【ファミキャリ!会社探訪(7)】日常の楽しさを技術と発想で創造するNHN PlayArtを訪問!_08

“ファミキャリ!会社探訪”第7回はNHN PlayArt!

 ファミ通ドットコム内にオープンした、ゲーム業界専門の求人サイト“ファミキャリ!”。ゲーム業界での転職やキャリアアップを目指す人たちに向けた“ファミキャリ!”がゲームメーカーを訪問し、実際にお話をうかがう当コーナー。第7回は、NHN PlayArt!
 オンラインゲームポータルサイト“ハンゲーム”や“LINE”向けゲームを開発・運営している同社は、早くからオンラインゲーム事業やスマートフォンゲーム市場を牽引してきた。今回は、ゲームディレクターとして同社の中核を担う、三浦和尊氏にお話をうかがった。


すぐ反応が返ってくるオンラインゲームにやりがいを感じる

【ファミキャリ!会社探訪(7)】日常の楽しさを技術と発想で創造するNHN PlayArtを訪問!_05
三浦和尊
ゲームディレクター

--最初にこれまでの経歴を教えてください。
三浦和尊氏(以下、三浦) 専門学校を卒業した後に、コンシューマのゲーム会社に就職し、そこで4年半ほど勤めました。その後「お客様の声をもっと聞きたい」と思い、2005年にNHN Japan(当時)に入りました。オンラインゲーム業界は想像していた通り、リリースしたものに対し、すぐにお客様の反応が返ってくるので、やりがいがありますね。
--順調にステップアップしている感じですね。
三浦 いえ、入社した当初は、将来もずっとデザイナーをやっていると思っていたので、まさかこんなことになるとは思いませんでした(笑)。
--デザイナーというのは、グラフィックデザイナーですか? それとも、ゲームデザイナーですか?
三浦 基本的にはゲームデザインのほうですが、グラフィックも全部兼ねていました。“なんでも屋”でしたね(笑)。
--ちなみに、専門学校のころからゲーム業界を目指していたのですか?
三浦 いえ、そのころはただ単にデザイナーという職業を目指していました。それに、この会社にもデザイナーとして就職したのですが、いつの間にかいまの職種(ゲームディレクター)になっていました(笑)。入社した当時から、しばらくはゲームデザイナー、アートディレクターとして、PC向けのゲームを作っていたのですが、やがて会社として、アプリに力を入れることになりました。当時のゲームディレクターが、別件の開発業務が忙しくなり、自分に「全部お願いしていいか?」という話がきまして、そこから“ゲームディレクター”としてのキャリアがスタートしました。しばらくはデザイナーも兼務していたのですが、現在はゲームディレクターとしての仕事に専念しています。
--デザイナーからゲームディレクターに肩書が変わったわけですが、やりがいはいかがですか?
三浦 どちらもゲーム制作に関わっている仕事なので、やりがいという意味では、それほど変わらないです。ずっと変わらず、楽しくゲーム制作に携わっています。

スピード重視の開発が臨機応変な対応を可能に

--さて、御社は4月に分社化されましたが、社内はどのように変わりましたか?
三浦 じつは個人的にはまったく変わっていません。分社化の前から、ゲーム開発部署は分かれていたので、クリエイター的にはとくに変わっていません。分社化によっての異動や組織変更などもありませんでした。分社するしないに関わらず、以前から開発体制の適切化をつねに図っていて、その都度、適宜変更してきました。
--そうなんですか。では、御社の持つ強み、魅力などはどういった部分だと感じていますか?
三浦 ゲーム制作において、すべてのことをゼロから生み出すこともできますし、それ以外の開発方法も可能だということだと思います。たとえば、もっと規模の大きな会社だと、デザイナーはデザイナー、企画は企画というふうに分業化されていますが、弊社ではそういったことはなく、“やる気”さえあれば、デザイナーが企画を担当することもあるし、自分の職種とは違うことをやることも可能です。そういった環境が用意されているというのは強みだと思います。自分が入社したころから、すでにそういった環境でしたね。デザイナーとして入社しましたが、企画にも少し参加させてもらったり。とくに指示されたわけではなく、自分からグイグイと(笑)。
--開発スタッフはどのくらいの規模ですか?
三浦 開発ラインとしては、だいたい常時10本くらいです。プロジェクトの人数はタイトルによって異なりますが、10~20人くらいでしょうか。その人員で、なるべく速いタイミングでのリリースを目指しています。
--三浦さんの携わっているプロジェクトは何人くらいなのですか?
三浦 10人くらいですね。これは言っていいのかわからないのですが(笑)、自分のプロジェクトに関しては、あまりスケジュールも細かく決めていません。「○○さんはこのときまでにここまでやってください」というザックリとした指示だけ出して、「この日にアップデートしますが、間に合いますか?」、「間に合わせるためには、どのようにしますか?」という聞きかたをします。とにかく“スピード重視”で開発をして、適宜リリースします。ですから、アップデート当日に仕様を追加したり、バランスを変更することもザラにあります。スピード重視で速く作って、おもしろいかを確認して、おもしろくなければ作り直す……という作業をくり返します。
--クリエイターとして、どんなときに達成感を感じますか?
三浦 全部のゲームについて言えるのですが、やはりリリースした瞬間がいちばん達成感があります。また、オンラインゲームやソーシャルの場合は、リリース直後にお客様からの声がすぐ届くので、いつも楽しみながら制作しています。批判的なご意見もいただきますし、そのときは残念な気持ちでいっぱいになりますが、どのように修正すれば、つぎにもっと楽しんでいただけるか。つねにポジティブな思考で取り組んでいます。オンラインゲームの場合は、リリースして終わりではなく、より改善していけるというおもしろさもあります。
--開発のサイクルはかなり速そうですね。
三浦 昔に比べると、かなり速くなっています。とくに、いまは“スピード感”がいちばん重要ですね。だからといって、「みんなで徹夜をしてがんばりましょう」ということではなく、現実的な“スピード感”を重視しています。無理のないスケジュールを立て、そのなかでなるべく早くゲームを作り上げ、でき上がったもののおもしろさを追求していくスタンスです。開発中も「このまま進めると、何か問題が起きそうだから……」と考え込んでしまって作業をストップさせるのではなく、「問題が起きたら、そのときに対処する!」という考えかたです。いいか悪いかはわかりませんが、まずは作り上げてしまいます。開発スタッフもプロですから、それぞれの問題に予測したり、対応する能力を持っています。おかげで、いままでそれほど大きな問題もなく、ゲームを作ることができています。仮に、想定以上のお客様が殺到してサーバーがパンクしてしまうといったことが起こりうるときでも、早くゲームを作っていることによって、対応する時間を取ることができます。そういうわけで、じつはこの会社では徹夜したことがないんですよ(笑)。

