イオン・ネイの思いが込められた詩の魅力とは

 2014年2月27日、東京・秋葉原のアソビットシティ 秋葉原にて、ガストのプレイステーション3用ソフト『アルノサージュ~生まれいずる星へ祈る詩~』(2014年3月6日発売予定。以下、『アルノサージュ』)の体験会とトークショーが行われた。

 今回の体験会&トークショーは、ゲーム発売に先駆けて東京・大阪・名古屋で行われている“アルノサージュキャラバンイベント”の一環として行われたもの。ガストの土屋暁ディレクターと、『アルノサージュ』に参加している歌姫・志方あきこさん、霜月はるかさんが出演し、『アルノサージュ』の制作秘話を語った。

『アルノサージュ~生まれいずる星へ祈る詩~』トークショーで土屋ディレクター、志方あきこさん、霜月はるかさんが制作秘話を語る_05
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▲志方あきこさん
▲霜月はるかさん
▲土屋暁ディレクター

■『アルノサージュ』の楽曲について

 『アルノサージュ』では、志方さんはイオン、霜月さんはネイというキャラクターの歌を担当しており、曲作りにも深く関わっている。『アルノサージュ』の楽曲にまつわる思い出について尋ねられると、志方さんは楽曲「Lxa ti-cia」が、『アルトネリコ』シリーズのイメージCD「謳う丘 ~Ar=Ciel Ar=Dor~」に収録されている楽曲「シャラノワールの森」と同様に、“シャラノワールの森”という場所をテーマにした曲であると述べ、もう一度その場所にまつわる曲、アル・シエラ言語の曲を作れたことがうれしい、と語った。ただ、ギリギリのスケジュールの中で作ったうえ、6分を超える大作になってしまい、やってもやっても曲作りが終わらない辛さを味わったそうだ。

 また、志方さんが手掛けた曲「Class::CIEL_NOSURGE;」は、『シェルノサージュ~失われた星へ捧ぐ詩~』をプレイしている人なら「おっ」と思う作りになっている。というのも、この曲はジェノメトリクス(精神世界)の曲のアレンジ。ジェノメトリクスは『シェルノサージュ』の根幹にあるものであり、『アルノサージュ』とのつながりを表現するために、そのようなアレンジにしたそうだ。ちなみにこの曲、フルバージョンを聴くとかなり“電波”な曲に聴こえるらしい。CDの発売が楽しみ!?

 霜月さんは、今回は「Hidra Heteromycin」、「Class::DISTLLISTA;」という2曲を手掛けたが、土屋ディレクターからのリクエストは、両極端なものだったとのこと。「Hidra Heteromycin」は、いままで霜月さんが取り組んだことのない“スラッシュメタル”のような方向性を求められ、霜月さんはメタルに必要な要素は何かを研究するところから始めたそうだ。一方の「Class::DISTLLISTA;」は、これまでの霜月さんらしいメロディーを心がけた曲。この曲が流れるシーンの演出はあらかじめ決まっており、そのシーンの展開に沿って作ったそうで、霜月さんは「ゲーム中でどう流れるのか楽しみ」と語った。

 この話を聞いた志方さんは、自分もムービーに合わせて曲を作ったのだが、とても苦労した、というエピソードを披露。というのも、なんとムービーが上がってきたのが、ゲームのマスターアップの前日! 事前にコンテはもらっていたため、どんな音を当てるかは事前に考えていたものの、いざ当ててみたら絶望的に合わず、ヒヤヒヤしながら新たに曲を作ったそうだ。

■キャラクターについて

 志方さんは、「イオンちゃんは、いままででいちばん掴めなくて、苦労したキャラクター」とコメント。これまでは、『アルトネリコ3』の咲がいちばん“遠い”キャラクターだったが、咲は“電波”であるという点で共感できたため、ぐいぐい想像を広げることができたそう。しかしイオンは、『シェルノサージュ』では“健気ないい子”の部分しか見えず、その性格を掴みにくかったという。

