完全新作で世に贈る新生『ギルティギア』

 アークシステムワークスより2014年に発売予定のプレイステーション4・プレイステーション3用ソフト『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-(ギルティギア イグザード サイン)』。本作の開発のカギを握る重要人物、石渡太輔氏にインタビューを敢行。最新作に懸ける意気込みや、気になる家庭用オリジナル要素についてをうかがってみたぞ。

『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-(ギルティギア イグザード サイン)』石渡太輔氏インタビュー! 家庭用で挑む新たな試みとは?_12
石渡太輔(いしわたりだいすけ)氏
『ギルティギア』シリーズのゼネラルディレクター。原案やプロデュース業務、さらには作曲などもこなすシリーズの父的存在。

あらゆる世代が楽しめる完全新作の対戦格闘ゲーム

――まずは、『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-(ギルティギア イグザード サイン)』(以下、『イグザード』)の開発の狙いを教えてください。

石渡太輔氏(以下、石渡) 単に『ギルティギア』シリーズの最新作ではなく、弊社の対戦格闘ゲームの最新作であることを目指しました。つまり、シリーズ未体験の方にも楽しんでいただけるように、間口を広げたゲームにしたかったんです。これまではアップデートを重ねるたびにマニアックになり、新しいプレイヤーが参入しにくい傾向があったと思います。ですから、いろんな意味でいまの世代のプレイヤーをターゲットに据えて開発しました。

――開発で気を遣った点はありましたか?

石渡 「対戦格闘ゲームの初心者に対して、どのような取り組みができるのだろうか?」というところです。ゲームバランスであったり、従来作が求めていたシビアな操作といった部分への対応です。とくにゲームバランスについては、かなり“いま寄り”の調整を施しています。

――“いま寄り”というのは、具体的にどういうことでしょうか?

石渡氏  つまり、“マイルドにする”ということ。代表的な例を挙げると“先行入力”(本来のタイミングよりも早くコマンド入力を受け付ける仕様)の可否があります。従来のシリーズではゲームデザインの一環として先行入力が行えないようにしていたのですが、この仕様を『イグザード』でも踏襲すると「新規のプレイヤーが入りにくい」という指摘があったので、先行入力を受けつけるようにしました。

――確かに、近年はほとんどの格闘ゲームが先行入力を受け付けていますよね。

石渡氏  もうひとつ、もっとも代表的なものが“ロマンキャンセル”の仕様です。これまでのロマンキャンセルではテンポが早く、初心者は発動時の状況を確認することが難しかったと思うんです。そこで今回は、発動すると“一定時間スローになる”仕様を加えて、状況を確認しやすくしてあります。

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※ロマンキャンセル=従来シリーズでは、発動すると技のモーションを強制的にキャンセルされるシステムであった。『イグザード』では仕様が変更され、移動や行動など、あらゆる直前の行動(ダウン中など一部の状況をのぞく)をキャンセルして発動可能に。また、自分以外の時間の流れが遅くなるという効果がある。(写真はアーケード版)

――初心者に配慮したというわけですね。先ほどゲームバランスというお話もありましたが、具体的にはどういったことを意識したのでしょうか?

石渡 もともと僕は、対戦格闘ゲームに対してかなりハードな見識の持ち主で「テクニカルなことができるのが美徳。ゲーム内で評価されるべき」という考えでゲームデザインをしていました。しかし、「いまの対戦格闘ゲームのプレイヤーの多くは、そこまで求めていないのでは?」という意見がバトルディレクターを始めとしたスタッフから挙がり、本来の思惑とは若干異なる調整を入れることになりました。

――石渡さん個人としてはシリーズの持つシビアなゲーム性を追求しようとしていたが、それはいまのプレイヤーのニーズとは異なっていたということでしょうか?

石渡氏  そうですね。プレイヤーの傾向やニーズを知らずにゲームを作り続けることはできません。ですから、ほかのゲームでの例なども参考にしながらさまざまな決断をしていきました。

――プレイヤー層が若返ったのでしょうか?

石渡氏  シリーズ初期のころのプレイヤーは皆さん若かったですから、プレイヤー層が若返ったという言い方は少し違うような気がします(笑)。当時からプレイしているベテランに、『イグザード』からの新規プレイヤーが加わったことで、年齢層が広がったという言いかたが正しいのではないでしょうか。女性プレイヤーが増えているといったアンケート結果も出ていますし。

――確かに、公式大会では女性ファンも多く見かけました。ちなみに、女性プレイヤーにはどのキャラクターが人気なのでしょうか?

