日本語化は「絶対やりたい」

ゆけ、ブラジル生まれの戦隊ヒーロー! 戦隊番組運営ストラテジー『Chroma Squad』に迫る_06
▲GDCでのデモの様子。見ている人達が「お、Sentaiのやつか」とか言ってるのが面白かった。Sentaiで通じるのか!

 Behold Studiosが開発中のストラテジーゲーム『Chroma Squad』を紹介する。
 本作はKickStarterでのクラウドファンディングを経て、2014年6月ごろのリリースを目指して開発中。プラットフォームはPC/Mac/Linuxのほか、Xbox Oneとプレイステーションプラットフォーム、タブレット版などが予定されている。

 さて内容の説明をする前に、まずは何とも怪しい日本語トレイラーを見ていただこう!

 そう、本作がテーマにするのは、日本の戦隊ヒーロー番組。だから日本のCMをイメージしたトレイラーも、ニチアサ番組を録画した感じに朝の時間が入っているのだ(細かすぎる)。
 しかも特定の戦隊を勝手にフィーチャーしたキャラゲーというわけではなく、俳優さんたちを揃え、スタジオやロケ現場でのバトルを収録し、架空の特撮番組を運営していくという驚きのメタ構成。各ヒーローの個性や、コンビネーション(組体操的にひとりが土台になって遠くまで仲間を飛ばすとか)を駆使して悪の組織(の俳優の皆さん)と戦い、番組を盛り上げるのだ!

 バトルパートはターンベースで、最初は人間からスタートし、番組が盛り上がるとともに「クロマタイズ!」の掛け声とともに変身するという二段構成で、超合金パワーあふれる合体メカと巨大化したモンスターとのクライマックスパートまで完備。わかってるね!

ゆけ、ブラジル生まれの戦隊ヒーロー! 戦隊番組運営ストラテジー『Chroma Squad』に迫る_01
ゆけ、ブラジル生まれの戦隊ヒーロー! 戦隊番組運営ストラテジー『Chroma Squad』に迫る_02
ゆけ、ブラジル生まれの戦隊ヒーロー! 戦隊番組運営ストラテジー『Chroma Squad』に迫る_05
▲本作での戦闘は、あくまで番組撮影。というわけでグリーンバックが敷いてあったり、端っこにカメラや照明が見えていたりする。メカバトルもあるぞ!

 もちろん戦闘だけじゃなくて番組としての運営の要素などもあるし、話によると“ライダー”やメタルヒーローなど、戦隊ヒーロー以外の特撮ヒーローたちの登場も予定しているとか。これはヤバい、日本のゲームメディアとして話を聞くしかない!

ゆけ、ブラジル生まれの戦隊ヒーロー! 戦隊番組運営ストラテジー『Chroma Squad』に迫る_03
ゆけ、ブラジル生まれの戦隊ヒーロー! 戦隊番組運営ストラテジー『Chroma Squad』に迫る_04
▲ヒーローも俳優さんたち。小道具(装備)にもお金がかかるのだ。

半年越しのメールインタビュー

 というわけで、Behold Studiosのディレクターのひとり“Gui”氏にメールインタビューで話を聞いた。ちなみに質問は昨年9月に送ったものがベースとなっているので、一部とっくの昔に情報が公開済みのものもあるのはご了承頂きたい(メールボックスの中に埋もれていたそうな)。

――ターンベースストラテジーと戦隊ヒーローの撮影って組み合わせはヤバいですね! どうやってこのコンセプトを思いついたんですか?
Gui 僕らはセンタイ(原文でもSentai)テーマのゲームを作りたくって、まず最初のアイデアとして、センタイゲームはどうあるべきか考えたんだ。
 世の中にはすでにたくさんのセンタイゲームがあるけど、ほとんどがアクションゲームだったり、格闘ゲームのスタイルを採用している。そして、これはあくまで僕の個人的な印象だけど、その中に超スゴいって感じるのがあんまりなかった。
 だから僕達は違ったアプローチを取れないか考えた。そのうちに、「センタイバトルを描く最適な方法はターンベースのストラテジーにあるんじゃないか?」って気が付いたんだ。

――本作のバトルはあくまで撮影で、ヒーローたちはあくまでも俳優という設定も面白いです。どうしてこのメタ的なスタイルを選んだんですか?
Gui 2012年にリリースした『Knights of Pen & Paper』でメタをやったからだね、ハハハ(笑)。実際、『Knights of Pen & Paper』のフィードバックはすごい良かったし、僕らはファンがそういった要素を期待していると踏んでいた。
 今のような設定になったのは、プロジェクトの開始当初、ある特撮関係のスタジオがインディーになったという話を聞いたんだ。元々は他の大手スタジオのスタントマンで、自分たちのスタジオとシリーズを作りたくなったっていうんだよね。だからこれは自分たちの新作の設定にピッタリはまると思った。メタな作りにできるしね。

