参加者と開発スタッフの熱い想いが交錯した、開発会議を詳細リポート!

 2014年1月26日、東京のソニー・コンピュータエンタテインメントにて、2014年発売予定のプレイステーション Vita用ソフト『フリーダムウォーズ』のプレコミュ(プレイステーションファンのための公式コミュニティサイト)イベント“緊急!レッツ開発会議!”が行われた。イベントでは、ポータルサイトのオープンや期間限定体験版の配信などのニュースが伝えられたが(速報記事はこちら)、本記事ではイベントの内容を余すところなくリポート。開発スタッフ、そして参加者の熱に影響されたのか、非常に長い記事になっているので、じっくり読んでいただきたい。

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▲会場に入る前にあった、キャラクタービジュアルなどが並ぶ展示スペース。
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▲マティアスのポスター。石田彰さんのサイン入り。
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▲ジャンプフェスタにもあった咎人の格好をして写真撮影をできるスペースも。
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▲会場は、パノプティコンを彷彿させるオブジェで構築されており、雰囲気たっぷり。
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▲来場者には、荊(イバラ)を模したブレスレットをプレゼント。2013年12月に開催された“ジャンプフェスタ2014”などでも配布されたもので、今日の配布と合わせて2個持っている強者も!

 イベントは、超高機能汎用窓口係“プロパくん”のリポートからスタート。本会議に集まった人は、ゲストではなく、懲役100万年を背負った咎人となり、開発会議ボランティアに参加して、プレイリポートの提出などで貢献してもらうという目的が伝えられる。続いて、開発スタッフからのプレゼンテーションとして、プロデュースを担当するソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイドスタジオ・ジャパンスタジオ(以下、SCE WWS)の吉澤純一氏、原作、監修を担当するシフトの保井俊之氏が登壇。吉澤氏は、「僕もこのすごいイベントを楽しみにしていました。これまで制作でユーザーさんから意見を聞くというのは、発売後が中心でしたが、最近は体験版やこういう体験会が増えて、またTwitterなどを通じて感想をいただくこともできるようになったことがうれしい。開発途中にご意見をいただけるのは、すごく役立つんです」と、うれしそうに語る。

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▲SCE WWSの吉澤純一氏。
▲シフトの保井俊之氏。
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▲中継リポート風に登場したプロパくん。

 プレゼンテーションの話題は、先日開催され、『フリーダムウォーズ』のイベントも行われた、台北ゲームショウの話に(※リポート記事はこちら)。おふたりは台北ゲームショウのステージにも登壇され、「めちゃくちゃ熱気がすごくて、何よりノリがよかったですね」(保井氏)と反応が上々だったことを報告。また、アジア圏でも日本と同時期に発売されることについては、「このタイトルでブームを起こしたいと思っているので、日本のユーザーさんはもちろん、海外のユーザーさんともいっしょに盛り上がりたいです」(吉澤氏)と話していた。

 続いて、本作のコンセプトのお話……の前に、吉澤氏からなぜか小話が……。「私、SCEのペ・ヨンジュンと申します」という吉澤氏による唐突な挨拶(?)で始まった小話。突然の小話に、参加者はポカーンとしていると、司会を務めるプロモーション担当の林氏から、「ここ、笑うところですよ」とフォローが(余談だが、吉澤氏は初めて会ったメディアの記者にもこの挨拶をして戸惑わせる、お茶目な人である)。そして、小話の本題はここから。以下、小話。

・小話1
吉澤氏 独房とかけまして、鼻の下を伸ばさないと解きます。
参加者 その心は?
吉澤氏 出れ(デレ)ない。

・小話2
吉澤氏 ボランティアとかけまして、タンポポと解きます。
参加者 その心は?
吉澤氏 どちらも奉仕(胞子)がつきものです。

 小話のたびに拍手が起こるものの、会場はなんとも言えない空気に。「僕のギャグのクオリティーはこんなもんですが、プレゼンテーションで奉仕させていただきます」と話す吉澤氏に、「これは懲役ものですね」(保井氏)、「PT法に抵触しまして、100年の懲役を課します」(プロパくん)と、冷たいツッコミが続出した。

