“機能美”は技術追求の結果としてしか現れない

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 2014年1月15日から17日まで、東京ビッグサイトで開催されているエレクトロニクス 製造・実装技術展“第43回 インターネプコン ジャパン ”。この催しの1月16日に、設計・開発特別セミナーとして、プレイステーション4の冷却設計についての講演が行われた。

 講演を行ったのは、ソニー・コンピュータエンタテインメント 第1事業部 設計部 5課 課長の鳳 康宏(おおとり やすひろ)氏。鳳氏は、これまでプレイステーション2やPSX、プレイステーション3など、“プレイステーション”の据え置き機の開発設計に関わり、プレイステーション4では外装・意匠設計、内部構造設計、冷却設計などを担当した設計チームを統括。熱伝導設計のスペシャリストとして製造業界では知る人ぞ知る人物で、『トコトンやさしい熱設計の本』(日刊工業新聞社刊:国峰尚樹氏、藤田哲也氏との共著)という著書もある。

 そんな鳳氏がPS2、PS3との性能比較や設計思想の違いも交えて、プレイステーション4の冷却設計について詳しく解説した。

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▲鳳 康宏氏。PS2の設計に関わった当時は、28歳だったという。

 講演ではまず、PS2以降の歴代ハードの冷却設計から紹介された。PS2からPS3のCECH-3000シリーズまでは、いかに少ない空気で本体を冷やすか、というコンセプトで冷却設計は考えられていくことになる。

PS2以降の歴代PSハードの冷却設計

PS2

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 PS2のトータル熱処理能力は約80Wで、ファンは直径60mmの軸流ファン。鳳氏は「(約14年前のハードなだけに)いま見るとかわいいものですが、当時はこれはこれでたいへんだった記憶があります」と振り返る。

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▲初代PS2。開発チームでは、本体のマイナーチェンジごとにアルファベットで連番を付けているという。各プラットフォームのいちばん最初のモデルがA、以降は少しでも中身が変わると(デザインが変わらなくても内部が変更されることもある)、B、C、D……となる。 

 歴代プレイステーションには、伝統的に電源ユニットが内蔵されているが、その理由として鳳氏は「PS2くらいの消費電力機器になると、(外付けにすると)ACアダプターにファンを付けなければなりません。ですが、ACアダプターが置かれる場所は、ホコリなどが溜まりやすい場所が多いと思いますので、そこに置くものにファンを使う勇気はありませんでした」と説明。また、PS2クラスの高いアンペアを使う機器では、ACアダプターから本体につなぐケーブルも極太のケーブルになるため、取り回しもしづらく、値段も高くなる。そういった点も電源ユニットを内蔵する理由だという。

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▲初期型PS2に入っていたヒートシンク。アルミダイキャスト製で約400グラムあったという。
▲その後、チップシュリンク(チップサイズが小さくなること)に伴い、冷却系も変更されていった。
▲本体デザインが薄型に一新されたバージョンK(SCPH-70000)では、一度、外付け電源アダプターとなる。この段階では消費電力も抑えられ、(ACアダプターに)ファンは必要なくなり、ケーブルも細いものを使用できたことが要因。その後、Ver.Pでは再び内蔵化。

PS3

 続いてPS3。PS3は、初期型から2回フルモデルチェンジされており、鳳氏はそれぞれの冷却設計の特徴から、初期型を“圧巻のA”、2代目を“凝縮のG”、3代目を“流麗のN”というキャッチコピーで表した。では、それぞれのモデルの冷却設計の特徴を見ていこう。

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“圧巻のA”
 初期型Ver.A~BのPS3はトータル熱処理能力が490Wと、PS2と比べると約6倍に。それだけでも、突き抜けたハイスペックマシンだったために、発熱量も相当なものだったことがうかがえる。冷却ファンも超巨大。とにかく全力で冷却することに心血が注がれていたかのような内部構造だ。「(本体の)下半分が冷却系で、とてもコンシューマー機とは思えないような設計になってしまいました」(鳳)。

