「ニコニコ技術部」、「作ってみた」などなどニコニコ動画ユーザーが生み出す職人芸の粋を体験

最強のカオス空間!? VRゲームから1/1戦闘車両まで多彩なユーザークリエイションが登場の“まるなげひろば”【ニコニコ超会議3】_01
▲“まるなげひろば”エントランス。ユーザーの手によるユーザーのための作品展示・即売エリアが所狭しと並ぶ。

 千葉県・幕張メッセにて、2014年4月26~27日の期間で開催中のイベント“ニコニコ超会議3”。
中でもいちばん、ユーザーが作り出す『ニコニコ動画』のエッセンスを凝縮したようなブースが、“まるなげひろば”だ。

 “まるなげひろば”は、企画・準備・運営のすべてをユーザーに丸投げしたエリア。人気の動画タグ「ニコニコ技術部」「歌ってみた」「演奏してみた」「踊ってみた」「描いてみた」「作ってみた」……いろんな創作系動画の“中の人”たちが一同に集まり、所狭しと並んだ個性的なクリエイションによる超カオス空間。中でもこれは!という作品をいくつかピックアップしてご紹介していこう。

体感型VRゲーム実験作が集結!“超Ocufes”

 ゲームファンにはもちろん、「ニコニコ技術部」の動画でもおなじみの装置になってきたVRヘッドセット“Oculus RIFT”。これを使ったパーソナルVRコンテンツの認知・普及促進を掲げる有志団体“Oculus Festival in Japan”が“まるなげひろば”に出展!

 “超Ocufes”と名付けられたエリアではOculus RIFTを使った様々な実験作品がタイムスケジュールに沿って多数出展され、来場者は誰でも無料体験が可能。

 Oculus RIFTはVRゲームに特化したデバイスなのだが、“超Ocufes”に集まった作品はどちらかというとゲームっぽくないものが主流だ。強いて言えば、いろいろとヘンテコなインターフェイスを使って、触って感じられる体感型VRの新境地を切り開こうとする試みが主流といえるかも。

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▲“超Ocufes”エリア。VRヘッドセット『Oculus RIFT』を使ったチャレンジングな作品を体験。

※Oculus Festival in Japan公式サイト

VRヘッドセット+お人形さん遊びで触覚体験

 その線でいうと特に面白かった作品のひとつは、開発サークル“Omamagoto Reality”による『OcumaRion』。これは3Dアニメーション製作などに使われる人型入力デバイス『Qumarion』とバーチャルキャラクターを組み合わせた、いわば“VRお人形さん遊び”。リアルの人形をいじって関節を動かすと、そのとおりのポーズをVR映像内のキャラクターが取ってくれるというものだ。

3Dミクさんにお触りして全方位覗ける装置を作ってみた【OcumaRion】

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▲“OcumaRion”のシステム。左にあるのが、人型入力デバイス“Qumarion”。

 展示されていた最新バージョンでは、おなじみのミクさんのほか、ゲームエンジン『Unity』のオープンソース3Dキャラクター『ユニティちゃん』も使えた。人形を手に持って手足や胴体を動すと視界内のミクさんやユニティちゃんがリアルタイムに動いておもしろい。インターフェイスになっていいる『Qumarion』は人間がとれる姿勢ならどんな形にでも動かせるので、うっかり手元を誤って不健全なポーズを取らせてしまうことも……だんだんいけない遊びをしている感触が増してくる。

 このシステムのポイントは、ユーザーが実際に触っているものと、映像内のキャラクターの動きが厳密に同期することで、結果的にインターフェイスそのものが触覚のフィードバックにもなっている点。ヘッドセットを通して見るキャラクターは現実的な立体感で、感覚上の人形の位置と視界上の位置が一致するような持ち方で操作していると、本当にバーチャルキャラクターを触っているような感覚が生まれそうになるのがショッキングだ。

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▲“”Qumarion”の人形にこんなポーズを取らせると……。
▲ユニティちゃんがこんなポーズに。ヘッドセットを通してみると直接触ってるような感覚に。

 この方式を強いて一般化してみるなら、“現実の物体にVR映像のガワを着せる”というアプローチ。応用の仕方によっては人型に限らなくてもよさそうだし、人型なら、人間大の『Qumarion』風の装置を用いればまた違った世界が開けそう。パーソナルVRの技術的難問とされる“触覚の再現”に向けて、さらなる工夫が期待できる分野といえるかも?