 気を取り直して、プレゼンテーションのリポートを続けよう。吉澤氏は、本作の目的を「“PS Vita”流行(ブーム)を作る」と語る。そのブームを作るための開発スタッフは、シフト ゲームデザイナーの保井氏、ディンプスの塚本高史氏、そしてSCEWWS 吉澤氏のタッグ。「実績も評価もおもしろさも作れているおふた方のコラボで作っているタイトルです」と吉澤氏は自信たっぷり。さらに、本作を語るキーワードとして公開されたのは、“懲役100万年”、“奪還のマルチプレイアクション”、“都市国家対戦”の3つ。以降のプレゼンテーションは、この3つのキーワードに分けて、内容が解説された。まずは、“懲役100万年”。世界観を説明するものとして、デビュートレーラーを改めて放映。

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フリーダムウォーズ プロモーション映像

 本作の世界観については、保井氏から説明が行われた。本作に登場する、牢国都市パノプティコンはひとつの都市国家として運営されている。舞台は、世界から資源が失われて、それを争い合う、人類が絶滅に貧している近未来の世界。パノプティコンは国家間の戦争をしており,閉塞した世界だという。また、パノプティコンは異常な国家で、“PT法”と呼ばれる、非常に重い法律で人々を管理しており、人間は生きているだけで罪だとして、懲役100万年を背負う“咎人”に認定されるのだ。プレイヤーは、ふだんはつねに独房にいて、生体アンドロイドの“アクセサリ”にずっと監視されている。アクセサリはプレイヤーの相棒のようにつねにセットで動く、「いわば、カメラを擬人化したようなもの」(保井氏)。アクセサリは、容姿、体型、コスチューム、装備などのカスタマイズに加え、どう動くかというAIや、音声合成でしゃべるセリフの音声なども自由に設定できるようになっている。そのアクセサリとともに、ボランティア(戦い)に挑み、懲役100万年から自由を目指していくのが、大まかなストーリーだ。

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 また、公開されているキャラクターの中から、“アリエス・M”と“ナタリア・“9(ナイン)”・ウーのふたりがピックアップして紹介された。「アリエスは、主人公の行く手に不意に現れ、さまざまな謎へ導いていく存在。ナタリアは、プレイヤーの上司のような存在で、彼女の命令をご褒美のようにいただいて、命令に従っていくというゲームの流れになっています」(保井氏)とのこと。このふたり以外にも、魅力的なキャラクターは数多く登場する。

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 ふたつ目のキーワードは、“奪還のマルチプレイアクション”。このテーマは、実際に試遊しながら解説が行われた。なお、ここでの試遊版と、この後にイベント参加者が触れた試遊版は、2013年12月に開催された“ジャンプフェスタ2014”のバージョンをベースに、細部を調整したもので、“台北ゲームショウ”に出展されたものと同じだとのこと。

 本作のアクション部分で最大の魅力が、テーマでもある“奪還のマルチプレイアクション”。「いままでのゲームの目的は敵を倒すこと。ですが、このゲームは、“シヴィリアン(市民)”という大事な人を取り返すことが目的で、仲間と協力して戦略的に奪還することを目指します」と吉澤氏が語るように、本作は敵を倒すだけでは、ミッションクリアーにはならない。ターゲットである“シヴィリアン(市民)”を奪還し、無事な場所まで救出するまで、目的達成とはならないのだ。

