東西の最激戦区を最初に通過したチームは……?
アークシステムワークスが主催する対戦格闘ゲーム全国大会“ARC REVOLUTION CUP 2014”(略称、あーくれぼ2014)。同大会は、アークシステムワークスのアーケード版対戦格闘ゲーム『ブレイブルー クロノファンタズマ』(以下、『BBCP』)、『GUILTYGEAR Xrd-SIGN-(ギルティギア イグザード サイン)』、『ペルソナ4 ジ・アルティマックス ウルトラスープレックスホールド』の3タイトル合同で行われる公式大会だ。日本各地のゲームセンターで予選大会が開催され、予選を突破したプレイヤーは8月末の決勝大会に出場できる。今回は、2014年6月28、29日の予選第3週からセガ難波アビオンと東京レジャーランド秋葉原店で行われた『ブレイブルー クロノファンタズマ』予選の模様をお届けする。
セガ難波アビオン予選には前回覇者ガリレオ選手が参戦
近畿エリアは、前回あーくれぼのベスト4中3人が同エリアのプレイヤーということもあり、そのレベルの高さがうかがえる激戦区だ。注目の近畿エリアA最後の店舗代表チームを決めるセガ難波アビオン予選には、前回覇者の“ガリレオ”選手(ライチ)、カルル使いの強豪“えーすけ”選手(カルル)、ぷれあーくれぼでの活躍が記憶に新しいラスクグランディア選手(テイガー)など、近畿エリアのトッププレイヤーを中心に12チームが参加した。ここでは、ガリレオ選手(ライチ)・こがたん選手(ラグナ)のチーム、“パナしていいとも!”を中心にみていこう。
パナしていいとも!の1回戦は、ラスクグランディア選手(テイガー)・桜花選手(ハクメン)の“軍団MASAOKA”。テイガーとハクメンはどちらも一発逆転の力を秘めたキャラクターで、プレイヤーもトップクラスの実力の持ち主ということもあり「かみあったら危ない」と警戒するガリレオ選手。しかし、ガリレオ選手、こがたん選手ともに慎重な立ち回りでチームとして2-0の勝利。
2回戦は、“すずね”選手(ミュー)・“かましお”選手(レイチェル)のチーム“何でもいいです”。ガリレオ選手はすずね選手に体力残り数ドットまで追い込まれながらも、怒涛の逆転勝利を収める勝負強さを発揮。追い込まれながらも最後まで冷静に立ち回る姿には、覇者の貫録が感じられた。パートナーのこがたん選手も勝利して準決勝へ。
準決勝は、セッカマン選手(ジン)・イヌにゃこ選手(カグラ)の“あっせんチーム”。ガリレオ選手は2回戦の劇的な勝利で勢いがついたのか、準決勝もさすがの試合運びで勝利。チームも2-0で勝ち決勝戦へ進出。
決勝戦は、えーすけ選手(カルル)・まっち選手(ラグナ)のチーム“乱レボ”。大会開始前ガリレオ選手にお話をうかがった際、ガリレオ選手がもっとも警戒していたチーム。その模様は↓の動画の通り。
セガ難波アビオン店舗予選決勝こがたん対まっち
セガ難波アビオン店舗予選決勝ガリレオ対えーすけ
セガ難波アビオン店舗予選決勝ガリレオ対まっち
上の動画の通り、こがたん選手が敗れて追いつめられたパナしていいとも!だったが、ガリレオ戦が逆2タテを達成してチームを優勝に導いた。
関西の強豪がひしめく近畿エリアA決勝
近畿エリアAの決勝は、下記の店舗代表5チームによって行われた。
・セガワールド布施代表:レインボー
イワシ選手(ラグナ)、フェンリっち選手(ジン)
・タイトーFステーション あべのアポロ店代表:僕たちプレアークレボ覇者だけど君達は?
マトイ選手(ココノエ)、伊藤 冴選手(カルル)
・クラブセガ藤井寺代表:意識
ムリ心中(ジン)、蜜柑野郎(カルル)
・あうとばぁん代表:もう全部しばく
ザギ選手(アラクネ)、ユキクネ(テイガー)
・セガ難波アビオン:パナしていいとも!
