『バトルフィールド』シリーズと言えば、軍事力どうしの衝突を広大なフィールドを用いて表現してきた作品だ。
第二次世界大戦やベトナム戦争といった史実をもとにした舞台だけに留まらず、現代戦や『バトルフィールド2142』のような未来を題材にするものまでリリースされている。FPSゲーマーにとっては“御存知”のタイトルと言っても差支えがない、エレクトロニック・アーツの一大ブランドと言っても差支えはないだろう。
さて、そんな大人気シリーズの新作として先月電撃発表された『バトルフィールド ハードライン』(以下、BFHL)。これまでのシリーズとは異なり、アメリカの都市部を舞台に“犯罪組織対警察組織”という、一線を画す内容になると発表され、衝撃的なデビューを飾った。
そして、先日行われたE3のエレクトロニック・アーツが主催するカンファレンスにて、本作の更なる紹介とともに、PC版とPS4版のマルチプレイヤーモードのβテスト開始がその場でアナウンスされるという前代未聞の展開! これは早速プレイするしかないぜ!! ってことで、PC版とPS4版をみっちり遊んでみた印象を書いていこうと思う。
基本的なシステムはBF4を継承し、世界観に合わせてアレンジ
現在行われているβテストは最大32人が参加可能で、「BLOOD MONEY」と「HEIST」と呼ばれる2つのモードで遊ぶことができる。この2つのモードはBFHLで新たに作られたルールで、過去のシリーズ作には登場しなかったルールだ。簡単ではあるが、下にルールの説明を記述したので参考にしてほしい。
■BLOOD MONEY
犯罪者側と警察側に分かれて規定の金額を確保するのが目的。マップの中央に中立となるキャッシュボックスが配置されており、両陣営ともにこのキャッシュボックスから現金を抜き出し、陣営ごとに用意されている現金輸送車へ500万ドルを入金・確保すると勝利となる。
キャッシュボックスからだけではなく、敵陣営の現金輸送車からも金を盗み出すことができるため、意識的にディフェンスも行わなければならない変則的なルール。なお、一度に運び出せる金額は50万ドルまでとなっている。現金の輸送中に倒されてしまうと、その場に札束をドロップし、敵に奪われる可能性が高く、緊張感のあるゲームモード。
■HEIST
犯罪者側と警察側に分かれて戦う。犯罪者側はマップ上に配置されている2台の現金輸送車を爆破し、2カ所設けられているポイントへと現金を輸送するのが目的。警察側は犯罪者側を倒し、復活可能な回数(チケット)をゼロにするか、時間制限を迎えるまで現金の輸送を阻止することで勝利となる。
犯罪者側が現金の輸送中に倒されてしまうと、現金をその場にドロップしてしまう。だが警察側は、現金を犯罪者側に触られないよう、一定時間確保し続けなければ初期位置に戻すことができない。攻守がハッキリと別れ、BLOOD MONEYとは趣の異なるルール。
βテストでは、上記2つのルールを、「HIGH TENSION」と呼ばれるロサンゼルスの封鎖された市街地を模したマップで戦うことになる。マップの雰囲気はまさにアメリカの都市部にあるオフィス街といった感じで、高層ビルが立ち並び、平時ならスーツ姿のワーカーが行き交っているんだろうなといった印象。
入り組んだ場所もあり、立体交差もあるため、高低差を意識してプレイする必要がある。マップの雰囲気については、先日のカンファレンスで公開された動画を見てもらえれば掴むことができるはずだ。
▲HEISTで戦っている動画。『バトルフィールド4』から導入された、マップ上のオブジェクト破壊により環境が変化するレボリューションの存在も確認できる。
武器やガジェットのアップグレードは金で買え
さて、最近のバトルフィールドシリーズと言えば、階級や武器の熟練度に応じて新たに装備類がアンロックされる仕組みとなっていた(リボンによるアンロックとか色々あるけどそれは置いといて……)。
本作でもこの路線は踏襲すると思われるのだが、現在行われているβテストでは武器自体のアンロックは存在しない。代わりに、プレイヤーの活躍に応じて随時入金されるキャッシュ(プレイヤー固有のお金)で購入することになる。このキャッシュを貯めることで、ガジェットやアタッチメントを購入することが可能になるのだ。
購入可能なガジェットの中には、1度の出撃につき1度だけ自分を蘇生出来るものや、ビル間を移動できるジップライン、建物をよじ登るグラッピングフックなどがある。
ただし、武器のアタッチメントについては初期状態からいろいろ購入できるわけではなく、同じ武器を使い続けることで少しずつダットサイトやスコープ、グリップ、バレルが購入可能になるという形。個々の武器の熟練度を上げる手間はかかるが、アタッチメントによっては集弾性の向上やファイアレートの変化が見られるので、自分に合った構成を見つけられるはずだ。
そして、バトルフィールドの醍醐味と言えばビークル。本作は戦車や戦闘機といった軍事兵器は登場しないが、チェーンガンを備えたSUVやSWAT御用達の装甲が施されたバンなど、様々な乗り物が登場する。ちなみに、ビークルによっては箱乗りで敵を攻撃することも可能だ。ドライブバイで敵を排除してみたい!