 また、本作でいちばん気持ちいいアクションが、荊アクション。遠くまで伸びる荊を地面や壁などに撃ち込み、高速かつ立体的に移動していくのだ。本作には徒歩とダッシュといった移動もあるが、「ダッシュよりも荊を地面に撃ち込んで移動するほうが早い」と吉澤氏は語る。また、荊は移動だけでなく、攻撃にも使える。大型の敵であるアブダクターに荊を撃ち込んで転ばせたり(トラックダウン)、パーツにはりついて溶断でパーツを破壊することもできるのだ。吉澤氏は、アブダクターへ荊アタック(荊を撃ち込み、勢いに乗った攻撃をする方法)をし、地面に着く前に、再び荊アタックをくり出すという連続技を披露していたが、ほかにもいろいろな使いかたができそうだ。

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 アブダクターが持つ鳥籠(ケージ)に囚われたシヴィリアン(市民)は、鳥籠を破壊することで奪還が可能。しかし、シヴィリアン(市民)は奪還しただけではダメ。搬送ポッドへ運ぶまでが、ボランティアの一環となるのだ。ただし、ひとりで奪還し、運ぶのはたいへんなこと。そこで、マルチプレイでは役割分担を行い、シヴィリアン(市民)を搬送する者と、アブダクターの足止めといった援護をする者と役割を分けて挑むことが重要となる。なお、シヴィリアン(市民)の運搬はプレイヤーがせずとも、アクセサリに運搬を指示することも可能。アクセサリに与えられる指示は、いろいろと設定ができそうだが、本イベントでは以下の4つの指示が確認できた。“付いて来い ”、“市民を運べ”、“市民を降ろせ”“待機しろ”。もちろんこのAIはまだ仮のもので、本番でどう変わるのかわからないが、指示に使いそうなスロット数は、少なくとも8つは設置できそうだ。

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 そのほか、実機プレイ中で判明したことや、発言などは以下のとおり。

・スタミナのゲージはないため、ずっと走り続けられる(荊用のゲージはある)
・体力は時間経過で回復する
・敵を倒さずに市民を奪還してクリアーを目指すことも可能
・市民の搬送時に市民を降ろすことも可能。降ろされた市民はウロウロと移動する
・クリアー時間によって手に入るアイテムなどが変わる
・ステージで拾った素材アイテムで武器の強化ができる
・ボランティアの貢献度合いで、減刑の数字が変化する

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 3つ目のキーワードは、“都市国家対戦”。ひとつ目のキーワードで、本作がパノプティコンどうしが争う世界であることが、ふたつ目のキーワードで、ボランティアでパノプティコンに貢献するということが説明された。この自分たちが貢献し発展させたパノプティコンどうしの対戦をオンライン上で行うことが、この“都市国家対戦”。本作では、日本の47都道府県がパノプティコンとなっており、プレイヤーはゲーム開始時にどのパノプティコンに所属するかを登録することになる。そのうえで、所属したパノプティコンを発展させ、どのパノプティコンがいちばんなのかをオンライン上で競い合うランキングバトルになるという。

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 プレゼンテーション終了後は、イベント参加者による、本作の体験プレイに。40分間という時間で、本作を体験し、プレイリポートを書くことになる。プレイは4人ひと組で、そのうちひとりはスタッフがナビゲーターとして参加していた。参加者はゲームを楽しみながらも、互いにどこが気になったのかを話し合い、とても熱心にプレイリポートを記入していた。ちなみに、プロパくんいわく、リポートを書くと40年の減刑だが、リポートを忘れると100年の懲役加算だとか。きびしい。

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▲プロパくん!
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▲参加者のプレイを見守る吉澤氏。
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▲参加者があまりに熱心にプレイリポートを記入しているため、プロパくんが「私と記念撮影する権利を解放しました」と言っても、あまり人が集まらず……。ちょっと寂しそうなプロパくん。

 体験会が終わった後は、本日のメインイベント“緊急!レッツ開発会議!”。実際にプレイして気になった部分を、開発者が参加者に聞いていくという、まさに会議と言える内容。ここからは、吉澤氏、保井氏に加え、ストーリー&世界設定の構築、社内のまとめを担当する、シフトのゲームデザイナー倉田誠氏、初期コンセプトデザイン、ストーリー、世界観のまとめを担当するシフトのゲームデザイナー征矢健太郎氏、シフト、ディンプス、SCEの橋渡し役を担い、クオリティー、開発進行を監修するSCEのクオリティディレクター菅野有造氏が参加することに。