ガリレオ選手(ライチ)、こがたん選手(ラグナ)
どこが勝ってもおかしくないトッププレイヤーばかりが集まるエリア決勝。まずは各チームを簡単に紹介。最有力チームともいえるのがフェンリっち選手の“レインボー”。フェンリっち選手はその若さから公式全国大会などの実績はないが、関西の上位プレイヤーを圧倒する実力を持つ最強クラスのプレイヤーだ。近畿エリアAの店舗予選を最速で通過したことからもその実力がうかがえる。僕たちプレアークレボ覇者だけど君達は?は、5月に行われた公式大会“ぷれあーくれぼ”で優勝したマトイ選手、伊藤 冴選手が組んだチーム。意識は、関西最強クラスのジン使い“ムリ心中”選手とぷれあーくれぼの大同キャラ戦優勝を果たした蜜柑野郎選手のチーム。もう全部しばくは、関西では珍しいアラクネ使いのザギ選手と操作タイプ“スタイリッシュ”を使いこなすユキクネ選手のチーム。パナしていいとも!は、前回あーくれぼ覇者のガリレオ選手と“Dインフェルノディバイダー”を活用した強気のスタイルが持ち味のラグナ使いこがたん選手のチームだ。エリア決勝はこの5チームによるトーナメント形式で行われた。1回戦の中から、パナしていいとも!対レインボーの試合をピックアップ。
近畿エリアA準決勝フェンリっち対こがたん
近畿エリアA準決勝いわし対ガリレオ
近畿エリアA準決勝いわし対こがたん
以上の通り、こがたん選手がガリレオ選手の不調をフォロー。フェンリっち選手、いわし選手を倒してチームを勝利へ導いた。そして決勝戦は、パナしていいとも!と、もう全部しばくを撃破して勝ち上がった“僕たちプレアークレボ覇者だけど君たちは?”の一戦となった。下がその対戦動画だ。
近畿エリアA決勝戦伊藤 冴対こがたん
近畿エリアA決勝戦マトイ対ガリレオ
決勝戦は、勢いに乗ったこがたん選手が伊藤選手をストレートで撃破。「ライチはココノエにいける」と語っていた通りガリレオ選手もマトイ選手に勝利して、チームとして2勝を挙げて優勝。全国決勝大会進出を決めた。
東京エリア初の全国大会進出チームが決定!
2014年6月28日(日)、東京秋葉原の東京レジャーランド秋葉原店では、店舗予選と関東地区では初となるエリア決勝が開催された。同店は対戦格闘ゲームのメッカ“アキバ”エリアの一角にある総合型店舗。音楽ゲームやプライズゲーム、レトロゲームなどが豊富に揃い、さまざまなジャンルのアーケードゲームファンが集う店として知られる。もちろん、対戦格闘ゲームにもかなり力を入れており、最新タイトルからクラシックタイトルまでさまざまなゲームの大会が常日ごろ開催されている。
店舗予選では22チームがエントリー。予選ブロック“東京エリアA”のラストとなる戦いもあって、これまで予選突破を逃した猛者が、最後のチャンスを求めて多く集まることに。決勝戦は“ダイワ”選手(プラチナ)と“すーや”選手(ヴァルケンハイン)による【ダイワで~す】チームと、“ダイスル”(ノエル)選手と“たけのこ”選手(カグラ)の【たけのこ先生とファンその一】チームによって競われた。
その結果、【たけのこ先生とファンその一】チームが勝利し、予選を突破! “ダイスル”選手が操るノエルの変幻自在なチェーンリボルバー、“たけのこ”選手のカグラによる猛烈な押しの攻めが、【ダイワで~す】チームを押し切る形となった。
続いて、“東京エリアA”のエリア決勝が始まる。この戦いに集まったのは、先程予選を勝利したばかりの【たけのこ先生とファンその一】と、東京レジャーランド秋葉原店、クラブセガ新宿西口、東京レジャーランド小岩、タイトーイン綾瀬、ハイテクランドセガ立石で開催された予選をくぐり抜けた計6チーム。激戦区と言われる東京都心部のブロックを象徴する壮絶な戦いが開幕前から予想された。
勝負は、まず3チームずつ2ブロックに分けたリーグ戦を行い、最後に各ブロックの最上位チームどうし戦うルールで競われた。
