ハイエンドな画像! 使いやすいコントローラー! でもそれだけじゃなくて……。

プレイステーション4を3日ほど使って考えた、“誰でも超簡単にハイエンドゲームの実況・配信ができるマシン”としての新世代機_05

 先週、北米でひと足先に発売されたプレイステーション4。ローンチイベントの取材を終え、帰宅するフライトまで徹夜で遊び倒し、爆睡フライトの後に帰宅してネットに繋ぎ、土日もしこたま遊んだのだが、ただ遊んでたんじゃあ編集長に「このギャラ泥棒が!」と呼び出されてしまうので、そろそろ記事を書こうと思う次第です。

 じゃあ遊んでどうだったのか。もちろん「画像スゲー綺麗! 60フレ(秒間60フレーム)でヌルヌルだし!」とか、「『バトルフィールド4』が64人対戦できる!」と言っても、それはハイエンドなゲーミングPCならできること。まぁスペック気にせず買ってきてすぐ使える利便性や、サイズとか価格帯を考えると、それでも十分スゴイんだけども。

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▲ただ絵が綺麗になるというだけでなくて、『FIFA14』ではPS3/360バージョンとプレイ感も異なる。これは過去に記者が行ったインタビューでは、同時にメモリに読み込むモーションが多いことで、選択できるプレイの数が増えるからとのことだった。スペックアップによって、もちろんそういったメリットもある。でも、それだけなら今までの進化と一緒だし、当たり前でしょ? そうじゃない違いがある、というのが本稿の話です。

 「DUAL SHOCK4の出来がいい!」というのも思いついたんだけど、本質からはちょっと外れている気がする。
 いや実際、すごくいいんですよ。特にL2とR2にちょっと羽根がついてトリガー感が出ているのは、FPS/TPSをよく遊ぶ記者としてはすごくプレイしやすくてありがたい。PCでもXbox 360系のデザインのコントローラーを使っていたぐらいだけど、すぐに手に馴染んで、『WARFRAME』を半日ぶっ通しでプレイしても不満は特にナシ(あ、Xbox Oneのコントローラーも好きだし、どっちがいいとかいう話ではないので悪しからず)。

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▲このL2/R2がちょっと出っぱってるのがいいんです。

 『WARFRAME』だけでなく、『RESOGUN』も寝落ちするまで遊んでしまったので「F2P(基本プレイ無料)タイトルとかインディータイトルがいっぱいでイイ!」とも言えるかもしれないけど、それも前世代機ですでにあることだし、うーん。

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▲割とハマった『Resogun』。「パーティクル(粒子)いっぱい出せますっていうデモみたいなもんでしょ?」とかナメてたら、スゲー面白いでやんの。すいませんでした。

 楽しいんだ。スゲー楽しいんだよ。ハイエンドなゲームが何の苦労もなくサクサク動く。今年の冬は必死こいてバイトするか、お年玉を全力で貯めて日本発売に備えておけと太鼓判を押せる。でも、「今までとスゲー違う」というわかりやすいポイントを何かお伝えできないものか。そこでふと思ったのが、「ゲーム実況とか配信機材としての新世代機」。

誰でも簡単に配信可能

 「配信、今でもやっている人いるじゃん」と思う人もいるかもしれないけど、ちょっと待って欲しい。こんなに簡単に構築できる環境はそうそうない。
 プレイステーション4の場合、本体とソフト買ってきて、電源とHDMIケーブルを繋いで、Wifiなりなんなりで自宅のインターネットに繋いだら完了だ。スクリーンショットを撮ってアップしたい時も、超絶プレイを動画で残したい時も、ストリーミング配信したい時も、ただコントローラーのShareボタンを押せばいい。後は切り替わった画面で設定し、実行するだけ(この間、ゲームは待機状態になっている)。
 これまでなら普通は、キャプチャー用マシンを別に用意したり、「これをコッチに繋いで……」と部屋をケーブルだらけにしたり、「この設定だとコマ落ちするから……」と試行錯誤する必要があったけど、そういうのとも無縁。

 ストリーミング中に寄せられたコメントをゲーム画面と配信映像の双方に表示することもできるし、PlayStation Cameraを買ってくれば、ストリーミング映像に自分の顔を乗っけるピクチャーインピクチャー(プレイ中の顔が右上に映っているアレ)もできる。

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▲PlayStation Cameraで顔認識でログインしたり、音声操作することもできる。ちなみに日本語対応。「ぷれいすてーしょん、でんげん、すたんばいもーどにする」ぐらいの発音で動きます。
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▲ストリーミング配信についてはかなり積極的に組み込まれており、プレイステーション4内から“Live from PlayStation”を立ち上げると、TwitchやUstreamで配信されている映像をプレイステーション4から見ることができる。

