祝・『白き魔女』20周年!

 2014年3月29日、東京・新宿ロフトプラスワンにて、日本ファルコムによるトーク&ライブイベント“Falcom Acoustic Live & Talk Show ~近藤社長に聞く!「白き魔女」から「閃の軌跡II」へ受け継ぐべきもの~”が開催された。

 第2回となる今回は、前回のイベント(詳細は→コチラ)で約束された通り、『英雄伝説III 白き魔女』(以下、『白き魔女』)の発売20周年記念として、アコースティックライブと、『英雄伝説 閃の軌跡II』(以下、『閃の軌跡II』)の最新情報に加えて、『白き魔女』に関するトークもたっぷり……のはずが、“日本一の『白き魔女』ファン”こと日本ファルコム社長・近藤季洋氏による深すぎるトークが脱線しまくり、当初の予定とは違った方向に……? いずれにせよ、集まったファンにとってはたまらなく楽しいライブとなった。

日本ファルコムによるトーク&ライブイベント“Falcom Acoustic Live & Talk Show”第2回が開催、『閃の軌跡II』最新情報も!?_05
▲週間予報では雨の可能性も高そうだったが……当日の新宿は曇り空。前回に続き今回も、ファンの熱気が近藤社長の“雨男”パワーに打ち勝った!?

 イベントは3部構成で、まずは特別編成のjdkBANDによるアコースティックライブから。この日登場したのは、 岡島俊治さん(Dr.)、水谷美月さん(Vn. & Vo.)、宮崎大介さん(Gt.)、榎本敦さん(Ba.)。今回は『白き魔女』特集ということで、「(観客の)皆さんは猛者ばかりで、それに比べれば僕は『白き魔女』に関してはライトユーザーなので(笑)。ちょっとでも楽しんでもらえるよう、『白き魔女』の曲しかやりません!」(岡島)とのことで、『白き魔女』の名曲がつぎつぎと演奏されていった。

【セットリスト】
M1.もうひとつの英雄たちの物語
M2.MountainPath
M3.浜辺の午後
M4.迷いの森
M5.強敵!!
M6.その瞳その勇気その優しさで
M7.小さな英雄-ジュリオとクリスの大冒険-

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▲ライブでは初演奏となる曲も多く、最初から最後まで盛り上がりっぱなし!
▲MCが冴え渡っていた岡島さん。
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▲途中、観客といっしょに乾杯するシーンも。乾杯時のかけ声は「人の世も」「かくあらん!」。
▲水谷さんは、バイオリンと、「その瞳その勇気その優しさで」ではステキなボーカルも披露してくれた。

秘蔵の開発資料が続々と!

 第二部は、岡島さんと近藤社長による、『白き魔女』をテーマにしたトークショウ……のはずが、この日のために近藤社長が、社内から秘蔵の開発資料を多数持ち込み、つぎつぎと披露していくという意外な展開に。社外にお披露目されるのは初というとんでもなく貴重なものばかりで、会場からは「おおー!(驚き)」、「ああー!(納得)」など、ひっきりなしに歓声が上がっていた。

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▲『白き魔女』の企画書。テキストベースでキャラクター設定などが描かれているもので、ステラに名字があったり(ステラ・フィンステーラ)と、製品とは異なる部分も多かった。
▲近藤社長がファンサイトを運営していたころ、セガサターン版のキャラクターデザインがオリジナル版と違ったため、違和感があった……というエピソードを話していたところ、なんと会場にセガサターン版のマニュアルを持参してきたという人が!
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▲キャラクターデザインの初期稿。セガサターン版のエピソードの後だっただけに、フィリーの絵には会場から「これですよ!」の声が。
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▲製品にはならなかった幻の企画、“ショートパックシナリオ”の企画書。『白き魔女』では描かれなかったストーリーやエンディング後の動向を、“ひと口サイズ”で作り上げていくものになる予定だったそうな。
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▲「ファルコムって変な会社で、とにかく設定が細かいんです」とのことで披露された設定資料。剣がどうやってネジ止めされているか、なんてところまで設定がある!
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▲オープニング原画が、没になったカットも含めて多数披露された。

 つぎつぎと披露されていく貴重な資料と、それにまつわるこぼれ話が語られていくうちに、あっという間にトークパート第1部の時間が終了。「ぜんぜん話せてないよ!」ということで、なんと本来は休憩時間になるはずだった合間の時間にも、ふたりのトークが続けられた。この時間では、日本ファルコム流のテキスト作成術に関する興味深いお話しも語られた。近藤社長が現場でテキストを書いていたころに、先輩に言われたのが、「長いテキストがダメなんじゃない。読ませる工夫をしろ」ということなのだそうだ。日本ファルコムのゲームでは、句読点の打ちかたや、「たとえば3行のテキストなら、ピラミッド型にするんです。出だしのテキスト量は少なく、後ろを多く」(近藤氏)といった工夫により、ボリュームのあるテキストを楽に読み進められるように配慮しているのだとか。こうした日本ファルコム流のテキスト作成術はいまに至るまで受け継がれているそうで、だからこそ長大で、かつ読みやすく心に響く、“日本ファルコムらしい”物語が描けるのだろう。

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『閃の軌跡II』気になる開発状況、そして発売日は!?

