新Kinectを使ってモーションキャプチャーするなんて仕組みも
マイクロソフトがマルチプラットフォームに展開予定の、ゲーム制作ツール『Project Spark』。カリフォルニア州ロサンゼルスで開催中のカンファレンス“GDC Next”から、誰でもゲームを作ってコミュニティに投下できるような“ビデオゲームのYoutube”を目指す『Project Spark』についての講演の模様をお届けする。
発表を行ったのは、Microsoft Studiosのテクニカルディレクター、Soren Hannibal氏。『Project Spark』のコンセプトは、「プレイヤーをクリエイターに変える」ことにあるという。
もちろんそういった試みは、古今東西さまざまなものがある。しかし、実際に作品を作ったり、シェアするまでに至らない人も、いまだ多くいるのも事実だ。「自分はクリエイティブでない」、「難しそうだ」、「時間がかかる」といった理由で尻込みしがちな人にも、ゲームを作ってみる楽しみを味わってもらうには?
ここでHannibal氏が挙げたのが、世界中の人に遊ばれている『マインクラフト』。その人気の高さの理由を、どんなレベルの人でも楽しめること、白紙状態からでもスタートできて何かを作れ、楽しさを味わえることだとする。
このために『Project Spark』で注力されているのが、最初の1ステップの障壁を下げることと、(ちゃんとしたツールで作ると)複雑になりがちな部分をシステム側でうまく覆い隠すことだ。
例えば、ウィザードを使ってすぐに谷間や森林を作れたり、まずはストーリーモードから始められたり、友達やコミュニティの作ったものを呼び出して弄れる“リミックス”を意識した作りになっていたり、あるいは“スターターキット”をロードして簡単な配置だけで“自分のコンテンツ”を作れたりする。本格的に作りだすよりも、まずは非常に簡単なところからスタートできるのだ。
そしてそこから徐々にオリジナルな部分が増すようになっていっても、突然高い壁が立ちはだからないようになっている。
ツールはシンプルで高度なことができるようになっているし、オブジェクトの振る舞いを決める条件文“ブレイン”も、人間の文法に合わせてあるわかりやすいもの(画像参照)。デフォルトのオブジェクトには、鳥なら鳥らしい動作をさせるためのブレインが入っているし、ブレインだけを取り出して、別のオブジェクトに入れてみることも可能(例えばリスのブレインを鳥に入れたりできる)。
“ドア”と“取っ手”のように、動作と複数のオブジェクトが組み合わさって一緒に働くようなものでは、“アセンブリ”としてひとまとめに扱うこともできる。
そうやって参入障壁を下げた上で、マルチプレイでの制作が可能だったり、制作物をシェア(ブレインやアセンブリのみといったこともできる)することで報酬があるといった、コミュニティの活動を活発にする仕組みも組み込まれている。
ちなみに、Kinectを使ってモーションキャプチャーを行うこともできるそうで、もちろん、それによってできあがったアニメーション(動きだけでなく音声なども可)をシェアすることもできる。
一方で、さまざまなレベルの人が使うため、プレイテストを頻繁に行い、予想外の使用法で思わぬ事態が起きたりしないか、動作を確認しているそう。
さらに、β版からのスタートで、当然アップデートを通じて改善していくわけだが、それによって古いデータがムダにならないよう、互換性の維持も特に配慮しているという。
Xbox One、Xbox 360、PCでの展開が予定されていることもあって、プラットフォームをまたいだデータの互換性についても、基本はどのプラットフォームで作っても、できる限り他のプラットフォームでも動作するようになっている。
例えばコントロールの点では、デフォルトのブレインではコントローラー、キーボード、マウスなど、異なるコントロール方法をサポートしており、他デバイスでの動作時のボタンマッピングの自動再配置なども対応。
データ量などスペック的な限界がある部分でも、他プラットフォームで動作可能なレベルを超えたところで警告を出すようになっていたり、パーティクル(粒子)やテクスチャーの調整、遠方をフェードアウトさせるといったことで処理量を最適化し、ゲームのコアの部分をできるだけ共通に楽しめるよう、システム側でフォローする。
現在はクローズドαテストが終了しており、βプログラムもほぼ完成。2週間ほどでリリース予定とのこと(当初はWindows版)。公式サイトでは、現在βテスターの募集を行っている。