本格的サバイバルホラーの要素も

 2014年6月10日〜12日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスで開催されている世界最大のゲーム見本市E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2014で、『The Order: 1886(オーダー1886)』のライブプレイデモのリポートをお届けしよう。

 現地時間2014年6月9日、ソニー・コンピュータエンタテインメントのプレスカンファレンスにて、『The Order: 1886(オーダー1886)』の実機プレイが公開された。映像の内容は、騎士団“オーダー”に属する主人公ガラハッドが、“ライカン”と呼ばれる人ならざる者との対決を描いたもの。……これがもうホント怖い。ガラハッドの姿を補足したライカンは、闇に潜み、圧倒的な頭脳と身体能力を駆使して襲いかかってくる。ガラハッドの銃撃をものともせず、こちらに向かって突っ込んでくるライカンの姿がマジで恐ろしい! 思わず「関わってはいけない存在と遭遇してしまった」と後悔したくなるほど、ハンパない絶望感が味わえたのだった。

 と、そんな感じで、極限状態での恐怖を描いた“サバイバルホラー”を思わせるゲーム性を持ち合わせた作品であることをアピールしていた『The Order: 1886(オーダー1886)』。これまでトレーラー映像などで、“謎の敵”として描かれてきたのは、このライカンだったのだ。ライカンは人間よりも個体数は圧倒的に少ないが知性を有し、人間をはるかに凌ぐ身体能力を備えているという。本作では、“もうひとつのビクトリア朝ロンドン”を舞台に、大英帝国の騎士団“オーダー”となって、反乱軍の人間たちや、恐ろしい力を持ったクリーチャーであるライカンと戦うことになるのだ。そんな『The Order: 1886(オーダー1886)』の開発を進めているクリエイターにお話をうかがったので、ミニインタビューを掲載する。

『The Order: 1886(オーダー1886)』の“ライカン”が怖い怖い助けて!&デモプレイでわかった“ガチな”シューティング要素を動画でチェック!【E3 2014】_01

ゲームディレクター
Dana Jan氏(写真左)

アートディレクター
Nathan Phail-Liff(写真右)

――『The Order: 1886(オーダー1886)』を開発した経緯は?

Dana Jan氏 開発チームが新作のコンセプトを考えていて、19世紀のイギリス・ビクトリア時代に興味を持ちました。この時代は、古くからある伝統的なものを残しつつ、産業革命によって大きな変化があった時代です。そんな時代背景がゲームにマッチしていると思いました。

――ライカンが登場するシーンはサバイバルホラーのような感じですですが、シューティング要素とのバランスは?

Dana Jan氏 このゲームには、ホラーとシューティング、両方の要素があります。ゲームプレイのテンポにも気をつけており、カットシーンをスムースに挿入し、プレイヤーがより高い没入感を味わえるように心掛けています。

――ライカンはただの原始的なクリーチャーではなく、知性が感じられます。このような設定にした理由は?

Nathan Phail-Liff氏 単なるクリーチャーを描いただけでは、怖さを表現できない。動物的な本能と知性がミックスした感じがもっとも恐ろしいだろう、と開発チームで決めまして、ライカンをデザインしました。じっくり見てみると怖さが増す、そんな敵キャラクターに仕上がったと思います。

――本作のおもなストーリーは?

Dana Jan氏 物語のベースには、騎士団オーダーと反乱軍、そしてライカンという三つ巴の戦いがあります。オーダーは大英帝国を守り、ライカンはオーダーに抑えられています。物語が進むにつれて、3つの勢力の力は移り変わっていきます。我々の大きな目標として、ストーリーをより現実に近づけたいと思っているので、状況の複雑なをゲームでも表現したいと考えています。

――物語は勧善懲悪ではないのですね?

