ソーシャル要素とこだわりのグラフィックで唯一無二のレースゲームに
日本ではPS4のローンチに発売予定だったが、発売が延期され、その後、情報が出しが途絶えていた『DRIVECLUB(ドライブクラブ)』。その後、北米での発売日が2014年10月7日に決定し、今回のE3(※)でも、改めてゲームの特徴を紹介するメディア向けのプレゼンが実施。さっそくそのプレゼンを受けて……驚いた。
※E3……例年、アメリカ・ロサンゼルスで開催されている世界最大級のゲーム見本市、エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポの略。
本作は、タイトルにもある通り、最大6人のクラブを作り、クラブ内のプレイヤーどうし、またはクラブどうしでレースやポイントを競うことができるのが魅力のひとつ。
ロケーションは、スコットランドとノルウェー、カナダ、チリ、インドの5ヵ国で、各国に複数のコース(実在はしない架空のコース)が用意されるという。
各コースでは、通常のタイムを競うレースのほか、平均速度やドリフト距離、コーナリング精度といった個別の要素のスコアを競い合う要素も用意され、そこでほかのプレイヤーが記録したターゲットスコアを上回れば名声ポイントを獲得できる。個別の要素が用意されているおかげで、ドリフトが得意、あるいはコーナリングが得意といった得意分野でだけでもポイントが稼げ、クラブに所属しているなら、クラブに貢献できるというわけだ。所属クラブ内で合算された名声ポイントで、クラブどうしのランキングを争う要素もある。さらに、他クラブにチャレンジ要素を送りつけたり、といった遊びもでいる。ちなみに、獲得した名声ポイントによって、新たなクルマなどさまざまな要素がアンロックされていく仕組み。
もちろん、クラブに所属せず、ひとりだけで楽しむことも可能だ。ただ、クラブに所属していると、クラブ内のプレイヤーが獲得した名声ポイントの一部が入手できるようで、クラブに所属しているほうがポイントは貯まりやすい。
ここまで簡単に本作の特徴を紹介したが、今回、プレゼンでも多くの時間が割かれたのは、グラフィックへのこだわりの部分。プレゼンでも発売が延期された理由のひとつに、グラフィックの向上があったそうだ。
天候と時間でドライブ感覚が変化、雨や雪の表現は最高峰レベル
そして、ここから冒頭で述べた驚いた部分。本作は天候による操作性の違いや昼夜の視認性の変化を楽しむことができるのだが、そのこだわりが尋常ではないレベル。
たとえば、雨の場合。降り始めから徐々に雨脚が強くなると、いつの間にかコースの凹凸に水たまりができる。しかも、コースの凹凸具合で水たまりの違いを動的に表現。雪の場合は、タイヤが多く通過する部分は雪が積もりにくく、シャーベット状になる。
フロントガラスに付着する水滴は、ガラスやボディの湾曲に沿って流れ、走行風によって飛ばされたりと、物理シミュレーションによって恐ろしいほどリアルに表現されている。
夜間ではヘッドライトに照らされたの雨や雪の粒が浮かび上がり、ドライブ中はそれらが迫ってくるように見える。
また、各国の気温の差も考慮されており、たとえば、インドのコースなら路面が乾くのも早いといった要素も。
加えて、サウンド面にも相当なこだわりが説明された。エンジン音や排気音などは実車のものから実際に収録。車内のカメラアングルならこもったような音に、車内のアングルならストレートにそのクルマのエンジン音や排気音が聞こえてくる。
こうした緻密な天候や時間による緻密なシミュレーションが施され、サウンド面にもこだわり抜いた本作。そうなるとドライブ部分もシミュレーター的な繊細なレースゲームになっているかというと、そうではない。会場で試遊した印象としては、リアル思考のシミューレーターと気軽に楽しめるアーケードライクなレースの中間、といった感じ。クルマのカスタマイズ要素は見た目のみで、雨になったので、レインタイヤに交換……といったことも必要ない。あくまで、レースゲームとしてはシンプルに楽しめるようになっている。ちなみに、本作は1080pのフレームレートは30fps。30fpsであれば実現できることを優先し、あえて60fpsにはこだわらなかったとのこと。
昨年のE3 2013に出展されたときは、正直「PS4のソーシャル要素をわかりやすくアピールするためのカジュアルなレースゲーム」という印象だったが、天候や時間によってリアルタイムに変化することによるグラフィック、ドライビングの変化が楽しめる、といった方向性をここまで進化を遂げているとは思わなかった。PS4世代のレースゲームとして、大幅に進化した『DRIVECLUB』。日本での発売日がいつになるか気になるところだが、その発表を期待して待ちたい。