PS3版、PC版に続いて、PS4版の発売が決定!

 プレイステーション4(以下、PS4)で、新世代のゲーム開発を進めているトップクリエイターに聞く、連載インタビュー企画。今回は、コーエーテクモゲームスの『信長の野望』シリーズ30周年記念作品『信長の野望・創造』のPS4版(2014年2月22日発売予定)について、ゼネラル・プロデューサーのシブサワ・コウ氏と、プロデューサーの小笠原賢一氏にお話をうかがった。

【PS4クリエイターインタビュー】『信長の野望・創造』はシリーズ最高峰の作品――シブサワ・コウ氏、小笠原賢一氏が語る_02

写真右
コーエーテクモゲームス
『信長の野望・創造』ゼネラル・プロデューサー
シブサワ・コウ氏

写真左
コーエーテクモゲームス
『信長の野望・創造』プロデューサー 小笠原賢一氏

【PS4クリエイターインタビュー】『信長の野望・創造』はシリーズ最高峰の作品――シブサワ・コウ氏、小笠原賢一氏が語る_08

『信長の野望』の発展のため、新たなプラットフォームにチャレンジ

――『信長の野望』シリーズ30周年、おめでとうございます。今回、PS4版が発表された『信長の野望・創造』は、シリーズ待望の最新作にして30周年記念作品とのことですが、どのようなゲームなのでしょうか。
シブサワ まずは、30年間、熱いメッセージや応援をお送りいただき、ずっと支えてくださったファンの方々にお礼を申し上げたいです。おかげさまで30周年を迎えた『信長の野望』シリーズの最新作『信長の野望・創造』は、“新時代の創造”をテーマにしています。織田信長はきっと、「新しい時代を作りたい」という想いを持って、戦国時代を駆け抜けたと思います。その信長の想いをこのゲームに託し、表現しました。
小笠原 この『信長の野望・創造』はシリーズ14作目で、30周年記念作品という、非常に大きな節目のゲームになります。このシミュレーションゲームでは、プレイヤーが戦国大名に成り代わって、その人生を疑似体験していくという形を取っています。織田信長は、戦国時代に何を考えて、どういう判断をして、どういう行動をして、どういう歴史を作っていったのか。織田信長という人物をもう1度見つめ直すことによって、信長が成し遂げた革新的な時代の創造を、プレイヤー自身がしっかりと体験できるようなゲームを目指しました。

――いま、「織田信長をもう一度見つめ直して作った」とおっしゃいましたが、長い歴史がある『信長の野望』シリーズにおいて、この『信長の野望・創造』はどのような位置づけにある作品なのでしょうか。
シブサワ 30周年の節目になるタイトルですので、現状の我々のパワー、シブサワ・コウとしてのゲームへの取り組みのすべてを出し切って作りました。『信長の野望』シリーズの中で、最高峰のタイトルに仕上がったと私は信じています。
小笠原 この30年という節目は、シリーズを振り返るには非常に良いタイミングだったんです。『信長の野望』はどこがおもしろかったのか、どんなチャレンジをしてきたからユーザーの皆さんに支持してもらえたのかを、しっかりと見つめ直して、“30周年の集大成”という位置づけのタイトルとして、制作に取り組みました。

【PS4クリエイターインタビュー】『信長の野望・創造』はシリーズ最高峰の作品――シブサワ・コウ氏、小笠原賢一氏が語る_04

――『信長の野望・創造』は、先日PS3版とPC版が発売されましたが、PS4でも本作をリリースしようと思った理由を教えてください。
シブサワ いちばん大きな理由は、「PS4のユーザー様にも、『信長の野望』の最新作である『創造』を楽しんでいただきたい」。その気持ちがまず第一です。第二に、新しい技術につねにチャレンジして、最新のゲーム機に対応していきたい。PS4は、現行のゲーム機の中では最高峰のゲーム機ですから、このPS4に対応して、何らかの新しさを出していきたいと思っています。
小笠原 『信長の野望』は、そのときそのときの最新の技術や楽しさ、遊びかたをしっかりと入れ込みながら進化を続けてきたシリーズなので、PS4という新しいプラットフォームにチャレンジすることで、また『信長の野望』が発展していく可能性があると思いました。PS4で発売したことで、新たな発想が生まれて、つぎの作品に活かされる……PS4版は、そのような大きな発展のポイントのひとつとして捉えています。

