『ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII』開発者・宣伝担当インタビュー

『ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII』(以下、『LRFFXIII』)が発売され、『ファイナルファンタジーXIII』シリーズがついに完結! ということで、プロデューサーとディレクター、そして若手スタッフや宣伝担当者に集まっていただき、あれやこれや語ってもらいました。

●ライトさんフォーエバー

 『ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII』(以下、『LRFFXIII』)が発売され、『ファイナルファンタジーXIII』シリーズがついに完結したということで、プロデューサーとディレクター、そして若手スタッフや宣伝担当者が集結。なかなかない組み合わせのインタビューが実現! 
※本インタビューは、週刊ファミ通2014年1月2日号に掲載したインタビューに載せきれなかった部分を追加したものになります。


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写真左
北瀬佳範氏(文中は''北瀬'')
プロデューサー。ヴァルハラの天使はリネームしない派。

写真中央左
西 典顕氏(文中は西)
プランナー。ヴァルハラの天使の名は“じゅげむじゅげむ”。

写真中央
澤田 唯氏(文中は''澤田'')
リードプランナー。ヴァルハラの天使を“からあげ”と呼ぶ。

写真中央右
鳥山 求氏(文中は''鳥山'')
ディレクター。ヴァルハラの天使は“ボコリーナ”と名づけた。

写真右
村上洋平氏(文中は''村上'')
宣伝担当。“チョコぼう”というヴァルハラの天使を愛でる。

■ベテランと若手の相乗効果を狙った制作スタイル

――発売後、ユーザーさんからの意見も多く届いていると思います。反応を見ていて、いかがですか?

澤田 僕と西は、これが初めての作品なので、とても気になっていたのですが、ゲーム部分の反応はとくによかったかなと。最初は不安に思われていたタイムマネージメントの部分も、楽しんでいただけているようで安心しています。

西 僕は、4月に新卒で入ったばかりで、5月にチームに入り、あっという間にマスターアップを迎えました。アウトワールドの運営がメインになるので、まだ始まったばかり、というところです。

――4月に入社して、いきなりこのタイトルを!?


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鳥山 あんまり新人に見えないんですけどね(笑)。

村上 今回は、鳥山も北瀬も若手を押し出そうという意識があって、宣伝としても彼らを出していこうと。澤田は東京ゲームショウや発売前の店舗イベントなどにも出てもらいました。

澤田 ユニットリーダになったときは、本当にびっくりしました。僕は2010年に入社して、『LRFFXIII』の前は別の『FF』タイトルに携わっていました。去年の5月に『LRFFXIII』のチームに合流したんですが、その前に鳥山から会議室に呼び出されて、「で、キミたちがユニットリーダーなんだけど」って(笑)。全体会議の1時間前にそれを言われて、会議で自己紹介をするという。「まだ作品を1本も見届けていないのに、それで大陸をひとつ任されるってどういうこと!?」と戸惑いました(苦笑)。

鳥山 今回は、開発チームを小分けにして、4つの大陸を作成する各ユニットと、クエストを考えたりするユニットを編成したんです。そのうちいくつかは失敗のリスクがあるくらいの、いままでにないチャレンジをしてもいいかな、と思っていました。そこで、ベテランと若手を競争させようと。

――前作までと、かなり制作スタイルが違っていたんですね。

鳥山 世界観やキャラクターを維持している続編の場合、作りかたを変えることで開発チームをフレッシュな気分にしています。会社として新入社員を採用していない時期があり、しばらく若手を抜擢するというやりかたはしていなかったのですが、少し前からまた新卒採用が始まり、今回はその世代である彼らが出ていくいいタイミングだったと思います。僕らもそうやって育ってきているので、多少乱暴でも任せる方向にしようと(笑)。

――ちなみに、鳥山さんが新人のころは、どういった経緯で制作の前面に?

