【PS4クリエイターインタビュー】『キングダム ハーツIII』ディレクター野村哲也氏が目指す“いちばん高い山”

プレイステーション4で、新世代のゲーム開発を進めているトップクリエイターに聞く、連載インタビュー企画。最終回となる今回は、スクウェア・エニックスの野村哲也氏に、E3 2013で発表された待望のタイトル『キングダム ハーツIII』についてうかがった。

●待望の最新作『キングダム ハーツIII』、PS4でどんな進化が!?

 プレイステーション4(以下、PS4)で、新世代のゲーム開発を進めているトップクリエイターに聞く、連載インタビュー企画。最終回となる今回は、スクウェア・エニックスの野村哲也氏に、E3 2013で発表された待望のタイトル『キングダム ハーツIII』についてうかがった。


野村さま顔写真

スクウェア・エニックス
野村哲也氏
『キングダム ハーツIII』ディレクター

●奥行きのある遊びと、ディズニーならではのビジュアルを実現

――6月に『キングダム ハーツIII』の制作が発表され、多くのファンが喜んでいます。『キングダム ハーツ』シリーズと、その最新作である『キングダム ハーツIII』の概要を、改めて教えていただけますか?
野村 『キングダム ハーツ』シリーズでは、ディズニーのキャラクターがたくさん出てくる中で、オリジナルのキャラクターを操作して、ディズニーのワールドを旅します。シリーズを通して展開するのは、“心”に関する物語です。この『キングダム ハーツIII』では、これまで10年以上続いてきた物語(作品群)、“ダークシーカー編”が完結します。

――『キングダム ハーツII』(2005年発売)以来となる据え置き機での最新作ということで、近年の作品から、どんな変化や進化が見られるのでしょうか。
野村 開発中の画面を見ると、据え置き機では画面の中に“奥行き”が感じられるな、と思います。携帯機の場合、情報量が限られてくるんですけれども、据え置き機では広い視野でゲームができます。久しぶりの据え置き機での『キングダム ハーツ』は、かなりスケール感があると思います。

――大きなスケールの中で、よりダイナミックなアクションが楽しめるということでしょうか。
野村 『キングダム ハーツ』は、アクションがずっと進化し続けているシリーズです。これまでのスピンオフのタイトルでは、毎回いろいろなチャレンジをして、大胆にシステムを変えてきました。『キングダム ハーツIII』では、もともとの『キングダム ハーツ』、『キングダム ハーツII』の流れをベースに、スピンオフ作品でチャレンジしてきた“大胆なアクション”や“特殊なシステム”をいかに取捨選択して取り込むかというのが、ひとつのポイントになるのかなと思います。

――“大胆なアクション”とは、たとえば……?
野村 主人公のソラの機動力が、かなりアップしています。できることが相当多くなったのですが、あまりにも万能すぎるので、いまはどの段階でどの要素を開放するか、そのポイントを考えている最中です。『キングダム ハーツIII』は、アクションであると同時に、RPGでもありますので。やろうと思えばどこまででも飛んでいけるぐらいのアクション性があります。

――どこまででも飛んでいける、とはすごいですね!
野村 実際には何らかの制限を設けますが、今回、昨今のアクションゲームでおなじみの、いろいろな場所に走って登れる“フリーラン”も取り入れています。それに加えて、飛行能力、ジャンプ能力が飛躍的に上がりますので、行動がかなり万能になっているという感じです。『キングダム ハーツII』をプレイされた方ならおわかりいただけると思いますが、すでにファイナルフォーム以上の機動力になっているんです。

――そのような機動力は、やはりPS4という新世代機の性能があってこそ実現できたのですか?
野村 “広い空間で多彩なアクションを駆使し、大量の敵と戦う”というのは、PS4の力で可能になったかなと思います。


KH02

――マップのギミックも、パワーアップしているのでしょうか?
野村 マップありきのアクションも、かなり仕込んでいます。岩が崩れ落ちてくる断崖絶壁を登っていくだとか、自分のいる建物を、急に敵が持ち上げるだとか、そんなアクションを仕込んでくれています。