――コーエーテクモゲームスと言えば、ハードの発売直後からタイトルを出しているイメージが強いので、『信長の野望・創造』がPS4で発売されることも、ゲームファンとしてうれしく思います。
シブサワ PSプラットフォームで、コーエーテクモのゲームをロンチタイトル(新しいゲーム機が発売される際、同時に発売されるタイトルのこと)としてお客様に提供することは、会社のひとつの方針と言ってもいいものです。今回は、ロンチタイトルとして『真・三國無双7 with 猛将伝』が出て、この『信長の野望・創造』が続きます。これからも、ロンチと同時にゲームを発売する姿勢は維持していきたいと思っています。いつもチャレンジをしている会社・クリエイターだと捉えていただけるとうれしいです。

リアル、ダイナミック、ドラマティック、すべての要素がパワーアップ

――『信長の野望・創造』は、リアル、ダイナミック、ドラマティックの3つが軸となっているとのことですが、これらのコンセプトを実現するうえで、PS4はどのような貢献をしているのでしょうか。
小笠原 リアル、ダイナミック、ドラマティックそれぞれが、PS4によって大きなアドバンテージを得られると考えています。とくにリアルにつきましては、すぐにおわかりいただけると思います。ステージを構成する3Dのテクスチャーひとつひとつが高精細で、なおかつ、それを高速に処理、描画できる。PS4ではフルHDで、リアリティーある戦国日本が表現されるんです。さらに、PS3では30fps(秒間30フレーム。1秒間に30枚の映像を映し出す)で描画されるところが、PS4では完全に60fpsで動くんです。

【PS4クリエイターインタビュー】『信長の野望・創造』はシリーズ最高峰の作品――シブサワ・コウ氏、小笠原賢一氏が語る_09

――それはすごいですね!
小笠原 私はこれまでアクションゲームも手掛けてきましたから、30fpsと60fpsの手触りの違いがゲームプレイの印象に与える大きさを、非常に強く認識しています。『信長の野望・創造』PS4版は、もちろんゲームのシステムはPS3版と同じなのですが、プレイの没入感や、感じられるリアリティーは、かなり上がっていると思っています。それがドラマティック、そしてダイナミックのスケールアップにもつながっていく。高精細なインターフェイスが、必要最小限の大きさにまとめられて、戦国の日本が3Dで出される範囲が非常に大きくなって、そこにPS4ならではの補正エフェクトや効果が乗っかっていくんです。
シブサワ 我々はPS2のロンチのときに『決戦』というタイトルをリリースしましたが、そのときお客様に驚いていただいたのが、“群れ制御エンジン”です。たくさんの兵士、戦いの表現を、PS2の中で合戦として表現することができるエンジンですね。私も開発が非常に楽しくて、嬉々として合戦シーンを作り込んでいきました。そのおもしろさを、このPS4版『信長の野望・創造』の“会戦”の中で、お客様、ゲームユーザーの皆様にもう1度感じていただけるのではないかと期待を持っています。非常にダイナミックな合戦シーンが描かれ、プレイヤーはその中で戦いかたを指示できますので、“リアルな合戦”を感じ取っていただけると思います。

【PS4クリエイターインタビュー】『信長の野望・創造』はシリーズ最高峰の作品――シブサワ・コウ氏、小笠原賢一氏が語る_05

――『決戦』が与えてくれた新鮮な驚きを、このPS4版『信長の野望・創造』でも楽しめるのですね。ちなみに、60fpsでの描画を実現するまでには、かなり苦労されたのでしょうか?
小笠原 いえ、ゲームの大半の部分を、最初から60fpsで動かすことができましたね。一部は調整をかけなければなりませんでしたが。PS3版は、かなり調整して詰めて作っていたのですが、PS4版はスッと処理させられました。すんなりと動くぶん、ほかのことに開発の時間を使えますので、PS4は本当に、ゲームの作り手にとって作りやすいハードですね。もし、『信長の野望・創造』を初めからPS4用のソフトとして作っていたのなら、「もっと違う表現にチャレンジできたんだろうな」と思うぐらい、ポテンシャルの高さを感じました。

