基本無料の戦車ゲームが家庭用ゲーム機に進出!

 最近、なんだかよく名前を目にする『World of Tanks』。戦車を題材にしたPCゲームで、プレイヤー数は全世界でなんと7800万人を突破。なんかちょっとケタが多すぎて、ピンとこないほどのモンスタータイトルだ。

 そんな『World of Tanks』のXbox 360版である『World of Tanks: Xbox 360 Edition』が、2014年2月13日より配信された。いい機会だし、どんなゲームなのか実際に遊んでみよう! というわけで、インプレッションをお届けする。

 本作は、三人称視点で戦車を操り、チームに分かれて戦うオンラインゲーム。Pz.Kpfw. V PantherやPz.Kpfw. VI Tiger、M4 Shermanといった、20世紀半ばに活躍したアメリカ、イギリス、ドイツ軍の戦車が多数登場する。Xbox Live ゴールド メンバーシップならば基本無料で遊べ、無料 メンバーシップならば1週間の体験プレイが可能だ。

 ゲームルールは非常に簡単。制限時間内に相手陣地を占領するか、相手チームを全滅させれば勝利となる。また操作方法も一般的なFPS/TPSを踏襲しており、シューターならばすぐに馴染むことができるだろう。

7800万人を熱狂させた怪物ゲームがXbox 360に登場! 『World of Tanks: Xbox 360 Edition』プレイインプレッション_01
7800万人を熱狂させた怪物ゲームがXbox 360に登場! 『World of Tanks: Xbox 360 Edition』プレイインプレッション_02
▲三人称視点のオンライン専用対戦ゲーム。ゲームジャンルとしては、TPSに近いかも。
▲20世紀半ばに活躍した多数の車両が登場。ただし車両自体の知識はとくに必要とせず、この時代の戦車には明るくない筆者でも問題なく楽しめるレベルだ。

いかにして背後を取るかが熱い!

 というわけでしばらく遊んでみたが、これがなかなかに熱い! 移動して敵を撃つ、ということこそ基本的なシューターと一緒だが、戦車ならではの特徴がプレイスタイルを大きく変えているのだ。

 まず、戦車は生身とは異なり、機敏な動きができない。とくに回転が遅く、素速く後ろを向くことが難しいのだ。さらに、戦車は場所によって装甲が異なり、前方は装甲が厚く、側面、背面となるにつれて装甲が薄くなっていき、攻撃したときにより多くのダメージを与えられる。いかに相手の後ろを取るかが大切なのだ。

7800万人を熱狂させた怪物ゲームがXbox 360に登場! 『World of Tanks: Xbox 360 Edition』プレイインプレッション_03
7800万人を熱狂させた怪物ゲームがXbox 360に登場! 『World of Tanks: Xbox 360 Edition』プレイインプレッション_04
▲ロード画面では、バトルに関するプチ情報が表示される。
▲Lトリガーを押すと狙撃視点での攻撃が可能。発見した敵は赤く縁取られるため、遠くでも多少は狙いを付けやすい。

 相手の背後を取るためのプロセスも楽しい。正面から突っ込んで背後に回り、旋回……というのは当然ながら難度が非常に高く、よほどの腕前がなければ無謀だ。そのため、相手の進行ルートから大きく迂回して背後に回り込みたいのだが、敵の位置は実際に誰かが発見しないとマップに表示されないため、これもなかなかに難しい。わざわざ遠回りして敵陣地へ向かったのに、同じことを考えていた敵とバッタリ遭遇、なんてことも割とよくある。

 それならば、と今度は自陣近くで敵を待ち伏せする作戦をとってみると、豆粒ほどの敵からの遠距離攻撃を受けて倒されてしまう。まあ、FPSではよくあるシチュエーションですな。

 そんな感じで試行錯誤をくり返していると、意外と遠くの敵にも攻撃が届くことが判明。遮へい物の効果も大きく、停止するときは物陰に隠れることを心がけるようにして、なんとか戦えるようになってきた。生存時間が延びれば必然的に攻撃のチャンスも増えるわけで、少しずつ相手のスキを付けるようになり、徐々に撃破できるようになってきたのだ。

 相手を正確に撃ち抜くエイミングの技術も重要だが、個人的には位置取りという戦略性がもっとも重要に感じた。こう理解すると対戦はさらに楽しくなり、上手に相手の背後を取れて撃破したときの爽快感はヤミツキになる。同時に、上達を実感した嬉しさも味わえるのだ。これこそゲームの醍醐味だと筆者は思うわけですよ!

