新宿駅前を『World of Tanks』が占拠!
2014年2月21日、ウォーゲーミングジャパンはオンライン戦車アクション『World of Tanks』(以下、WoT)のオフラインイベントを東京の新宿アルタで開催した。
オフラインイベントは新宿ステーションスクエア、新アルタビジョン、スタジオアルタの3ヵ所で同時に開催。新宿ステーションスクエアでは巨大な戦車のオブジェに乗り込んで新アルタビジョンに向けて砲撃する参加型企画やミリタリー撮影会などが実施された。
スタジオアルタでは戦車トークライブ“語っていいとも!”が開催。本稿ではこのトークライブの模様を中心にリポートする。
戦車トークライブ“語っていいとも!”
戦車トークライブ“語っていいとも!”の登壇者は人気アニメ『ガールズ&パンツァー』プロデューサー・杉山潔氏、イタリア軍研究家・吉川和篤氏、戦車大好き声優・中村桜さん、ウォーゲーミングジャパンのミリタリーアドバイザー・宮永忠将氏の4人。戦車が好きすぎる4人が集結しただけに、トークの内容は濃厚そのものだった。
■はっきゅん(八九式中戦車)は元軽戦車!?
“語っていいとも!は、TGS2013で実装が発表された“八九式中戦車”の話題からスタート。『ガールズ&パンツァー』でも登場(作中での愛称は“はっきゅん”)しており、中村桜さんも実装をいまかいまかを待ち望んでいるひとりだ。
吉川和篤氏によると、八九式中戦車はもともと軽戦車として作られたのだという。これは中村桜さんも知らなかったらしく「えっ!? えっ!?」とびっくり。
八九式が軽戦車から中戦車に移項したのは昭和10年前後。この頃に“九五式軽戦車”が登場し、軽戦車がふたつあるのは分類上わかりにくいということで、八九式は中戦車になったとのこと。この際の改修で尾ソリが追加され、重さが10トン未満から11トンに増量している。
宮永忠将氏は「出だしからすごい話ですね」と、ぎこちない笑顔で返した。と、言うのも、“八九式中戦車”開発におけるいちばんのネックは、“軽戦車と中戦車のどちらに分類するべきか?”という点だったのだ。宮永氏は「軽戦車としてゴーサインが出たと認識しました」と述べた。
杉山氏は「まずは軽戦車として作りつつ、モデリングもきちっと変えて八九式中戦車も作っていただけるとありがたいです」と、吉川氏は「最初は操縦席が左側ですけど、途中から右になっているんです。それに、足回りも再設計されています。ここまで再現していただけると、戦車マニアとしては泣いて喜びます」と、宮永氏にプレッシャーをかける。
“八九式中戦車”がどのような形で実装されるのか、宮永氏の手腕に注目したい。
■イタリア戦車ツリーの実装に期待!
続いての話題はイタリアの戦車。2014年7月25日に発売となる『ガールズ&パンツァー』のOVA“これが本当のアンツィオ戦です!”に、イタリアかぶれの女子高生が登場するからだ。
なお、『WoT』にはイタリア戦車は未実装。宮永氏は今回のトークショーでイタリア軍の専門家である吉川氏と共演するということで、開始前から警戒していたとのこと。「『WoT』には登場しないんですか?」などと聞かれても、濁した回答しかできない。
同OVAに登場するイタリア戦車は“セモヴェンテ(自走砲)”、“カルロ・ベローチェ 3/33 タンケッテ(軽戦車)”、“カルロ・アルマート P40(重戦車)”の3車両。吉川氏によると、日本は戦車開発にかける予算が少なかったが、イタリアはそれに輪をかけて貧乏だったらしい。
当時の日本と同じく、戦車の開発にはずいぶん苦労したようだ。だが、「イタリア人って、やるときはやるんですよ。一気にブレイクスルーするときもあるんですけど、そこまでが長いんです」とは、吉川氏の弁。個性的な戦車が多いようなので、実装されたらゲームとしてはおもしろそうだ。開発側からするとバランス調整がたいへんそうだが。
イタリア戦車の例として、吉川氏は“カルロ・ベローチェ 3/33”について解説。「“カルロ・ベローチェ 3/33”の“3”って“3トン戦車”の意味で、本当に小さいんです。実際の写真を見ると笑いますよ」。
OVAのために内部設定を作っていたら、車内が狭すぎてほとんど見えないことに気づき、絵コンテが決まってから見えるところだけ作る方向性にシフトしたとのこと。
宮永氏「これ、大真面目なんですよね」
また、“カルロ・アルマート P40”は開発当初、多砲塔戦車として考えられていて、ドイツ軍の多砲塔戦車とそっくりなのだそうだ。吉川氏は「イタリアってたまにこういうことをやるんですけど……パクるんですよ」と笑いながら語った。会場も大爆笑。宮永氏は「インスパイアされたんですね」とフォローを入れていた。
杉山氏は「“カルロ・ベローチェ 3/33”が活躍する映像作品は史上初かな、と。吉川さんには資料提供も含めて監修していただいて、イタリア戦車の3Dモデルとしては世界でいちばん正確だと思います」と自信満々。OVAは絵コンテが完成したばかりで、戦闘シーンは15分以上にもなるという。
ここで中村桜さんが「そんなこと言われたら黙っていられないですよね」と宮永氏に話を振る。宮永氏によると、『WoT』を手がけるWargaming.netのスタッフ陣は、自分たちが戦車ゲームのパイオニアであるという自負がすごく強いのだそうだ。「今回、『ガールズ&パンツァー』のOVAが先にイタリア戦車を動かすということに、いたくプライドを傷つけられたようなんです」と、人間味のある事実が明らかに。
『ガールズ&パンツァー』に負けないように、開発陣のプライドに火をつけるのも宮永氏の仕事だ。宮永氏は「開発スタッフのミーティングには、お土産じゃなくて宿題を持っていくことになりそうです」と笑う。
杉山氏からは「いくらでも画像をお貸ししますから、日本でこれだけのものを作っちゃったぞと、開発スタッフを挑発(?)してしてください」と心強いサポートも。『WoT』にイタリア戦車が実装される日も遠くはないのかもしれない。