ダークなファンタジー。イイでしょう? 好きでしょう?

いたいけな少女と痛~いギミック 『hotL#NiQ -ホタルノニッキ-』プレイインプレッション【プレゼントあり】_01

 2014年6月19日に日本一ソフトウェアから発売されたプレイステーション Vita(以下、PS Vita)のアクションゲーム、『hotL#NiQ -ホタルノニッキ-』。私が本作を知ったきっかけは、発売を控えたある日、とあるファミ通編集者から「このゲームを記事にしてください」とソフトを手渡されたこと。たいへん不勉強ですが、それまで何の前情報も知らなかったんです。でも、いまふり返ってみると、そういうまっさらなところから本作に触れられたことがよかったんだと思っています。

 本作の舞台は、9999年12月31日の廃墟。その奥底の無機質な部屋に可憐な少女がひとり……。名前はミオンというのですが、記憶を失っているため、どんな事情があってそこにいるのかまったくわかりません。もちろん、その廃墟の全貌も。はっきりと感じ取れたのは、自分が思うより遠い未来の最後の日という終末感と、少女の孤独さ。そして、プレイヤーである私がミオンではないこと。暗闇を照らし、ミオンが進むべき道を示す導きの光として寄り添う2匹の“ホタル”が、私の役目でした。ホタルである私がツーッと動くと、ミオンはたどたどしい歩みでついてくる。瞬間、胸がきゅーん。いろいろとわからないことだらけだけど、この子を安心できる場所に連れ出してあげないと……! 本能的な感情が刺激され、ゲームを始めて数分も経たないうちに、ミオンとミオンを取り巻く廃墟の退廃的な雰囲気に魅了されてしまったのでした。

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いたいけな少女と痛~いギミック 『hotL#NiQ -ホタルノニッキ-』プレイインプレッション【プレゼントあり】_03
▲守ってあげたくなるオーラ全開のミオン。ほら、ちゃんとついてくるんだよ!
▲廃墟ゆえに明かりは少なく、危険な場所がいっぱい。気を引き締めていこう。

 私はその場から動こうと、高ぶった勢いのままPS Vitaのボタン押して操作系を探り、それほど迷うことなく、画面内の気になるところをダイレクトにタッチして、ホタルを操作することを理解しました。歩き続けるミオンをその場で待たせるには、ミオンにタッチして静止を促せばいいことなどにも気づきました。いや、ふつうに操作説明を読んでもよかったのですが、こんな風に手探りでわかるほど、簡素で直観的な操作だったんです。それも含めて、何もわからないところから自力で発見して会得していくのが楽しくて……。とはいえ、直観的なのに、本来の目的であるミオンの操作は間接的なんですよね。よくよく考えるてみると不思議で、独特な操作です。

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▲何かしらのアクションが起こせる場所は、光ってヒントをくれます。
▲慣性が働くので挙動はふんわり。したがって、こんな迷路では操作が難しく、壁にぶつかってエラーになることも……。

 特筆すべきは、探索を続けるうちに現れるもう1匹のホタル、“カゲホタル”の操作。カゲホタルは、ホタルが活動するふだんの視点ではミオンの影にちんまりと身を潜めているのですが、背面タッチパネルで影の視点に切り替えると、影の中だけをぐいぐいと進んで一定範囲にあるギミックに干渉する力を発揮します。ホタルとカゲホタルでは干渉できるギミックが異なるうえ、それぞれの視点でしか発見できないことがあります。また、影の世界では時間が止まるので、ミオンに危険が迫ってもう後がない! というときなどに、あえて影の視点にして落ち着いて考えたりもします。表裏一体のふたつの世界をつねに意識して先を目指す……。しかも、背面タッチで“裏の世界”に切り換わるだなんて、設定とベストマッチだと感心しました。

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▲カゲホタルで動かせるギミックも、ささやかに発光。ホタルでの導きがうまくいかないときは、影の視点に解法を見いだすことが案外多いようです。
▲背面タッチパネルをオフにして、ホタルとカゲホタルの両方を前面のタッチスクリーンで操作することもできます。かく言う私は慌てると操作がおぼつかなくなる腕前のため、途中のステージからそうして進めたことを告白します。

