旧作へのリスペクトに溢れた新生『ストライダー飛竜』

 カプコンから、2014年2月22日に発売されたプレイステーション3用ソフト『ストライダー飛竜』(プレイステーション4、Xbox 360版はダウンロード配信。Xbox One、PC版は発売日未定)。本作は、1980年代にアーケードでリリースされた『ストライダー飛竜』の流れを受け継いで制作された、新作アクションゲームである。『ストライダー飛竜』シリーズはこれまで2作品がリリースされているが、プレイステーション3版では、初代『ストライダー飛竜』と『ストライダー飛竜2』が含まれた『ストライダー飛竜1&2』のプロダクトコードが同梱されているので、過去の2作品もプレイ可能だ。
 ここでは新たに生まれ変わった『ストライダー飛竜』の魅力を、古株ライター、石井ぜんじがインプレッションする。

初代の発売から数十年。新たなスタイルでよみがえった『ストライダー飛竜』プレイインプレッション_02
初代の発売から数十年。新たなスタイルでよみがえった『ストライダー飛竜』プレイインプレッション_04
▲シリーズを通して、なぜかストライダー飛竜には雪原がよく似合う。新作でも期待にたがわず雪山からスタート。その後、迷路のように入り組んだ都市や要塞に進んでいく。

探索要素と成長要素が『ストライダー飛竜』を進化させる

 本作でプレイヤーが操作するキャラクターは、“ストライダー飛竜”と呼ばれる諜報と暗殺のプロ。卓越した運動能力で敵を倒し、複雑な地形を乗り越えて進んでいく。この基本コンセプトは、初代『ストライダー飛竜』と同じである。
 だが、前2作がアーケードゲームとして発表されたのとは異なり、本作は家庭用ゲームとして開発された。そのため前2作と比べると、ボリュームは格段にアップしている。そのボリュームを支えるのが、迷路上のマップを踏破する探索要素である。これまでにはない探索要素が加わったことで、爽快なアクションを長く楽しめるようになった。
 フィールドをくまなく探索すると、さまざまなアップグレードや、新たな武器、アクションを得ることができる。つまり、探索することで飛竜が成長して、より多彩なアクションを楽しめるようになるのだ。このようなキャラクターの成長の楽しみも、いままでのシリーズにはなかったものである。
 成長の幅が大きいだけに、プレイ開始時には「どうも爽快感が足りないな」と思うかもしれない。しかし、武器やアクションを手に入れることでプレイ感覚は劇的に変わり、力と技で押しまくることも可能になってくる。ぜひマップの隅々まで踏破し、とことんそのアクションを楽しんでほしい。

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▲新たな武器やアクションを追加すると、それまでに進めなかった場所にも行けるようになる。一度通った場所でも、あとで調べてみれば新たな発見があるはずだ。

多彩な武器とアップグレード

 ここからは飛竜が獲得できる、さまざまな武器やパワーアップを簡単に紹介していこう。ただし、ここで紹介するのはすべてではなく、その一部である。

◆サイファーのパワーアップ
 サイファーは飛竜が手に持っている武器で、主要な攻撃手段となる。このサイファーはパワーアップすることで爽快感が増し、よりテクニカルな操作が可能になっていく。

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チャージアタック
□ボタンを押しっぱなしにして開放することで、強力な一撃を放つことができる。リーチが伸び、地形を貫通するので、床下から上の階にいる敵を攻撃することも可能だ。またこの攻撃で敵の持っている盾を壊したり、特殊な装置を起動したりすることができる。
リフレクトサイファー
敵の弾をはじき返すサイファー。この武器を獲得するとサイファーを振りながら弾を撃つ兵士に突っ込むことができる。爽快感が劇的にアップする武器だ。また、ジャストタイミングではじいた弾で、敵を破壊することもできる。
バーストサイファー
敵を炎に包み、追加ダメージを与えるサイファー。強力な武器で、敵の持つ盾を破壊したり、特殊な扉を開けたりすることができる。ただしリフレクトサイファーとの併用はできない。場所によって使い分けることが必要になる。

◆オプション
 初代『ストライダー飛竜』に登場したオプションが、本作でも登場する。初代とは違い、一度獲得すれば好きなときに使用できる。ただし使うためにはプラズマエネルギーが必要なので注意しよう。プラズマエネルギーは時間が経てば回復する。

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オプションA
飛竜の周囲を回り、敵弾を防いだり、弾を撃って攻撃したりしてくれる。装備することで攻撃力が一気に上がる、ありがたい武器だ。さらにハッキングまでしてくれるというオマケつき。
オプションC
ワシが低空飛行し、敵にダメージを与えてくれる。出現は一瞬だが、かなり強力なダメージを与えてくれる。通常の攻撃では破壊できない、敵の盾を壊すこともできる。さらに特定の場所で、ワシに捕まって移動する“イーグルフライト”が可能になる。
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◆クナイ
 プラズマエネルギーを使用して投擲する飛び道具。遠距離にある砲台や、ボス戦に役立つ。また攻撃手段のほか、クナイを当てることで作動する扉を開くことができる。
 クナイはアップグレードすることで、一度に投げる本数や、射程距離がアップしていく。またリフレクトクナイを手に入れると、地形を反射して飛ぶようになる。