変化の激しい業界だからこそ、新鮮な気持ちで仕事ができる

--現在のスマートフォンゲーム市場について、どんな印象ですか?
三浦 だいたい一年刻みくらいで、好まれるタイトルが変わってくるので、PCやコンシューマに比べて、変化が激しいなと思います。ということは、つねにやらなければいけないことが変わってくるわけで、開発サイドもつねに新鮮な仕事ができます。ですので、楽しみながら仕事を続けられていると思います。
--最近はWebコミックサービス“comico”の提供を開始するなど、会社としての業務の幅も広がってきていますが、今後何かやってみたいことはありますか?
三浦 そうですね。いま携わっている『つりとも』(LINE PLAY)というゲームの出来にまだ満足してないので、まずは自分が満足できる状態にしたいですね。そのあとに、何をやりたいか、じっくり考えたいと思います。
--NHN PlayArtが求めているクリエイター像について教えてください。
三浦 まず、ゲームを作りたいという意欲ややる気が目から感じられる人ですね。また、ありきたりかもしれませんが、ほかの開発スタッフといっしょに仕事を進めるので、コミュニケーションが取れるということも重要な要素です。その2点があれば、だいたい大丈夫なのではないかと思います。ほかには、たとえば企画の人なら、自分の立てた企画のおもしろさを論理立てて説明できることだったり、デザイナーなら、自分が作ったものの何がいいところなのかを他人に説明できることも大事です。デザイナーとしての自分の経験上、キャラクターばかり描かないほうがいいかもしれませんね(笑)。背景や画面上のUI(ユーザーインターフェース)など、いろいろなものを描ければ仕事の幅も広がるので、弊社では、幅広く表現できる方を求めています。いろいろなことに興味を持つことで、そのぶん視野が広がると思います。“○○系に強い”という部分はもちろんあったほうがいいですが、幅広い視野を持つことで、何か問題が起きたときの解決策の引き出しが広がるはずです。
--では、最後にメッセージをお願いします。
三浦 最初の時点ではあまり多くは望みませんが、先ほどもお話しした通り、ゲームを作りたいというやる気のある方、ゲームが大好きだという思いが目から感じられる方といっしょに仕事がしたいですね。もちろん、多少なりとも、弊社のゲームを知っていてほしいです。

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NHN PlayArtってどんな会社?

 2000年に設立されたハンゲームジャパンが、2013年4月にゲームとWebサービスを分割し、LINEに商号変更。その際、ゲーム事業は新設されたNHN Japanが承継し、8月にNHN PlayArtへと商号変更した。
 急激な成長を遂げるスマートフォンやオンラインゲーム市場向けに、高クオリティーのゲームを開発・提供している同社は、オンラインゲームポータルサイト“ハンゲーム”や“LINE”向けゲームを開発・運営している。社名の由来は、「人と人がつながる日常の中でちょっとした楽しさ(Play)を、豊かな発想と技術で創造する(Art)」ところから付けられた。
<会社概要>
NHN PlayArt株式会社
●代表取締役社長:加藤雅樹 ●設立年月日:2013年4月1日 ●従業員数:約450名(2013年8月1日現在) ●事業内容:オンライン・スマートフォン向けゲームの企画・開発・運営 など

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【ファミキャリ!会社探訪(7)】日常の楽しさを技術と発想で創造するNHN PlayArtを訪問!_07
▲オシャレで落ち着いた雰囲気のカフェテリア。奥にはリラックススペースも用意されている。
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▲現在、三浦氏がゲームディレクターとして携わっている『つりとも』。LINE PLAY上で楽しむことができる。