――E3 2013で公開されたPVでは、大量のシャドウがザワザワとうごめいていましたが、敵の動きも進化しているんですよね。
野村 今回はかなりAIに注力して開発していまして、これまで登場した味方も敵も、見たことのない行動をします。かなりの数の敵が出てきても、みんなが同じことをしているとか、ただ出てきているだけとか、そういうことはなくて、それぞれの敵が思考して行動します。これまでの『キングダム ハーツ』タイトルから大幅にパワーアップしたと感じていただけると思います。


KH01

――“味方”というと、いっしょに旅をするドナルドとグーフィーのことが思い浮かびますが、ふたりのアクションも変わっているのですか?
野村 彼らのAIもかなりパワーアップさせています。ディズニーのキャラクターは個性がしっかりついているので、『ファイナルファンタジー』シリーズのように指示を出して行動してもらうというより、そのキャラクターの思考で行動してほしいと思っていまして。AIに関しては、よりドナルドらしく、グーフィーらしく行動するように調整していきます。

――連携して行動するときも、こちらから明確な指示を出すわけではないのですね。
野村 “彼らが考えて、場面場面に応じて手助けしてくれる”という方向で作成しています。プレイヤーの分身であるソラが戦っている最中に、彼らがどう関与してくるかという部分で、表現が増えていますよ。

――それも、PS4のスペック、メモリの大きさがあったからこそ実現できたことですか?
野村 そうですね。これまでの『キングダム ハーツ』も、極力シームレスになるようにやってきましたが、メモリに常駐させられるデータ……アクション量とか、モーションとか、エフェクトの量が多ければ多いほど、できることが増えるので。PS4はメモリが大きいので、かなり助かっています。


kh3イラスト

――大胆なアクション、マップのギミック、敵のAI。それらが一画面にぎゅっと押し込められているんですね。『キングダム ハーツII』から考えると、かなり違うゲームになっているような気がします。
野村 『キングダム ハーツ』のナンバリングタイトルとしては、ハードを一世代飛び越えて出ますので、進化の度合は相当感じられると思います。

――グラフィックについてはいかがでしょうか?
野村 フォトリアルな表現よりも、各ディズニーのワールドのトーンに合わせて、どう見せるかがテーマになっています。

――『キングダム ハーツIII』用に、新しくシェーダーを開発されたと伺いましたが、改めて教えていただけますか?
野村 これは正式な名称ではないんですけれども、“キングダムシェーダー”と呼んでいるものがあります。E3の映像でちょっとお見せしましたが、「ディズニー作品の2Dのブラシ絵のような表現を、3Dで表現しよう」と。今回、『キングダム ハーツIII』のグラフィックをどの方向性で表現するかを考えたとき、まず野末(スクウェア・エニックス 野末武志氏)を始め、ヴィジュアルワークス(スクウェア・エニックスの映像制作部署)と相談して、いろいろな表現のパターンを作ってもらいました。“ブラシ絵のような表現”を何パターンも出してもらって、E3でお見せした状態にもっていったんです。ヴィジュアルワークスがプリレンダでムービーを作って、それをリアルタイムに落とし込む、という作りかたをベースにしています。

――ブラシ絵のビジュアルというのは、前々から野村さんが実現したかったことなのでしょうか?
野村 もともと、シリーズの1作目から、グラフィックのグラデーションは、ディズニー作品のブラシ絵を目指して作られていたんです。当時のハードは、自由にライティングを調整できるほどの性能がなかったので、テクスチャーとしてブラシ絵風のビジュアルを作ることを落としどころにしたみたいです。でも今回はハードの性能が上がったので、“ライトを使わない”という選択肢はないですよね。これまでのグラフィックがHDになっただけでは進化を感じてもらえませんし、『キングダム ハーツ』、『キングダム ハーツII』のプリレンダムービーをリアルタイムで再現するのも、シリーズが次世代で目指す方向ではないと思い、ビジュアルのコンセプトから考えて、“キングダムシェーダー”の表現が生まれました。

――ファンの皆さんは、どんなワールドが出るのか、どんな敵とバトルを行うのか、気になっていると思うんですけど……お話しいただけることはありますか?
野村 いまはまだ(笑)。

