早ければ2015年春には最初の成果が見られるかも
アメリカのカリフォルニア州ロサンゼルスで開催中のカンファレンス“GDC Next”から、スクウェア・エニックスが発表したプロジェクト“Square Enix Collective”についての講演“The Story Behind Square Enix Collective”の模様をお届けする。
“Square Enix Collective”を簡単に説明すると、インディー開発者などのクリエイターがアイデアを応募し、ゲーマーコミュニティがそれを評価して取捨選択を実行。パスしたアイデアはスクウェア・エニックスがサポートを行い、クラウドファンディング(この部分にはIndiegogoを利用)を経てリリースまでアシストするというもの。
となると疑り深い人は「ヤバいアイデアを奪うつもり?」とか(旧来のパブリッシャーモデル的に)「IPとしての権利を持って行くとか?」と思うかもしれないが(実際、発表時にそういう意見を散見した)、オリジナルIPの場合は完全に開発者に権利が帰属するし、一方で使用を認められているIPについては、それを使ったアイデアを提出することもできる。つまり、アイデアが鋭ければ、公式ライセンス作を開発することもできるのだ(ただし配信までこぎつけた場合、当然ライセンス料はかかる)。
新しい発想のゲームや面白い人材を発見してサポートすること、ゲームコミュニティが新たなアイデアに積極的に関わることで活性化することが、ゆくゆくはスクウェア・エニックスのためにもなるとの考えがあり、実現に至ったのだという。
講演で明らかになった、配信までの流れは以下の通り。
1.クリエイターが基本的なアイディアを提出する
2.コミュニティが製品化に値すべきアイデアか評価を行う(可否判断)
3.パスしたアイデアについてチーム評価(本当に実現可能かどうか、開発チームの資質やツール経験、予算の現実性などをチェック)
4.クラウドファンディングサイトのIndiegogoで資金募集(ファンから直接資金を得る)
5.開発(必要に応じて社内のボランティアスタッフから、クリエイティブ・ディレクション、アート、UI、AI、オーディオ、ファイナンスなどについてのサポートも受けられる)
6.配信(こちらも、基本的なQAテスト、配信プラットフォームへの承認、コンプライアンス、互換性、販売関連などのサポートあり)
現状のルールではPCゲームで、かつデジタル配信のもの(パッケージ化はナシ)に限定されているものの、オンラインゲームや、F2P(基本プレイ無料)のタイトルなども可能(ただしサーバーなどを貸してくれるわけではなく、資金からやりくりしなければならない)。
来年初頭にパイロット版が動き始め、公募がオープンするのが春先。順調に行った場合、2015年の4月ごろには最初の通過タイトルが製品としてお目見えする予定。
利用可能なIPについては、傘下のEidosのIPから、『Gex』、『Anachronox』、『フィアエフェクト』の3タイトルが例示されていた。この辺りも、今後の展開により調整されていくのではないだろうか(バリバリにプロジェクトが走っている最新IPが提供されるようになるかはわからないが)。
ちなみに講演後に同氏に「地域による制限はありますか?」と聞いたところ、基本的にグローバルのサービスで、地域による制限はないそう。ただ少なくとも当初は英語ベースなので、そこは頑張ってほしい、とのこと(確かに、コミュニティを盛り上げたり、クラウドファンディングで注目を集めるには、英語でのコミュニケーション能力が欠かせない)。(取材・文・編集:ミル☆吉村)