石渡氏  二次創作を楽しむ方と、ゲームをプレイされる方が同じ傾向なのかは定かではありませんが、カイ、ヴェノム、チップが人気ですね。そして、意外にもファウストも熱心なファンがいらっしゃいますよ。

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カイ
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ヴェノム
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チップ

『ブレイブルー』をさらに越えたビジュアル

――『イグザード』最大の特徴である3Dによるビジュアル表現を採用した理由を教えていただけますか?

石渡 弊社ではもうひとつの対戦格闘ゲーム『ブレイブルー』シリーズがあります。このシリーズのドット絵表現は、もともと『ギルティギア』が目指していたゴールに達していると感じました。その後に登場する『ギルティギア』最新作が、同じようなビジュアルで出てきたらインパクトに欠けてしまいます。それでは訴求力が低いだろうという判断がありました。

――そういえば『ブレイブルー』シリーズのグラフィックは、『ギルティギア』シリーズで培ったドット絵アニメーション技術をさらに追求した感じでしたね。

石渡 格闘ゲームブームを巻き起こした『ストリートファイターII』と『バーチャファイター2』は、ゲーム性もそうですが、圧倒的なビジュアルもインパクトがあったと思うんですよ。ビジュアルのインパクトがあれば「ふらりとゲームセンターに足を運んでくださった方にも目を留めてくれる動機になり得るのではないか?」と考えました。そこで着目したのが、デザインテクニカルリーダーが研究していたとある映像技術。その技術を用いて作られたビジュアルを初めて見たときに強い手応えを感じて、『イグザード』で使えないだろうかと相談したんです。これをうまく使えば「まったく新しい『ギルティギア』のビジュアルが作れるのでは?」と。3Dモデルで構築しているものですが、2Dアニメと見まごうものが表現できる。3Dによる映像のため、演出も大幅に強化ができるという目算があり、採用しました。

アークフェスで初披露された第1弾ムービー

 

――2013年5月に開催されたアークシステムワークスの25周年イベント“アークフェス”で発表された映像を見たときは、衝撃を受けましたし、新しい時代の到来を感じました。

石渡 ありがとうございます。長い間現場で制作していると、だんだん自分たちでは善し悪しの判断ができなくなってくるんですよね。「絶対に2Dアニメのように見せる」と、きびしい目でチェックをしてはいるのですが「果たして、本当にこれでいいのだろうか?」という疑問も生じてくるんです。そんな中で初披露したところ、皆さんの好意的な反響が非常に多かったので、胸をなでおろした次第です。

――初披露は大成功だったんですね。

石渡 日本だけではなく、海外からも大きな反響をいただきました。

――やはりあれだけの映像を作るのは苦労も多いのではないでしょうか?

石渡 実際、ものすごくたいへんです(笑)。表現を実現するための技術力も大切なのですが、本来、立体である3Dモデルを強引に平面らしく見せるための“力技”が必要なところが随所にあり、そこは完全に手作業で対応しているので、かなり苦労しました。

――具体的にどういったシーンの映像でしょうか?

石渡 たとえば、ジャンプすると発生する土煙のエフェクトです。従来作と同じように再現しようとしたら、「3Dで表現するにはどうすればいいんだ?」という問題が起こりまして……。おもにFPS(一人称視点シューティングゲーム)で使われる“パーティクル”という、必ずカメラに対して正面を向くエフェクト表現で当初進めていたのですが、これではどうしても“3Dっぽさ”が出てしまい断念しました。単純に2Dの平面画像で表現することも考えたのですが、それではカメラ位置の変化に対応できなくなってしまい……。

――最終的にはどう対応したのでしょうか?

石渡 すべてのコマの土煙をひとつずつ3Dモデルとして制作しました。これは非常に手間がかかり、バカバカしい仕様かもしれません(笑)。でもそのおかげで、どのアングルから見ても土煙に見えるエフェクトが作れました。

――バトル中では気づかないようなわずかな表現にも相当な労力がかかっているんですね。

石渡 苦労話を始めてしまうと、キリがないですよ(笑)。

――(笑)。“覚醒必殺技”や“ダストアタック”といった特殊な技の発動時に、カットイン演出がふんだんに取り入れられています。ゲームの流れが止まることから、ゲームのテンポを損ねてしまう可能性もある要素ですが、それでもこだわって入れた理由は?