鳥山 僕らのときは、新人だけのチームで『バハムート ラグーン』を制作するといったことがありました。遡れば、スクウェア(当時)のプランナーを育てる土壌というのは、とにかく現場主義。ですので、今回もそれに則ったというわけです。

北瀬 うちの会社は基本的には中途採用が多いんです。久々の新卒組である彼らをヘンなふうに育てちゃったら、会社から怒られるなあ、と思っていました(笑)。

――いわゆるキャリア組、という。

澤田 そういうのないですから(笑)。でも、新卒でいきなり開発に入る、というのは珍しいパターンだったと思います。入社直後は、研修をしたり、過去作品のリソースを使って3ヵ月でオリジナルのゲームを作る、ということをやっていました。

――西さんは、澤田さんのように準備期間も実地経験もなく抜擢されたわけですが、今回の制作を通してどんな感想を持っていますか?

西 僕がチームに入ったときにはすでに仕様がある程度固まっていて、夢中でこなしているうちに気づいたら終わっていた、という感じです。マスターアップを体験した、と言っていいのかな、という部分もあって。ただ、本作のFacebook用のアプリを担当したのですが、リリースまで持っていくことのたいへんさはたっぷりと味わいました(苦笑)。

北瀬 Facebookアプリは、いくつかトラブルがあって、西は前任から引き継ぐ形で担当になったのに、みんなから責められてたいへんだったね。トラウマになるね(笑)。

西 運営案件なので、まだまだこれからかなと。FacebookのアプリやTwitterでユーザーの皆さんのご意見を見ていても、それはまだ一部分で、そういったところに書き込まない皆さんが、どうやって遊んでいるかというのはわからないので……。

村上 マジメだな!(笑)


■イチから見直した宣伝施策、前2作からの変化

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――今回は、海外主導のパブが多かったり、ライトニングの露出イメージが多様になったりと、宣伝に関してもいままでと違う部分が目立ちました。そのあたりは、村上さんの意向なんですか?

村上 僕は宣伝として、まず『ディシディアFF』の、つぎに『FFXIII』のアシスタント担当になりました。『FFXIII-2』までは、前任の担当者といっしょにやっていたのですが、『LRFFXIII』でメインの宣伝担当になり、去年の3、4月に北瀬とどうやって売っていくかという話をしたときには、「3作目は、ふつうに考えるときびしい状況になるだろう」という認識を持っていました。そこで、イメージを一新するために、“FFXIII-3”ではなく、タイトル名もロゴも変えようと。ライトニングを押し出す方向性は決まっていたので、その路線でシンプルなものに。それで、“ライトニング リターンズ”になったんです。もちろん、いままでシリーズに携わった方や上からは、「やりすぎだ」という意見をいただきましたし、それもわかってはいたんですけれど。

――では、タイトルの変更は、宣伝サイドの意向があってのことだったんですね。

村上 『FFXIII-2』のときも、“2”とつけずにほかのタイトルにするという案はあったんです。でも、本気で取り組んだのは、3作目でした。タイトルを変えたなら、手法も変えないといけない……。そういったタイミングで、開発チーム全体会という大規模な会議に、初めて参加させてもらいました。そうしたら、ユニットごとに各大陸を作るという、いままでとは違うことをしていた。それで、宣伝もおもしろいことをやろうと決めました。「『FF』は、こうじゃないといけない!」というような、固定された概念にとらわれず、頭を空にしてイチからやろうと。

――具体的に、今回初めてやってみて、大きなチャレンジだったと思う部分は?