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▲冒頭にはプロパくんが登場し、非常に貴重なプレイリポートの提出により、参加者の懲役9960年分を減刑して、残りの刑期を99万年にすると発表。40年減刑から一気に大盤振る舞い!
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▲倉田誠氏。
▲征矢健太郎氏。
▲菅野有造氏。

 この開発会議では、3つのポイント“三大争点”を設定し、会議が進められた。そのポイントとは、プレイヤーの操作、キーアサイン、荊の操作などについて話す“操作性”、大型の敵との戦い、ゲームの難易度などについて話す“ゲームバランス”、画面の見やすさ、アクセサリのガイド説明、アクセサリへの指示などについて話す画面の見やすさ、アクセサリのガイド説明、アクセサリへの指示について“ユーザーインターフェース”の3つ。それぞれを題材に、参加者からは非常に濃い意見が飛び出し、中には開発者のほうから「本職の方ですか!?」と驚くほど。

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 最初の話題は“操作性”。ダッシュを×ボタン操作すること、銃をRボタンで撃ちたいといった、操作まわりが議題に。保井氏は、「コンフィグタイプはセットされていて、方向キーで視点操作や、Lボタンでダッシュといったバリエーションは用意させていただいている予定。ただ、“来たな”というのが本音。有限のボタンですので、これをどう割り振っていくか、改めて重要だと感じた」と話している。ちなみに、デフォルトの設定では、Rボタンは荊攻撃。倉田氏はデフォルトの設定を使っており、右手人差し指でRボタンを押しながら、親指で□、△ボタンといった攻撃を押すという。一方、保井氏は、「私は、シュータースタイルを選んでいる」とのこと。“シュータースタイル”がどういった操作になっているのかはわからなかったが、Rボタンで銃の発射など、コンフィグのバリエーションは多く用意されそうだ。

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 続いて、意見が多かったという“カットインに関して”。これは、シヴィリアン(市民)を奪還した後、アブダクターが再起動する際に、カットインの演出が入り、ゲームの進行が一時中断されてしまうという部分だろう。保井氏いわく、プレイヤーに状況を把握してもらうために導入しているという。ただ、あの演出の最中も、ゲームの時間が進んでいることを問題視している参加者が多かったようだ。これについて、菅野氏は、「いま遊んでいただいているバージョンも悩みに悩んでいまの形にしています。ただ、裏で時間が進んでいることと、演出が飛ばせないこと、頻繁に入りすぎるということが問題なのだと認識しましたので、カットインの挿入の優先をつけて、どう処理していくか、引き続き考えていきます」とコメント。保井氏も「尺を短くするほうがいいか」といったアイデアを出していた。

 “敵を補足するロックオンの使い勝手について”は、参加者からは、「視点をデフォルトに戻すボタンがロックオンと同じLボタン(ロックオンはLボタン長押し)だったため、視点を戻す際に勝手にロックオンしてしまう」といったものや、「敵の足などにロックオンしたくても、腕をロックしたりと、意図した場所にロックオンできない」などの意見があり、菅野氏が「アブダクターが派手に動くので、距離を判定したりと難しい処理があるのだが、可能な限り調整したい」と約束した。

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 操作性で盛り上がった話題が、“溶断、トラックダウンなどのボタン連打が長い”というもの。敵の部位を溶断するときや、荊で引き倒すときなどにボタン連打が発生するが、それが長く感じるという。今回のバージョンになるまでに、開発スタッフのあいだでは、ボタン長押しや、連打などいろいろなアイデアが出て、ボタン連打に決まったというが、「現在のバージョンでは、敵の強さに応じて連打時間が決まっているので、このままもっと強い敵が出ると、10分連打ということになってしまうので、それはマズイ(苦笑)」(菅野)と、10分間連打がもちろん冗談だが、現時点でも悩んでいる仕様のようだ。また、保井氏は「ゲームディレクターとしては、長押しだと物足りない。ただ、連打だとしんどいという意見もあり、悩みどころですね」とコメント。参加者からは「スティックを回す」といったアイデアや、「ハードのボタンの耐久性も考えて、できれば連打はやめてほしい」などの意見も。具体的な答えは出なかったが、どのように解決されるか注目したい。