前半ブロックでは、リーグ戦が終わってみれば3チームとも勝敗だけでなく、勝ち・負けラウンド数もすべて同一というデッドヒートに。急遽、各チームから1人を選出して再びリーグ戦を行うことになった。この戦いで勝ち残ったのは、“南”選手(ココノエ)と、“マスコットESP”選手(タオカカ)の【代打ESP】チーム。
いっぽう、後半ブロックでは“紅也”選手(ノエル)と“りゅうせい”選手(カルル)による【紅也のチェンジアップ】がリーグ上位チームに。こちらは最後に強豪“こなん”選手、“いさ”選手のチーム【電脳学園】を下しての突破となった。
東京エリアA決勝戦南対りゅうせい
東京エリアA決勝戦マスコットESP対紅也
東京エリアA決勝戦南対紅也
そして、決勝戦。先鋒戦の“南”選手(ココノエ)対りゅうせい”選手(カルル)戦こそ、“南”選手の技が光り、【代打ESP】チームが勝利したが、続く2戦、3戦では【紅也のチェンジアップ】チームの“紅也”選手が、両者拮抗する戦い中で的確に反撃を決めて、“マスコットESP”選手と“連取。関東地区初の全国大会進出を決めた!
近畿エリアA優勝チームインタビュー
ガリレオ選手(左)、こがたん(右)。
――優勝おめでとうございます。
ガリレオ これまで店舗予選には3回出ていて、惜しいところで負けてたんですよ。最近はあまり結果が出ていないこともあり、やり込みに自信が追いついてなかったんですが優勝できてよかったです。今日は相方に助けられました。ありがとう(笑)。
こがたん 今日は体調がものすごく悪くて……そのおかげで緊張しなかったのがよかったですね(笑)。
――ふだんは緊張してしまうほうなんでしょうか?
こがたん そうですね。緊張しちゃいます。でも、今日は疲れ過ぎていたので緊張しませんでした(笑)。
――エリア決勝ではフェンリっちさんを倒していましたね!
こがたん フェンリっちも大会で緊張するタイプだから、いつもより動きが堅かったのですごく助かりました。
ガリレオ フェンリっち君には、ふだんかなり負けているんですよ。でも、彼は大会だと少し動きが悪いんですよね。まあでも、野試合で負けても大会でどう勝つかというのが問題なので、こがたんがやってくれてよかったです(笑)。
――お互いが助け合っていて、すごくいいチームだと感じました。チーム結成のきっかけを教えていただけますか?
ガリレオ 昔からこがたんとチームを組むことが多かったんですけど、たまたま別の人と組んだときに大きい大会で優勝しちゃったので、「これはもうこがたんを勝たせなきゃあかん」と思って組みました。でも、今日は逆に助けれてしまいました(笑)。
こがたん でも、俺が負けたときはガリレオが勝ってくれたし、助け合えてよかったよ。
――そうやってチームメイトと助け合うのが、チーム戦の醍醐味ですよね。ちなみに優勝を決めた決勝戦を振り返ってみていかがですか?
ガリレオ ココノエ戦は相手のセットプレイを調べたり、通信対戦をしたりと、相当詰めてきたので自信はありました。ただ、マトイさん自身もすごく強いので、どう咬み合わせてくるかというのがあったんですけど、読み通りにいってよかったです。僕としては、ココノエよりもカルルのほうが嫌でしたね。でも、こがたんががんばってくれました。
こがたん 運がよかった場面が多かったですけど(笑)。
ガリレオ 相手が雰囲気に飲まれてる感じもありましたね。僕らは店舗予選から勝ち上がってきたので勢いがありましたし。
こがたん 今日は運が来てるって感じがあって、途中から負ける気がしなかったですね。
――得意のインフェルノディバイダーの切れ味が今日もよかったですね。
こがたん そうですね。今日はあまりひどい目には合わなかったです(笑)。
ガリレオ Dインフェルノディバイダーは、リターンがすごくある強い技なんです。でも、リスクも大きいのでそこを気にして打てなくなる人が多いんですよ。そこを煮詰めているのは、全国でもこがたんくらいだと思います。だから、僕としてはドンドン打ってほしいですね。
――パートナーとして、危ないから止めてほしいではなくて?