村上 まったくの未完成の段階から、ユーザーの皆さんに見ていただいたことです。『FF』25周年イベントで、クローズドではありましたが、初期バージョンのプレイ映像を出しました。それをユーザーさんがどう思うのか、率直な意見が欲しかったんです。そこからは、仕様が変わっていくタイミングで露出をしていきました。フランスのイベントでは試作版のデモプレイを見せるなど、よりユーザーさんやメディアに近い位置にプロモーションの視点を置こうというのは大事にしていたところです。

――海外での露出は、確かに以前より多かったですね。

村上 北瀬や鳥山にも、最初のころからガンガン海外に行ってもらって、何度も何度もプレゼンテーションをしました。こうしたアピールのしかたは、いままであまりやってこなかった。作品をイチから作り直すなら、それもイチから見てもらわないと、どういう作品かわかってもらえないと思っていました。

北瀬 そういえば、発売前にブーニベルゼを露出したりもしていたよね。

村上 宣伝担当は僕を含めてふたりでスタートして、途中で3人になったのですが、最初に規制をしすぎない、という方針を決めました。最後のほうに出す情報で、ブーニベルゼ、カイアス、レインズのうち、ひとりだけパブ用にCGを作ろうということになって、迷わずブーニベルゼのインパクトをとったのも、その方針があったからです。

――UI(ユーザーインターフェース)がなかなか公開されなかったのも、意図があったのでしょうか?

村上 ユーザーさんに何を見せたいかをイチから考えたときに、「この作品はアクションだ」という結論にたどり着きました。そのアクションをいちばんのポイントとして考えた場合、ユーザーさんに対し、いきなり過度な量の情報を公開してはいけないなと。複雑になればなるほど、見た目で「ゲームに入りづらい」という印象を植えつけてしまうと考えていたからです。海外のチームとも話をして、前作のころから言われていたことでもあり、それで画面素材などからはUIを外すという結論に至りました。当然、開発チーム内からは怒られました(苦笑)。職人が作り上げたものを取り除いているわけなので、怒られて当然だと思いましたね。でも、そこに北瀬や鳥山の後押しもあって、宣伝プランを軌道に乗せることができました。

――そうした取り組みを、開発側はどう見ていたのですか?

北瀬 「イベントによく駆り出されるなあ」というのはありましたが(笑)、変えるなら徹底的に、という思いはあったので、それはやっていこうと。体験会の実施などは、今回は触ってもらわないとわからない、という部分が強かったので、ありがたかったですね。そういった場で拾える意見は、本当に貴重でした。

澤田 体験会のご意見をもとに、いくつか仕様変更も行いました。まったく想定していない部分、たとえば「このままだとクエストの受け方がわからないらしい」ということを、目の前でユーザーさんが戸惑っているのを見て気づいたり。意見を拾うだけなら、ネットなどでいいのかもしれませんが、やはり実際に目で見て得られるものは大きいですね。今回はそういったこともできて、開発と宣伝の距離が近くて頼もしかったです。

村上 開発、営業、宣伝が密にやり取りをすることは、必須だと考えていました。開発側から見て、「気づいたらPVやCMができていた」ということがないように、宣伝がいまどういうことをやっているか、細かい情報までを共有するようにもしていましたね。まず社内を固めるところから、というのは心掛けていたところです。

――イベントで司会をされるなど、いままでより村上さんご自身が前に出ていかれているのも、大きな変化ですよね。

鳥山 イベントやプレゼンの司会はほとんど村上がやっていましたね。台湾でサイン会をしたんですが、村上の前にもアジアの熱いファンの皆様の大行列ができちゃって(笑)。


LRインタ用おしゃしん/サインの件でいじられる村上氏1 LRインタ用おしゃしん/サインの件でいじられる村上氏2

▲イジられる宣伝担当、村上氏。

――ああ、日本のイベントでも、村上さんがサインを求められているところを拝見しました。 

村上 (小声で)ヤメテ……! さ、最初のときは本当に悩んでいて。宣伝部というのは縁の下の力持ち的な存在だと思っているので、自分が表に出ていくことに抵抗はありました。ただ、“宣伝”と言っている以上、自分がしゃべらないとアピールできないと思って、今回は出ていこうと。

鳥山 確かに、開き直りをすごく感じた(笑)。

澤田 僕らも、司会が村上さんだと安心できるし、状況を把握してもらっている、同じチームなんだなという感覚は強くありましたよ。

――そういった施策は、売上につながったと思いますか?

