目指せ! 動物園王

 『Zoo Tycoon』(ズータイクーン)は、動物園の経営者になって施設を運営するシミュレーションゲーム。タイトルの“zoo”は動物園、“tycoon”は大物、○○王を意味する言葉で、さしずめ「動物園王に俺はなる!」といったところ。プレイヤーは動物園の経営者兼、飼育も清掃もこなす何でも屋になって、広い敷地に展示スペースや売店などの施設を建て、さまざまな動物を迎え入れて来園者を楽しませる。

 経営シミュレーションと聞いて、数字とにらめっこしながらプレイするゲームを想像していたが、実際に遊んでみると直感的な操作でサクサクと進められた。動物の調子や施設の状況は、ビジュアル的にザックリと把握できるようになっているので、“数字が苦手な人でも遊べるシミュレーション”というのが第一印象だ。

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▲サバンナや草原などを再現した展示場を設けて、さまざまな動物を展示飼育する。間近で見る動物はとってもリアル! 動物園の人気が出て格付けレベルが上がると、飼育できる動物や、建てられる施設の種類が増える。
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▲視点のタイプは2種類。動物園を上から見渡す“Tycoonビュー”と、キャラクター目線で園内を歩き回る“Zooビュー”をシームレスに切り替えられる。Zooビューでは写真撮影が可能。好きな写真を保存したり、動物のカタログを埋めたりすることができる。

操作はシンプルだが中身は本格的

 ゲームモードは4種類。初めてプレイするときは、チュートリアルで動物園経営のイロハをマスターできるようになっている。

【ゲームモード一覧】
チュートリアル……動物園の建設から管理まで、順を追って学べるモード。
フリー……お金を気にすることなく、純粋に理想の動物園作りを楽しめる。
チャレンジ……最初の資金を元手にして、一から動物園を大きくしていく。
キャンペーン……動物園の立て直しなど、合計20のシナリオに挑戦する。

 グラフィックがCGアニメ調なので、低年齢層でも遊べるお手軽ゲームをなんとなく想像した人もいるかもしれないが、シミュレーションゲームとしては本格的で奥深い。動物たちの世話から動物園全体の管理まで、プレイヤーがやることはかなり多いため、初めてプレイするときは、チュートリアルでゲームプレイの流れをちゃんとつかんでおいたほうがいいだろう。チュートリアルは10のステップに分かれていて、ぶっ通しで進めても合計で30分はかかるほどのボリューム。展示場や施設の設置、来園者を増やすための広告、サービスの幅を広げるための研究など、裏方的な仕事も山ほどある。ただし、エサの補充や壊れた施設の修理など、すぐにやらなければならないことは、お知らせ機能で自動的にリスト化されて、ひと目でわかるようになっている。動物園の状況を自分でこまかくチェックしなくても済むのは、よけいな手間がかからなくてうれしい。

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▲動物を展示するスペースや、飲食物・グッズを販売する店、憩いの広場など、多彩な施設を好きなところに配置できる。いったん設置した施設でも、あとから位置や向きを変えてレイアウトを調整できる。

やればやるほど達成感が味わえる動物園経営

 チュートリアルでゲームの進めかたがわかったところで、チャレンジモードを遊んでみた。チャレンジモードでは、最初の資金を元手にして自分の動物園を一から大きくしていく、といっても、ただ黙々と動物園を拡張していくのではなく、ときおり与えられる「動物の種類を増やしてほしい」だとか、「ふれ合いショーが見たい」といった“チャレンジ”をクリアーしながらゲームを進める。チャレンジを達成すると、収入が増えたり、人気が上がったりして、ゲームプレイがいっそう有利になるのだ。

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▲動物のエサやり体験。展示場にふれ合い用のスペースを設けると、動物たちとのコミュニケーションが楽しめる。しっかりと飼育して動物のレベルが上がると、繁殖や野生に戻すことが可能になる。野生に戻すと動物園への寄付金がアップ!

 ゲームの基本的な流れは、動物を展示するスペースを作って、動物を買い付けて、エサやりやフンの始末などの世話をして……といったところだが、このほかにも来園者がひと息つける売店や広場を建てたり、研究を進めて新しい動物や施設を購入できるようにしたりと、つねにやることがあってなかなか忙しい。それがストレスになるかといえば、決してそのようなことはなく、やればやるほど動物園が目に見えて充実していくので、ますます楽しめた。自分が作った動物園に愛着がわくほど、「あれもこれもやっておかなきゃ」といろいろ気になってしまい、やめどきに困ることもしばしば。一度始めるとなかなか中断できなくなる恐れがあるので、ちゃんと時間を決めてプレイしたほうがいいかもしれない。

 一方、キャンペーンモードはシナリオに沿ってプレイするゲームモードで、舞台となる動物園も初めから大きい。ある程度、発展した動物園を経営しなくてはならないうえに、複数のゴール(目標)を達成する必要があるので、『Zoo Tycoon(ズータイクーン)』に慣れたプレイヤーに向いている。キャンペーンの難易度は“簡単”、“普通”、“難しい”の3段階に分かれており、特定のシナリオをクリアーすると新しいシナリオがアンロックされる仕組みだ。

遊びやすいけど奥深い!

 操作性はとても軽快で、視点の切り替えなどもシームレスに行われるため、プレイ中はローディングを意識することがほとんどなかった。また、Kinectのマイクに対応しており、音声コマンドでやりたいことを直接指示することもできる。ただし難点を挙げると、画面に表示されるテキストの文字が若干小さいので、モニターのサイズが小さいと文字がつぶれてよみづらいことがあった。また、エサの補充やフンの始末など、使用頻度の高いコマンドでも、逐一トップのメニューからたどっていかなくてはならない点が不便だと感じた。ショートカットが登録できたら、もっと快適に遊べたと思う。

 経営面では、動物園の収支を数字でくわしくチェックすることもできるが、こまかいデータをいちいち見なくても問題なくゲームを進められる。“経営シミュレーション”というわりには、感覚で遊べるゲームという印象だ。また、経営だけでなくキャラクター視点で園内を歩き回るZooビューにも、お楽しみが盛りだくさん。動物の生態がリアルに表現されているのはもちろん、バギーに乗ってタイムアタックに挑戦したり、シークレットコイン(コレクタブルアイテム)を探したりと、自分の作った動物園を自分の目線で漫喫できるようになっている。

 いちおうのゴールは設定されているものの、箱庭の発展を好きなだけ楽しめるので、その種のシミュレーションゲームが好きな人にはとくにおすすめしたいタイトル。ただし、いわゆる“中毒ゲー”になる危険が大きいので、ハマりやすい人はプレイ時間にご注意を!

なお、既報の通り『Zoo Tycoon(ズータイクーン)』の無料体験版が本日(2014年3月12日)より配信を開始した(→関連記事はこちら)。気になる方は、試してみてはいかが?

(文章/ムライサトシ)


Zoo Tycoon(ズータイクーン)
メーカー 日本マイクロソフト
対応機種 X360Xbox 360
発売日 2014年3月20日(ダウンロード版は2014年4月8日)
価格 5900円[税抜]
ジャンル シミュレーション / 動物
備考 ※Xbox One版も発売予定(発売日は未定)