 そんな志方さんに対し、土屋ディレクターは、弱々しいイオンが成長していくさまを、小から大になっていくクレッシェンドで表現してほしい、とリクエスト。その要望を受けた志方さんは、『シェルノサージュ』ではイオンの少女らしい面を、『アルノサージュ』では、ある意味人間を超えたようなイオンの大きな存在感を表現した、と語った。

 霜月さんは、ネイは“とてもやりがいがあるキャラクター”と語る。『シェルノサージュ』では、内面にいろいろなものを抱えつつ、ニコニコしていたネイ。『シェルノサージュ』の歌では、彼女の本心がコーラスでにじみ出るように歌っていたという。その『シェルノサージュ』を経て、『アルノサージュ』のネイは、強い想い、後がない想い、いろんな想いを背負うようになる。『シェルノサージュ』から『アルノサージュ』に至る流れを見ると、ネイのことをより深く理解できると思う、と霜月さんはコメントした。

 志方さんと霜月さんの発言を受けて、土屋ディレクターは、「イオンは『アルノサージュ』になって、覚醒しました、という感じ。ネイは『アルノサージュ』で、背負っているものが重くなったという感じ」と語った。また、『アルトネリコ』シリーズを含め、志方さんが担当するキャラクターはいつも“直球”で、霜月さんが担当するキャラクターは“ひんまがっている”のだが、これはすべて偶然であるらしい。

 本作に参加するにあたり、膨大な量のキャラ設定と、なぜそのキャラクターが歌を歌うに至ったかについての論文のような文章を土屋ディレクターから渡されたという志方さんと霜月さん。「声優ではないけれども、演じている気持ちで取り組めるのは、土屋さんのプロジェクトだけ」とは霜月さんの談。志方さんは、「言語がいままででいちばん難しかった」と制作を振り返った。というのも、志方さんはサージュ・コンチェルトに登場する独自の言語を使い分けなければならなかったから。曲によって言語が違うため、混ざってしまうこともあったとか。なお、志方さんが歌った曲「この世界のあなたと、あのセカイのあなた」には言語のトリックが仕込まれているそうだが、なぜそのような仕掛けになっているのか、それは『アルノサージュ』をプレイして確かめてほしいとのことだ。

■『アルノサージュ』のバトルに挑戦!

 まもなく発売される『アルノサージュ』。今回のイベントでは特別に、霜月さんがデルタ・キャス組、志方さんがアーシェス・イオン組でのバトルをプレイした。

 本作のバトルシステムを端的に表現すると、「歌姫を守りながら戦い続けて、最後に詩魔法でキメ!」となる。最後に派手に詩魔法を決めるには、攻撃やスキルを駆使して“ハーモニクスレベル”を上げる必要がある。

 霜月さんは難易度ノーマル、志方さんは難易度ハードで挑戦したのだが、ふたりのプレイを比べると、ハーモニクスレベルの上がりやすさの違いは一目瞭然(もちろん、ノーマルのほうが上がりやすい)。難易度ノーマルはシナリオを進めたい人向け、難易度ハードはRPGらしいプレイを楽しみたい人向けで、難易度ベテランがコアなプレイヤー向けとのことだ。

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▲各詩魔法の演出は見もの。

■『アルノサージュ』いよいよ来週発売!

 サイン入りタペストリーが当たるじゃんけん大会などを経て、いよいよトークショーはフィナーレへ。志方さんは「イオンちゃんを、世界をよろしくお願いします!」、霜月さんは「(2014年3月5日には)『アルノサージュ』のCDも出ますので、たっぷり楽しんでください」とファンにメッセージを送った。『アルトネリコ』につながる壮大な物語の幕開けまで、あと少し。『アルノサージュ』音楽CD特設サイトで試聴できる楽曲を聴きながら、楽しみに待っていよう。