村上 その見極めは難しいところです。考えると、「こうすればよかった」、「これを組み入れればよかった」という悔いが残る部分はあります。イメージの払拭を心掛けてはきましたが、甘くないなと思うこともたくさんありましたし、タイトルも宣伝プランも変えたけれど、やっぱり変えられなかったという部分はあります。

――とはいえ、シリーズ累計出荷1000万本を突破して、セールスとしては成功しているのでは?

村上 おかげさまで、『LRFFXIII』の前にワールドワイドで1000万本を突破する大きなシリーズになりました。


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北瀬 もちろん、『LRFFXIII』は、これからまだ伸ばしていけると思います。

――では、宣伝のほかに、全2作とここが大きく変わったなという部分はありますか?

鳥山 外向けのプレゼンだけでなく、チーム内でコンセプトを共有するためのプレゼンも、何度も行いましたね。今回、本来は内部で行うようなプレゼンをユーザーさんに向けてやったわけですが、これには“それだけ新しいゲームだから”、という理由がありました。タイムマネージメントの要素や、ライトニングひとりのバトルというのが、メディアや『FF』シリーズのファンの皆様の懸念事項だったので、そこを払拭するために実際に動かしてみるなど、見せかたの工夫を凝らした部分が多かったなと。

――『FFXIII』から『FFXIII-2』になったときより、『FFXIII-2』から『LRFFXIII』への変化のほうが大きかった分、それを世に出す怖さはありませんでしたか?

鳥山 怖くはなかったです。“ライトニングを魅せる”という軸がありましたし、続編であればなおさらプレイ体験を変えていかなければならないという意識があったので、変化を恐れることはありませんでした。尖りすぎている部分はあるかもしれませんが(笑)。

――ライトニングも大きく変化しました。1、2作目から立場が変わり、衣装やデコレーションも、いままでのクールなイメージなものだけでなく、かわいいものや、コミカルなものも多くて。

鳥山 日本は、ライトニングの孤高さを茶化して、かわいいと思うような雰囲気があって、宣伝ではちょっとそういう部分も出していこうと思っていたんです。でも、海外は彼女のクールビューティー的なところを重視するから、ニュアンスが伝わったかどうか……。

北瀬 海外の宣伝担当も、映画的に、“ヒーローである”ライトニングを打ち出す意見が多かった。欧米の人は、強い女性キャラクター像を求めているのが明確でした。

村上 1作目はツンデレ気味、2作目はあまり登場しない、3作目はハッピーエンドながらも重いストーリーというところで、宣伝の面で新しいライトニングの一面を出したいと思ったところはありましたね。

――ゲームでは「食べちゃうにゃん」なんて場面もありました(笑)。

澤田 今回はゲーム内でもそういうイジリが多いんですよね。僕がいちばんグッときたのは、ユスナーンの演劇で、「ライトさんには、役者になってもらいます」とホープが言ったときに、照れ隠しに「できるかそんなこと!」と怒る切り返し。「ああ、ライトニングかわいい~!」と(笑)。

北瀬 「食べちゃうにゃん」って、海外版だとどうなるの?

西 “meow-meow, choco-chow(ミャウミャウ、チョコチャウ)”とかだったような。

一同 へ~!(笑)


LRインタ用おしゃしん/食べちゃうにゃん

■若手クリエイターの思いと、“ゆるくつながる”仕掛け

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――3部作を終えて、一番の思い出や、印象深かったことは何ですか?

