国内PS Plus会員向けのフリープレイタイトルとして、初のインディーデベロッパー製タイトル

 Q-Gamesの『PIXEL JUNK』シリーズ最新作『PixelJunk Shooter Ultimate』が、2014年6月18日からの1ヵ月間、PS Plus加入者限定のフリープレイタイトルとして配信される。対応機種はプレイステーション4およびプレイステーション Vita。両機種間のクロスセーブに対応しているほか、どちらか一方を購入すればもう一方の機種でもプレイ可能となるクロスバイ方式を採用しているのが特徴だ。

 本作は、PS Storeで配信中のプレイステーション3用ソフト『PixelJunk Shooter』およびその続編『PixelJunk Shooter 2』の内容を収録した“完全版”。全方向スクロールシューティングとしての爽快感とひねりのきいたパズル性を同時に楽しめるアドベンチャーモードは、『2』の仕様を基準に、全体的なブラッシュアップがかけられている。

プレイステーション4版

『PixelJunk Shooter Ultimate』がPS Plus加入者を対象に、期間限定で無料配信 PS4とPS Vitaのクロスプレイやクロスバイを初実装_02
『PixelJunk Shooter Ultimate』がPS Plus加入者を対象に、期間限定で無料配信 PS4とPS Vitaのクロスプレイやクロスバイを初実装_03
『PixelJunk Shooter Ultimate』がPS Plus加入者を対象に、期間限定で無料配信 PS4とPS Vitaのクロスプレイやクロスバイを初実装_04
▲プレイステーション4版はグラフィック面が大幅に強化。背景や流体の質感表現がリッチになったほか、洞窟の隙間から光の筋が……といった何気ない場面演出にも生かされている。

プレイステーション Vita版

『PixelJunk Shooter Ultimate』がPS Plus加入者を対象に、期間限定で無料配信 PS4とPS Vitaのクロスプレイやクロスバイを初実装_05
『PixelJunk Shooter Ultimate』がPS Plus加入者を対象に、期間限定で無料配信 PS4とPS Vitaのクロスプレイやクロスバイを初実装_06
『PixelJunk Shooter Ultimate』がPS Plus加入者を対象に、期間限定で無料配信 PS4とPS Vitaのクロスプレイやクロスバイを初実装_07
▲PS Vita版のグラフィックはプレイステーション3版準拠。移植を手掛けたイギリスのゲーム制作会社DOUBLE ELEVENの技術力により、水やマグマといった流体の動きも遜色なく再現されている。

 アドベンチャーモードのふたり協力プレイや、競技性の高いオンラインバトルモードはクロスプレイ対応。クロスバイで入手したプレイステーション4とプレイステーション Vitaどうしでも遊べるのがうれしい。フリープレイ期間終了後はPS Storeで1850[税抜]にて販売予定とのこと。本作が気になるユーザーは、これを機にPS Plusに加入してみるのもいいだろう。

『PixelJunk Shooter Ultimate』PS Plus配信記念・ミニインタビュー

 国内PS Plus会員向けのフリープレイタイトルとして、初のインディーデベロッパー製タイトルとなる『PixelJunk Shooter Ultimate』。今回の配信を記念して、Q-Gamesスタッフならびにソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア(SCEJA)のご担当者に、PS Plusのいま、インディーゲームの今後について語ってもらった。

『PixelJunk Shooter Ultimate』がPS Plus加入者を対象に、期間限定で無料配信 PS4とPS Vitaのクロスプレイやクロスバイを初実装_01
▲左から、伊藤雅哉氏(Q-Gamesプロデューサー)、ジョン・デイビス氏(同アシスタントプロデューサー)、伊東章成氏(SCEJA)、ディラン・カスバート氏(Q-Games代表取締役)。

──日本国内に先行して配信されている海外での反応はいかがでしょうか?