 そしてもうひとつ大事なのは、これがハードウェアの公式機能ということだ。これまでゲーム配信はグレーな部分が多かったけど、配信してほしくない部分はメーカーがソフト側で制御できるので、それをやっていないということはアウトではないということ(心情的には渋々かもしれないけど)。
 この配信制御は権利的な問題だけでなく、セキュリティ的にも意味があって、ソフトに紐付いたサービスなどのパスワードを入力する画面では、その画面を流さないようになっている。

 ただ「最強配信環境!」と言えるかというと、いくらかの制限がある。以下が現状の仕様。日本での発売の頃には変わっているものもあると思うので、今後の発表にも注目だ。

【ストリーミング配信】
・配信できるのはTwtichかUstreamのみ。
・配信映像を残しておくアーカイブはできない。
・PlayStation Cameraがあればピクチャーインピクチャーが可能。(ピクチャーインピクチャーをせず、マイクからの音声入力だけ使うこともできる)
・コメント・視聴者数・コメント数を表示可能。
・配信開始をTwitterやFacebookで告知できる。

【プレイ動画】
・Shareボタンを押すまでの過去15分の動画を投稿可能。始点と終点でカット編集可能。
・常時録画しているのでいつでも切り出せるが、20分とか30分遡ることはできない。
・投稿できるのはFacebookのみ。

【スクリーンショット】
・投稿できるのはTwitterかFacebookのみ。

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▲Twitterに投稿した画像のコピー。普通に1ボタンでこんなのを撮って投稿できる。

※ちなみにどんな感じに配信できるのか知りたい人は、Twitterでデフォルトのハッシュタグ“#PS4live”で検索してみるといい。

“配信されることが前提”の時代がやって来る

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▲北米のPS Store。一部ソフトのPS3版からのバージョンアップが格安で出来る“PS3 to PS4”や、パッケージゲームを発売日からダウンロード購入できる“Day 1 Digital”、基本プレイ無料のソフトが並ぶ“Free to Play”、インディーゲームや独立系スタジオのダウンロードタイトルが並ぶ“Indies”なども項目が用意されている。PS4世代の配信から人気が出てくるタイトルもいずれ出現するだろう。

 同種の機能は、ここ北米で今週発売されるXbox Oneが搭載しているほか、別の機材を必要としないダイレクトストリーミングについては、ゲーミングPCにグラフィックカードが使われることが多いNVIDIAが“Geforce Experience”として機能実装を行っている。
 つまり、ハイエンドな性能を持つプレイステーション4、Xbox One、PCで誰でも配信が可能となり、“配信されることが前提”の状況が整いつつあるわけだ。

 これは、ゲームそのものにも影響を与える可能性がある。記者がKONAMIの小島秀夫監督に行ったインタビューでも、メタルギア ソリッド V』がオープンワールドになる理由のひとつとして、配信の存在が挙げられていた(オープンワールドで潜入ルートがいくつも存在することによって、配信を見た後でも自分のプレイには一回性の価値が保証される)。

 このことがいい方向に働くか、あるいは「見るだけでいいや」と買わずに済ます人が増える方向に行くのか?
 前者については、特にマルチプレイメインのゲームや、スポーツゲームなど、配信されても特にダメージがなく、一回一回のプレイの価値を担保できるゲームは、いい宣伝媒体となりえるのではないだろうか。しかし、向いていないタイプのゲームもある。問題は後者だ。
 だが、公式な配信機能が広まることのいい点は、PCの場合は事情が異なるが、PS4のような実装にしてあれば、強烈なネタバレになる部分を配信不能にすることもできるし、それすらかいくぐって配信するにしても、イージーな配信が当たり前になった時代では、それはとてつもない労力となるということだ。
 「別に機材を用意してでもネタバレ部分を配信する」という熱意に燃える人もいるだろうが、数は多くないだろうし、その存在による被害は、今でもゲームを見るだけで済ます人はそうしているという実情と比べると、あまり変わりがないのではないだろうか(個人的にはストーリーメインのゲームでも「とりあえず全部配信禁止」ではなく、「3章まで許可」とかにして欲しい)。

 とはいえ結局のところ、行方はわからない。ただひとつだけ確かなのは、ゲームメーカー、メディア、プレイヤーの有り様に、確実に変化が起きるだろうということだ。
 プレイヤーは気になるゲームの配信を今よりもっと(しかも堂々と)見られるし、ゲームメーカーにはそれを織り込んだ戦略が必要となる(ちなみに『コール オブ デューティ ゴースト』を配信してみたら、配信ページでゴーストのCMが流れた)。ファミ通.comのようなメディアもまた、それを前提としたコンテンツの提供をしなくてはならない。だって配信で見られるようなものを記事にしても、労力の割にあんまり意味がないから。

 というわけで、映像が進化するのは当たり前、いろいろ出来て使いやすいハードウェアになるのも当たり前ということで、配信前提の時代になるということが、新世代ゲームの本質的な変化だと思うのだが、いかがでしょうか。(文:ミル☆吉村)