桜井政博氏が語る『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』

 2014年6月10日~12日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスで開催されている世界最大のゲーム見本市“E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2014”。6月10日の夜に、恒例となっているの任天堂ラウンドテーブルが開催された。今回は、開発者である桜井政博氏が『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』について、さまざまな情報を語ってくれた。その内容をお届けしよう。

 まず最初にサプライズとして、新たなキャラクター“パックマン”の参戦を発表。本作の開発をバンダイナムコゲームス(バンダイナムコスタジオ)が手掛けていることもあり、同社を代表するキャラクターといえばやはりパックマンということで参戦したとのこと。桜井氏いわく「見ての通り、オールドスタイルで登場します。欠けたピザのようなパックマンを戦わせるのは難しいので、通常は『パックランド』風の手足があるスタイル。一部攻撃などで、球形のパックマンになります」と。
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 また、「任天堂のマリオ、バンダイナムコゲームスのパックマン、セガのソニック、カプコンのロックマンが、同じフィールドで登場するのはまさに奇跡。公式で実現できたのは『スマブラ』だけです」と語り、会場で桜井氏を含む4人のプレイヤーでこの4キャラクターを使っての対戦の実演が行われた。

【任天堂ラウンドテーブル】桜井政博氏が語る『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』【E3 2014】_10
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 続いて、キャラクターの必殺技のカスタマイズ要素について紹介。2014年4月9日のオンラインプレゼンテーション番組“大乱闘スマッシュブラザーズDirect 2014.4.9”でも紹介された、カスタマイズ必殺技を紹介。必殺技は各キャラクターごとに、通常(方向キーの入力なし)、上入力、横入力、下入力の4つが用意されているが、今回は各コマンドごとに3つずつ、計12種類用意されている。たとえばマリオの場合、通常必殺技のファイアボールは、ファイアボール、高速で飛んでいくファイアボール、遅いが大きくて連続ヒットするファイアボールの3種類があり、どれかひとつをセットすることが可能だ。ただし、Miiファイターとパルテナは特別で、各コマンドの必殺技は派生技が用意されているのではなく、まったく別の必殺技をセットすることができる。
 またMiiファイターは、格闘タイプ、剣術タイプ、射撃タイプの3種類があるうえ、さらにそれぞれに12種類の必殺技も用意されているとのこと。組み合わせは自由で、顔、帽子、服などもいろいろ変更できる。服装は、各タイプごとにいくつかの種類が用意されている。
 桜井氏は「これらのカスタマイズ要素は、ニンテンドー3DS版とWii U版でデータと共有できます。先に発売されるニンテンドー3DS版のフィールドスマッシュでは、装備や必殺技を取得しやすいです。集めておけば、Wii Uで遊ぶ時の一助になると思います」とコメント。なお、オンライン対戦の場合は、フレンドとの対戦ならカスタマイズが可能だが、“だれかと”対戦する場合はカスタマイズはできない点を覚えておこう。また、Miiファイターもオンライン対戦のときはフレンドとの対戦時のみ使用できる。
 また、カスタマイズとは別に装備も用意されている。これは、『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS』の新モード“フィールドスマッシュ”などで入手でき、各キャラクターが3つまで装備できる。装備には、攻撃、防御、速さの能力が設定されていて、装備することでキャラクターの性能の方向性を大きく変えることが可能だ。単純に装備すると強くなるというわけではなく、どれかを上げるとどれかが下がる仕組み。重くて攻撃力が高いマリオや、軽くて素早いマリオなど、異なる性能を持つキャラクターを作り上げることができるというわけだ。

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 つぎは、Web番組“Nintendo Digital Event”にて紹介されたゲームと連動するフィギュア“amiibo”(コチラも参照)の紹介へ。これはフィギュアの台座にチップが入っており、キャラクター選択画面でWii U Gamepadのリーダーにかざすと、フィギュアに対応したキャラクターが登場するというもの。すると、CP(コンピュータープレイヤー)ならぬFP(フィギュアプレイヤー)としてバトルに参加する。FPは自分で操作することはできず、自動で戦っていき、戦うほどのレベルが上がっていくのだ。レベルは最大50で、最終的にはCPレベル9を超えた強さも持ち得ると言う。また、頭脳であるCPUは対戦相手によって戦法を変え、たとえば相手がシールドを張っていると、自分もシールドを張ったり、投げ重視になったりもする。さらに、先ほど紹介した装備アイテムを与えることで、攻撃、防御、速さの能力値が少しずつ変化していくとのこと。これはプレイヤーキャラクターと同様に、性能の方向性が変化するということで、使うほどに強くなるというわけではないが、やり込むほどにFPはどんどん強くなっていくというわけ。FPを徹底的に強くすることを目標にしてもいいし、強くなったFPを倒すことを目指してもいいし、FPを交えてみんなで戦うのもおもしろいはずだ。桜井氏は「いままで『スマブラ』関連の商品は出ていませんでしたが、今回は、ついに登場しました。公式でキャラクターたちのフィギュアが登場するのは画期的なことです。『スマブラ』は登場キャラクターが非常に多いので、好きなキャラクターだけを買ったほうがいいですよ。私は全部買いますけどね(笑)」と語った。

