ついに“原点回帰”の一端に触れるときが来た!

 
 三上真司氏が手掛ける“原点回帰のサバイバルホラー”として、世界中の注目を集めている『サイコブレイク』。2014年最大の期待作と言っても過言ではない本作を、実際にこの手でプレイしてきちゃいました! 
 今回プレイできたのは、ほんの一部です。が、断言しましょう。“このゲームはおもしろい!”と。三上氏が目指す“原点回帰”の意味、そして本作に込められた“挑戦”を、インプレッションとともに記していきましょう。

原点に迫る“恐怖”を体験! 『サイコブレイク』先行プレイインプレッションを公開!!_01
原点に迫る“恐怖”を体験! 『サイコブレイク』先行プレイインプレッションを公開!!_02
▲本作の舞台のひとつとなる“アサイラム”の一部。部屋の中を舞うチリ、闇を照らす光……細かい部分まで精密に表現することで生まれる空気感に、こだわりを感じる。
原点に迫る“恐怖”を体験! 『サイコブレイク』先行プレイインプレッションを公開!!_03
▲本作のキーパーソン(?)である“キーパー”。凶悪な武器を手にプレイヤーに押し迫るさまは、“恐怖”以外の何物でもない。今回のプレイアブルには登場せず。残念!

『サイコブレイク』の戦闘スタイルとは?

 
 今回のプレイアブルで体験できたのは、ふたつのチャプターだ。ひとつはチャプター4で、陰鬱な村が舞台の序盤ステージ。もうひとつはチャプター8で、とある洋館が舞台となっている。
 本作には難易度が設定されており、難易度が上がるにつれてアイテムの所有数や敵の行動が変化する。いちばん難易度が低い“カジュアルモード”では、銃の照準合わせがカンタンになるアシスト機能が反映され、“気配アイコン”がつねに画面上に表示されるようになる。この“気配アイコン”とは、その名の通り、敵が自分を認識している度合いをアイコンで説明してくれるもの。敵が近くにいるときに登場するので(気づかれていないときは目が左右に動いているが、気づかれるとロックオンされるのでドッキリする)、つねに意識していないと危険。敵はちょっとした音に反応するので、油断しているとすぐ近くまで迫っていることがある。音は重要な要素のひとつで、ドアを蹴り開けたりして大きな音を立てると、敵にすぐ気づかれてしまうので、慎重な行動が要求されるのだ。

 本作の戦闘スタイルは大きく分けると、3つになる。
 ひとつは、近接戦闘。素手やナイフで攻撃できるが、真正面から近接戦闘を挑むのは危険。本作の敵は、簡単に倒れるほどヤワじゃない。やはり、背後から忍び寄って一撃を与える“スニークキル”がメインとなる。
 ふたつめは、銃や“アガニ”を使った遠距離戦闘。アガニは、さまざまな機能を持つボルトを使い分けられるボウガンだ。敵を凍らせたり、マヒさせたりと、トラップを解除して入手するパーツを使って、ボルトを作成することができる。銃は、マグナムからショットガンなど数種類が登場するが、以前から三上氏が語っている通り、弾数はシビア。使いどころを見極めないと、あとで苦労することになる。
 3つめは、トラップを使った戦闘だ。今回のチャプターには、ワイヤートラップ、爆弾、トラバサミが登場していたが、このトラップを利用して敵を倒すスタイルは本作独自のもの。トラップのある場所に敵をおびき寄せて倒すなど、使いかた次第で自分を苦しめるトラップを武器にできるのは、楽しくもあり、頭を使う部分でもある。トラップはスニーキングで近づけば解体できるのだが、けっこうイヤらしいところに設置してあるので、気づかずに引っかかってしまうこともしばしば。解体方法もバラエティーに富んでおり、爆弾トラップの場合は、針が1周しないうちに所定の位置で止める必要がある。たまに回転速度が変わるところがイヤらしい(笑)。
 以上が、戦闘における基本動作。慎重に、かつ戦略を立てて、いかに敵と対峙するのかが重要となる。敵は前述の通り、非常にタフ。銃でヘッドショットしても、確実に決めないとただ転ぶだけで、突如起き上がってくることもある。効果的に倒すには、転んで倒れているところをマッチで燃やす方法がいい。
いざというときは、逃げることも選択肢のひとつとなる。とにかく早く逃げたいときはダッシュが使えるが、スタミナが設定されているので、無限ではない。このように、持てる能力をフルで活用しなければ、『サイコブレイク』の世界では生き残れないのだ。これが三上氏の言う“サバイバルホラーの原点”ということなのだろう。