 本作に明確なチュートリアルはありません。自分の目で観察し、推測して障害をひとつひとつ乗り越えていくこと自体がチュートリアルになっています。廃墟探索の序盤では、崖を乗り越えたり、周囲のオブジェクトを利用して足場を作ったりと探索の基本とも言える簡単なものが続きますが、先に進むにつれてそれがだんだんエグくなってきてタイヘンです。足をとられるベルトコンベヤーが行き着く先には円形のノコギリが回っていたり、巨大な歯車に押しつぶされそうになりながら進まなくてはいけない場所があったり……。ミオンは見た目通りか弱いので、そんなものに触れたらひとたまりもありません。いったいこの廃墟、誰が何のために作ったんでしょうね?

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▲ヤツら、殺しに来てるとしか思えない。というか、だいたい死にます。

 そして、何の理由があってか、敵意むき出しで襲い掛かってくる実体のない謎の影たち。それだけじゃなく、機械までが意思を持ったかのようにミオンに襲い掛かってきます。さまざまな危険物をやり過ごすだけでもギリギリなのに、そのうえコレです。もちろんミオンが応戦できるはずもなく、逃げる方向を示してあげなければ恐怖に身を震わせているだけです。こうした敵と邂逅するのはゲームのまだ序盤ですが、もうそこから無慈悲ワールドが展開。出来る限り事故を未然に防ぐため、つねに先回りしてミオンを安全に導きたいのだけれど、ほとんどがミオンを死なせてしまってから、どうしたら防げるかを考えることのくり返しになります。また、ミオンの断末魔に出る音は絶妙で、よく聞くとむごたらしい音なんです……。それなのに表情は、「キャッ」ぐらいのダメージしか受けていないようなキュートさ。自分のせいでひとりの少女を殺めてしまったと罪悪感を募らせる前に、サッとリスタートする“なかったことシステム”。そ、そんなに軽くていいの? でも、死の寸前からやり直しでがきなければ心が折れてしまいそうな、キワキワの難度ですし……。本当は納得してはいけないのだけど、それを“しょうがない”で済ませる麻痺した感じが、なんとも。私に本作を薦めた編集者が、「失敗して覚えるゲームです」とひと言だけ補足していましたが、その意味が身に沁みます。

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いたいけな少女と痛~いギミック 『hotL#NiQ -ホタルノニッキ-』プレイインプレッション【プレゼントあり】_10
▲影に日向に、うじゃうじゃいます。ああ憎ったらしい。
▲でかいなんて反則ー! でも、知恵を絞ってコイツをやり過ごすのは楽しかった。

 途中、ちょっとしたことを見逃して思いきり詰んでしまったり、自分のもたもた誘導にイライラしてヒステリックになったりもした私でしたが、発売後のいまなら、「ここ、どうやってクリアーした?」なんて情報交換もできるから、皆さんが本編をクリアーするのはきっとそんなに難しいことではないと思います。ただ、各ステージに散らばった“記憶のカケラ”を集めるのはタイヘンでしたよ。ふだん見落としそうな場所に、ひっそりと双葉を輝かせている記憶のカケラを入手すると、断片的に何者かの記憶が映像で流れてきて、物語の真相を知ることができるのですが……。じつは、それを見たいま、自分の解釈が合っているのかよくわからなくて……。先入観がなくまっさらな状態から初めて、もやをかき分けるように手探りでここまでやってきたのに、まだ釈然としないとは(笑)。でも、それが本作が醸し出す独自の空気だと思っています。いまだに世界に陶酔しているようなので、誰かと語りたくなりますね。

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▲あれって、やっぱりそういうことなんでしょうか……。

text:奥村キスコ
Profile
週刊ファミ通、ファミ通コネクト!オンなどに記事を書く女性ライター。

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hotL#NiQ -ホタルノニッキ-
メーカー 日本一ソフトウェア
対応機種 PSVPlayStation Vita
発売日 2014年6月19日発売
価格 初回限定プレミアムボックスは5800円[税抜](6264円[税込])、ダウンロード版は2857円[税抜](3086円[税込])
ジャンル アクション / ファンタジー
備考 キャラクターデザイン、ディレクター:古谷優幸