『サガ』シリーズのライブイベントで、河津秋敏氏が「新作を発表したい」と発言! イトケンこと伊藤賢治氏に曲を発注する予定もあるとか!?

スクウェア・エニックスの『サガ』シリーズのライブイベント“One Night Re:birth Again”にて、シリーズの生みの親である河津秋敏氏が、生誕25年を迎える『サガ』の今後について語った。

●過去作を移植する準備も進んでいる!?

 2014年1月18日、東京都新宿区の新宿文化センター大ホールにて、スクウェア・エニックスの『サガ』シリーズのライブイベント“One Night Re:birth Again”が開催。作曲家・伊藤賢治氏を始めとするミュージシャンが、ロックアレンジされたバトル曲の数々を披露した。

 このライブ内で行われたトークコーナーにて、『サガ』シリーズの生みの親であるスクウェア・エニックスの河津秋敏氏が、シリーズの今後に関する気になる発言を連発! 本記事では、このトークコーナーの内容と、ライブ後に行われた伊藤氏・河津氏の囲み取材の内容をまとめてお届けする。なお、ライブの詳細なリポートはこちらの記事に掲載しているので、あわせてぜひチェックしてほしい。


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伊藤賢治氏

河津秋敏氏

●思い出話から、気になる新作の話まで飛び出たトークコーナー

■前回のライブから、約1年ぶりの出演
昨年2月に行われたライブ“One Night Re:Birth”(リポートは→こちら)でもゲスト出演した河津氏。今年(2014年)の12月15日で『サガ』シリーズが誕生から25年を迎えることについて言及し、「勝手にこのイベントを、25周年の皮切りのイベントだと決めさせてもらっている」と述べた。

■『Sa・Ga2 秘宝伝説』の曲は、伊藤氏が入社して3ヵ月後くらいに作った
1990年に当時のスクウェアに入社した伊藤氏。コンピュータの曲作りができる、と半ばハッタリを言って入社したという伊藤氏だが、マッキントッシュのソフトの使いかたもわからず、植松伸夫氏に聞いたところ、「ディスク入れればいいだけだよ」と言われたそうだ。ゲームボーイの曲には3和音しか使えないが、3和音で曲を作るのも、もちろん初めて。メロディーとベースと、あと何かしか入れられないという条件下での曲作りは、非常に勉強になったとのことだ。


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▲河津氏が唐突に、伊藤氏との写真を撮り始めるシーンも。

■『エンペラーズ サガ』人気投票の結果は!?
来場者には『エンペラーズ サガ』のポストカードが配られたのだが、このポストカードに描かれているのは、『エンペラーズ サガ』で行われた人気投票で上位8位に入ったキャラクターたち。1位アセルス、2位キャット、3位ロックブーケ、4位ギュスターヴ、5位エレン、6位グレイ、7位カタリナ、8位かみ。9位はアルベルトなのだが、ポストカードに入れてもらえないのが「彼らしい」(河津氏)とのこと。

伊藤氏が、エレンよりサラのほうが人気があると思った、と語ると、河津氏は「伊藤君はそういうほうが好きですか」とツッコミ。勝気な人よりおとなしい人がいいのか、そういう話の進展はないのか? と河津氏が尋ねると、会場は大いに盛り上がった(伊藤氏は「仕事にまみれた生活をしているので……」と回答)。


ポストカード
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▲「真ん中に偉そうにいるのが、かみですね。ひとりだけ絵柄が違うのはわかっているんですけど。よく知らない方は、こいつなんなんだろうと思っているかもしれませんが、これが『魔界塔士 Sa・Ga』で、チェーンソーで斬られる人です」と河津氏。

■今年はいろいろやりたい、もうちょっと待ってほしい
サガが生誕25年なのでいろいろやりたい、イトケンにも協力していただきたい、と語る河津氏。「それはだんだん形になっていくのですか?」と伊藤氏が聞くと、「なってくれないと困るんですけど……」と回答。去年の夏ぐらいの予定では、ここで何か言えれば、と企んでいたが、「ゲーム開発ってだいたい遅れるものなので……とてもじゃないけど、そういう状況でもない」と、いい話はできなくなってしまったそうだ。とはいえ、「もうちょっと待っていただければ」という、うれしい発言が! 前回のライブで、河津氏のトークの模様がニコニコ生放送で配信された際は、画面を埋め尽くすほどの“4”の文字が表示されたほど、ファンの新作への期待は高い。「まだ伊藤さんと契約も終わっていないので……ご迷惑をおかけしております」という発言もあり、何かをやるのは確実なようだ。

■アルベルトとシフのテーマは、逆だった
河津氏は、「シナリオ書き始めるときって、当然まだ新しい曲がないので、古い曲をかけながらテンションを上げて書いていくんです。そのうちこう、曲があがってきて、聴いて、さらにテンションがあがったり。この曲どこに使ったらいいんだろうな、と悩んだり」と、曲を当てはめることの難しさについても語った。その悩んだ結果のひとつが、下水道だったりするわけだが……。