迫り来る“恐怖”と対峙するチャプター4

原点に迫る“恐怖”を体験! 『サイコブレイク』先行プレイインプレッションを公開!!_04

 
 ここからは各チャプターの紹介をしていこう。チャプター4は、レスリーと呼ばれる患者を探すドクターのマルセロと、村を捜索することが目的だ。朽ち果てた家の前に立つ主人公のセバスチャン。あちこちから、人型の敵である“ホーンテッド”のうめき声が聞こえる。まずは探索とばかりに周囲をチェックするが、気が付くとホーンテッドが立ちつくしていたりするので、油断ならない。彼らに見つからないよう家のドアを開ける。この瞬間が怖い。向こうに何がいるか、わからないのだ。慎重に中へ入ると、誰かが何かしゃべっている……。その正体を明かすために声のする方向へ向かうと、そこにはドクターの弟が立っていて……ギャー! この詳細は明かせないが、この後に続く展開の衝撃度はかなりのもの。さっそく先制パンチをもらった気分だ。

原点に迫る“恐怖”を体験! 『サイコブレイク』先行プレイインプレッションを公開!!_05
原点に迫る“恐怖”を体験! 『サイコブレイク』先行プレイインプレッションを公開!!_06
原点に迫る“恐怖”を体験! 『サイコブレイク』先行プレイインプレッションを公開!!_07
▲こんな感じのホーンテッドたちが、セバスチャンを迎えてくれる。なかには奇声を発して突っ込んでくる方もいるので、油断ならない。というか、スゲェ怖い……。

 
 ホーンテッドを倒しながらも、ワイヤートラップに引っかかってみたりと、慎重に進むことの大事さを体感しながら進んだところで、レスリーを発見。彼らとともに逃げようとしたところ、そこにあったはずの階段が消えた……。なぜ? 混乱していると、あの男が突然現れた。そう、物語のカギを握るであろう謎の人物、ルヴィクだ。その瞬間、セバスチャンはいるはずのない場所に移動していた。原因はわからないが、とにかく行ける方向に向かうしかない。
 何が飛び出すかわからない恐怖と戦いながら、ルヴィクを追う。着いた先は、腐臭漂う血に染まった部屋。もう嫌な予感しかしない。ルヴィクに近づいた瞬間、彼の身体が四散し、血の池に向かう。そして、現れる大量のホーンテッド。ショットガンで頭を撃ち、マッチで燃やすにも次々と襲い来る敵に対処しきれない。あわてて逃げたら、ワイヤートラップに引っかかる。ナイフで対抗しようにも、なかなか倒れてくれない。注射器で体力を回復するも間に合わず、ゲームオーバー……。
 このゲームであわてるとロクなことはない。セーブポイントはこまめに設定されているので、直前からリスタートできるのは幸い。まず、ルヴィクに近づくまえに部屋を探索することに。床に油がまかれているから、ここでマッチを使えば、敵を燃やせそうだ。スイッチを押すと、天井からオイルタンクらしきものが落ちてきた。この仕掛けも、設置されたワイヤートラップも使えるだろう。通路を確認して、立ち回りも考えた。よし、戦略が決まった! 再戦だ! 何度か失敗したものの(オイルタンクが落ちてくるトラップは、一度しか使えない……)、ようやくすべてのホーンテッドを倒すと、先に進めるようになった。

