存のMMORPGと似た部分も違う部分も感じてもらえると思います。

――ありがとうございました。