澤田 ユニットリーダーをやり遂げた、ということに尽きます。クリエイターにとっては、やりたいことがデータに乗ってお客様に届いた、というのがすべてなので。ウェアやアイテムの名前や、さまざまなテキストを鳥山さんにチェックしてもらって、いくつかが採用されて、それがそのままゲームに入るというのも、小さなことかもしれないですがうれしいです。こういった気持ちを忘れてはいけないなと、強く思います。あとは、村上さんのおかげでたくさんのイベントに出させてもらって、めっちゃ忙しかったですね(笑)。

村上 どこへでも行きますって言うから(笑)。

――鳥山さんのチェックはきびしかったですか?

澤田 ダメなことは「ダメでしょ」と、ズバッとストレートに言われます(笑)。鳥山さんと言えば……自分のミスで、マスターデータに誤字が残ってしまって、気づいたときにはもう直せないタイミングだった、ということがあって。そうしたら、鳥山さんから「それはつぎへの経験になる、残しておいたほうがいいミスです」というメールがきて、申し訳ないながらもジーンときました。でも、その後紆余曲折があって、結局その誤字は直せたという(笑)。 

鳥山 僕は成田さん(『FFVII』メインプログラマーの成田賢氏)や北瀬にそうやって教えられたから、キミらにも同じ苦しみをね(笑)。当時はオンラインでのパッチ配信などもなく、ちょっとした誤字なども直したくても直せない時代でした。

澤田 ちゃんと、そういう細かいところまで見ないといけないんだなと、勉強になりました。

――澤田さんは、『FF』を作ることに対するプレッシャーはありませんでしたか?

澤田 ありました。僕の世代だと、『FFV』あたりから順当にシリーズをプレイしていましたし、『チョコボの不思議なダンジョン』などもどっぷりやり込んでいましたから。一方で、チームに入ったときに「あれは板鼻さん! チョコボをデフォルメした人だ!」ということもあって(笑)。その板鼻さんに、ヴァルハラの天使のリデザインをしてもらったりと、うれしいことも多かったです。 

北瀬 次回作ではアゴで使うようになってんじゃないの(笑)。

澤田 そんなわけないじゃないですか! 今回はこんなビッグタイトルに携われて幸せでしたし、“世界に通用するようなものを日本で作りたい”という気持ちがあったので、プレッシャーはありましたがやる気も十分に臨むことができました。

――そういえば、ヴァルハラの天使は、当初、○○○○○だという設定はなかったんですよね?

澤田 そうなんです。特別なチョコボという設定はあったので、黄色ではなく白くするか、となったときに、鳥山さんが勢い込んで「アレでしょ!? ○○○○○なんでしょ!?」って言うから、そうでもなかったんですが、そうなったんです(笑)。

鳥山 僕は○○○○○に乗って、ウィルダネスの草原を走りたかっただけなんです!(笑)

澤田 そうだったんですか(笑)。


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――(笑)。西さんは、今回のプロジェクトに携わっていかがでしたか?

西 お金を払って遊んでいただくものを作っている、というのを頭ではわかっていても、細部まで目が行き届かなかったりして、もどかしい部分はありました。それでFacebookのアプリも、少しお待たせすることになってしまったり。来年の2月になれば、欧米のユーザーが入ってくるので、そこがまた山場ですね。経験豊かな先輩なら、どういったことが起こるか事前にわかるのでしょうが、僕は当たって砕けるしかない。でも、お金を払っていただいている以上、そもそも砕けるわけにもいかないという……。

村上 やっぱマジメだな!(笑)

――いちばん学んだことは、どういったことですか?

西 1発で伝えるには、何をしたらいいかよく考えないといけない、ということです。メールひとつとってもですが、こちらが意図したことが伝わるかどうかは、たとえば画像の挟みかたであったり、言葉の選びかたであったり、細かい部分の積み重ねです。実践はまだまだなのですが、伝えることの難しさ、大切さは実感できました。一度イメージがついたら、それを変えるのは本当に難しいので、最初から考え抜いたものを出さなければいけないんだなと。

――アウトワールドのような仕様が入ったゲームは、スクウェア・エニックス内でもまだありませんよね。相談もできない環境だったのでは?