ディラン 配信が始まってから2週間ほど経ちますが、SNSでのコメントを見る限り、すごく人気が出ていますね。プレイステーション4ユーザーが投稿したオンラインバトルのプレイ動画なんかは、観ていて楽しいですね。

伊藤 アドベンチャーモードのスコアアタックも盛り上がっています。「ここにあるジュエルをあえて取らない方がスコアを稼げる」みたいな感じで、着々とストラテジーが固まりつつあるようです。

ディラン 今作はプレイステーション4-PS Vitaの各種クロス機能をプッシュしています。とくにクロスプレイ対応は、PS Plus向けタイトルでは初めてじゃないかと。個人的にはクロスセーブが気に入っています。家ではプレイステーション4で遊んで、電車移動する時にPS Vitaで続きを……というプレイスタイルがおもしろいですね。

『PixelJunk Shooter Ultimate』がPS Plus加入者を対象に、期間限定で無料配信 PS4とPS Vitaのクロスプレイやクロスバイを初実装_08

──今回のPS Plus向け配信を機に、より多くのユーザーに『PixelJunk』シリーズの魅力が伝えられそうですね。

ディラン 『PixelJunk Shooter』は、とくにコンシューマ・フレンドリーなゲームです。アドベンチャーモードは、新しいグラフィック表現の技術が投入されていながらも、1980年代の2Dゲームのようなノスタルジックなプレイ感覚もあるので、それぞれのレベルで楽しめると思います。日本国内に限って言えば、プレイステーション3版『2』はリリースのタイミングに恵まれなかったので、今回の『Ultimate』で初めてプレイされる方も多いでしょうね。

──SCE側で『PixelJunk Shooter Ultimate』をPS Plus向け配信タイトルとして選んだ経緯を教えてください。

伊東 ワールドワイドに人気を博しているインディーゲームのシリーズ最新作、という話題性があり、シンプルな操作で誰でも気軽に楽しめるゲーム内容であることからお話を持ちかけました。ダウンロードコンテンツをいろんな形で遊べるPlus会員とインディーゲームとの相性がよかったというのもありますね。

伊藤 インディーデベロッパー側としては、パッケージを作って在庫を抱えるやりかたはしんどいんです。ダウンロード購入して短時間で遊ぶ……というスタイルが普及してくれるのは、プレイステーション3時代から『PixelJunk』シリーズを展開してきたウチとしては願ったりです。

ディラン 『PixelJunk』シリーズの第1弾『PixelJunk Racer』の企画は2006年末、プレイステーション3が発売されてまだ間もない時期に、SCEに直接話を持ち込みました。社員30人くらいの会社で、5人の開発チームで作りますと説明したら、当時の担当者に「そんなので作れるの?」って言われて(笑)。当時はインディーゲームの土壌がなかったから、対応のしかたがわからなかったんでしょうね。あのときの私たちのフロンティア精神によって、ほかのインディーデベロッパーにもPSN配信の道筋ができたと思います。

『PixelJunk Shooter Ultimate』がPS Plus加入者を対象に、期間限定で無料配信 PS4とPS Vitaのクロスプレイやクロスバイを初実装_09

──少し意地悪な質問になりますが、インディーゲームならでの自由な風土は、SCEとの関係性の中でも保たれているのでしょうか?

ディラン クリエイティビティに対しては何も言わたことがないですね。そもそも僕たちが自分たちのお金で作っているゲームだから、SCEが何か言えるわけがない(笑)。資金提供を受けている海外インディーデベロッパーからも、そういう面での口出しはないと聞いています。

伊東 アドバイスを求められた際は応えますが、基本的にはデベロッパーさんに好きなゲームを作っていただき、それをユーザーに届ける環境を提供することが、私たちの役割と考えています。CERO審査に通る限り、ゲーム性や遊び方に関してはお任せしています。

ディラン SCEやSteamもそうですが、インディーデベロッパーとの関係がフレンドリーですね。大手パブリッシャーの大作も存在しながら、ゲームデザインのコントロールを開発者側でできる小規模チームのゲームも遊べるいまはすごくバランスがよくて、これから一層ゲーム業界が盛り上がっていく気がします。

伊藤 私たちもインディーのトップクラスのデベロッパーとして、日々前進しています。もう少ししたら新しい動きも発表できますので、まずは『PixelJunk Shooter Ultimate』を存分に楽しんでいただきたいですね。

『PixelJunk Shooter Ultimate』がPS Plus加入者を対象に、期間限定で無料配信 PS4とPS Vitaのクロスプレイやクロスバイを初実装_10

(取材・文 ライター/戸塚伎一)