7800万人を熱狂させた怪物ゲームがXbox 360に登場! 『World of Tanks: Xbox 360 Edition』プレイインプレッション_05
7800万人を熱狂させた怪物ゲームがXbox 360に登場! 『World of Tanks: Xbox 360 Edition』プレイインプレッション_06
▲攻撃を受けると、モジュール(部位)が破壊されてペナルティを受けることも。たとえば履帯(りたい、キャタピラのこと)が破壊されると移動できなくなってしまう。
▲不用意に突っ込むと、集中砲火を食らってこんな感じになってしまう。慎重に戦うことが大切ですよねー。

戦車をパワーアップさせていく要素も楽しめる!

 本作の戦車は、軽戦車、中戦車、重戦車、駆逐戦車、自走砲という、5タイプに分類される。各車両にはアップグレード要素があり、その一環として新しくTier(ランク)が高い戦車を開発できるという仕組み。というわけで、アップグレードの要素をくわしく紹介しよう。

 バトルに参加すると、その車両の戦車経験値とフリー経験値、シルバーという通貨が報酬としてもらえる。この経験値を使用して新たなパッケージ(装備)を開発し、シルバーでパッケージを購入して能力をアップさせていくのだ。パッケージの開発はツリー形式に配置されており、最終的に新しいTierの戦車を開発できる、という仕組みなのだ。

7800万人を熱狂させた怪物ゲームがXbox 360に登場! 『World of Tanks: Xbox 360 Edition』プレイインプレッション_07
7800万人を熱狂させた怪物ゲームがXbox 360に登場! 『World of Tanks: Xbox 360 Edition』プレイインプレッション_08
▲こちらが“M2 Medium”という中戦車のパッケージ画面。“T5 Medium”や“T5M2 Medium”というパッケージを経て、新たな車両“M3 Lee”を開発できる。
▲こちらは戦車自体のツリー画面。先ほどの“M3 Lee”からは、さらに2種類の車両へと派生する。このように、開発で新たな車両を入手する楽しさも本作の魅力のひとつ。

 戦車経験値は車両ごとに別扱いのため、戦車を強化したり、新たな車両を開発したければ、対象の車両を使用して経験値を稼ぐ必要がある。フリー経験値はどの車両にも使用できるという便利な経験値だが、入手できる量は基本経験値に比べて極わずか。ここぞ、というときに使用するのがいいだろう。

 ちなみに、リアルマネーで購入できるプレミアム戦車という車種も存在する。ただし同ランクの車両と比べて性能は少し低めだ。これらの車両のメリットは、購入直後でもフルに性能を発揮できることと、ランニングコストが低いこと。そのため、お金稼ぎに向いている車両と言える。

7800万人を熱狂させた怪物ゲームがXbox 360に登場! 『World of Tanks: Xbox 360 Edition』プレイインプレッション_09
▲アイコンが金色の車両が、課金で入手できるプレミアム戦車だ。

 続いて、各タイプの特徴を見ていこう。軽戦車は小型の戦車で、装甲や火力は低いが機動力が高く、偵察に向いている。車体が小さいため、隠れやすく被弾しにくいというメリットもある。中戦車はそれなりの火力と装甲があるため、どのような局面でも役立つ万能タイプ。重戦車は高い火力と装甲を持つ、砲撃戦の中心となるタイプだ。ただし重いため機動力は非常に低く、とっさの対応が難しい。

 駆逐戦車は強力な主砲を持つ戦車で、火力が非常に高く、また前方の装甲も厚い。ただし多くの車両は回転砲塔を持たないため、ほぼ前方にしか攻撃できないという弱点がある。機動力も高くはない。やや遠くから狙うのが得意な、スナイパーのような車両と言えるだろう。

 自走砲は遠距離攻撃を得意とする車両。強力な砲弾を放物線を描くように発射するため、おもに自陣から敵を攻撃することが仕事だ。

 このように、車両タイプによって特徴がまったく違うため、それぞれで異なったバトルスタイルを楽しめることも本作の魅力だろう。

7800万人を熱狂させた怪物ゲームがXbox 360に登場! 『World of Tanks: Xbox 360 Edition』プレイインプレッション_10
7800万人を熱狂させた怪物ゲームがXbox 360に登場! 『World of Tanks: Xbox 360 Edition』プレイインプレッション_11
▲車両のタイプはアイコンで識別できる。たとえば◇は軽戦車、▽は駆逐戦車を表している。
▲自走砲は少々特殊で、左トリガーを引くと俯瞰視点の“自走砲モード”へと切り替わる。この画面で着弾させるポイントを指定して射撃するのだ。

 たとえば軽戦車は、偵察やかく乱といった任務に向いている車両だ。先ほど述べた敵に正面から突撃する戦法も、状況によっては十分に実行できるほど。さすがに敵に向かってまっすぐに突っ込むだけではタダの的になってしまうが、ちょっと斜めに移動するだけで被弾率は大きく下がる。そうして敵陣を偵察し、発見した敵を味方の駆逐戦車や自走砲に攻撃してもらうという、連係プレイも楽しめるのだ。ちなみに本作では敵を発見することでも経験値がもらえるため、偵察はじつにリターンの大きい任務と言える。