中でも注目すべきはモバイルスポーンポイントと呼ばれる大型車両。このビークルはチーム全員が利用可能なスポーンポイントとなるシロモノ。上手く利用することができれば、相手チームよりも戦略的優位に立てるかもしれない。
金を盗むだけじゃなくて盗まれないように注意!
システムを先に紹介するため前後逆になってしまったが、各モードのプレイフィールについても言及しようと思う。
まずはBLOOD MONEYについて。このモードは前述したとおり、中央にあるキャッシュボックスからだけでなく、敵側の現金輸送車からもお金を盗み出すことが可能となっている。そのため、ちょっとでもディフェンスが疎かになると、敵が自陣側の現金輸送車両付近を制圧し、金を盗まれるわ、ノコノコ現金を持って帰ってきたプレイヤーが狩られるわで大惨事になる。
なので、攻守が両立していないチームだと勝利することは難しく、終わってみればボロ負けといった状態も少なくない。これからβテストで遊ぼうと思っている読者は、ちょっとでもいいのでディフェンスも意識して遊んでみるといいだろう。逆に、敵の現金輸送車両から金を盗み出している時の緊張感と行ったら、もう、ドキドキしっぱなし。このスリルはたまらないものが有りますわ。幸運にも友人がクローズドベータテストに当選していたので、その時のプレイ模様をダイジェストで紹介。
※動画中、勘違いしてキャッシュの回収速度について触れているが、大間違い。回収人数に比例して早いのかもしれない(よくわかってない)。
金を運ぶ時はビークルをうまく使え!
次にHEIST。こっちのルールは攻守がハッキリと分かれているため、BLOOD MONEYより戦況が把握しやすい印象だ。
攻撃側(犯罪者側)は、ゲーム開始直後に警察が防衛体制を整える前に爆弾を現金輸送車に仕掛けられれば有利にことが運びやすい。対する防衛側(警察側)は、スタート時に現場へ急行し、爆弾の設置を阻止できれば大きなアドバンテージとなるはずだ。
現金の入ったバッグの位置は画面上にアイコンで表示され続けるため、奪い合いがメチャクチャ激化。運良く現金を奪取しても、敵が集中攻撃を仕掛けてくるので、持ち歩いての移動は困難。
そんなときにありがたいのが、味方のビークルによる移送。現金奪取に合わせてビークルに乗せてもらい、目的地の手前まで移動、これを映画ばりに決めることができれば、まさにハイテンションといった感じになる。まぁ、ヘリに乗せてもらったところで、ビルに刺さったり乗り捨てられたりすることも少なくないんだけどね……。
※トンファーを使用して背後から打撃を与えれば、敵を逮捕できる!
まだまだ全体像が見えない未知数のゲーム。製品版に向けての取り組みに期待したい
現在行われているのはβテストということで、あくまでも"遊ぶため"のテストというよりも、開発側による負荷テストやゲームバランスのフィードバックが主な目的となっている。そのため、インゲームで使用できる武器の数が少なかったり、プレイ可能なマップが1つのみだったりと、限定的な措置となっている。
世界的に注目を浴びた『バトルフィールド4』では、サーバーのラバーバンディングやコリジョン異常、不安定なネットコードがコミュニティで問題視され、大きな不満が続出した。開発を行ったDICE側もこの問題について最優先事項だと判断し、全作業を中止してアップデートに尽力を注いだものの、一度入ってしまった『バトルフィールド』ブランドへのヒビは修復しきれたとは言えないのが正直なところだ。
なので、これまでに起きた問題点をしっかりと検証し、同じようなミスを犯さないようにして欲しいと思う。本作は、これまでにシリーズ作品を開発してきたDICEとは異なり、『デッドスペース』シリーズをリリースしてきたVISCERALが担当しており、どちらかと言えばキャンペーンがメインの作品のスタジオなので、マルチプレイヤーは本当に大丈夫かという疑問が頭をよぎる。開発者は「DICEと常にコンタクトを取りながら作業を行っている」と自信のあるコメントを見せているが……。いちファンとしては、「しっかりせんかい!」という感じであり、なんとか汚名返上をして欲しいなと願うばかりである。
さて、今回行われているβテストはPC版とPS4版のみとなっているが、Xbox陣営では行われないのかという疑問が当然出てくる。その点に関しては、今後Xbox One向けのベータテストの実施が予定されているとDICEのゼネラルマネージャーがコメントしており、安心して良さそうだ。
なお、Xbox One版と同時期にPC版やPS4版のテストが行われるのか不明だが、今回行われているクローズドベータテストから多くのフィードバックを反映させたバージョンになるはずなので、もしかするとマップや使用可能な武器、ガジェットやビークルに追加や変更があるかもしれない。というか、増えていて欲しい。
最後に、PC版は作成したエンブレムを好きな場所にスプレーとして書き込むことが可能なのだが、PS4版では同機能が実装されていない。是非ともこの機能を実装して頂ければ嬉しいなぁと思う限り。お願いしますよ!
■筆者紹介
BRZRK
スオミ松崎名義でファミ通やファミ通Xboxなどで執筆をしていた、FPS歴17年目に突入するフリーライター。洋ゲーに関するブログもファミ通.comにて連載中(http://ex.famitsu.com/brzrk/)。