 “操作性”最後の意見は、“荊を撃ち込んで移動した後、視点を移動させてから、再び別の場所に荊を撃ち込むようになっているが、背面タッチで触ったところに撃てるようにすれば、視点を操作する必要もなく、ノールックで任意の場所に撃てるのではないか”というものと、“右スティックでのカメラ視点変更を、左右のカメラ旋回速度を100で動くとすると、上下のカメラ旋回速度を別に設定できるように選べると、もっとやりやすいようにできるのではないか”という、具体的な提案を混ぜた2種類。吉澤氏や保井氏が「本職の方ですか!?」と舌を巻くほどの提案で、まず背面タッチに関しては、「すごくいい意見でしたので、検討させてください」(保井氏)と回答。吉澤氏は、逆に「バック(背面)タッチはよく使いますか?」と質問をし、参加者の回答を聞きながら、「こうして欲しいという要望に加えて、どういう場面でそう思ったかを知りたい。要望の意図を聞くことで、僕らは仕様に落とし込みやすいんです」と開発会議に込めた意図を説明した。ちなみに、視点変更についても、「まさにそうだなと思ったので、いろいろがんばってみたいと思います。本当にありがとうございます」と保井氏は関心しきりだった。

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 “三大争点”2番目のゲームバランスについては、“ちょうどいい”という意見と、“ちょっと弱かった”という意見が多かった。保井氏と菅野氏は、“ここに集まっている人はゲーム熟練者が多い”と前置きしつつ、「今回遊んでもらったところは、ゲームを始めて1、2時間のところだったので、参考にしつつ調整したい」と回答。一方、“個人的に敵のバランスはいいと思ったが、溶断がしやすすぎてもろい印象を受けた”と語る参加者も。これに同意する意見も多く、保井氏は「これがカギかもしれない」と着目していた。このバランスについて、征矢氏は、「難しすぎるんじゃないかと思って、もう少し簡単にしようと思っていた。溶断もアブダクターがジャマをしてくるとか、ほかの敵が攻撃してくるといった調整で、溶断のしづらさなどが表現できるのではないか」と、ただ時間などの調整をするのではない仕様を提案。倉田氏も「同じ操作が続いて長く感じてしまうのではないか」と、別の調整方法を模索するように話していた。そのほか、保井氏が「今回の敵は序盤の敵なので、もっと強い敵も出る。大きな敵も乱暴に言えばザコ敵のように出てくるのが、ほかのゲームにない新しい体験。倒すほどに、バラバラと素材を落とすので、敵が宝箱的な側面も持っている」と、強敵や敵の扱いについて未発表の内容を匂わせる発言も……。

 強さへの印象については、保井氏の発言が印象深い。「超えるためのミッションと、まわすためのミッションでは感覚が違う。たとえば、超強い敵がいて、倒すまでは非常に苦労して、達成感が味わえる。今度は、その敵を何度も倒すことがあって、そのときでは強さの感覚が変化する。今回、ここにもチャレンジをしたいと思っていて、まずは“超える”ために(市民を)助ける、つぎは“倒す”ために助ける、そのつぎはバラバラにするまで倒して助ける、という段階が何個もある、選択肢が生まれるデザインにしたい」(保井氏)。同じミッションでも複数のプレイスタイルが生まれるデザインになっているようだが、これがどう実現されるのか、詳細の続報を待ちたい。