Dana Jan氏 白か黒ではなく、グレーな感じです。このゲームでは、敵味方が明確ではありません。自分にとって誰が敵で誰が味方なのか、よく考えながらプレイしてほしいですね。ストーリーを進めるうちに、オーダーがなにをすべきか、プレイヤーが自問自答するようになるはずです

アートディレクターによるライブプレイデモ

 続いて、アートディレクターのNathan Phail-Liff氏が解説を交えつつ、ライブプレイデモを披露してくれた。デモの内容は、PVで見ることができたカットで、主人公のガラハッドが病院を訪れ、ライカンと遭遇するシーンだ。

『The Order: 1886(オーダー1886)』の“ライカン”が怖い怖い助けて!&デモプレイでわかった“ガチな”シューティング要素を動画でチェック!【E3 2014】_02

Nathan氏「今回のライブプレイデモの舞台は、トレーラー映像にも登場したホワイトチャペル病院と呼ばれる場所です。本作はシューティング部分のアクション性の高さも魅力ですが、今回はフィールドを探索していくストーリー・演出の部分に焦点を当ててお見せしたいです。主人公のガラハッドはランタンを持って、病院の中を探索しています。彼はライカンを追跡しているのです」

『The Order: 1886(オーダー1886)』の“ライカン”が怖い怖い助けて!&デモプレイでわかった“ガチな”シューティング要素を動画でチェック!【E3 2014】_03

Nathan氏「病院の奥の区画で、人間を捕食中のライカンと遭遇しました。本作のカットシーンはすべてリアルタイムで処理されているので、通常のゲームプレイとシームレスでつながっています。これにより、プレイヤーが緊張感を持続することができるのです。また、カットシーンの最中にボタンアクションを要求する場面もあります」

『The Order: 1886(オーダー1886)』の“ライカン”が怖い怖い助けて!&デモプレイでわかった“ガチな”シューティング要素を動画でチェック!【E3 2014】_04

Nathan氏「暗いシーンでちょっとわかりづらいかも知れませんが、ライカンの登場です。大きく口を開いた粗暴で原始的なクリーチャーではなく、知性のある存在としてライカンを描きたかったので、圧倒的なパワーと知性をバランスよく両立させる、そんなフォルムを構築するのに時間がかかりました。このシーンでは、ガラハッドの恐怖を描こうとしています。獣に追われる獲物のイメージです」

爽快感満点のシューター要素を体感!

 とまあ、上で書いた通り、ライカンのそれはもうとても恐ろしい様子をたっぷりと満喫した記者だったが、最後に本作を実際にプレイする機会を得た。今回遊べたのは、ライブプレイデモで見た病院のように、重厚かつダークな雰囲気漂う場所ではなく、比較的視界が開けた場所での銃撃戦。話の前後のつながりがわからないので、詳細は不明だが、おそらく相手は反乱軍なのだろう。人間たちが相手だ。ここで、騎士団オーダーの一員であるガラハッドは、“19世紀にもしかしたらあり得たかもしれない化学兵器”を駆使して敵に立ち向かうことになる。スチームパンク風19世紀に超化学兵器を使い分けて戦う“スチームパンク的要素”も本作のウリのひとつだ。とは言え、本作はいわゆるコテコテのスチームパンクではなく、「もしかしたら実在したかもしれない」という現実に根ざした“ifの世界”を描いている。

 ゲームプレイを動画に収めてきたので、下で確認してほしい。遊んで見た感触としては、サーモタイトライフルという武器を使うのが、とにかく気持ちいい。照準を除いてR2ボタンを押すことで、狙ったところに粉塵をまき散らし、R1で火種を飛ばせば大爆発を引き起こし、周囲の的を一網打尽にできる。このサーモタイトライフル、これまでのゲームにはない独特な使用感覚の武器で、粉塵をまいて爆発させるという2段階のアクションがじつにおもしろい。エフェクトもド派手なので、爽快感は抜群だ。ライカンとの対決シーンは終始重苦しい雰囲気が流れていたが、反乱軍との戦いでは、ド派手なシューター要素が楽しめる。今回のライブプレイデモと実機プレイで、『The Order: 1886(オーダー1886)』が持つテイストの多様性を理解できた。ほかにどんな要素が詰まっているのか、いまから楽しみだ。