◆ギア
 ギアは飛竜が行う動作の種類だ。最初から持っているギアに、壁を登る道具、クライムシクルがある。探索で獲得できるギアには、つぎのようなものがある。

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アサルトファング
スライディングで特定の障害物を破壊できるようになる。これによって探索の幅が広がる。
ダウンストライク
ジャンプ後△ボタンを押すことで、急降下して強烈な一撃を加える。特定の床を壊すことができ、ここから新たな場所に進める。
ダブルジャンプ
一度ジャンプしたあとに、空中でさらにもう1回ジャンプできるようになる。このダブルジャンプを獲得すれば、進める場所がぐっと増える。
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◆プラズマカタパルト
 プラズマカタパルトは、飛竜を任意の方向へ高速ダッシュさせる技である。地上、空中を問わず出せるので、各種アクションを組み込んで多彩な動きができる。前述したダブルジャンプと組み合わせ、空中でプラズマカタパルトを使えば、立体的なアクションが可能だ。後半のステージでは、複雑な地形を突破するため、ジャンプとプラズマカタパルトを使った自在な動きが求められる。またそのほか、プラズマカタパルトを使うことで、通り抜けられる装置がある。
 プラズマカタパルトのパワーアップに、リフレクトカタパルトがある。これを獲得すると、敵の弾をはじきながら、攻撃力のある移動が可能になる。敵の盾を破壊することもでき、戦闘のスピード感がさらにアップする。

 そのほかにも、体力上限を増やすアップグレードや、プラズマエネルギー回復速度のアップグレードなどがある。これらはマップ内に隠されているので、しっかりとマップをチェックして探してみよう。最初は行くことのできない場所もあるので、そんな場所は覚えておき、あとで戻ってくるとよい。

魅力的なライバルキャラクターの数々

 探索要素の強い本作であるが、さまざまな種類のボスキャラが登場するのも特徴だ。ボス戦がアクセントになっているため、長い時間プレイしても飽きることはない。『ストライダー飛竜』のボス(ライバル)といえば、オールドファンなら賞金稼ぎのソロ、中国娘の東風三姉妹などが思い浮かぶだろう。本作では初代『ストライダー飛竜』をリスペクトし、これらのライバルキャラを登場させている。いったいどこで彼らが登場するか、これも楽しみのひとつとなっている。
 これまでのシリーズには登場しなかったボスキャラも、かなりの数が登場する。これらのボスと戦って感じたのは、無理やり力押しで倒そうとしてもダメージを食らいやすいということ。ボスがくり出してくる攻撃は一見シンプルに見えても、一筋縄ではいかない。ボスの攻撃パターンと性質を見極めることで、ボスの攻撃をかわし、反撃できるようになる。その結果、ダメージを食らわずに倒せるようになるのだ。
 このような攻略法を作る楽しさは、1980年代から続く2Dアクションゲームの魅力のひとつである。現在ではアクションゲームも3Dポリゴンで作るのが一般的になったが、本作では2Dアクションの優れた部分が受け継がれ、活かされていると感じた。

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▲単純な動きに見えても、ボスとの間合いと攻撃方法を見切らないとダメージを食らいやすい。ボスの攻略法を作るのが楽しみのひとつとなっている。また賞金稼ぎのソロなど、シリーズで登場するライバルキャラの対決は必見。

ていねいな作りこみが間口をさらに広くする

 最新作の『ストライダー飛竜』をプレイするにあたって、シリーズの過去2作もプレイして最新作と比較してみた。そこで感じたのは、本作は過去の作品と比べても、非常にていねいに作られている、ということだ。初代『ストライダー飛竜』の凄みは、破天荒なアクションと、プレイヤーの想定の斜め上を行く発想だった。このような展開は時代の違いもあり、現代でそれを可能にするのは難しい。
 最新作の『ストライダー飛竜』は、その部分をていねいな作りこみによって補っている。爽快に戦えるアクションのシステムをさらに練りこみ、バリエーションを増やしている。また、計算されたマップ構成で、飽きずに長い時間遊べるように工夫している。その結果、より間口が広い、遊びやすいアクションゲームに仕上がっているのではないかと思った。
 本作は『ストライダー飛竜』のファンはもちろん、探索型のアクションゲームに興味がある人に薦めたい作品だ。シリーズ作品の予備知識がなくても、十分に楽しめる仕上がりになっている。ぜひ多くのプレイヤーに体験してほしいと思う。

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▲探索しながらアクションの種類が増えていく感覚は、多くの人に受け入れられる楽しさとなっている。シリーズのファンでなくてもオススメできる作品だ。

■筆者紹介:石井ぜんじ
おもにファミ通Xbox 360誌などで攻略、クロスレビューを担当してきた古株ライター。ゲームの文章を書き始めてから20数年、飽きずに続けております。過去に『シュタインズ・ゲート公式資料集』などに参加。これらからも、ファンが喜ぶ記事作りを目指していきたいと思っています。