――なぜ日本の特撮を知ってるんですか? ブラジルのテレビ局でもやってるんですか?
Gui ブラジルの特撮コミュニティは大きいよ! 昔っから、たくさんのセンタイシリーズがテレビでやってたんだ。子供の頃にチェンジマン、フラッシュマン、ジャスピオン、ジライヤ、仮面ライダーブラックなんかを見たのを覚えてる。父はナショナルキッドやウルトラマンを見てたってさ。だから日本の特撮はポピュラーだった。最近、ブラジルのテレビが“オリジナル”の代わりにパワーレンジャーを流すようになってからはそうでもないんだけどね。

――PCメインで開発が進んでいますが、タブレットやコンソール(家庭用ゲーム機)版の計画はまだ生きてますか?
Gui どっちも健在さ! PCでまず一回ゲームを仕上げてから、そっちに取り組んでいこうと思っている。

――KickStarterのビデオなんかでは、巨大ロボやカイジューの姿も見えますね。人間サイズ以外のバトルも期待していいってことですか?
Gui イエス! デカいモンスターやメカが戦うビッグバトルもエピソードの一部として入ってくるから期待してて欲しい。

――KickStarterでは「ライダーの特別エピソード」も追加ゴールとしてクリアーしていますね。
Gui 単独でプレイするライダーミッションを足せたのは嬉しい。いくつもの大人の事情で特定の“ライダー”ではないんだけど、僕らのやり方で“ライダー風”なキャラクターを作っているよ。チームで戦うセンタイとは違って、単独で戦うライダーでいくつかのミッションをプレイできるというのは、ゲームの幅を広げる点でも良かった。

――KickStarterで出資するのを忘れちゃった人に何かβテストに参加する方法は?
Gui 公式サイトからPaypalやAmazon Paymentsを使って予約することができる。βテストの参加権がついているのもあるよ。

――本作にインスピレーションを与えたものを、TVシリーズでもビデオゲームでも何でも構わないので、幾つかあげてもらっていいですか?
Gui いくつもあるよ。ゲームだと『XCOM』、『ファイアーエムブレム』、『ファイナルファンタジータクティクス』なんかのシリーズは、日常の業務でしょっちゅう言及されてたね。
 テレビ番組だと、もちろんセンタイものはほとんど全部って感じだね。ゴレンジャー、バトルフィーバーJ、シンケンジャーからゴーカイジャー、キョウリュウジャー、トッキュウジャーといった新しいものまで。それだけじゃなくてメタルヒーローやウルトラマン、牙狼〈GARO〉までキリがないよ。今挙げたのは本当に一部だね。

――Steamのページには日本語サポートもあるって書かれてますね。これは本当でしょうか? インディーゲームにとってローカライズ費が大変そうですが……。そして本当ならば、どのタイミングで追加されるのでしょうか?
Gui 確かにローカライズは安くない。でもこのプロジェクトにとって日本語化は“絶対やる”リストに入るべきものだ。なぜなら日本のポップカルチャーについてのゲームだから。現在の開発バージョンはまだ英語のみなんだけど、日本語とブラジルポルトガル語(僕らの母国語)は入れる。この前、日本のCM風のトレイラーを公開したんだけど、反応も良くて、日本のみんなにゲームをチェックしてもらういい機会ともなった。
 僕らは毎日ゲームを大きくしていて、そのせいで出資者のみんなへのゲームの提供日がずれてきていて、βテストも遅らせなきゃいけなかった。GDCの前の週もデモを出展するためにバグ潰しに追われたよ(PAX EASTにも出展する)。β版の日程も決まってない状態だけど、出資者のみんなにプレイしてもらいたいから、このデモは近日中にリリースするつもりだ。

――クロスプラットフォームマルチプレイという文言もあります。これは例えばPC版のプレイヤーとタブレット版のプレイヤーが一緒に遊べるということでいいですか?
Gui そうしたいね! 友達も僕も買ったのにプラットフォームが違うから一緒に遊べない、みたいな事は嫌なんだよ。マルチプラットフォーム化が進んだせいで、逆にこういう状況は増えてるよね。

――期待してます! それでは最後にファンに向けて何かシャウトを。
Gui 日本ってわけじゃなくて全世界のみんなにだけども、僕らは最高のセンタイゲームを目指しています。これはコミュニティが僕らを信じてくれたからこそ出来ていることです。皆さんの支援と、僕らのプロジェクトを信じてくれたことに感謝します!

(文・取材・写真:ミル☆吉村)