ロマサガ』第1作では、主人公キャラクターにはそれぞれテーマ曲があるが、最初はアルベルトのテーマとシフのテーマが逆だったという。現・シフのテーマを聴いた河津氏は、その勇ましいメロディーについて、「それ、アルベルトに合わない」と言ったそうだ。伊藤氏は、「もっと若々しさが欲しいんだよね」と言われたことを、いまでも覚えているという。

そのほかの『ロマサガ』の曲については、「なんといっても中ボスのバトルの曲ですね。四天王の曲。あれは聴かされた瞬間に、これはカッコいいと思いました」と河津氏。「これからもそういう曲を書いてもらえると、すごく助かります」と、またしても今後への期待が高まる発言が飛び出た。また、伊藤氏がバラード曲が好きなことを語ると、「ぜひ書いていただきたいので、使いどころは作ります」、「いつもたくさん頼むんで……自分のクセが抜けてないんです。また何十曲も頼んじゃうと思いますけど」と語った。

■三邪神
ライブの会場ロビーには、小林智美氏が描いた三邪神(サルーイン・デス・シェラハ)の原画が飾られていたのだが、河津氏は「三邪神、あれが……ああ、これ言っちゃいけないんだった」と、何かを言いかけて慌ててやめていた。来週か再来週には、言えるようになるようなのだが?

■過去作のリリースや、新作発表への意欲を見せる!
トークコーナーの終わりに、河津氏は再度、今年が『サガ』シリーズが25周年を迎えることについて触れ、「コラボだったり、過去作を……リリースだったり、もちろん『エンペラーズ サガ』の新しい展開だったり、そういうものとか、言えないんですけど新作発表ができたらいいな」と語り、「これからも応援よろしくお願いします」と締めくくった。


●ライブ終了後の伊藤氏・河津氏に直撃!

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――“One Night Re:birth Again”を終えた、いまのお気持ちを教えてください。
伊藤 今回、勢いの部分だけではなく、テクニカルな部分、ミュージシャンにとっての技術的な部分を含めた選曲と演奏だったので、ちょっと玄人好みのライブだったかなと思います。前回よりも一段階アップした意識でやりました。その意味で満足してくださった方もいらっしゃるかもしれませんし、シンプルに楽しんだ、という反応も感じましたので、とてもうれしかったです。
河津 非常に盛り上がって、自分も楽しめましたし、演奏している方々もノッていらっしゃるのがわかったので、よかったです。バトル以外の曲も盛り上がっていたので、今後のイトケンのライブで、いろんな曲が聞けるんじゃないかと、また楽しみですね。前回よりもハコが大きくなったので、どうなるのかなと思っていましたが、すごくよかったですし。つぎはこれより大きいとなると、NHKホールか、国際フォーラムAかな? 期待してます(笑)。

――アンコールの最後を「オープニングタイトル-ピアノソロ-」で締めくくることは、もう最初から決めていたのですか?
伊藤 あれは、狙いですね!(笑) 自分でシミュレーションしてみて、もしかして自分も泣くかもしれないな、と思ったんですけれど。皆さんの楽しげな反応、満足感が伝わってきて、自分も泣くというより、満足して演奏できました。

――河津さんは、最後のピアノソロを聴いて、いかがでしたか。
河津 前回とか前々回とかはけっこう泣けたんですけど、今日は意外と冷静に聴けました。泣けるかなあ、と思ったんですけど。なんでしょうねえ、「狙ってんなイトケン」って。(狙いが)伝わってきちゃった(笑)。

――今回演奏された曲の中で、アレンジがお気に入りなのはどの曲ですか?
伊藤 アセルス(「Last Battle-Asellus-」)かな。ノリだけのアレンジではなくて、自分の出発点だったクラシックの部分を含めての盛り上がりがあるので。アレンジはけっこう難しかったんですけど、そのハードルを超えて完成したときはうれしかったですし、これは聴かせないと、もったいない! と思いました。ステージングのイメージまでした曲作りでしたね。

――アレンジは、やはりかなりの時間がかかるものですか。
伊藤 かかります。曲は、ゲームボーイだったりスーパーファミコンだったりで、一度完結しているものなので、改めてアレンジするのは、別の部分での作業ですから。

――ステージの上から客席を見たとき、どのように感じられましたか?
伊藤 意外に冷静に見られましたね。個人的なことですけど、大晦日に、一度ここに立っているんです。アニメ系の番組に出させていただいて、そこでなんとなくのイメージが掴めていたので。

――どのぐらいの年代のファンが多かったのでしょう?
伊藤 今回は、20代~30代の方が多いのかな、と思います。招待させていただいた方の中に、『ロマサガ3』を小学生のときにやっていました! という方がいたので。そうすると、20代~30代ですよね。