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▲豪快するぎるほどの冷却装置。初期型PS3はいろいろな意味でモンスターマシンだった。
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▲あまりお目にかかれない製造工程の写真も公開された。各パーツを見ているだけでも、冷却についての執念を感じる作りに。
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▲PS3もチップシュリンクで中身が更新され、発熱量も抑えられていき、それに伴い、冷却系の設計も変更されていった。
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“凝縮のG”
 最初のフルモデルチェンジとなったVer.G(CECH-2000)では、小型化・高密度化をテーマに開発。小型化・高密化すると、空気抵抗が増えて流れる空気は少なくなるため、マシンの稼動音が少なくなるというメリットがある。その一方で、冷却系には少ない空気で冷やすための高性能ヒートシンクが求められた。

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“流麗のN”――“いかに大量の空気を静かに流すか”に設計思想が転換
 2回目のフルモデルチェンジ(現行機と同じデザイン)となったVer.N(CECH-4000)。一段と小型化されたVer.Nでは、Ver.Gとは違い、空気抵抗の低減をテーマに開発された。低負荷時は流量アップで静音化を達成。高負荷時はファンの高速回転でカバー。鳳氏は、Ver.Nを「非常に洗練されたエアフローを持ったモデル」と紹介。ファンから吐出される空気の圧縮流路の設計にこだわり、ファンを覆うカーブの形も巻き貝や台風の対数螺旋などを採用し、冷却に最適な圧縮流路を形成した。

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▲ファンを覆うカーブも巻き貝や台風の対数螺旋などを採用し、最適な圧縮流路を形成。

PS4の冷却設計

 PS2、PS3を経て、PS4にはどういった工夫がなされているのか。PS4の基本構造はPS3のVer.G、Nで磨き上げた内部構造が踏襲されている。たとえば、エアフローはPS3のVer.Nをベースに、PS4用に最適化。冷却ファンとヒートシンクと電源部をユニット化している点は、PS3のVer.G以降のモデルのノウハウが活かされている。以下、PS4ならではの特徴を細かく見ていこう。

 PS4の消費電力は最大250W。この250Wというのは理由があって、規格上、250Wを超えると電源コネクタの端子数は、(デスクトップPCや初期型のPS3のように)3本のものが必要になるという。そうなると小型化にも不利になるため、電源回路の設計者には何とか250Wまでに抑えるよう、かなりがんばってもらい、結果として「非常に高効率な電源回路を作ってもらうことができました」(鳳)という。

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▲コアユニットはメイン基板を2枚のシールド版でサンドした形。冷却装置は、下側のシールド版にぶらさがる状態で備え付けられている。

■エアフロー――PS3のVer.Nをベースに、PS4用に最適化

 吸排気口は、吸気はフロントとサイドの溝にズラッと並び、排気はリア側に設けられ、コネクター端子以外はすべて排気口となっている。

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 吸気された空気は、メイン基板の上下(下の図解のA面B面)などを換気しつつ、冷却ファンへ。冷却ファンからヒートシンク、電源モジュール、排気口へと空気は流れていく。

 下の右図の正圧エリアとは、大気圧より高いエリア。一般的にファンの下流では大気圧より高い正圧が発生する。空気は正圧から負圧へと流れていくため、空気が負圧エリアに流れていかないよう、PS4では正圧エリアを密閉している。これは、後述するPS3のVer.Gで採用されたものを踏襲している。

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 ちなみに、PS3のVer.Aでは、正圧側と負圧側の仕切り部材にはスポンジなどが使われていたという。PS3のVer.G以降のモデルでは、冷却ファンとヒートシンクと電源部をユニット化し、空気の負圧エリアへの循環を防止している。

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 下図はPS3のVer.AとVer.Gでの冷却シーケンス(順番)。注目すべきは電源を冷やす順番だ。Ver.Aでは、電源ユニットは吸気された空気の一部で冷却されていたが、Ver.G以降はヒートシンクのあとになっている。その理由は「Ver.Gの位置では、吸気された空気がいろいろな部分を冷やしてから電源ユニットにやってくるので、Ver.Aより空気の温度は上がります。ですが、ファンからの空気がすべて電源ユニットを通過するため、流量と流速が大きいというがメリットで、トータルすると冷却効率がいい」(鳳)とのことだ。

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▲PS4では、ヒートシンクに流れる流速に応じて、フィンのピッチ(間隔)を変えるなど、細部にわたって冷却効率が図られている。