 一方、駆逐戦車は、その射程を活かして敵より少し離れた場所での待ち伏せが有効。敵をじっくり狙って一撃必殺、そんなプレイが楽しみたい場合にもってこいだ。ただし背後はめっぽう弱いため、中戦車を使う場合は彼らや自走砲のサポートも心がけて戦いたい。

 このような感じで、多彩な戦車を使い分ける楽しさも味わえる。が、じつは所持できる車種は初期状態で7スロットのみ。最初は各国の基本となる戦車を1台ずつ所持しているため、実質4台しか新たな戦車を持てないのだ。

 ちなみに筆者は、自分が使おうと思ったアメリカ以外の車両を売却してスロットを確保した。新たな車両を開発し、スロットがカツカツになってきたら、古い車両を泣く泣く売却……というスタイルでなんとか運営している。ちなみに新たなスロットは、課金で増やすことが可能だ。

最大の魅力は手軽にプレイできること!

 そのほかの細かな要素にも触れていこう。弾薬は標準装備である徹甲弾のほか、爆発してダメージを与えられる榴弾、貫通力が高い硬芯徹甲弾などがある。状況やプレイスタイルに合わせて使い分けていきたい。

 また、モジュール(戦車の各部位)の修理速度を上昇させる修理キット、火災を自動的に消火する自動消火装置といった消耗品も3つまで装備可能だ。効果の高い有料アイテム(シルバーでも購入は可能)も用意されている。ぜひとも装備しておきたいが、当然使うとなくなってしまうため、ゲームに慣れてから使い始めても遅くはないだろう。

 パーツというカテゴリには、静止時に発見される確率を下げる迷彩ネット、修理速度を向上させる工具箱などを最大3つまで装備できる。シルバーで購入できるが、ゲーム序盤では手が届かないほど高額だ。シルバーに余裕ができてから試すといいだろう。

7800万人を熱狂させた怪物ゲームがXbox 360に登場! 『World of Tanks: Xbox 360 Edition』プレイインプレッション_12
7800万人を熱狂させた怪物ゲームがXbox 360に登場! 『World of Tanks: Xbox 360 Edition』プレイインプレッション_13
▲消耗品の項目では、弾薬や供給品を購入できる。有利に戦うために、ぜひとも活用したいところ。
▲パーツの項目では、基本性能を底上げするようなパーツを購入できる。でも全部高すぎィ!

 カスタマイズでは、迷彩、銘刻、徽章(きしょう)といった外見を変更できる。これらはシルバーで購入することで、7日または30日間その外観に変更できる。

 有料コンテンツは、おもにゴールドというゲーム内通貨の購入で使用する。このゴールドを使い、先ほど例に挙げた強力な弾薬や外観のカスタマイズ、新たなスロットの拡張などを行うわけだ。またアカウントをプレミアムにすることも可能で、プレミアムでは経験値およびシルバーの獲得が通常よりも増加する。より効率よく戦車を育てたり、シルバーを稼げるというわけだ。ちなみに、前述の迷彩、銘刻、徽章の無期限版もゴールドで購入可能。

 ……というわけで50戦近く遊んでみたが、筆者がいちばん魅力的に感じたのは、サクッと遊べる手軽さだ。本作ではバトル中に倒されると復活できず、以後はラウンドが終了するまで味方の視点で試合を眺めることになる。ここまでは一般的なシューターでもよくある仕様だが、本作では倒されたらすぐに車庫画面に戻ることができる。倒された車両はその試合が終わるまで使用できないが、ほかに車両があればそちらを使ってすぐに新たなバトルに挑むことが可能。要するに、待ち時間が最小限でバトルを楽しめる仕組みになっているのだ。もちろん、決着が付く前にガレージに戻っても、経験値とシルバーはしっかり獲得できる。

 基本無料というシステムながら、お金をかけなくてもかなり遊べる本作。何より短時間で濃密なバトルを手軽に楽しめることこそ、本作最大の魅力だろう。ミリタリー系ジャンルは最近何かと熱を帯びているので、興味がある人はぜひともプレイしてその魅力を味わって頂きたい。ちなみに、初回の起動後はアップデートでギガ単位のファイルをダウンロードするため、かなり時間がかかる。これから始める人は、寝る前などに起動してアップデートを行うのがオススメだ。

【著者プロフィール 喫茶板東】
ファミ通Xbox 360で海外ゲームマニアックス、実績解除愛好会などを担当していたフリーライター。古い戦車に詳しくなれるのも、本作の魅力だと感じます。これでかつて投げ出した『アドバンスド大戦略』にリベンジできる……かも!?