――ないですか(笑)。でも、もちろん、新しいワールドはありますよね?
野村 ワールドは、いくつかチョイスも終わっていて、作り始めているんですが、「このワールド、このキャラクターが出ます」というのは、現段階では公開できないですね。おいおい情報は出していきますが……新ワールドのほうが分量的には多くなっていて、これまで出ていなかったディズニー作品が、数多く登場します。おなじみのワールドやキャラクターに関しても、まったく違うロケーションを使ったりしていますし、表現は変わっています。


KH03

●PS4は、超えなければならない、いちばん高い山

――『キングダム ハーツIII』には、DUALSHOCK 4を活かした機能が搭載される予定はありますか?
野村 『キングダム ハーツIII』は、『ファイナルファンタジーXV』と同じく、DirectX 11上(PC上)で開発しているので、PS4の機能をどう使うかは、まだ具体的に決まっていません。今後、ハードに落とし込む段階で、明確になっていくと思います。アイデアを出していると、「DUALSHOCK 4のタッチパッドを使えばいいのでは?」という話が出たりするので、何かしらの形で使うとは思うのですが、まだ決まっていません。

――では、タブレットやプレイステーション Vitaとの連動は考えていますか?
野村 当然、外部デバイスとの連動は検討しています。いまはまだアイデアを出している最中ですが。

――PS4では、多くのことが実現できるぶん、悩むことも多そうです。
野村 そうですね。斬新なアイデアをほかのメーカーさんたちも実現するでしょうし、自分たちが後出しになるのではと、ドキドキはしています。これまでいろいろなハードでゲームを作ってきましたが、できるだけハードならではの要素を入れたいと思っているので、考えることは多いんです。可能性はいろいろありますから……「なるほど、これはおもしろい!」というものを作りたいと思います。

――数々のハードの世代交代を見てきた野村さんから見て、PS4にはどのぐらいのインパクトがありましたか?
野村 「やりすぎだな」と思いました(笑)。さすがにそろそろカンベンしてほしいなって(笑)。“相当作り込める”というのは、ユーザーさんからすればすごく期待が膨らむことですが、開発者はそのハードルを超えていかなきゃならない。やれることがすごく増えるので、そうなると、広げるだけ広げていたら終わらない。何を取って何を捨てるか、取捨選択を迫られるでしょうね。E3の発表を経て、『キングダム ハーツIII』への反響が大きいことを実感していますので、あのとき喜んでくれた人たちを、この作品でどう喜ばせるかというのが課題です。これだけ表現力の高いハードですと、難題ではありますね。これまでいろんなハードがありましたが、いい意味で、いちばん高い山だなと感じています。

――日本だけでなく、世界のファンが待っていますしね。
野村 山はこれまでも越えてきているので、なんとかできると思っていますし、スタッフを信じてます。

――ちなみに、『ファイナルファンタジーXV』チームと『キングダム ハーツIII』チームが、影響を与え合うということはあるのでしょうか?
野村 そうですね。ほかのチームを見て、「すごいの作ってるな」と切磋琢磨していくのが、スクウェア時代からの作りかたなので。『キングダム ハーツIII』のほうが後からスタートしたので、そこまで開発は進んでいませんが、今後いい刺激を与え合っていけるんじゃないかなと思います。

――ところで、“ダークシーカー編”は『キングダム ハーツIII』で完結とのことですが、その後はどうなるのでしょうか?
野村 『キングダム ハーツ』はディズニーさんのタイトルなので、勝手なことは言えませんが、自分の頭の中には、当然『キングダム ハーツIII』の後のアイデアはあります。こういうキャラクターで、こういう展開で、という。いつかお話しできる機会があればと思いますが、それを具体的に詰めて考えることよりも、いまは『キングダム ハーツIII』を完成させることがいちばんの目標です。『キングダム ハーツIII』を早く世に出したいですね。

――楽しみにしています。それでは、最後に読者へのメッセージをお願いします。
野村 PS2で『キングダム ハーツ』、『キングダム ハーツII』、そしてPS3を飛ばして、PS4で『キングダム ハーツIII』が発売されます。表現力は飛躍的に上がっていますし、これまでの開発の蓄積から、遊び自体にも、奥行きのあるものになると思います。皆さんに触っていただける日が早く来るように、開発一同、がんばって制作していますので、つぎの情報をお待ちください。


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※画面は開発中のものです。

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