 トークパートの第2部は、『閃の軌跡II』の最新情報が中心となった。まずは“この場でしか伝わらないようなもの”として、前作からの改善点のひとつであるキャラクターモーションの刷新ぶりが、映像で紹介された。

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▲髪のなびく様子や、走るモーションなどを見ると、前作との違いは一目瞭然。モーションもキャラクターごとに差別化されているそうで、たとえばアリサは女の子らしい腕の振りかたに、ラウラは力強く走りかたになっていた。ちなみにラウラのフィールドアタックも縦斬りから横斬りへの連撃に。

 気になる開発状況は、システムがひと通り実装され、スクリプト入力、つまりイベントを組む作業を進めている段階だそうだ。近藤社長によると、『軌跡』シリーズはテキスト量が膨大で、スクリプト作業はつねに「いちばん重くて、最後に残る」(近藤氏)作業で、それに取り組む期間には、全社を挙げて一斉に取り組むのだとか。

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▲スクリプト作業と並行してオープニングも制作中、ということで制作中の原画が披露された。これまでの作品と同様、オープニングは外注に出さず、社内で制作しているとのこと。

 続いて、発売日が2014年6月12日に決定したことが発表されたばかりの、『英雄伝説 碧の軌跡 Evolution』(以下、『碧の軌跡 Evolution』)についてのトークに。まずは、こちらも公開されたばかりのPVが、あらためて披露された。

 『碧の軌跡 Evolution』では、劇中BGM全116曲中の、『碧の軌跡』オリジナル曲64曲がFalcom Sound Team jdkの手によってアレンジされることが明らかになっている。ここでは岡島さんがみずから、オリジナルとアレンジ版の曲を聴き比べる形で披露していってくれた。岡島さんによると、今回アレンジを進めるにあたり、まず一度ゲームをプレイし直したうえで、原曲の味を失わないよう、生音に差し替えるなどして、新しい魅力を出すようにアレンジしていったのだそうだ。この、生音を活かしたアレンジだと、「ライブでもやりやすくなるんです(笑)」(岡島さん)というメリットもあるのだとか。
 ちなみにオープニング曲は、「月下の想い」をアレンジしてボーカルをつけたものになるそうだが、ボーカル担当は“コテカナ”さんこと小寺可南子さんではないそうだ。とはいえ、「コテカナさんは働いてますよ。じつは作詞とコーラスがコテカナさん、演奏がjdkバンドです」(岡島さん)とのこと。

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 その後、話はふたたび『閃の軌跡II』の話題に。「『閃の軌跡II』ではどの辺のお話しまで?」と問われた近藤社長は、「内戦が始まり、帝国内の戦争が激化……まさにそんな話になります」(近藤氏)。『碧の軌跡 Evolution』が同時期のお話なため、『碧の軌跡 Evolution』の作中では伝聞で帝国内の噂が伝わってきているが、実際にはどういうことが起きているのか? 「『碧の軌跡』をプレイすると、“ヒゲのおっさんが生き返ったらしいけど、何の説明もなしかよ”とか、なりますよね(笑)」(近藤氏)。
 そうした、“実際はどうだったのか?”が、『閃の軌跡II』での大きな見どころのひとつになるようだ。
 また近藤社長は、『閃の軌跡』の発売日については、「まだ内緒」としながらも、岡島さんの「9月ごろ?」との質問に、「同じようなサイクルで出していますから……その近辺かな、と。近々発表します」と発言。発表を期待して待とう。

次回開催は2014年6月8日に決定! テーマは……

 そして最後に、本イベントの次回開催について。すでに2014年6月8日に開催することは決定しているとのことだが、テーマはまだ何も決まっていないそうだ。会場からは、『空の軌跡』や『朱紅い雫』、はては「『ぐるみん』で!」、「『ドラゴンスレイヤー』30周年!」といったマニアックな声も飛んだが、近藤社長の口ぶりからは、『英雄伝説V 海の檻歌』で……との意向がある模様。 いずれにせよ、第3回の開催は決まっているので、近々告知があるだろう。今回は、前回の好評を受けて、前売りチケットがあっという間に売り切れてしまう大人気となっていただけに、次回も同様のチケット争奪戦が起きる可能性は高い。生で観覧したい人は、ファミ通.comや日本ファルコムの公式サイトなどをチェックして、情報を見逃さないようにしておくことをオススメする。

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▲最後は、『白き魔女』エンディングでコンタが放った名台詞(?)、「あべよ!」で締め。最後までとことんマニアックで、そしてたまらなく楽しいイベントでした!