 消えたルヴィクを探していたら、とある病室に到着。あ、ここは見たことがあるな。もしかしたら、アイツが出てくるんじゃないか? なんて思った瞬間に、来たよ。怖いのが! まったく勝てる気がしないので、とにかくダッシュで逃走する……と、通路にワイヤートラップが仕掛けてあるじゃないか。あわてて向かうであろう場所にトラップがあるなんて、イヤらしいじゃないか! 何とか逃げ切ったと思いきや、いきなり壁を超えて敵が現れた。もう逃げ道はない。これは、どうすりゃいいの!? とパニックに陥った瞬間、通路が消えて、セバスチャンは奈落の底へと落ちて行った……ところで、チャプター4は終了。
 コントローラは手汗でビチョビチョだ。何が起こるかわからない、先に何がいるのかわからないという、この緊張感。静かに進行していると思った瞬間に訪れる、恐怖の展開。このリズムが絶妙で、一瞬たりとも気が抜けなかった。

奥深い謎解きが楽しめるチャプター8

原点に迫る“恐怖”を体験! 『サイコブレイク』先行プレイインプレッションを公開!!_08

 
 基礎的な操作はチャプター4で叩き込まれたので、余裕で挑戦するはチャプター8。今度はがらっと変わって、荘厳な雰囲気の漂う洋館が舞台だ。
 洋館のメインホールらしき場所には、脳のモチーフが刻まれた巨大な鉄の扉がある。ここから先に向かうには、このモチーフをどうにかしないといけないんだろう。ということで、探索開始。この洋館内には小さな部屋が各所にあり、ホーンテッドも徘徊しているようだ。やみくもに進むのは危険なので、ドアをひとつ開けるにも慎重になる。
 チャプター4ではあまり使わなかったアガニだが、あまり敵が押し寄せないこのステージなら落ち着いて使えそうなので、試してみた。その使用感だが、トリガーを引けば直感的に投擲できるので、難しさは感じなかったうえに、弾頭となるアガニボルトが強力! 敵を凍らせるボルトを使用したところ、一瞬で敵が凍り、粉々に砕け散った。スタン効果を持つボルトなど、状況に合わせて使い分けると楽しそう。弾数の少ない銃をフォローしてくれるだろう。

原点に迫る“恐怖”を体験! 『サイコブレイク』先行プレイインプレッションを公開!!_09
▲動きがゆっくりしているので何となく近づいたとたんに、この表情! イヤな水音をしたたらせているところも怖い。そう、本作では“音”もとにかく怖いのだ。

 
 書斎らしき場所にたどり着いたところ、下半分が切り取られた絵画と金庫のダイヤルを発見! 明らかに重要なアイテムだ。そこには、詩のようなメモもある。いまは謎だが、きっと後々に使うことになるのだろう。
 さらに進むと、脳をむき出しにした“何か”が置いてある部屋に着いた。どうやら研究材料のひとつであるらしい。研究結果を録音したと思しきメッセージが録音機から流れている。その横には、脳の領域を地図に見立てたイラストがある。これはどういうことか? 思案した結果、イラストとテープの内容がリンクしているようだ。そこから推理した場所に電極を刺してみる。すると、謎の液体が吸い上げられるではないか! この器材、どこかで見たことがあるな。そう、入口にあった巨大な扉だ。早速戻ってみると、モチーフの一部に赤い液体が詰まっている。液体が入りそうな場所は残りふたつ。この2ヵ所に液体を詰めることが、このステージの目標のようだ。

原点に迫る“恐怖”を体験! 『サイコブレイク』先行プレイインプレッションを公開!!_10

 
 ちなみに、この目標に対する明確な指示は、ゲーム中に表示されない。進めていくうちにプレイヤーが気づくことである。先ほど見つけた金庫のダイヤルも、きっとどこかで使用するであろうと思っただけだ。先に何が起こるかわからないのは、戦闘だけではない。謎解き要素は、サバイバルホラーゲームにとって、重要な要素のひとつであったはずだ。それを改めて認識させてくれる仕掛けが、『サイコブレイク』には満載なのである。

