小林Pと山本Dに聞く!
『戦国BASARA4』の発売を記念して、本作のキーマンである小林裕幸氏と山本真氏のおふたりに、開発エピソードを語ってもらった。プレイに役立つアドバイスもあるので、隅々まで読んでほしい。(インタビュー実施日……2014年1月9日)
3年半ぶりのナンバリングタイトル発売を迎えて……
――『戦国BASARA4』が間もなく発売ですが、いまのお気持ちをお聞かせください。
小林裕幸氏(以下、小林) 毎度のことですが、発売日が近づいてくると実感がなくなるんですよ。発売後にファンの皆さんからの反響が来て、ようやくホッとできるというか。
山本 真氏(以下、山本) 僕は、逆に山場を越えたところ(※2014年1月9日現在)なので、ようやくひと息つけたかな、というのが正直な思いです。すでに発売後のような気持ちですよ。
小林 ナンバリングタイトルとしての『戦国BASARA』は3年半ぶりですから、どのような反響が来るのか楽しみですね。
山本 前作『3』は、1作目からストーリーの流れが続いてきて、天下分け目の関ヶ原というテーマでしたが、『戦国BASARA4』は戦国創世というテーマを掲げて、すべてを一新していますから、シリーズをプレイしてきた方々の目にも新鮮に映るのではないでしょうか。
―― 新要素がとにかく多くて、ビックリしました。ちなみに、本作の開発期間はどのくらいの長さだったのでしょうか?
小林 『戦国BASARA3 宴』が終わってからですから、およそ2年弱ですね。僕にとって、ナンバリングの4作目というのはシリーズの中でとくに重要な意味を持ちます。これまで僕が関わった『バイオハザード4』や『デビル メイ クライ 4』などは、シリーズの転機となる作品として成功しているので、戦国創世というテーマで動き出した『戦国BASARA4』でも何とか成功させたい。ただ、最初のうちは、とても不安でした。というのも、シリーズプロデューサーという立場のため、これまでのシリーズ作よりも、現場とのミーティングを行う機会が減っているんです。現場を信用していないわけではないのですが、山本の頭の中に完成品のビジョンがあっても、その段階では僕の目には見えていませんから。2013年に入って、具体的な形が見え出してからは、そんな不安も払拭されましたが。
山本 『戦国BASARA』シリーズは、誕生から今年で9年目となりますので、本作で初めて触れられる方も多いと考え、原点回帰が必要だと感じました。『戦国BASARA4』は、誰もが天下を獲れる世界ということで、シリーズを初めてプレイされる方にも、きっちり受け入れてもらえるテーマになったのではないでしょうか。
小林 この9年間を振り返ると、1作目の『戦国BASARA』は、ものすごい冒険でしたね。ゼロの状態から、21人も武将を作りましたし。キャラクターとしてだけでなく、全員が主人公なのでそれぞれドラマも用意していますし、いま考えても膨大な作業量ですよ(笑)。
“強大なモンスター”は『戦国BASARA』らしくない
―― 武将や設定はもちろんですが、本作では新システムの多さも目立ちますね。これらはどのように生まれたのでしょう?