――PS4は、それだけの可能性を秘めているのですね。続いて、DUALSHOCK 4についてうかがいます。DUALSHOCK 4には、タッチパッドや内蔵スピーカーなどが実装されていますが、このような機能を活かした要素はありますか?
小笠原 『信長の野望・創造』には、シリーズ最多となる300以上の城や、1000にも及ぶ戦場、それをつなぐ街道が存在します。プレイ中は、その中のいずれかを選択して、いろいろなアクションを行う必要が出てきます。PS3版では、アナログスティックによるフリーカーソル移動と、方向キーによる移動での操作性のしやすさを追求しましたが、DUALSHOCK 4にはタッチパッドがついていますので、指でのポイントデバイスが可能となっております。城や街道を直感的に選択できるので、一段とプレイしやすくなったという手応えがあります。

【PS4クリエイターインタビュー】『信長の野望・創造』はシリーズ最高峰の作品――シブサワ・コウ氏、小笠原賢一氏が語る_07

――DUALSHOCK 4と言えば、SHAREボタンも大きな特徴のひとつですが、動画やスクリーンショットの共有を、ユーザーにどのように楽しんでもらいたいとお考えでしょうか?
小笠原 ユーザーどうしのつながり、盛り上がりを高めていくための機能として、PS3版『信長の野望・創造』にも、ゲームの中でスクリーンショットを撮れる機能や、合戦の様子や、国の発展の様子を1枚の画像に収める機能を用意しているんですね。facebookにそれらをアップすることもできます。PS4版では、それがSHAREボタンひとつでできて、さらに動画という要素が増えるので、非常に期待しています。画像のアップについては、facebookだけでなく、twitterにも対応する予定です。

――PS Vitaでのリモートプレイについてはいかがでしょうか?
小笠原 このPS4版は、PS Vitaでのリモートプレイに対応しています。シミュレーションゲームは、じっくりと長い時間をかけて楽しむゲームなので、たとえばソファーに寝転がって気軽にプレイしたいときは、リモートプレイを利用してみてください。時間を気にせず、どこでも楽しんでいただきたいなと思います。

――30年前に『信長の野望』が立ち上がったときには考えられなかったような、さまざまな機能が実装される時代になりましたね。
シブサワ 最初の『信長の野望』は、8bitパソコンでスタートしました。わずか16キロバイトのメモリの中で動く、そういうスタートを切っていても、ゲームのおもしろさの本質――国を取っていって、勢力を広げていって、そして最後は日本を統一するという、この流れ自体は変わっていません。その本質はずっと維持しつつ、時代時代のテクノロジーや環境に適応していって、つねに新しいおもしろさをプラスしていっています。私の希望としては、30年前の『信長の野望』のユーザーさんに、最新作『信長の野望・創造』にぜひともトライしていただきたいんです。『信長の野望』1作目の進めかたをイメージしながらでもプレイできるような、委任コマンドやアシスト機能を多数用意していますので。

――久しくゲームを触っていない方でも、楽しさを感じられる作りになっているんですね。
シブサワ はい。30年前に『信長の野望』を楽しんでくださった方は、たとえば20歳の方だったら、もう50歳になっているわけですけど、「50歳になってゲームはどうかな……」とお考えの方でも、もう1度『信長の野望』を遊んでみてください。

【PS4クリエイターインタビュー】『信長の野望・創造』はシリーズ最高峰の作品――シブサワ・コウ氏、小笠原賢一氏が語る_06

新しいアイデアは、まだまだ湧いてくる!