 そうとわかれば、あとは探索しながら先に進むだけ。道中で、さらなる金庫のダイヤルと、今度は上半分が切り取られた絵画を発見した。ふむ、これは絵の内容と金庫に何かしらの関係があるのだな? こんなに純粋な謎解きが楽しめるゲームも、ひさしぶりだ。あちこちに潜む敵と対峙しながらの、緊張感溢れる謎解きという本作ならではの楽しさが、ここにはある。
 しかも、あまりに慎重になり過ぎて同じ場所で躊躇していると、突然画面がモノクロになり、ルヴィクが現れる。彼に触れられると、残り体力が極端に減るという仕様になっているので、ルヴィクが登場するまえに謎を解かないといけないという、追い立てられる感覚が味わえるのだ。

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▲ルヴィクが音もなく静かに現れる……。彼の登場は、セバスチャン(プレイヤー)にとって“死”を現すサイン。とにかく逃げて、別の部屋に逃げ込むしか道はない。

 
 途中で、この後の物語で重大なカギとなるであろう肖像画を見つけたり(合わせて見つかる日記を読むと、衝撃がさらに倍増!)、突然現れる巨大なトラップにビックリ&即死したりしながらも、無事にすべての液体を扉に抽出。重々しい音を立てて開いた、この扉の先には……!? というところで、今回のプレイアブルは終了した。
 このチャプター8では、チャプター4と比べて敵の攻撃は控えめだ。その代わり、各所に隠されたギミックと謎解きを堪能できるステージになっていた。数少ない情報を集めて推論を立て、謎を解くという、本作が持つもうひとつの“戦略性”が、ここには存在した。

人間の根幹を揺るがす“恐怖”がここに!

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 今回は挑戦できなかったが、自分は逃げるしかなかったチャプター4の敵も、じつは倒す方法があるらしい。ホーンテッドの足を狙って転ばせ、巻き込まれて転んだ敵をまとめて燃やす、なんて方法も実現できる。仲間を呼び寄せる敵の能力を利用して、敵を集めてトラップで吹き飛ばすなど、すべてはプレイヤーのアイデア次第で戦略は無限に広がるようだ。ここで紹介した各チャプターも、あくまで筆者がプレイした一例に過ぎない。プレイヤーの数だけ攻略方法が存在することはすでに発表済みだが、今回のプレイアブルでそれが事実であることを確認できた。

 もうひとつ印象に残ったのは、敵の行動。大きな音を立てれば集まるのは当然として、行動を読まれていたかのように先回りをされていたことがあった。さっきまで扉の奥にいたはずのホーンテッドが、つぎに会ったときは扉の後ろに待ち構えていたのだ。これは偶然ではなく、『サイコブレイク』の敵のAIが非常に作り込まれていることの証明。三上氏は「本作には、いわゆる“ザコ敵”はいない」と語っており、あらゆる敵を等しく力を入れて作成しているらしい。
 初見につき、トラップを活用した戦いかたなど、深い所まで突っ込んでプレイすることはできなかったが、わずかな時間にも関わらず、緊張と緩和が生み出す本作独特のリズム、そして“何が起こるかわからない怖さ”は実感できた。このゲームには、プレイする人の根幹を揺るがす“恐怖”がある。その全貌が明らかになったとき、正直ひとりでプレイできるかどうか、自信はない。でも、きっとプレイを止められないんだろうな、とも予想ができる。この感動(というか、恐怖)は、もっと多くの人に体験してほしい次第である。

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▲まだまだこの先には、市街地での死闘などが待っている。いったいどのような物語が綴られるのか、これもまた予想できない楽しみとなるだろう。