西 仕様は前任が固めていたのですが、アドバイスをもらうのがたいへんな部分はありました。プラットフォームとしても、ソニーさんやマイクロソフトさんとはまったくちがう文法で動いているものですし。ただ、オンラインでSNSとの連動があるという要素は当たり前になってきているので、そういうものほど、若い人がやらなければならないなと。

澤田 アウトワールドへの投稿内容は、皆さん予想以上のクオリティーで、「この写真を撮るまで何時間かかったんだろう?」とか、「こういう使いかたがあるんだ」とか、日々驚きがあります。投稿のタイトル次第でまったく違う場面に見えたりもして、おもしろいですね。開発メンバー一同で、楽しみに見せてもらっています。 

――以前、“ゆるくつながる”とおっしゃっていたコンセプトが、実現されているんですね。

北瀬 “ゆるくつながる”は、鳥山が完全なオンラインゲームより、間接的な、非同期でのオンラインが好みだからそうなったんですよ(笑)。

鳥山 アウトワールドは、ゲーム内でほかのプレイヤーとつながる感覚と、ゲーム外でのTwitterなどでの発信を拡大するようなものがあれば、おもしろくなると思ったのがきっかけで導入しました。いままで、僕はソロプレイのゲームを作っていて、デバッグで何度も何度もプレイするので、製品版を家で改めてプレイするということはあまりなかったんです。でも今回は、家で製品版をプレイして、アウトワールドの投稿データをいろいろと見て“応援”してみたり、そればかりやっていて世界余命がなくなったり(笑)。ユーザーの皆さんが遊んでくれているんだ、というのを、もっとも強く実感できているタイトルかもしれません。

――今後、プレイステーション4のシェアボタン機能など、プレイを共有するような要素が増えてくると思われますが、それについては?

鳥山 新世代機での新しいプレイ体験を先取りして、アウトワールドで試しているというところはあります。今後はネタバレなどを気にせず、できるだけ共有できる、オープンなものが必要かなと。ほかの人のデータを、自分のゲーム内で見られるというのは、『LRFFXIII』が先行してできているなと思います。(西氏に向かって)ゲーム内で、“誰々さんの投稿です”と紹介するようなものをやればいいんじゃない?

西 やろうと思っています。手間をかけていただいている力作揃いなので、ゲームの中でピックアップしてご紹介しようかと。いまある仕組みの中でということにはなりますが、知恵を絞って長く遊んでいただけるようにしていきたいです。

澤田 スクウェア・エニックス メンバーズでは、ノエル戦のバトルランキングをやったりと、こちらも交流型の企画として、世界中のユーザーとスコアを競えるものになっています。ぜひ参加してほしいですね。

鳥山 ちなみに、体験版のボスのザルティスもスコア投稿ができるようになっています。こちらはやり込まずとも気軽に投稿できますし、アウトワールドを使って武器を入手すれば、スコアもずいぶん上がるはずですよ。


■ビジネス・ディビジョン制で新たな一歩を

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――村上さんは、どういった出来事が印象深いですか?

村上 何より、6年という長丁場、シリーズの担当をしていて、ここまで反響の大きいタイトルはないなと。非常に愛される一方で、きびしいご意見もあり、その両極をいっぺんに味わいました。つねにチャレンジャーの気持ちで、情報をガンガン出していかなければならないと思いながらも、難しい部分もある。でもそれを3作目にして打破し、実現できたのは大きな経験になりました。宣伝には正解がひとつもなく、これをやったら売れる、なんてものはないと思っているので、しんどかった部分は事実としてありますが。

――しんどいながらも、手応えはあったようですね。

村上 はい。自信にもなりました。お客さんの反応をダイレクトに見て、こういうやりかたはアリなんだなと。『FF』シリーズだけでなく、今後担当する作品は、これを糧にして新しいやりかたにチャレンジできる。いい作品に巡り合いました。

――村上さんがプロモーションを担当する、つぎの作品にも注目したいと思います。北瀬さんは、どんな思い出が?

