“ゼスティリア”に込めた熱き想い

『テイルズ オブ ゼスティリア』馬場英雄プロデューサーへのインタビュー全文掲載&追記あり!_01

 人気RPG『テイルズ オブ』シリーズの生誕20周年を記念する、完全新作『テイルズ オブ ゼスティリア』。週刊ファミ通2013年12月26日発売号では、本作に込めたテーマやこだわりなどを、馬場英雄プロデューサーに訊いた。当記事では、インタビューの全文を掲載するとともに、誌面では載せきれなかったお話も含めて再構成している。本作が気になる人は、必読だ!

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バンダイナムコスタジオ プロデューサー
馬場英雄氏

──まずは、『テイルズ オブ ゼスティリア』の発表、おめでとうございます!
馬場 ありがとうございます! ついに、『テイルズ オブ』シリーズの生誕20周年記念タイトルをお披露目できました。15周年を記念した『エクシリア』がそうであったように、『ゼスティリア』もシリーズの“原点回帰”をひとつのテーマとしつつ、本作ならではの新しい遊び、メッセージをお届けします。

──さっそくですが、その“本作ならでは”という点について教えてください。
馬場 今回の物語で掘り下げたいと思っているのは、誰もが本来持っている“心の豊かさ”。これを『テイルズ オブ』ならではのアプローチで描いていくキーワードとして、“zest(情熱、熱意)”を由来とするタイトルにしました。主人公のスレイは、一見すると情熱的なタイプには見えないかもしれませんが、物語のさまざまな局面における彼の行動や生き様は、心の内に秘めた情熱をもとに積み重ねられていきます。何かを成し遂げたいと思ったとき、彼はまず自分から行動することで、まわりに理解してもらおうとするんです。

──主人公からして情熱的なのですね。これまでの『テイルズ オブ』シリーズの主人公たちも、それぞれ性格などは違えど、情熱が感じられる一面を持っていましたが、スレイはまた違うのでしょうか。
馬場 そうですね。これまでのシリーズでも、“正義”や“信念”といった、人の心に関わるテーマを掲げてきましたが、『ゼスティリア』ではさらに根源的な、何かを成し遂げるための力となる“情熱”を、真正面から描きます。スレイや、彼を取り巻く登場人物たちのドラマを通じて、みずからの想いを行動に移すことの大切さを感じてもらえたらうれしいです。

──なるほど。ちなみに、本作のタイトルはアルファベットで略すと『TOZ』になります。これまでのタイトルとは重複しないアルファベットになりましたが、これも狙っていたのでしょうか?
馬場 たまたま重複しませんでしたね(笑)。もちろん、僕らとしては、打ち出したいテーマありきでタイトルを考えています。アルファベットは無限ではありませんから、しっかりと考えたうえで略称が重複するのであれば、それは止むなしとも思っていますが。

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スレイ(主人公)
声:木村良平
キャラクターデザイン:藤島康介
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象徴的な週刊ファミ通表紙イラスト

──発表時のPV(公式サイトで公開中)を見たときは、広々とした世界の光景に驚きました。
馬場 シリーズ史上、かつてないほどに雄大なアウトフィールドも、ぜひ堪能してほしいです。従来のアウトフィールドは、基本的には“街道”に沿って移動するものでしたが、『ゼスティリア』はそうではありません。もちろん、快適に探索するためのシステムやカメラを用意していますし、世界の隅々まで歩きたくなるお楽しみ要素もありますよ。

──ufotableさんに描き下ろしていただいた、週刊ファミ通2013年12月26日発売号の表紙イラストも、世界の雄大さが伝わってくるものでした。
馬場 キャラクターが立っているあの場所は、スレイが暮らす村の近くにあり、本作の世界を象徴するような光景が広がっています。イラストの絶妙なアングルもさることながら、背景の情報量の多さが半端ではなくて、仕上がりを見たときは僕もビックリしました! 『エクシリア』と『エクシリア2』に引き続き、ufotableさんが『テイルズ オブ』シリーズをとても大事にしてくださっていることが感じられて、本当にありがたい限りです。いま、絵コンテなどの工程が進んでいるアニメーションムービーも、このクオリティーを期待しないわけにはいきませんね(笑)。