――PS4は、“Simple(使いやすさ)”、“Immediate(サクサク )”、“Social(ソーシャルとの融合)”、“Integrated(さまざまな機器・サービスとの連携)”、“ Personalized(ユーザー体験の最適化)”の5つをキーワードとしていますが、この中で、とくに注目しているものはありますか?
小笠原 やはり、ユーザーどうしの盛り上がりに、非常に期待しています。ネットワークにつなげてゲームを楽しむことが、かなり一般化してきましたから。『信長の野望』シリーズには、30年間支えてくださった、コアなファンの方がたくさんいらっしゃいます。皆さんは、ファンどうしで盛り上がる場を求めていると思うんですよね。PS4というプラットフォームによって、盛り上がる場を集約しやすい環境ができあがりますので、自分の国取りの形を自慢し合ったり、戦国時代について語っていただいたりして、楽しんでいただけるとうれしいです。

――ファンの皆さんは、これからの『信長の野望』シリーズがどうなるのか、とても気になっていると思うのですが、今後の展望を教えていただけますか?
シブサワ 『信長の野望』は、歴史シミュレーションゲームだけではなくて、インターネットの対戦ゲーム、オンラインゲーム、最近ではソーシャルゲームといった形でも展開しています。これからも、さまざまなゲームユーザーさんに、異なったおもしろさを持った『信長の野望』を提供していくつもりです。新しいジャンルに挑戦して、『信長の野望』のおもしろさをもっと広げていきたいですね。また、30周年を迎えましたので、今度は40周年を迎えられるよう、一生懸命がんばっていきます。これから、小笠原を始め、新しい世代のプロデューサーも出てくると思いますが、そういった新たなクリエイターにも期待してもらいたいですね。
小笠原 PS4という、性能が高く、ネットワークやさまざまな機能が付加されたプラットフォームで歴史シミュレーションゲーム『信長の野望』を作るということを、スタートに立ち返って考えると、いろいろなアイデアが湧き上がってくるんですね。これからも、つねに環境やプラットフォームの進化に刺激を受けながら、新しいゲームの形を提供していけるのではないかと思っています。ここからまた10年、20年、30年と重ねていきたいです。

――ありがとうございます。では最後に、ファンの皆さんへひと言、メッセージをいただけますか?
シブサワ 30年間が経ちましたが、『信長の野望』に対する愛着、ゲームに対する強い思い入れは変わらずに、ずっと作ってきました。『信長の野望・創造』は、『信長の野望』の最新作として、自信を持って皆様にご提供できる作品です。必ず楽しんでいただけると、私は確信を持っています。それからもうひとつ、じつは『信長の野望 Online』も、今年(2013年)は10周年という年でして。それを記念する意味と、新しいことへチャレンジする意味も込めて、PS4への対応を進めています(※)。最新のテクノロジーで、新しいオンラインゲーム作りにチャレンジしていますので、どうかご期待いただきたいと思います。
小笠原 この『信長の野望・創造』は、リアル、ダイナミック、ドラマティックを3つの大きなセールスポイントとして据えています。リアルは、とくにこれまでシリーズを支え続けてくださったコアな方に、しっかりと喜んでいただける要素。ダイナミックは、「前は『信長の野望』をプレイしていたけれど、最近はやっていないな」というユーザーの方に、いまの『信長の野望』はこれだけワクワクする表現ができていることをアピールする要素。ドラマティックは、「戦国時代は好きなんだけど、『信長の野望』はやったことない」というユーザーの方に、戦国時代の醍醐味をストレートに伝える要素です。『信長の野望・創造』は、コアな方、久々にやってみようかなという方、そして初めて触られる方、幅広いユーザーの方にぜひプレイしていただきたいと思っています。30周年記念作品に相応しい集大成、完成度の高い作品になっていますので、ぜひお楽しみください。

※PS4版『信長の野望 Online ~天下夢幻の章~』は2014年3月19日発売予定

【PS4クリエイターインタビュー】『信長の野望・創造』はシリーズ最高峰の作品――シブサワ・コウ氏、小笠原賢一氏が語る_03
【PS4クリエイターインタビュー】『信長の野望・創造』はシリーズ最高峰の作品――シブサワ・コウ氏、小笠原賢一氏が語る_01
★SCEJA×ファミ通・特設サイト公開中!(▲画像をクリック!)