北瀬 『FFXIII』のころから、PRのために海外には何度も行く機会があったのですが、入国審査のときに、パスポートを見せて仕事の内容を説明すると、「『FF』、知ってるよ」と言ってくださる方がたくさんいて、国に関係なく愛していただいているタイトルなんだと実感することが多かったですね。あるとき、上国料(アートディレクターの上国料勇氏)の受け答えがまずかったのか、そのとき同行していたメンバーが全員小部屋に通されるということがあって(笑)、そのときもスクウェア・エニックスの名刺と『FF』というタイトルが効いて事なきを得ました。困ったときは『FF』が助けてくれるなあと。

――ある意味で、『FF』は親孝行ですね(笑)。北瀬さんは、最近急激にお痩せになったのも印象深いです。ダイエットされたんですよね。

北瀬 『FFXIII-2』のローンチイベントをラスベガスのクラブでやるというので、ドレスコード対策で服を買いに行ったら、入らなかったんですよ。それでダイエットしました(笑)。15キロ痩せて、いま5キロほど戻ってきたので、また少し痩せようかな。

西 面接でお会いしたときと、入社してからお会いしたときで、あまりに違うので二度見しました。

村上 Twitterなどで心配されている方もいらしたと思うんですが、べつに病気ではないので(笑)。

――それでは、鳥山さんの印象深い出来事は?

鳥山 僕は『FFXIII』のときのローンチイベントですね。僕はアメリカに、北瀬がパリに行っていて。パリは、シャンゼリゼ通りにすごい人だかりができていて、こんなにたくさんの人が楽しみにしてくれていたのかと、すごくうれしかった。僕が行ったアメリカの会場は、人数制限をしていたので、シャンゼリゼ通りのにぎわいがうらやましかったなあ。

――この12月に、スクウェア・エニックスの開発は、チームやタイトルによって細分化された“ビジネス・ディビジョン”という区分けがなされたとおうかがいしています。鳥山さんは、北瀬さんと同じビジネス・ディビジョンなんですよね。今後はどういった作品を?

鳥山 僕と北瀬のほか、澤田や西も同じ第1ビジネス・ディビジョンです。今後については、ちょうど話題になっていて。

北瀬 『LRFFXIII』がちょうど終わり、先のことを話しているところなんです。

――北瀬さんも鳥山さんもいる、となれば、やはり『FF』なのでは?

北瀬 そこはまだ何とも(苦笑)。

――『バハムート ラグーン』の新作はないんですか?

鳥山 新作を作るなら、若手からアイデアが出てきてほしいですね。最近は若手のフレッシュさがうらやましい(笑)。

北瀬 (澤田氏に向かって)どうなの? どんなタイトルをやりたいの?

澤田 僕は、『FF』を、というより、自分の作ったもの……「これが俺のコンテンツだ!」と言えるものを出して、しっかり稼ぎたいという気持ちのほうが大きいです。でも、鳥山さんや北瀬さんを見てきて、まだまだ足りないな、というのは自覚するところなので、いまは経験を積むときかなと。僕の場合、『ゼノギアス』あたりからスクウェアのファンになったので、ああいった世界観の作品を、とぼんやり考えることはあります。とはいえ、いま求められているものと、自分の作りたいものが離れすぎていてはダメなので、まずは経験値を貯めて、自分のエゴをうまく出せるクリエイターになりたいですね。

北瀬 でも、澤田は言うほどフレッシュじゃないよね。以前、携わっていたタイトルの会議を、ベテランもいる中で澤田が仕切っていて、とてもフレッシュな態度ではなかった(笑)。

澤田 あれは胸を借りていたんです。これが世に出る1作目という意味ではフレッシュですよ!(笑)。

――そういうところを買われて、今回ユニットリーダーになったのでしょうね(笑)。将来、自分の作品を作るとしたら、それはRPGですか?