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▲週刊ファミ通2013年12月26日発売号の表紙

女性騎士アリーシャ

──スレイとともに初報で公開された、アリーシャというキャラクターについて教えてください。
馬場 西洋の騎士らしい雰囲気を帯びつつ、『テイルズ オブ』らしく、女の子らしくもある。まさにそのようなキャラクターを、奥村(大悟氏。バンダイナムコスタジオ所属)にデザインしてもらいました。アリーシャは、王族の末席、つまり王位継承権からもっとも遠い立場にあり、貴族としての地位は決して高くありません。むしろ彼女は、一介の騎士としての生きかたを選び、好んでもいます。国と民を守り、力になりたいという強い思いから、危険を承知でみずから前線に立つこともいとわない女性ですね。

──彼女が、スレイと旅をともにする理由は?
馬場 旅の動機は、スレイのそれとはちょっと異なりますが、彼女もまた、自分にできることをいつも考えながら行動しています。スレイのつねに前向きな言動にもきちんと対応したり、堅苦しい男性的な話しかたをしたりと、基本的には真面目なタイプなのですが、物語が進むにつれて、あるいはスレイを始めとする登場人物との会話やサブイベントなどで、きっと意外な一面も垣間見えてくるでしょう。もちろん、これはアリーシャに限ったことではありませんが、『テイルズ オブ』らしいお楽しみになるはずですよ。

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アリーシャ
声:茅野愛衣
キャラクターデザイン:奥村大悟
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バトルシステムと、ドラゴン

──初報では、バトルシステムの詳細までは明かされませんでした。
馬場 バトル関連のシステムは、いわゆる“剣と魔法のファンタジー”という根幹こそ本作でも一貫していますが、遊びの醍醐味はまたガラリと変わります。シリーズの伝統である“リニアモーションバトルシステム”の進化はもちろんのこと、さらに大きなサプライズを仕込んでありますので、これからの続報にぜひご期待ください。

──ファンタジーと言えば、“ドラゴン”という存在にひとつの焦点を当てるのも、『テイルズ オブ』シリーズでは本作が初めてになりますね。
馬場 はい。北欧神話などにおけるドラゴンは、それが善であれ、悪であれ、世界の象徴的な存在として描かれていますよね。本作においても、タイトルロゴにドラゴンをデザインしていることからお察しいただける通り、物語とかなり密接に関わってきますよ。

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積年のノウハウと感謝を込めて

──ゲームの開発状況はいかがでしょうか?
馬場 シナリオとキャラクターデザインはすでに固まり、いまは各種システムやグラフィックなどの作り込みを進めている真っ最中です。ゲームもアニメーションムービーも、まさにこれからがたいへんな工程になるのですが、ufotableさんを含め、スタッフが相当な気合を入れて臨んでいますから、必ずや、プレイヤーの皆さんに喜んでいただける作品になると思いますよ。

──楽しみにしています。それでは最後に、読者へのメッセージをお願いします。
馬場 久しぶりのシリーズ完全新作として発表しました『テイルズ オブ ゼスティリア』。発表会の模様や初報をご覧くださった方々からは、とても多くの反響をいただくことができました。本作も長い時間をかけて開発を進めてきただけに、「待っていました!」という皆さんの思いが感じられてホッとしつつ、完成するその日まで、スタッフたちとさらに頑張らねばと思いました。また、いずれ訪れる発売日に向けて、皆さんといっしょに楽しめるさまざまなイベントや情報公開などを図っていきますので、ぜひ楽しみにしていてください。おかげさまで生誕20周年を迎える『テイルズ オブ』シリーズへの応援を、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

(C)いのまたむつみ (C)藤島康介 (C)NAMCO BANDAI Games Inc.
※画面は開発中のものです。