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 “ボランティアは、奪還と倒すもので、どれくらいの割合なのか”という質問には、「ミッションごとにその割合が変わってくる。達成の確度を上げたい場合、奪還するだけで終わるし、倒さなければいけないミッションは、条件に倒すことが紐づけられているので、それが100%なる」(保井氏)と回答。どうやら倒すことが条件のミッションもあるようだ。その回答に対し、参加者が「奪還が多いなら溶断があったほうがいいが、倒すものが多いなら、溶断じゃなくとも、バンバン好きな部位を切れるほうが気持ちいいはず」と答えると、「溶断以外でもパーツは壊れることがある」(保井氏)、「奪還のミッションでも、敵をすべて破壊して奪還すればいい報酬がもらえるといった、自由にプレイスタイルを選べるようにして、自分の強さに応じたチャレンジができるようにしたい」(菅野氏)と回答。かなりプレイスタイルの幅にこだわって開発している様子がうかがえる。

 また、荊についての要望も多かった。“荊の射程が短い気がする”という意見には、「じつは、いまでも長いと感じている。荊を強化して長くできるのだが、長くすると加速度が増し、勢いがつきすぎて壁をすり抜けてしまう」(菅野氏)、「ネットワークゲームだと、時間的な問題があって、早過ぎると処理が追いつかず、壁を突き抜けてしまうこともある」(保井氏)と、ネットワークゲームならではの問題があることを吐露。荊を強化することで、どこまで長く撃てるのかが知りたいところだ。荊については、菅野氏が「荊を撃ち込んだ後に、ふわっとジャンプをさせて、つぎの荊を撃てる時間を用意しているが、それも考慮しなければいけないのかも」と話していたこともあり、まだいろいろと調整される可能性があるのかもしれない。

 荊の話題が、もうひとつ。“荊があるけれど、マップの高さが狭いように感じた。もっと高くに行けないのか”という要望には、吉澤氏は「自由がテーマだが、自由度が高過ぎると、目的がブレるのが怖い。戦い、奪還をしてほしいので、あまりに高いところにいくと、救い出す対象が遠くなってわかりづらくなってしまうことなどが懸念点。むしろ、高さへの欲求を引き出したということは、横へ行きたくなるようなモチベーションを配置すればいいのかな」と、要望にそのまま答えるのではなく、別の解答を用意するといったアイデアを披露した。このくだりでは、保井氏から、「屋上に行けるようなマップも……あー、忘れてください(苦笑)」と気になる発言も飛び出した。

 そして、最後の“ユーザーインターフェース”は、多岐にわたる要望は少なめ。おもにマップそのものや、誰が市民を助けているのかがわかりづらいといった意見が多く、「インジケーター(ゲージなどの表示物)を見直す」(保井氏)という回答に集約されるものが多かった。当然ながら、現在もいろいろと修正されているようで、菅野氏からは「今回のバージョンでは間に合わなかったが、市民がいる方向、仲間の方向は、レーダーの外に出るように改善をしているところ」というフォローも。

 これで、開発会議は終了。保井氏から、「開発スタッフ一同、これからじっくりレポートを読んで、前向きに検討させていただきます」と、参加者へ報告しつつ、登壇した開発スタッフから感想が送られた。

菅野氏 熱い気持ちを受け取れて、本当によかったです。
征矢氏 本当に参考になって、皆さんの貢献具合がすごいので、我々もがんばらないとなと。
倉田氏 本当にありがたいのひとこと。このプレコミュに応募して、日曜の朝早くから来ていただけるという、プレイヤーの熱量がすごくて。祭りを起こしたいという想いがあるのですが、まず皆さんが御輿をかつぎに来てくださったのがうれしくて、でしたら我々は担ぐにいたる御輿を作るし、我々自身も担ぎ続けていくということを、改めて決意しました。
保井氏 本日いただいたご意見は、間違いなく、現場と共有することをお約束します。思っていたものもありましたが、想定外のものもありましたし、本当に参考になります。ありがとうございます。
吉澤氏 今日、皆さんと話したくて話したくてしかたなかったんですが、こうしてご意見をいただけて、本当にうれしいです。どうしていいかわからなくなるくらい、いまうれしいですし、ここに来る、そして実際に遊んで考えて伝えるって、すごい熱量ですよね。そういう風に、このタイトルのことを注目してくださっている、参加してくださる方がいるということが、本当にうれしいです。僕ら必死になっていいものを作るので、これからも『フリーダムウォーズ』を応援してください。……イベント、まだ終わらないんですけど(苦笑)。