澤田 あまりジャンルにこだわりはないです。格闘ゲームやロボットゲームのように、自分でキャラクターを思い通りに動かせるものも好きですし、ノベルゲームもいいし。

――なるほど。西さんは、作ってみたいものはありますか?

西 僕はもともと、大学でアニメの自主制作に関わっていたんです。ゲームは、何かを入力すれば、反応が返ってきますよね。それはゲームじゃないとできないことなので、そういう“体験”を作りたくてゲーム会社に入りました。僕もジャンルにこだわりはなくて、「これは新しい!」と、驚いてもらえるものを作りたいです。あとはだいたい、澤田に同じこと言われました(笑)。

――考えかたが似ていらっしゃるようですね。おふたりのような方が採用されやすいんですか?

北瀬 いやあ~? 西は、ここでは言えないようなやつを考えていると思います。

西 ど、どういうことですか……。

澤田 僕の同期では、「スクエニで乙女ゲーを作るぞ!」と意気込んで入社してきた女子もいます。やはり、会社愛がある人が多いですね。周りを見ると、「スクエニでおもしろいことをやろう」というモチベーションの高い若手は多いなあと。先々ではありますが、ゲーム業界も、そのうち世代交代をしないといけないと思うんです。先人が作ったゲームを楽しんだ僕たちだからこそ、作れるものがある。そこににチャレンジしていきたいですね。

――鳥山さんとしては、ある程度若手に任せるという作りかたはいかがでしたか?

鳥山 やはり、現場でしか伝えられないことがあるんですよね。僕が成田さんや北瀬から教わったように、現場を通じて、下の世代にそれらを伝えていきたいです。

――では、最後にユーザーへメッセージをお願いします。

澤田 今回はユニットごとに各大陸を作っていて、プレイしていると、自分の担当した以外の大陸も個性があってめちゃめちゃ楽しい仕上がりになっています。ユニットリーダーの裁量で、鳥山さんに見せずに仕込んでいるものもあるので(笑)、 フィールドにもバトルにも、本当にたくさんの発見があります。周回しながら、長く遊んでいただけるゲームになったのではないかなと。格闘ゲームのように、プレイがうまくなっていく楽しさがある、まさに“するめゲー”です。クリアーしたからとコントローラーを置くのはまだ早いので、2周目では、まだ見ていない時間帯、あまり行っていない大陸をめぐって、隅々まで楽しんでほしいです。

西 “長く遊べる”つながりで、アウトワールドやメンバーズのサイトでは、まだまだキャンペーンをご用意していますので、気軽に覗いていただければと思います。

村上 このゲーム、尖っていまして、「難しい」とおっしゃっている方も多いです。ただ、単に難しいだけではなく、若手が作っている新しい『FF』であり、“『FF』の挑戦”という部分を感じてもらえると思うので、ぜひ最初はイージーモードで遊んでください(笑)。「RPGはもういいかな」と思ってる方にこそ手に取ってほしい。想像とは違う体験ができると思いますので、ぜひご賞味あれ!

鳥山 まだ遊んでいない方は、体験版を配信中ですので、ぜひプレイしていただければと。どっぷりと遊んでいる方は、年末年始で『FFXIII』からもう一度どうぞ(笑)。『FFX/X-2 HD リマスター』に封入されている、ユウナの衣装のコードを使って、印象の違うライトニングで遊んでみるのもいいと思います。

北瀬 たとえば、『FFXIII』はやったけれど、『FFXIII-2』はやっていないから手を出しづらいなど、まだ“様子見”をされている方もいると思います。そこは躊躇せず、誰でも楽しめるということを、一新したタイトルに込めたつもりです。尖ったシステムやバランスを含めて、そこがいい、という声もいただいています。前作をやっていなくても買いどき、「いつ買うの、いまでしょ!」ということで(笑)、ぜひ手に取ってみてください。




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