 その他“超Ocufes”のエリアには、乗馬フィットネスマシンとVR映像を組み合わせた乗馬体験システム『Hashilus(ハシラス)』、実物のほうきを小股に挟んで魔女っ子の飛行体験を楽しめる『Little Witch Pie Delivery』などなど、VRヘッドセットの視界とユニークな物理インターフェイスを組み合わせた体感型VRの試作品が続々展示。アメリカでOculus RIFTを作り出した人たちも、これらの発想にはビックリするかもしれない。

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▲乗馬マシンとヘッドセットでVR乗馬体験ができる『Hashilus(ハシラス)』。
▲空飛ぶ魔女の飛行装置をストレートに物理再現した『Little Witch Pie Delivery』

職人芸か、狂気の業か? 衝撃的な「作ってみた」の数々!

実物大の戦車!?

 ニコニコ動画では「作ってみた」タグの動画で職人芸や奇抜な発想で作られたさまざまなモノを見られるけれども、“まるなげひろば”ではそれらビックリするような作品を実際に見て、ものによっては触ることもできるのが醍醐味。

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▲会場にデーンと現れた空挺戦闘車。実物じゃないことのほうが驚き!

 まず来場者のド肝を抜くのが、サークル“プラモデルを1/1で作る会”による実物大の戦闘車両、『1/1 ドイツ連邦陸軍 空挺戦闘車 ヴィーゼル2』。これは1/35スケールのプラモデルを採寸・拡大して原寸大で製作したもの。車体から足回りまで鉄製で、1500ccのディーゼルターボエンジンを搭載しているので実際に走行できるというシロモノだ。

1/1で戦車を作ってみた(13年SHS展示)

 もちろん武装は見た目だけのフェイクだし、エンジンが非力なため最高時速14キロメートルという速度でしか動けないのだそうだが、細部まで作りこまれたディティールと、実物大ならではの迫力で、一見本物としか思えないほどのクオリティ。これは一見の価値ありだ。ちなみに足回りは実物よりずっと貧弱で、アスファルト上を走行すると地面が削れるより前に履帯が外れてしまうとのこと……。

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▲鉄板を切り抜き、溶接し、エンジンを搭載し……何が彼らを駆り立てるのか……。
▲手頃なサイズの作品も。しかし実物大のスティンガーミサイルとは!

それは剣というよりも鉄塊……もとい発泡スチロール塊だった

 実物大のクリエイションで戦車同様にショッキングなものを発見。各種ファンタジー系のゲームやアニメに登場する巨大刀剣を実寸で作ったらどうなるか……というのを真正面から「作ってみた」のが動画投稿者“レアレア”さんによる作品群だ。

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▲ブースを巡っていると突如視界に飛び込んでくる、身の丈を超すような大剣。
▲実際に持ってみるとこんな感じに。このまま走れと言われたら間違いなく転倒するほどトップヘビー。

 同エリアでは漫画『ベルセルク』の“ドラゴンころし”やら、ゲーム『モンスターハンター』の“ジェノサイドレイザー”などなど、身の丈を超すような武器が展示。現実にはあり得ない大きさのかわり、素材には特殊な発泡スチロールが使われているので総重量は5~6キログラムにまとめられている。

 ……のだが、なにしろ重心が刃のほうに偏っているので、かなり力を入れないときちんと持ち上げられない!いざ構えてみても、グラグラ揺れそうになるのを抑えるだけでも精一杯で、振り回すなんてとても無理なあんばい。フィクション世界の勇士たちの人間離れした筋力とバランス感覚を再確認。

 このほか“まるなげひろば”では「ニコニコ技術部」、「作ってみた」タグの動画主による作品や、「歌ってみた」、「演奏してみた」タグ界隈のアーティストたちによる作品即売会、様々なグッズ販売や体験コーナーなど会場でしか見られないもののオンパレード。まさになんでもアリのカオス模様は、まさにニコニコ動画そのものを凝縮したようなおもしろさだったのだ。

ジェノサイドレイザーを作ってしまった

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▲ペーパークラフトで街を作る! マルチクリエイター森弘行氏によるキット作品で、来場者参加型の製作が行なわれていた。
▲既製のキットからパーツを切り抜き、糊で貼り付けて作品を完成させていく。来場者の手でペーパークラフトの街が大きく成長していた。
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▲ニコニコ動画界隈のミニ四駆ファンによる、フィギュア搭載型マシーンが大量展示。
▲同エリアではミニ四駆出品者たちによるレース大会も開催されていた。
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▲自宅警備員集団“N.E.E.T”の面々も勇気を振り絞って公の場に。日々の活動(主に自宅警備)を紹介する冊子を販売。
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▲アマチュア最大の活動規模を誇るアキバ系ヴァイオリニスト“TAM”氏自らによる作品即売。生演奏付き!