雪を溶かすほどのアツい語りが見どころの秋葉原イベント
2014年2月15日(土)東京・秋葉原にあるAKIHABARAゲーマーズ本店にて、声優、アーティストとして活躍する今井麻美さんの4thアルバム『この雲の果て』の発売記念イベントが開催された。この日は前日に全国的に大雪となっており、交通機関も麻痺している中、多くのファンが集結。拍手の中登場した今井さんも「わー! すごいー! なんでみんな来れたのー!?」と驚きを隠せない様子だった。遠方から参加したというファンの中には、岩手県から来たというファンもおり、この日を楽しみに各地からファンが集ったことが明らかになった。
イベント序盤は今井さんによるアルバム語り。アルバム制作をしている時期が、いちばんアルバムのことを考えている時期だという今井さん。「ああしたい、こうしたいと激論しながら作っている」ということで、自分のイメージを伝えることもあれば、すべて任せてしまうこともあり、つねに駆け引きをしながらアルバムを作っているそうだ。また、群馬の沼で撮影したミュージックビデオの話題では、水辺を歩いていくシーンを撮影する際に靴を履いていると足を取られて、そのまま靴が脱げてしまうため裸足で歩いたところ、地面が整備されていないためへっぴり腰になってしまい、「もうちょっと姿勢を正して歩いてください!」と指示されたというエピソードを明かした。
続いては、ファンからの質問に答えていく今井さん。初めて今井さんのインストアイベントに参加したというファンに「私に聞きたいこととかある?」と聞いてみると、ライブツアーの話を聞きたいということで、今井さんはライブツアーで感じた“表現”について語り始める。今井さんの中では、今回のライブツアーのピークを仙台だと感じていたという。東京から始まった公演の中で徐々に成熟されていったものが、仙台で爆発したと今井さんは感じていたそうだが、その後小倉の2daysを経て、今井さんのサポートバンドである“+A”のメンバーから、“小倉の2日目がすごかった”と言われたと。とくに、バンドメンバーの中でも口数の少なく音楽オタクと言われている“天ちゃん”こと中村天佑氏から「小倉の2日目の『天空の炎』は、いやあ……すごかったっす」と感嘆の声が漏れたということで、今井さんも「滅多にそういうことを言う人ではないので、自分の中で重みがあったんですよ」とコメント。仙台公演や小倉公演のリハーサルの際に、サックスを担当する渡辺ファイアー氏や天ちゃんから、『天空の炎』でもっと好きなように前のめりにやっていいと背中を押されたことを、徐々に昇華した結果が小倉の2日目につながったと言う。「すごく気持ちよく気持ちよく歌えて。でも、自分の中ではまだ物足りなく感じたんです。ということは、まだ伸びしろがあるんじゃないかなって」と振り返る。仙台公演や小倉公演を経てのまわりからの反応を受け、自身が感じる満足と実際の出来は必ずしも一致しないという今井さんは、そこも含めて全部ポジティブに捉えていると語る。そして、自身の意識の変化についても言及。歌手活動を続ける中で、自分が歌う理由を模索したという今井さんは、「自分からもっと前のめりに表現していこうと考えるきっかけになったのが、震災だったと思うんです」と素直な気持ちを吐露。震災をきっかけに、自身の中で現在もさまざまな発見があるという。そのひとつとして、今井さんは「自分が“ダメかなー”と思ったときが、自分が伸びるきっかけだと最近感じています」と語る。「いままでは、“自分なんてダメだ”と思ったときになかなか浮上できなくて時が解決するのを待っていたんです。でも、ぐーんと落ちたときに自分を見つめるということがどんなことなのかが最近漠然と見えてきた気がして、そういう部分を表現したいものや訴えたいものに変換していくことが、歌にしても、お芝居にしてもすごく大事なことなのかなと、ここ1年ぐらいですごく感じています。……なんか、すごくマジメな話ばっかりして恥ずかしいな(笑)。今井さんのインストアイベントはすげーマジメだぞーって言われちゃったら、それはそれで困るんだよー(笑)」と最後はくだけた表情を見せたが、今井さんの真剣な想いをファンも真剣な表情で受け止めていた。
そのほか仙台での食事の話題やライブの前後はどのように過ごしているのかといった話題がくり広げられ、会場のファンはときに真剣に、ときに笑いを堪えながら、今井さんのトークに耳を傾けた。そしてここで、ライブコーナーへ。今回は『天空の炎~miragem~ - Jazz arr. Ver. -』を披露。フェイクを入れつつ歌い上げる同曲は、ライブのときの熱量とはまた異なる雰囲気で、曲の世界観を表現するように情熱的な仕草や表情を見せたり、間奏に入ると笑顔を浮かべファンからの手拍子を全身に浴びながら盛り上がったりと楽しそうに歌唱。今井さんが歌い終えると、会場からは割れんばかりの拍手が贈られたが、当の今井さんは「そうか、CD(音源)だとフェードアウトしていくんだね(苦笑)」とおどけた。
プレゼント抽選会ではサイン入りポスターを賭けたジャンケン大会を実施。なんと2度勝ち残る猛者も現れた。また、時間が余ったということで、今井さんがお忍びで『この雲の果て』のCDを会場となったAKIHABARAゲーマーズ本店に買いに来たことを暴露。ひとりきりで訪れたとのことだが、「まったく気づかれず(笑)」と今井さん。発売直後に来店した際に、『この雲の果て』の売り場が見つからず、「いままで来店するときはMAGES.のスタッフさんといっしょに事前に連絡を入れて来ていたから、“私が来るときだけ気を遣ってコーナーを作ってくれていたんだ!”と思って帰ろうとした」ところ、レジ前にコーナーが設置されていたのを発見。早速レジにCDを持っていくと、「“イベント抽選券いりますか?”って聞かれて、“大丈夫です♪”って言って帰りました(笑)」と自身が体験した珍エピソードを披露。最後は「みんながどうやってイベントの抽選券とかをもらっているのかを自分も体感できてよかったです」と結んだ。
そして、イベントのラストはもちろん『この雲の果て』を歌唱。ファンのハンドクラップが鳴り響く中、笑顔でリズムを刻む今井さん。体を大きく揺らしながら、曲の世界観を歌声で紡いでいった。「この雲が降らした雪の果てにあったイベントということで、今日は楽しんでいただけたでしょうか?」と最後の挨拶を始めると、雪で足下の悪い中イベントに参加してくれたファンを気遣い「帰り道、お怪我のないようにしてくださいね。まわりに困っている人がいたら、今日の豊かな気持ちのまま助けていただければ、出会いがあるかもしれません。すごくお金持ちの方との養子縁組とかあるかもしれませんから、人にはやさしくしていきましょう。あれ? この締めかた違うかな? ま、いっか!」と笑顔を見せ、秋葉原での発売記念イベントの幕とした。
■この雲の果て
発売日:発売中
価格:【数量限定盤(Blu-ray付)】4410円[税込]/【DVD付盤】3990円[税込]/【通常盤】3150円[税込]
発売元/販売元:5pb./メディアファクトリー