山本 新武将の案を小林がチェックしているあいだに、システム面での新しい部分を進めていきました。まず、戯画バサラ技ですが、とにかく目立つものを目指して、墨絵の演出を取り入れました。ミーティング時も「とにかくスゴイんですよ」と強調していました。戦友指令も、「武将ふたりですごいことをやる」と(笑)。
――(笑)。実際にプレイしてみると、どちらも爽快感があって確かにすごいです。あと、陣形合体も目新しいシステムですね。
小林 陣形合体のアイデアは、企画が立ち上がった時点からあったのですが、当初のイメージ通りにできたと思います。アクションゲームにおいて、敵をどのように見せていくかはとても重要な要素ですが、強大なモンスターを登場させるといったものは『戦国BASARA』シリーズに合わないんですよ。あくまでも戦国時代なので、メインは兵士どうしの戦いでなければいけない。そこで、これまでやられ役というイメージが強かった敵兵士たちの見せかたを工夫しようと考えて、生まれたのが陣形合体というわけです。虎は出てきますけどね。
新要素と新武将が満載で試行錯誤の連続に
――『 戦国BASARA4』の制作にあたって、苦労した点をお聞かせください。
山本 これまでの作品とは違うゲームエンジンで制作していますから、環境の違いによる苦労が大きかったですね。画面に表示するキャラクターの数を増やしつつ、60フレームを維持したかったので。また、ゲームの内容では、プレイヤー自身が年表を創っていく“戦国創世モード”で、ロードムービーを見ているかのような感覚をいかにプレイヤーへ伝えるかに注力しました。戯画バサラ技や戦友指令など、ふたりの武将を動かすアクションも、シンプルかつ新しさを感じさせるUI( ユーザーインターフェース)で取り入れられるかで試行錯誤しましたし、とにかくすべてが新しいので、振り返ってみると苦労したことばかりですね(苦笑)。
小林 山本が企画書に書いた通りに武将たちが動いているのを見て、「これはすごい!」と実感しました。プレイしたらわかると思いますが、左近や勝家を始めとする新武将は、とても贅沢な作りになっているんですよ。盛り込む要素が多すぎるため、納期までの期間も考えたうえで、山本には「無理に全部は入れなくてもいいよ」と伝えていたのですが、蓋を開けてみれば全部キッチリ入っていました。
――さすがです! 話は変わりますが、エンディングテーマにSCANDALを起用した経緯をお聞かせください。
小林 山本がSCANDALのファンということは以前にもお話しましたが、『戦国BASARA4』の開発がスタートしたころの僕は、そのことをまだ知らなかったんですよ。戦国創世の明るいイメージに合う曲というイメージで考えた末、山本に「SCANDALはどう?」と聞いたら、ものすごい食いつきっぷりで(笑)。実際にメンバーの方々とお会いしてオファーしたところ、快く受けていただけました。T.M.Revolutionさんの歌うオープニングテーマと併せて、ものすごくいい曲になりました。ちなみにこの2曲は、2月12日に発売予定のスプリットシングル『Count ZERO | Runners high ~戦国SARA4 EP~』として発売予定です。ゲームをプレイして気に入った方は、そちらもチェックしてください。
本作がより楽しくなるプレイスタイルは?
―― これからプレイする人に向けて、オススメのプレイスタイルを教えてください。
小林 シリーズファンの方には、ぜひ勝家、左近の順番でプレイしてほしいですね。これまでにない要素が凝縮されているふたりなので、すごく新鮮に感じられると思います。
山本 そのふたりに政宗と三成を加えたメインの4武将は、それぞれが複雑に絡み合ったドラマを用意しているので、物語を楽しみたい方は、まずこの4人をプレイしてみてください。また、シリーズが初めての人には、1作目から続く『戦国BASARA』らしさを前面に出した幸村をオススメします。あと、ネタバレになっちゃうので詳しくは言いませんが、やり込んだ方には、慶次のドラマルートも必見です。
小林 涙あり、笑いありで、全体的に明るいドラマが多いので、ぜひ楽しんでください。
山本 それと、クリアー後には、プレイした武将による統治期間が表示されますが、9999年を越えると“未来永劫”になります。ぜひチャレンジしてみてください。
――本作には全40ステージ以上の合戦場がありますが、それぞれプレイするコツを教えてください。
山本 いくつかピックアップして解説しましょう。まずは最上義光にそっくりの紳士が大量に出現する“出羽・最上川”ですが、最上のセリフが本物を捜すためのヒントになっていますので、よく聞きながら進軍してください。鶴姫が登場する“伊予河野船 鶴の丸”は、すべての鈴を鳴らすと小舟が出現します。鈴の場所はプレイするごとに配置が違うので、がんばって探してください。鈴を鳴らした瞬間、ほかの鈴が共鳴するので、よくマップを観察してみるといいかもしれません。そのほかの合戦場もギミックが満載ですよ。
――なるほど~。ちなみに、本多忠勝が強すぎて倒せないんですが……。
山本 初期状態の武器ではきびしいので、強化してから挑んでみてください。武器の強化も本作の醍醐味ですよ。
――最後に、ひと言ずつメッセージをお願いします。
山本 シリーズ新章ということで、ドラマ面、アクション面ともにパワーアップしています。初めての方も楽しめる内容なので、ぜひプレイして、お友だちにも広めてください。
小林 皆さん、たいへんお待たせしました。盛りだくさんの内容なので、焦らずじっくり楽しんでください。2014年1月19日のバサラ祭でも発表しますが、今後もさまざまなコラボ展開やイベントも予定していますので、これからも『戦国BASARA』をよろしくお願いします!