ファンもPS4用に特化したものを独自に開発

 PS4の冷却ファンは、静圧と流量の関係から遠心式のものを採用。ファンのインペラ(羽)はPS4に最適化したものを開発するというこだわりっぷりだ。

 また、ファンは横から見ると台形をしている。これは流量を犠牲にせず、風切音も発生させない工夫から。実験では、必要な流量を確保できる位置にファンをヒートシンクに近づけた場合、風切音が発生(左上の図)。風切音があまり発生しない位置だと流量が不足(右上の図)。最適だったのが、ファンを台形にした形(右下の図)というわけだ。

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 ファンのモーターは三相モーターを採用。三相モーターは若干コストは高くなるが、PS2、PS3に採用されていた単相モーターより振動や低回転時の消費電力が低減できるという。

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 ビデオゲームでは、ゲームのジャンルや場面に応じてCPUやGPUの負荷が目まぐるしく変化するのが特徴で、それに応じて発熱量も変動する。そこで重要となるがファン制御だ。PS2とPS3では基板上のCPUやGPU内の温度が特定の温度に達すると、段階的にファンの回転数が上下する仕組み。細かい説明は省くが、段階的な制御の場合、一度回転数が上がると、なかなか回転数が下がらないという問題を抱えていた。

 そこで、PS4ではPID制御を採用し、負荷が高いときだけファンの回転数が上昇し、負荷が少なくなるとすぐに回転数が下がるという。これにより、トータルの騒音も最小限に抑えられる。

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 PS4では、電源ユニットを通った空気を測定するための排気温度センサーが初搭載されている。排気温度を制御することで、筐体の表面温度をコントロールすることもできるようになっているのだ。

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モデル別性能比較

 ここからは、PS2以降のモデル別の性能比較を見ていこう。

 PS4の熱密度は、“凝縮のG”よりも高い熱密度となっており(下のモデル別 熱密度を参照)、換気量は“流麗のN”と同じ流量(下のモデル別 換気量を参照)を確保している。

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 そこから、熱交換率を割り出すと、下のような結果に。PS3のVer.Gまでは、いかに少ない空気で冷やすかがテーマとされていたが、PS3 Ver.Nではいかに大量の空気を静かに流すかに変わったため、使用空気1リットルあたりの熱輸送量は下がっている。だが、PS4では、双方のいいとこ取りをして、数値的には“凝縮のG”と“流麗のN”のほぼ中間といった結果になっている。

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▲吸排気口の面積は初期型PS3が圧倒的に広い。外装に穴が多いと生産性も悪くなるというデメリットが。逆に言うと、冷却性能の向上は生産性にも影響してくるのだ。
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 モデル別の騒音値は、ゲームプレイ時はPS3のVer.N、つまり現行のPS3と同様。グラフィックなどの進化によって、より高負荷になったにも関わらず、現行PS3と同じくらいの騒音値というのはありがたい。特筆すべきは、メニュー画面の低負荷時の騒音値が低いということ。これは、前述の三相モーターが効いているため。PS4はより高度なファン制御を行っていることもあり、体感としてはPS3のVer.Nより静かな印象を受けそうだ。

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 熱設計の良し悪しの基準によく使われるというファンの電力比(全体に占めるファンの消費電力)もPS4がもっとも少なく、こちらも消費電力が抑えられる三相モーターの効果が表れている。

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 最後にズバリ、コストパフォーマンス。コスト1ドルあたりの熱処理能力をグラフにしたもの(コスト価格自体は非公開)。コストパフォーマンスがもっともいいのはPS3のVer.Nで、高コストの三相モーターを採用したPS4がそれに続くという好結果に。

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 今回の講演から、PS4がPS3で培ってきたノウハウの集大成、ということがよくわかる。そのノウハウも、さまざまな挑戦を続けてきたからこそ蓄積されたもの。「ライバルとの差は“どこまでやったか”だけ」(鳳氏)という言葉にも強い自負がにじむ。

 鳳氏が心がけているのは、理に適い、基本に忠実な設計。それでいて、秀逸な機能美を誇るPS4。鳳氏はF1マシンを例に、「“美しいマシンは速い”のではなく、“速いマシンは美しい”」と語り、機能美は技術を追い求めた結果としてしか現れない、と強調した。

 そのデザインも含め、非常に高い完成度を誇るPS4。2014年2月22日の発売が待ち遠しい限りだ。

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