石渡 先程も少し触れたビジュアルのインパクトを生み出したかったことが理由です。カットインの演出自体は格闘ゲームとしてはおなじみの見慣れたものかもしれませんが、それが3Dとなって動きながら表示されると印象がものすごく変わりますからね。テンポ感がキモになる対戦格闘ゲームにおいて、プレイに支障をきたさない範囲でいかに演出表現をするかについては、開発現場で何度も検討と検証を重ねました。ここからここまで何フレーム以内であれば、プレイ中でも違和感がないという判断まで辿り着き、現在の仕様にした次第です。

個性的な14キャラクター

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――本作には、ソル、カイ、メイ、ミリア、チップ、ヴェノム、ポチョムキン、アクセル、イノ、ファウスト、スレイヤー、ザトー、ベッドマン、ラムレザルの14キャラクターが登場しています。なぜこの人選になったのでしょうか?

石渡 最新作の制作に着手するうえで、本作のコンセプトにふさわしいキャラクターの候補はある程度決まっていました。さらにそこから対戦のバリエーションが増えるキャラクターを選択した結果、現在のメンバーになりました。人気を考慮して選びたかったキャラクターもいたんですが、対戦のバリエーションを増やすためにもっとも効果的な人選を我々なりに考えて、結論を出しました。

――シリーズの新生という狙いから、すべてのキャラクターを入れ換えるという案はなかったのでしょうか?

石渡 『イグザード』本来のコンセプトに従うとその方法もアリだったと思います。ただ、実現に至るまでには膨大な時間がかかってしまいます。一方、既存キャラクターを起用すれば企画構想やモーション構築の面で時間や手間が省けますから、現状の形は避けて通れないところではありました。

――現在『イグザード』に登場していない過去シリーズのキャラクターが、今後登場する可能性はあるのでしょうか?

石渡 「プレイヤーの声に応えるようにする」という考えは、シリーズ立ち上げ時からつねに持っていることです。本当に実現できるか否かは別にして、既存キャラクターは起用していきたいと考えています。

――ぜひ期待したいですね! ところで石渡さんは本作の作曲も担当されています。『ギルティギア』と『ブレイブルー』の楽曲は、どのように違いを出しているのでしょうか?

石渡 違いの出しかたというよりは、苦労話になってしまうかもしれませんが……かつて『ブレイブルー』の楽曲制作に着手した際は、『ギルティギア』との違いをどう打ち出すかを考えていました。その結果、『ブレイブルー』ではドラマチックでクラシカルな要素をふんだんに取り入れた曲調になりました。その後は『ブレイブルー』の曲作りのほうが長くなってしまい、本作では逆に『ギルティギア』らしい音を改めて見つめ直すところから始めました(笑)。

――『イグザード』は久々に登場するシリーズ作ですからね(笑)。

石渡 『ギルティギア』の楽曲は、無骨感の強いハードなイメージで、アメリカ的な曲調を意識したものです。ロックバンドの人数でまかなえる範囲の楽器を使っているのも特徴ですね。具体的にはギター、ドラム、ベース、キーボードで構成しているイメージです。『ブレイブルー』の場合は、この編成にさらにオーケストラが必要になるのですが。

――曲は新たに書き起こしているのでしょうか?

石渡 はい。これまでの楽曲のアレンジではなくて、すべて新曲です。ここも新規性を打ち出す一環として進めました。

――曲作りはキャラクターのイメージを思い描きながら進めているのでしょうか?

石渡 そうですね。すでに存在するテーマサウンドを踏襲しつつ、キャラクターたちが『イグザード』で出くわす出来事をイメージしながら変化を与えていく……といった感じで作曲しました。

さらに表現力の増したプレイステーション4

――それでは、家庭用が本格始動したいまのお気持ちを教えてください。

石渡 本作に興味を持ってくださっても、猛者の多いゲームセンターでは対戦を楽しむまでにはいたらないという方もいらっしゃるかと思います。そのような方でもご家庭で本作の対戦のおもしろさをじっくり味わっていただけるようにしたいですね。もちろん、対戦だけではなく、ひとりでも存分に楽しめる内容作りにも力を入れていきたいです。

――注目の新ハード、プレイステーション4の手応えはいかがでしょうか?