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――ついに「下水道」が披露されましたが、今回のアレンジの意図は?
伊藤 前回のライブでのアンケートの結果(※前回のライブで、ファンから「下水道」を収録してほしい」という声が多数寄せられた)を受けて、「またこのバンドで演奏するんだろうな」と思っていましたので、バンドサウンドでのアレンジにしました。けっこうギターサウンドって好きなんですね。寺前くん(ギター担当)のプレイを活かすための、ああいうファンクのアレンジは、やっていそうで意外とやっていなかったので、彼のプレイを広めていけたらいいなとも思ったんです。

――観客の皆さんの反応はいかがでした?
伊藤 「おおぉ~」みたいな。半ば驚いたんじゃないでしょうか。「こうきたか!」と。皆さんは、どういうアレンジを思い描いていたんでしょうね? それを聞きたいですね。

――河津さんは「下水道」のアレンジを聴いて、どう思われましたか?
河津 もともとは、苦し紛れに下水道(エスタミルの地下水道)にはめた曲なので。あの曲だけがはめどころが掴めなくって。下水道は、設定的には下水道なんですけど、絵的にはスーパーファミコンの半透明を使った、透明感のある場所なんです。それこそ飲める水なのかな、というぐらいに。そこにはめる曲もなかったので、当てはめたんですよね。最初からあのアレンジだったら、下水道には当てはめないですね(笑)。
伊藤 下水道については、制作者の意図から完全に外れて、ファンたちが楽しんでますよね(笑)。ある意味それはうれしいですよね。

――アンコールの「バトル2」(ロマンシング サ・ガ)は、このライブでしか聴けない、岸川恭子さんのボーカル入りでの演奏でしたが、岸川さんに参加していただこうと思った理由は?
伊藤 あの曲は、もともとバイオリンの掛け合いだったんですけど、今回はバイオリンがひとりなので。じゃあせっかく岸川さんに来ていただいているので、歌っていただこうと。岸川さんの音域、オリジナリティーなどを考えて、どんなアレンジがベターなのかな? と考えた結果が、今回の演奏です。

――河津さんはシリーズ25周年に向けて準備を進められているとのことですが、移植やコラボなどについて、具体的なことを教えていただけませんか?
河津 コラボについては、コラボの相手の方がいるお話ですので、この場でお話しするのは勘弁していただきたいのですが、来月以降、順次発表していきます。ゲームどうしのタイアップもありますし、それ以外のコラボもあると。移植については……各プラットフォーマーさんが、バーチャルコンソールなどを用意されているので、昔のタイトルを遊ぶ環境がないわけではないんですけどね。ただ、もう、昔のハードを持っていない、という方もいると思いますし。プラットフォーマーさんに頼っていますと、『ロマサガ』と『サガフロ』は、同時にはひとつのハードで遊べませんので。それに対応する何かはやりたいな、と思って準備をしています。

――伊藤さんに、作曲の具体的なオファーをするのはいつごろに……?
河津 それは……(笑)。

――もう、オファーされているのでは!?
河津 いやいや、それはまだね、契約が終わっていないので(笑)。
伊藤 このあいだ、ご飯を食べました! そのレベルです(笑)。
河津 まあ、いよいよ詰めないと。
伊藤 だからある意味怖いんです(笑)。

――新作は、『ロマサガ』の新作と考えていいのでしょうか。
河津 んー、まだタイトルまでどうするかとか、具体的なところまでは動いていないのですが。『ロマサガ』って付けるとなると、1、2、3とあって、ユーザーの皆さんが思っている『ロマサガ』のイメージに合致しなければいけないですし。別のタイトルにするっていうと……でもタイトル変えるとなると、考えなきゃいけないので、あんまり考えたくないんですけど(笑)。たいへんなので。それにふさわしい、何か新しいサガにするのか、とか。まあ、セールス的にはもちろん、ロマンシングつけちゃったほうが話は早い、ということになりますが、ユーザーにどう楽しんでもらえるかということがいちばん重要なので。それは、もうちょっと中身ができてから、最後の最後に考えたいと思います。
伊藤 アンケートとりますか? 何のタイトルがいいか(笑)。
河津 中身見てないのに、ダメでしょ(笑)。出しちゃってから、「これ、タイトル何がいいですか」っていうのもおかしいですし。サガ(仮)とか?

――今後、伊藤さんが『サガ』の新作の曲を作るとして、どんな曲にチャレンジしてみたいですか?
伊藤 それはもう、そのときになってみないとわからないですね。そのときの自分の出したいもので、求められているものに合わせて……という、出たとこ勝負のところがあるので。でも、それでいいんじゃないかと。その時に出したものが、その時の旬だった、という意識でやっています。


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 『サガ』シリーズの新しい作品が、水面下で動いていることを感じさせる河津氏、伊藤氏の今回の発言。発表はまだ先になりそうだが、どんな驚きを我々に与えてくれるものになるのか、期待したい。