ミリタリーファンへのアプローチ
無料オンライン戦車ゲーム『World of Tanks』を運営するウォーゲーミングジャパンは、2014年4月17日に実装されたばかりの新コンテンツ“ヒストリカルバトル”と、それに関連する取り組みについてメディア向け説明会を実施した。
“ヒストリカルバトル”とは、第二次世界大戦中にヨーロッパで実際に起こった戦いを、その背景や展開、結果まで含めて再現したコンテンツ。現在は“クルスクの戦い”(1943年7月~)、“バルジの戦い”(1944年12月~)、“春の目覚め作戦”(1945年3月~)が実装されている。
同社のミリタリーアドバイザーを務める宮永忠将氏は、ヒストリカルバトルについて「ゲームファンとともにミリタリーファンへのアプローチを目指したコンテンツ」と説明し、それに関連する取り組みとして、本社にあたるWargaming.netが実在した戦車の復元プロジェクト、および軍事技術保存活動を継続して行っていることを付け加えた。
プロジェクトマネジメント部
ミリタリーアドバイザー
宮永忠将氏
■2013年ウォーゲーミングジャパン入社。ミリタリー関連の著作も多数。
【超重戦車マウス 復元プロジェクト】
【軍事技術保存活動・Do17プロジェクト】
【軍事技術保存活動・スピッドファイア戦闘機の発掘】
戦車復元プロジェクト、軍事技術保存活動を行う意義
ふたつの取り組みについて宮永氏は、「戦車復元プロジェクトは歴史を再現するプロジェクト」、軍事技術保存活動については、「Wargaming.netにはこの活動に携わる部署があり、長期のプロジェクトとして実施している」と説明。また、あくまで個人の展望として、「将来的には日本周辺の海域に沈んでいるであろう戦艦を引き上げたい」とも語った。
Wargaming.netが、このような取り組みを行う背景には、ゲーム自体のPRや認知のほか、ミリタリーファンへの還元も目的としてあるという。
本作に登場する戦車や兵器は、ディテールまで詳細に再現されているが、その工程においてミリタリーの専門家やファンが個人的に所有する資料、そして知識に頼るケースも少なくない。
ゲームを開発・運営するうえで欠かせないミリタリーファン層に話題を提供し、活動を盛り上げることでフィードバックが得られ、ゲームをさらに充実させていくことができる。まさにwin-winの関係を構築しようとしているのだろう。
こういった理念に基づく活動は2012年から開始されており、2014年は各国の軍事博物館や記念館との関係をさらに強化していくとのことだ。
ヒストリカルバトルの今後
現在実装されているヒストリカルバトルの3つの戦いについて、宮永氏は「ゲームのシステムとマッチした戦いを選択している。歴史のifも楽しんでほしい」としながらも、あくまで氏が考える現状の課題として、以下の3つを挙げた。加えて、「Wargaming.netには、これらの課題を解消できるポテンシャルは十分にある。ミリタリーファンの積極的な関与、意見交換などを経て魅力的なコンテンツに磨いていきたい」と締めくくった。
【勝利条件】
史実の勝敗が戦闘結果に反映されていない。史実の敗者側でチャレンジする動機が薄いため、報酬をアップするなどの調整が必要。
【再現性】
勝敗を決定づけた要因として挙げられる航空支援や砲撃といった要素が反映されていない。また、雪などの気象条件とビジュアル面での再現性も低い。
【プレイ動機】
参加条件がきびしい。また、非力な車両を選ぶメリットがなく、車両ごとの本来の運用法が反映されていない。