石渡 開発現場からは、非常に素晴らしいハードであるという声が挙がっています。初めて手がけるので苦労する部分も多いですが、思ったことが素直に実現できるハードだと思います。

――では、独自の映像表現の再現もプレイステーション4ならバッチリ?

石渡 映像表現は強力なスペックの恩恵によって、むしろ進化しています。アーケード版は720Pの表現に留まっていますが、プレイステーション4版では1080Pの表現が実現しました。アニメーション風のビジュアルをより緻密に表現できるのです。バトル中でもキャラクターの表情が見やすくなっていますよ。

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解像度が上がったことでキャラクターの表情がよりわかりやすくなっている。
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フルHD画質でスピーディーなバトルが楽しめるのだ。

――プレイステーション3版のほうはいかがでしょうか?

石渡 解像度こそ720Pですが、アーケード版と同等のビジュアルで対戦が行えます。対戦格闘ゲームはスピードが命なので、処理落ちをさせないことが最優先事項。あらゆる方に快適な対戦を楽しんでいただけるよう、鋭意開発中です。

――処理落ちしてしまっては、対戦が成り立たなくなってしまう場合もありますしね。そこは期待しています。では、プレイステーション4とプレイステーション3間の通信対戦は行えるのでしょうか?

石渡  クロスプラットフォームに対応しています。つまり、プレイステーション4とプレイステーション3間での対戦が可能です。さらに、セーブデーターとトロフィーの共用も行える仕様になっています。より多くのプレイヤーにゲームを楽しんでもらうためには、クロスプラットフォーム対戦の実現は至上命題でした。

――それはうれしい話ですね! とくにプレイステーション4は、まだハードの発売が間もないだけに、その恩恵はかなり大きそうです。通信対戦は快適に遊べるのでしょうか?

石渡 もちろん、通信面も問題ありません。現在、開発現場では実装を終えて最適化やさまざまな検証作業を進めている最中です。ぜひ、ご期待ください。

家庭用オリジナルモードでは新しい試みに挑戦

――家庭用ならではのゲームモードの実装はあるのでしょうか?

石渡  トレーニングモードやチュートリアルなど、家庭用の対戦格闘ゲームになくてはならないモードはひと通り揃えます。アーケード版にもあったM.O.Mモードは、家庭用に向けてパワーアップさせる予定です。これまで弊社の対戦格闘ゲームで培ってきたノウハウを継承していきながら、快適なプレイ環境を揃えていきたいと思っています。

――まだ多くを語れないと思いますが、注目してほしいゲームモードはありますか?

石渡  ぜひ“ストーリーモード(仮)”にご期待ください。本作ではこれまでとは異なる表現手法による新しい試みに挑戦しています。従来作とは一線を画す新たなものになる予定です。

――これまでのストーリーモードはキャラクターごとに分かれたエピソードを体験していくという仕組みでしたが、その形にはならないということでしょうか?

石渡 ストーリーモード(仮)では、アーケードモードのエンディング以降の物語を描いています。従来ですと、各キャラクターが異なる事情を抱えていて、それぞれのゴールを目指す“並行するエピソードを体験する”ことで全体を見えてくる仕組みでしたが、今回は『ギルティギア』世界の“本筋”をじっくり体験していただく構成になっています。

――新しいエピソードが体験できるということは、展開に伴って新キャラクターが現れる可能性も……?

石渡 もちろん登場します。存在については「いる」とお答えできますが、人数についてはノーコメントです。強いて言うならば「我々はがんばっています」とまでしか言えません(笑)。

――過去作の登場人物なのか、まったく新しい人物なのかというのは……?

石渡 う~ん、これも微妙ですね。家庭用ならではの新キャラクターが参戦しますので、今後の続報にご期待ください。新しいアプローチで『ギルティギア』の物語を描いていく試みで挑んでいます。どんな世界が待っているかは、実際のプレイで体験してみてください。

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M.O.Mモード
敵を倒してメダルを稼ぎながらマップを進んでいくモード。スキルやアイテムを購入して、キャラクターを強化する成長要素もある。(画面はアーケード版)
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従来のストーリーモード
個々のキャラクターが背負う物語をひとつずつ体験していくモード。出会ったキャラクターとのバトルが随所で発生。(画面は『ギルティギア イグゼクス アクセントコア プラスアール』)

プレイステーション4ならではの機能の活用は?

