2014年2月1日からは、セッションの公募受付が開始

 CEDEC(Computer Entertainment Developers Conference)は、いうまでもなくゲーム開発者の技術交流などを目的とした、クリエイター向けのカンファレンスだ。一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)主催により、毎年夏の終わりから秋にかけて開催され、年々その規模を拡大。昨年行われたCEDEC 2013では、ゲームに限らず多彩なエンターテインメント分野からの講演者約300人による197のセッションが実施され、参加者は5100名を突破。ゲーム開発者向けのカンファレンスとしては、毎年3月にサンフランシスコで行われるGDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)につぐ、世界第2位の規模だ。CEDECで行われる講演は、開発者向けということで、記者には正直チンプンカンプンな内容も多いが、ゲーム業界のトレンドを知る絶好の機会として、毎年楽しみなイベントとなっている。

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▲左から中村樹之氏(セガ)、植原一充氏(バンダイナムコスタジオ)、福田淳史氏(コナミデジタルエンタテインメント)、松原健二氏(東京大学 特任研究員)。

 今年のCEDECの開催は、2014年9月2日~9月4日に決定しており、「まだまだ先だなあ~」と思った矢先、CEDEC運営委員会からの案内が届いた。“CEDEC メディアパートナー意見交換会”が行われるというのだ。会の目的は、CEDEC 2014から一新された運営委員会とお披露目と取材陣による意見交換。当日は、CEDEC運営委員会から、委員長・植原一充氏、副委員・中村樹之氏、同じく副委員・福田淳史氏、フェロー・松原健二氏が出席。盛んに意見が交わされた。ちなみに、CEDEC自体は1999年の開催以降、今年で16回目の開催とのこと。ひよっ子記者が参加したのはここ数回ほどでしかないが、相当な歴史を感じさせる。

 2008年以降、さまざまな改革に取り組んできたというCEDEC。年を追うごとに、“ボランティアスタッフの導入”(2008年)や“CESA開発技術ロードマップ”(2009年)、“公募の徹底強化”(2010年)などと、幅広い取り組みを見せてきており、右肩上がりに参加者が増加。2013年には、当初の目的である参加者5000人を達成している。と、CEDEC 自体、極めて順風満帆に見えるが、運営陣には、変化の激しいゲーム業界にあって、CEDECが時流にあったものになっているか、という危機感があるようだ。

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▲年々参加者を増やしているCEDEC。
▲さまざまな取り組みも行っている。

 意見交換会に出席したのは、ファミ通.comなど7媒体の8名。「セッションの難易度を事前に知りたい」「その年のトレンドをもっと明確に提示してほしい」といった講演内容に関するリクエストから「プレスルームの無線LANを強化してほしい」といった、取材時の切実な要望まで、幅広い意見が出された。中には、「CEDECと東京ゲームショウを同時に開催してほしい」「開催を4日間にしてほしい」といった要望も。そうなると、取材はさらにハードなことになりそうですなあ……。

 興味深かったのは、近年のセッションの動向。CEDECサイドでは、CEDECはデジタルエンターテインメント全般を取り扱うカンファレンスとして、アニメやIT系などにセッション内容を広げていく“全方位展開”を、ここ数年の方針としているのに対して、一部の記者から、「ゲーム開発者のカンファレンスなので、ゲームに特化したほうがいいのではないか?」との意見が出たことだ。記者個人としては、ここ数年のCEDECでのアニメ関連セッションは楽しませていただいているが、スマートフォンやPCブラウザゲームなど、ゲーム自体が拡散している昨今、「まずは、ゲームをしっかりフォローすべし」との意見にはうなづけるものがある。このへんの舵取りは難しいものとなりそうだ。

 さて、先述の通り、参加者5000人という、ここ数年の目標を達成したCEDEC。「つぎなる目標は?」との取材陣の問いかけに対して運営委員会は、まずは地方での展開を挙げた。CEDECの地方展開に関しては、いつになるかはわからないが、すでに取り組みはスタートしているとのこと。地方でCEDECが開催されれば、国内開発者の技術交流がさらに進みそうだ。その先にあるのは「アジア展開?」というところで、意見交換会はお開きとなった。

 印象的だったのは、植原委員長の「CEDECはクリエイターにとっての気付きの場であってほしい」とのコメント。私たちとしても、より魅力的なゲームを遊ぼうと思ったら、クリエイターにがんばってもらうしかない……というわけで、開発者の底上げを果たすCEDECを応援していきたいところ。

 なお、CEDEC 2014のテーマは、“Go for it!”。こちらには、「目標に向かって進む(努力する)」「がんばってやってみる」とのこと。2014年2月1日からはセッションの公募受付も開始されるとのことなので、「我こそは!」と思われる方は、ご応募を。

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▲CEDEC 2014のテーマ(左)と今後のスケジュール。