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 つぎに、桜井氏が『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS』の新モード“フィールドスマッシュ”の実機プレイを披露。「このモードは、制限時間が5分となっています。敵を倒すとアイテムが手に入り、攻撃、防御、速さなどのパラメーターがアップしていきます。そして、今回は下画面に6つの盛り込みアイテムがあります。これらのアイテムは入手していないと持ち込めないのですが、なるべく早めに使ってしまうのがオススメです。パワーアップしていくということは最初は弱いということなので、弱い状態を持ち込みアイテムでフォローしたほうがいいからです」と、解説を交えながらプレイ。なお、フィールドスマッシュでは、プレイヤーのほかに3人のキャラクターも同時に冒険を行っている。今回は、残り3人はコンピューターの操作するキャラクターが冒険をしており、マップ上に大まかな位置が表示。そして、5分経過後は4人のキャラクターで最終戦を行うことになる。このプレイでは通常の大乱闘となったが、走る速度や飛ぶ高さによって有利になるような、特殊なルールの最終戦も用意されているとのこと。フィールドマップを含めて、プレイするたびに新しい遊びがあるのが、フィールドスマッシュというゲームモードの特徴となっている。

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 そして最後は、ラウンドテーブルの参加者と桜井氏によるQ&Aへ。各種質問を抜粋して掲載。

――ニンテンドー3DS版とWii U版の発売時期が離れている理由は?

桜井氏 いちばんの理由はデバッグ作業です。本作は登場キャラクター数が非常に多いので、デバッグも何百人という大規模になります。同時発売になると、同時にデバッグが必要なので、瞬間的にものすごい数のスタッフが必要になるので、発売時期をズラしました。

――ゼルダとシーク、サムスとゼロスーツサムスを別キャラクターにしたのは、ニンテンドー3DSのハードの性能ゆえにそうしたのですか?

桜井氏 それも一因としてありますね。もうひとつは、ユーザーがひとりのキャラクターをより楽しむためです。

――今回、“SUPER SMASH BROS. INVITATIONAL”の大会が行われましたが、今後大会をやる予定は?

桜井氏 INVITATIONALを見て改めて『スマブラ』ファンの熱は相当すごいなと実感しました。運営スタッフとともに、またいっしょに何かできればいいなと思っています。

――ニンテンドー3DS版とWii U版の連動について教えてください。

桜井氏 詳細説明するには、ニンテンドー3DS版が発売されてWii U版が発売されるときでないと、説明できないですね。その時に改めてということで。

――ゲームのバランス調整時に特別なことは行っているのでしょうか?

桜井氏 開発についてお話しすると、1作目の『大乱闘スマッシュブラザース』、2作目の『大乱闘スマッシュブラザーズDX』では、自分が強さを設定していました。3作目の『大乱闘スマッシュブラザーズX』では、4人のモニターを用意して、対戦成績などを見ながら調整したんです。今回はそのモニターを12人にしています。それで正しいかというと、決してそうではないと思います。人数が増えても、そこでのトレンドもあるし、運によって成績は変わってきます。忘れてはいけないことは、マニアやゲーマーが満足するだけでなく、新しいお客さんに楽しんでもらえるようにすることです。また、ふたりで遊ぶ時や4人で遊ぶ時、アイテムの有無でも、キャラクターの強さは変わってきます。結局のところ、パーティーゲームであることを念頭におき、みんなで楽しめることを重視しています。今回、オンライン対戦でガチ部屋、エンジョイ部屋にわけたのもその一環ですね。

――桜井さんのゲームは、ユーザーインターフェイスが迫力があって桜井さんらしいと思います。メニューデザインの哲学を教えてください。

桜井氏 ファミ通さんから出ているコラムの単行本の1ページにまとまっていますので、詳しくはそちらを参照していただけばと。

――今回ゲッコウガが新たに加わりましたが、最初から入れる予定だったのですか? それとも、『ポケットモンスターX・Y』の発売後、人気が出たから参戦が決定したのでしょうか?

桜井氏 『ポケットモンスターX・Y』の発売後に参戦を決めていると、開発が間に合わないんです。なので、企画の最初の段階から、ゲッコウガを登場させることは決めていました。

――オンライン対戦を楽しみにしているのですが、その内容はいかがでしょう?

桜井氏 『大乱闘スマッシュブラザーズX』では、好きなように遊べるようにしたかったので、お客さんに任せるスタイルにしていました。ただ、すべてをお任せにしてしまうと対戦しにくい面もあるのだなと思ったんです。そこで、ガチ部屋、エンジョイ部屋に分けたり、迷惑行為を通報できたり、プレイヤーネームが出るようにしたんです。また、通信は同期型通信を使っているので、通信環境はなるべく快適なものでお願いできればと思います。