――プレイステーション4ならではの機能を使った要素はあるのでしょうか? たとえば、映像を配信できるSHARE機能は対戦格闘ゲームと相性がいいと思いますが……?

石渡 対戦リプレイをゲーム内で交換するなど、SHAREで実現していることをゲームモードのひとつとして実装することは考えています。いまのゲームファンは、プレイするよりも観戦を楽しむという方も増えていますから、そういった方に向けて名シーンや名勝負を配信するのもおもしろいかもしれませんね。アーケード版の最新バージョンでは、対戦に特化したアリーナステージというものを追加しました。これは実験的な試みなのですが、大会の名称や開催地のゲームセンターの名前を表示できるようにしたステージです。この反響がよければ、家庭用でもユーザー自身がアレンジできる同様のステージを用意するのもおもしろいかもしれません。

――その機能が家庭用にも実装されたらすごくうれしいですね。

石渡 アーケード版では、お店の名前がつねに表示されるわけですから、大会動画を公開するときに役立てていただけるとうれしいですね。

――家庭用ということでDLC(ダウンロードコンテンツ)の予定はいかがでしょうか? 新コスチュームなどを期待するファンも多いかと思います。

石渡 現段階では明言できませんが、配信する可能性はあります。本作のキャラクターはすべて3Dで作成されているので、アレンジコスチュームとなるとかなり大掛かりになってしまいますが、それに近い形の何かを考えています。たとえば、ストーリーモードでキャラクターが着ていたコスチュームがDLCとして登場するとか。とはいえ、実現するにしても、キャラクターの元のイメージを壊すようなコスチュームは避けたいですね。「『ギルティギア』のキャラクターがほかの世界に行ったらこのような衣装を着ますよ」という程度の提示ができれば。

――それはいいですね。あとは過去作のコスチュームが欲しい人も多そうです。

石渡 そうでしょうね。でも、3Dですから作成するとなると新たなキャラクターを丸々1体作るのと同等のコストが掛かってしまいますので、はっきりとは言えませんが構想としては練っていきたいところです。

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アーケード版を含めたシリーズの今後は?

――少し気が早いかもしれませんが、家庭用版の発売に伴うアーケード版のアップデートの予定はありますか?

石渡 家庭用発売のタイミングでキャラクターバランスの調整を施す予定はありません。また、家庭用では新キャラクターが登場しますが、いずれアーケード版でも参戦させる予定です。

――家庭用発売時点では家庭用が先行したバージョンになるが、時間を置いてアーケード版も家庭用と同じバージョンになるということですね。さらにその後はアーケード版が先行する可能性もあるのでしょうか?

石渡 もちろんです。新キャラクターを含めて、最終的には本作でまだ登場していない既存キャラクターをすべて出したいと考えています。そのうえで『ギルティギア』という物語をきちんと完結させられればと。それまで長いお付き合いになるかと思いますが、皆さんどうかよろしくお願いします。

――旧キャラクターを使っていた人にも光明が見えましたね!

石渡 ツイッターなどで、「本作に登場していないキャラクターはリストラされたんだ」などといった話がされていますが、そんなことはありません。僕たちは出したいけれど、出せないという状態なんです(笑)。

――人気投票1位のブリジットがまさかの不在ですからね。

石渡 『イグザード』の企画を立てた当初は、同様のポジションにブリジットとディズィーがいたのですが、登場可能なキャラクター数が決まってから、対戦バリエーションを広げるといった目的で起用キャラクターを選んでいく際に、その目的に沿いにくいということで外しました。それと、本筋を中心にストーリーを描いていくという狙いからも、本筋との関わりが薄いキャラクターを起用しにくかったという事情もありました。

――なるほど。そういった経緯があったんですね。それでは最後に、ファンへのメッセージをお願いします。

石渡 無事に新生『ギルギィギア』としてスタートを切ることができました。往年のプレイヤーに対してはもちろんですが、『ギルティギア』を知らなくても対戦格闘ゲームには興味があるという人にまでオススメできる、間口の広い対戦格闘ゲームです。家庭用では、ユーザーどうしのコミュニケーション要素や、強化されたストーリーモードなどを触っていただいて、対戦格闘ゲームの楽しさを発見するきっかけになれば幸いです。ぜひよろしくお願いします!

(記事担当:豊泉三兄弟(次男))

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