 そして、イベントの終盤には、こちらの記事でもお伝えしているが、本日の新情報として、“『フリーダムウォーズ』のポータルサイトが2月にオープン”、“2014年夏発売予定”(もともとは2014年発売予定だった)、“期間限定体験版配信決定”という3つのニュースが公開。発売日はもちろん、体験版の情報は非常に注目度が高いが、公式サイトと異なるポータルサイトでどんな情報が公開されるのかも気になるところだ。

 最後に、改めて開発スタッフから参加者に向けてメッセージ。

菅野氏 本当にありがとうございました。今日、ここには来ていませんが、開発会社で僕らの仲間であるディンプスさんとこの想いを共有して、さっそく明日にでも大阪に飛ぼうかなと思っています。今後ともよろしくお願いします。
征矢氏 皆様の貢献、本当にありがとうございました。『フリーダムウォーズ』は、これできっととてもいい幸福を感じられるものになるかなと思います。我々も皆様の貢献に負けじと、いいものが作れるように貢献していきたいと思いますので、最後に“皆様レッツ貢献!”ということでよろしくお願いします。
倉田氏 マティアスさんがいい言葉を作っていまして。いろいろな感情表現に使える“Shaz(シャズ)だぜ”という言葉があるので、それを使いたいと思います。皆さんにいただいた意見やリポートを参考にさせていただきます。皆さん、超Shazでした! ありがとうございます!
保井氏 皆さん、いろいろな熱いご意見をいただき、本当にありがとうございました。これからももっとご意見をいただいたり、コミュニケーションを重ねられたらと思います。この祭り、ちゃんと完成させて、皆さんにお届けしたいと思いました。ありがとうございました。
吉澤氏 今日、ちょっと熱い気持ちをお伝えしすぎているかもしれませんが、長丁場、ありがとうございました。今日、コミュニケーションをさせていただきましたが、ポータルサイトも立ち上げますし、Twitterもやっているので(吉澤氏のTwitterアカウント)、何か思ったことがあったら、いつでも気軽に声をかけてください。僕、話しかけられると、ひたすら話し返したりして、社内で5分くれと言われて、3時間話し続けたりするような人間なんですが、ポータルサイトやTwitterではそういうことはしないので(笑)。この『フリーダムウォーズ』を皆さんといっしょに、5年、10年、もしかしたら50年くらい続くような、いいタイトルに育てたいなと、ブームを起こしたいなと思っていますので、皆さん、これからもよろしくお願いします。本日はありがとうございました!

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 この後、プロパくんが再び登場し、今回の貢献で89万9999年ほど減刑されたことを報告。残りは1年だが、プレコミュアンケートで1年のボランティアを発行し、これに答えることで懲役が終わることになった。さらに、本作の製品版スタッフクレジットにスペシャルサンクスとして、プレコミュ参加者の名前を入れることが決定! 参加者には、一生の記念になるだろう。また、退場時に、プロパくん&ロゴ入りトートバッグを開発スタッフみずからお渡しするなど、至れり尽くせりのお見送りでイベントは幕を閉じた。

 終了予定時刻を40分近くオーバーするほど、白熱した今回のイベント。ユーザーの期待度もそうだが、開発者の本当に熱い想いが伝わってきた。ついに発売時期も明確になり、次第に新情報もどんどん出てくるようになってくるはず。期間限定体験版などで、“レッツ貢献!”しながら、本作の発売を心待ちにしたい。