ガリレオ どんどんパナしてほしいですね。僕らは「パナしていいも!」なんで(笑)。Cインフェルノディバイダーもほぼ当たっていましたし、今日の相方は冴えてましたね。
――Cインフェルノディバイダーとガントレットハーデスだけで勝ったような試合もありましたよね(笑)
ガリレオ ホンマそれや(笑)。
こがたん ははは(笑)。でも必死やった(笑)。
――本戦に向けての意気込みを聞かせていただけますか?
ガリレオ 前回のあーくれぼは運よく優勝できたんですけど、それもあって注目されるかもしれませんが、そんなことよりもどうにかしてこがたんを勝たせたいです。もちろん、優勝を目指して行きます。
こがたん 今日みたいに緊張しないでできればと思います。それで優勝できたらうれしいですね。
――最後に、先に本戦出場を決めたということで、ほかのブレイブループレイヤーへメッセージをいただけますか?
こがたん 遠征してでも最後までがんばってほしいですね。僕らも何度も悔しい想いをしてきてるので。
ガリレオ そうですね。勝つために手段を選ばずにやってほしいですね。最後まであきらめずに。あと、予選通過圏内にいる15段くらいの人は積極的に参加しているんですけど、それより下の人があまり参加していないんですよね。個人的にはそういう人たちもぜひ参加してほしいと思います。参加することで絶対にチャンスが生まれますし。
――そうですね。大会では何が起こるかわかりませんからね。
こがたん 大会にはいろいろな人が集まるので、交流を深める意味でも参加したほうが楽しいと思いますよ。
――それでは本戦もがんばってください。
東京エリアA優勝チームインタビュー
――優勝おめでとうございます! 今現在の心境をお聞かせください。
りゅうせい めっちゃめちゃうれしいです!
紅也 心臓が痛いです(笑)。今日はすべての試合で大将を務めて、プレッシャーが続く試合ばかりでしたから。
――エリア決勝ではココノエを使うチームが多かったですが、事前にココノエ対策はしていましたか?
紅也 身近に強いココノエのプレイヤーがふたりいることもあって、彼らから対策やネタを聞いていました。おかげでかなりココノエ戦は強くなりましたよ。
りゅうせい選手 彼の努力はほんとうにすごかったですよ。
――特に今日はエリア決勝とあって、どの試合も余裕はなかったのでは?
紅也 うまく集中できたので、緊張して手が震えるということはなかったのですが、優勝した瞬間に一気に疲れがきましたよ。
りゅうせい もう、勝った瞬間はまず泣いた! という感じでしたね。本当にどのチームが勝ち抜けてもおかしくない戦いでしたから、今日は運がよかったなぁという思いです。
――決勝戦の戦いを振り返っていかがですか?
紅也選手 “南”選手が絶好調なのは間近で見ていて分かっていたので、正直不安でした。
りゅうせい 僕は最初から勝ってくれると思っていましたよ! 決勝戦の初戦で“南”選手と戦ったときは、イケるかな、という気持ちと、負けるかな? という不安が同時にあったのですが、最終的には“南”選手の強さが上回っていましたね。ココノエ対策もそこそこしていたのですが、最後は実力の差がでましたね。
――紅也さんは最後の試合で見せた、“補正切り”の絶妙なテクニックが光っていました。練習を重ねていたのですか?
紅也 なにせ必死だったので、とっさにコンボ選択をできなかったんです(笑)。でも、ミスしたときに冷静にフォローできたのがうまく補正切りになったのかなと。メンタルは強いほうなので、それが幸いしました。
――全国大会への意気込みを聞かせてください!
りゅうせい 関西の“ガリレオ”選手と壇上で戦いたいですね!
紅也 全国大会もがんばって勝ち進んで、いちばん高いところに行けたらと思います!
――全国大会の活躍、期待しています!
■取材・撮影:豊泉三兄弟(次男)、大瀬子ヤエ